07/08/17 08:22:20
ミカエルは、ロブマイヤーのグラスにロマネ・コンティをなみなみと満たし、舌と喉とをしめらせた。
ちなみに、ミカエルのいる応接間のシャンデリアもまた、ロブマイヤーなのだから、来客のほうも感心する。
来客のピーターは、ゴブレットを手に取って、しげしげとながめた。ピーターはミカエルにたずねた。
「これもロブマイヤー?」
「そう、それもロブマイヤー」
ピーターは、ソファを立って、飾り棚に置いてある磁器を観察した。
「これって、マイセンですよね?」
ピーターの問いに、ミカエルは答えた。
「そう、大当たり。アンティークの勉強をよくしてるね」
ミカエルは、ピーターにロココのイスに座るようすすめた。
そして、ミカエルはヴェネチアン・グラスにシャンパンを注いで、ピーターに渡した。
「これ、高いんだろ?」
ミカエルは手をふった。
「どうってことないよ」
一口にシャンパンといっても、ピンキリで、やや高価なシャンパンをふるまったのである。
ピーターはシャンペンを口に含んだ。
「ところで、音楽はなにをかけようか?」
ミカエルはピーターにたずねた。
「バッハのマタイ受難曲なんかいいんじゃないかな?」
ミカエルはピーターの所望どうりの曲を再生した。ゆったりとしたテンポの曲が流れる。
ピーターはグラスから口を離して、話した。
「まだ曲の全部を聴いてないんだ」
(かきかけ)