あなたの文章真面目に酷評しますPart52 at BUN
あなたの文章真面目に酷評しますPart52 - 暇つぶし2ch381:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 18:08:42
中学初の夏休みも終盤にさしかかったある日の夕方。
私はベランダに置いてある折り畳み式の椅子に腰を掛けながら、ただ景色を眺めていた。
ベランダは風通しがよくて、今日も冷たい風が右から左へと流れてくる。
その度にストレートの長い髪がフワって空中でなびいた。
「……あれ」
その時、目の前に広がる景色に何故か違和感を感じた。何かが足りない気がする。でも、なんだろう?
「―あ」
暫し考えてピンときた。
そうだ、トンボだ。トンボが見当たらない。
私は夏休みに入ってから、トンボを全く見掛けていなかった。昔は、数えきれない程のトンボが、空中を舞っていたというのに。
でも私には思い当たる節が一つあった。
ベランダから、遠目に見える、立派な家々が立ち並ぶ住宅街。
あそこはもともと、大きな森だった。
ここは結構な田舎で、ゲームセンターとかコンビニとか、何一つなくて。
遊ぶ所と言ったら、近くにあるその森しかなかった。そこでよく、弟と近所の女の子と一緒にトンボとりをしたり、かくれんぼをしたりして遊んだっけ。
でも数年前、その森は取り壊されて住宅街になった。近くに、コンビニも出来て便利になったけど、
それからトンボも、カブト虫も、あんまり見掛けなくなって……
暮らしが便利になるのは、もちろん嬉しい事だけど
そういう面もあって、複雑な心境だった。
もう、あの時みたいに、
「トンボとりに行こう!」なんて、言えないんだなって思ったら、きゅうっと締め付けられるような、切ない気持ちになった。
「―!」
その時、一瞬、赤トンボが視界に飛び込んだ。
見上げると、そこには、一匹の赤トンボが、空中を舞う姿が―
そして、そのまま
深く綺麗なオレンジ色空
に重なって、
消えた。


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