07/08/15 23:23:46
趣味として小説書いてる18歳。酷評よろしくお願いします。
窓の向こうには相変わらずの雨。
三日前から続いているこの雨は、夏の暑苦しい空気をさらに濃くし、草木独特の匂いを噎せ返る程立ち込めさせていた。
その灰色の空から降る陰雨が、ただでさえ暗いこの場を余計に暗くさせて、私を苛立たせている。
早くこのじめじめとした儀式が終わらないかと、嫌でも耳に入ってくる単調で響く木魚の音と、地の底から響いてくるような和尚の声を聞きながら、縋る気持ちで母の方に視線を送った。
けど、黒い服を身にまとって正座をしている母からは、いつもの明るい表情が消えていて、抜け出したい。なんてとてもじゃないけど言えない。
それに、あの表情の代わりに現れた今にも泣き出してしまいそうな母の顔に、苛立っていた私の気持ちも、いつの間にか悲しみに染まってしまっていた。
「それでは、お焼香願います」
和尚の声に、母を初め、親戚たちがみんな立ち上がった。
つられて私も立ち上がり列に並ぶ。母が香を摘んで、鼻の付け根に持っていくのが見えた。