07/08/19 17:56:47
失礼します。
酷評お願いします。
「なるほどね」
食卓に並べられた串カツの一本をつまみ上げて、好子はふふんと笑った。
「つまり私が嫌いってことね」
僕を嘲るかのようにゆらゆらと串カツを振り、ソースもかけずにかぶりつく。僕
は木偶のぼうのように突っ立ったまま、油でてらてらと光る好子の唇を眺めてい
た。
「つまり、私が嫌いってこと」
今度はやや自嘲気味に呟く。僕はいたたまれなくなり、串カツが山盛りになった
皿に目を落とした。米も炊いたことがない好子が半日かけて揚げたものだ。串カ
ツを食べたいと言ったのは、僕だ。
好子は次々に串カツに手を伸ばす。豚肉と玉ねぎ。じゃがいも。うずらの卵。し
しとう。
あたりには咀嚼の音が響いた。一定的なリズムの、いかにも乱暴な音だった。
泣いているんだろうな、と僕は思った。彼女はたぶん、泣いている。抱き締めてあ
げたり、一緒に串カツを食べてあげたりすることに意味はなかった。意味はない
ぶん、簡単に実行できそうだった。しかしどうしても、好子か串カツのどちらか
に手を伸ばそうとするとひどく虫酸が走るのであった。