07/11/28 12:08:34
荒れてるスレみたいですが流れよくわかってないので一言お願いします
できれば一言じゃないほうがうれしいけど。高1の時に書いた中二秒小説の
冒頭です。
高三の夏、彼は不意にうす桃色の粘着質の、厚さの定かでない壁と、床と、
天井に覆われていた。それらうす桃色で人肌のぬくもりを持つ物体は彼の色
白の肌と奇妙に溶け合い、彼の脱出への試みをやさしく包み込んだ。しばら
くすると、それら薄い桃色の物体は彼の肌の色を性格に色素のレベルから理
解し、模した。物体であるそれは視覚の上で彼とほぼ同化する事に成功すると、
不意に、明かに故意に、最後の砦であった彼の心の琴線を優しく絡めとり、
記憶されているあらゆる母性を読み取り、父の言葉で、母の言葉で、
姉の言葉で叔母の言葉で教師の言葉で優しい隣人の言葉で、それを語った。
後で彼を輪切りにしてみたがそれは、厚さ20センチ程の、薄桃色で
粘着質で高校三年生のやさしい物体であった。
「新田、俺とお前の間柄だからはっきり言うが、これじゃ国立は厳しいぞ。
残りの時間も考えて、私立一本に絞ってそれに全力を注ぐってのもひとつの手かと、
俺は思う。」
大きな窓から差し込む夕日を半身に受けながら担任教師である島崎が言った。
「うん、そうかも知れないけどやっぱ家の事がね。だいぶ落ち着いては来たんだけど、
これからどうなるかもまだわかんないし。」
差し込む夕日がやけにまぶしくて、という体で、彼は俯いたまま言った。
「そうか。まあ、俺に何か協力できる事があったら何でもいえよ。
勉強のことでも他のことでも、力になれることは何でも相談に乗るからさ。」
「うん。」日常会話がすでに芝居がかっているというか、何だかドラマのような
しゃべり方をする人の心理を、ぼんやりと解析しながら彼は頷いた。
教師はにこりと笑い、背筋をちょっと伸ばし、教室を後にした。此処に、海溝が一つ。