07/08/18 16:25:38
私の頭に何か硬そうで柔らかそうなものが ぐしゃっ と当たった。?
私は頭に手をやった。赤い。地面にトマトが落ちていた。おっといけない。
あれれれれ。最近のトマトは樹に生るのだろうか。私は止めている歩みをそのままに視線を上げる。
白い脚。
鳶色の髪をなびかせながら、こっちをニヤニヤして眺めている娘が樹の太い枝に腰かけていた。
私は自我モードを俺に切り換える。
いい脚してんじゃん。
「トマトを投げたのはお前か」
「知らないね」
可愛い顔をして口の利き方がなっちょらん。俺のアルクトゥールス魂にぽっと灯が灯ったが、それとは
悟らせない。俺はその娘の洋服が、汚れてぼろぼろになっているだけで、実は大層上等なものである
ことに気づいた。白の木綿、そして凝った装飾が今は昔と朽ちている。ただその所為で運命を曲線した
脚の白さが 却ってまぶしい。