08/05/23 06:30:59
走り疲れて、どこかで休みたいと感じた。目をやると公園があった。あいつと昔よく遊んだ公園。今は子供が無邪気にはしゃいでいる。
「オレは正義の味方ジャスティだ!」
ガキ向けの番組でも見たんだろう、何人かで敵と味方にわかれて戦っている。
「違うよ! ぼくが正義の味方だよ!」
「なにいってんだよ、弱いヤツが正義を名乗れるわけねえだろ!」
ベンチに腰掛けながら、ガキたちの笑顔がだんだんと苛ついてくる。ハイハイ、正義ね。
「もう! ケンカすんなよ!」ガキのうち、聡明そうな一人が叫んだ。
『大切な人を守るのが、正義の味方だ!』
いつかの記憶と重なる。一瞬、呆けてしまっていたが、すぐに怒りが湧き上がる。走り寄り、そのガキの腹を膝で蹴る。ガキは吐いた。
「なにが正義だ。大切な人を守るだ。できもしねえこと言ってんじゃねえよ」言葉を吐く俺を、ガキが苦しそうに見上げる。
「お前も俺も、矮小な人間だ。できることとできないことの区別もつかない、愚直な人間なんだよ」
ガキを地面に捨て置き、公園を出て行く。休むには場所が悪い。とにかくここを離れなければ。
なにせ俺は犯人らしいから。幼馴染みの女性を殺そうとした悪辣な警察官という凶暴な犯人らしいから。
Next 「氷筍」「」「アウフヘーベン」「あえか」
501:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/24 03:05:01
あえか、氷筍、アウフヘーベン
「おい、おまえのエッセイのここ、あえかって言葉あるけど、どういう意味だよ」。
執筆の邪魔をされていらだった美依子は、夫の衛雄に毒づいた。「あなたってほんとうな教養のある人よね。編集者の鑑だわ。あえかはあえかよ。それくらいもわからないの?。だいいちなによそれ、氷筍?。缶チューハイなんか飲んであなた、それ、半分が砂糖よ」。
「おまえこそアウフヘーベンなんて高いブランデーがぶ飲みしてるじゃないか。俺がわかるわからないって言ってるんじゃないだろ。読者に通じるかって言ってんだよ」。
「通じると思いますけどね。あなたにはそうは感じなかったわけね」。美依子はそう言ってアウフヘーベンをあおった。
「私はただ編集者としてだな―」。
「なに?」。
「えっ?」。
「あえかの意味よ。はい、この場面よね。“氷点下20度の洞窟内はしんとしていた。岩肌は、あえかな―」。
衛雄は氷筍の缶をテーブルに叩きつけるように置いた。「自然に包まれるような、だ」。
「包まれるような?」。
「そうだ。一部の読者はそう思うだろう」。
「あなた。あえかってのはねえ」。美依子はそう言いながら辞書を取りに仕事机に戻った。「身が引き締まるようなでしょう。自分で辞書を調べてみなさい」。
「めんどくさいなあ。えーえーえー。おい」。
「わかった?」。
「読んでみろよ」。衛雄は美依子に辞書を渡すと氷筍の缶を手に取った。
あえかとはかぼそいというような意味である。
「“岩肌にはあえかな、たくさんのつららによる光景が広がっていた”。あえかな光景が広がってたのか」。
「……つららがね。つららがあえかだったのよ。あえかなつららがばーと広がっていて」。
「そうか」。
「そうよ。少なくとも包まれるような感じじゃなかった」。
衛雄はわずかに残った氷筍を飲み干し、美依子はわかってたわよなどと小声でつぶやきながらグラスに新しくアウフヘーベンを継ぎ足した。
502:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/24 03:07:44
次のお題は
「勝つ」「列」「菊花」
503:名無し物書き@推敲中?
08/05/24 12:11:21
表テーマはさ、勝つために並んだいつかの菊花賞、ぐらいで良いと思うんだよ。問題は、裏テーマ。
俺はさ、裏テーマでさ、ガンダムの話をしようと思うんだ。
この時点で、ネタ的にどんぐらい脱落してるか知らんけど。
1st見ろよ! 1st! あれ、ファーストじゃねーか?
つーか、明日は菊花賞じゃなくてオークスだろーが。
どんだけ先取りだよ! だよ、だよ、だよ……(エコーのまま遠ざかる)
「という怒りを、アウフヘーベン的に抽出しました」
「なるほど。君は、風化してしまう怒りに、インパクトのある記号を付随させることで、一段階上の怒りへと進化させたのだね?」
「はい。ある種、アリストテレスっぽくもあります」
「素晴らしい! だがメタフィジコーは、このスレを観察していれば分かる通り、消費される一方なのだよ?」
「それでも僕は、Bキャンセルを押したくないんです」
「ほほう。欲しがりません、『勝つ』までは。というコトかな?」
「いいえ、キャンセル待ちをするぐらいなら、並びます。『列』に。誰よりも早く」
「ふふ、屍山血河を往く覚悟は既に備わっているということか! ブラヴォー! ならば、君は心ゆくまで男坂を登りつめるが良い。骨は、私が拾ってやる」
「年に一度の墓参りもお願いします」
「いいだろう。ねんごろに弔うよ。お盆には、必ず白い『菊花』を墓前に供えてな」
「お願いします」
遠ざかっていく、後輩(僕)の背中。やがて舞台から退場。
舞台、暗転。二秒後、スポットライトが舞台中央、両腕を天へとかざす先輩(私)を照射。
「書に善美なる魂を見出した若者よ、君の行く手には、幾多の艱難が待ち受けているであろう。しかし、私は、君の幸福を願わずにはいられない」
再び舞台、暗転。ガンダム。
次のお題は「蚊取り線香」「かまくら」「梅雨」でヨロシク
504:lieb ◆SShzdr.d1I
08/05/24 15:17:56
「蚊取り線香」「かまくら」「梅雨」
私は蚊取り線香に、用心深く火をつけた。刹那のうちに燃え尽きる。
舞う風のなかに風鈴は、りんとも鳴らず脆く散る。
いつしか田には黄金の穂が、咲いてはあえなく枯れ朽ちる。
消える間際のあかとんぼは、晩霞の朱をまぶたに馳せる。
子供がつくった白いかまくら。なぜ逃げるよに溶けるんだい。
熊はやがて眠りから覚め、傾れ雪に人はたじろいだ。
萌芽の兆しを知ってか知らずか、空より緑雨が降りしきる。
私の心もつゆしらず、駆けて梅雨と名を変えた。
曇天は遥か空高く、すとんと抜ける青になる。
ひと年はかくも疾きものか。此岸はかくもはかなきものか。
人が死に往く幾年を、数刻に知る身の程に。
Next 「段平」「回向」「ボーゲン」
505:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/24 22:01:52
ボーゲン、回向、段平
雪山の村落、典念和尚はスキーを履いて檀家回りをする。今日も、すっかり曲がった腰のボーゲンですべる和尚の姿が見えた。
和尚は、とある檀家の庭先にひとつの盆栽をみつけた。養生の上からでもわかる、立派な枝ぶりの松もさることながら、和尚が本当に目をつけたのは鉢の方である。
たいそう立派なしがらき焼きじゃ。せいじさんはなんと罰当たりなことをしなさる……。
和尚は開いた戸からせいじに声をかけた。「おーいせいじさーん。せいじさーん」。
「おやこれは、和尚さま。こんなところもなんですし、ささ、お上がりになってどうぞお茶でも一杯」。
「いや、いいんじゃ。それよりせいじさん、あの松は」。
「あの松?。失礼ですがいったいどれで」。
「あの平段の」。
「平段?」。
「ほれあそこの平段平段」。
「平段平段、平段平段と……ああ、あれでございますか。おや、和尚さま、おわかりになられますか?。心得えがおありでしたとは……」。
「まあ少し。そんなことより、あんた、あれは―」。
「よろしかったらですが、おゆずりいたしましょうか」。
「ゆずる?。いやいや、あれは」。
「もちろんお代なぞは頂けませんです。すみませんがうちにお上がりになって少々お待なさっておいてください。すぐすみますので」。
「いい、いい。せいじさん、あの鉢はな」。
「ええ。その鉢からすぐ移し替えますんで。和尚さま、すみませんがあの鉢は貝原先生のお焼きになったしがらきでして、百万は下らないのでして……」。
「そうじゃ、あれはまさしく貝原先生のしがらきじゃ。せいじさん、あんたは、なんでそんなものを」。
「いえ。実はわけがありまして。たまーに、目敏いものがこの鉢を見つけます。立派な松だ、ぜひ5万でゆずってくれいや10万でも20万でも出すと言うのです。その度松だけお譲りさせてもらってりわけです」。
「せいじさん、あなたねえ」。
「先方さんが自ら望まれるんで。これも回向ってやつでしょうか。さ、和尚さま、移し終りました。あとでお寺に届けにあがらせてもらいます」。
506:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/24 22:08:23
下敷きは「猫の皿」でした。
“返歌”できなかった……。
次のお題、「ボタン、グミ、震災」。
507:名無し物書き@推敲中?
08/05/24 22:12:14
しね、ボタンしね。グミ、まずいよグミ。震災、うざいよ震災。
つぎのお題は、発見、ミステリー、ハンター。
508:名無し物書き@推敲中?
08/05/24 22:44:36
コピペミステリー伊藤のナナハンターボつき一発見せてやれ
次は「ボタン」「グミ」「震災」で。
509:奇子 ◆mgv.U.ZFE.
08/05/24 23:03:04
ハンターがある日森に入っていったんじゃ。なんのためだかわかるかな。
「狼をやっつけるためだね!」
そうじゃ……狼は悪い奴じゃからね。羊を食ったり豚を食ったり幼女を食ったり。
「おじぃさん、僕なんだかどきどきしてきた」
そうじゃろそうじゃろ。
しかしハンターはなかなか狼を発見することができなかったんじゃ。
「羊さんはいたの……?」
いた。わしがジンギスカンにした。
「豚さんは……?」
しょうが焼きにした。
「幼女さんは…?」
おまえのばぁさんじゃ。
「えっと……」
わしの武勇伝になってしまったな。
「どうしてハンターさんは森に入ったんだっけ……?」
そこがミステリーじゃな。そもそもその森は、金塊を奪った強盗が、金品に目が眩んだある男に殺されたことのある、曰く付きの森なんじゃ。しかし殺された強盗のズタ袋には金塊ではなく石の塊が……
おや寝てしまったか。
その強盗がおまえの父さんなんじゃが。
まぁ続きはいずれ……ゴフっ……?!
「ふふふ。毒が効いてきたようだな」
わしに何を飲ませた?!
「我が父の仇!」
ち、ち、違うんじゃ……。よく考えてみるんじゃ……。時系列がおかしいじゃろうが……。実は今の話には一つのトリックを仕掛け……ゴフッ。バタッ……。
「なんだと?!」
(しかし幾ら考えても、答えは永遠に失われたまま)
了
次回
「革命」「サービス残業」「マクドナルド」
510:奇子 ◆mgv.U.ZFE.
08/05/24 23:09:26
次は
「ボタン」「グミ」「震災」
で良いよ。
511:名無し物書き@推敲中?
08/05/24 23:16:42
ボタンってグミに似てるよねと彼女が言った。
震災のとき便利だよとぼくが言った。
つぎのお題は、発見、ミステリー、ハンター。
512:名無し物書き@推敲中?
08/05/25 03:50:09
目の前にちらかっている瓦礫の山を見て、英明は愕然とした。
精魂込めて築き上げ、あれほどまでに偉様を誇っていた彼の城が、見る影もなく崩れてしまっていたのだ。あまりに突然の事に言葉もなく、その場に膝をついた。
世界大戦を経験した彼も、震災には抗しがたい恐怖を感じた。
ボタンひとつで地球を破壊できる人類同様、この地球もほんの少し体を震わせるだけの諸作で人類の営みを根底から覆してしまうのだ。
だが、それにも増して耐え難かったのは、震災に対する自分の認識の甘さだった。上部にばかり気を取られて、その土台がまるでグミのように軟弱ですべりやすいという事にまったく気づかなかった。
仕方ない、もう無くした物は戻ってこないだろう。
英明は半ば自棄ぎみに首をふった。夢も仲間も家族も、戦争で全てを無くした彼が唯一手に入れたものが再建の喜び、そして締観であった。
また一からやり直すしかない。
そう呟きながら彼は腰を屈め、床にちらかったマッチ棒を一本一本拾い集めた。
513:名無し物書き@推敲中?
08/05/25 03:52:47
次は「瓦礫」「地球」「家族」
514:名無し物書き@推敲中?
08/05/25 06:22:55
瓦礫の下に家族が埋もれているよと彼女が言った。
地球人だねとぼくが言った。
つぎは、発見、ミステリー、ハンター。
515:名無し物書き@推敲中?
08/05/25 07:53:49
ミステリーハンター発見
次は「瓦礫」「地球」「家族」
516:名無し物書き@推敲中?
08/05/25 08:09:19
発見、ミステリー、ハンター
俺か?。ただのしがない探偵だ。探偵といっても浮気調査が専門で、あとはたまに雑用のような仕事が舞い込んでくるだけだ。別に看板にそうと書いてるわけではないのに。
まあいい。今日はその雑用の方の仕事だ。依頼人は某テレビ番組の司会者だった。
その年齢の割りにはずいぶんとがたいのいい依頼人は言った。「困ってるんです」。
なんでも、依頼人の番組に出ている“ミステリーハンター”なる若い女の一人が、収録日にばっくれたらしく、彼女のアパートに行って発見してきてくれとのことだった。
……まあいい。なんにせよ飯の種だ。俺は現場に急いだ。
ここは中野区は早稲田通り。商業施設ブロードウェーの近くということもあって、若者から老人まで人間でごったがえす賑やかな町だ。
俺は渡されたメモの指示の通り高円寺の方へ向った。その時、こういう光景に出会った。
「ずいぶん広い学校だな。中野警察学校?」。そう、目の前には都内とは思えないほどの大きな敷地の、警察学校なるものの塀が伸びていたのだ。
さあ、ここでクエスチョンがある。
なぜ、都内にもかかわらず、こんなにでかい敷地があるのだろうか。
(続く)
517:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/25 08:51:35
「発見、ミステリー、ハンター」続き
正解は、そうだ。江戸時代に味噌屋だか醤油屋だかがあったからだ。
当時の建物はもちろん木造で、大豆でたっぷりの重たい大桶は、平屋に置くしかなく、味噌だか醤油だかの需要が高まるとともに、味噌屋だか醤油屋だかの桶の数も増えて行き、自然と大きな敷地になっていったのだそうだ。
が、そんなのはまったく今回の依頼とは関係のない話だ。先を急ごう。
中野警察学校から歩いて五分ぐらいなのところに、例のミステリーハンターの女のアパートはあった。
五分とは言っても道に迷ったりコンビニに寄ったりしたので三十分はかかったが。
アパートに近付くと、五、六人の主婦が、アパートをいぶかしげな目つきで眺めていた。腐っても探偵。俺は事件の臭いを嗅ぎ取った。
俺がアパートに近付こうとすると主婦の一人が声をかけてきた。
「あんた、入らない方がいいよ」。
そうは言っても飯の種だ。依頼人の信頼を守るためでもある。階段をのぼっている時ゲップがでた。先ほどのコンビニで買って食べた茹で玉子の匂いがした。
201号室。ここがミステリーハンターの女の部屋だ。しかし、チャイムを押してもドアノブをがちゃがちゃと回してもなんの反応もない。さてはやはり……。
ふと、俺はドアに張り紙がしてあることに気付いた。事件の核心に一歩近付いたか。俺は老眼の入って来た目を凝らした。
“このドアや他の窓は絶対開けないでください。警察にご連絡ください”。
518:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/25 08:53:47
次のお題「掃除、息子の部屋、ベットの下」。
519:名無し物書き@推敲中?
08/05/25 09:36:47
歳をとるごとに潔癖の気が出てきた。最初は単に散らかっているのが厭だという程度のものだったのだが、
この頃では埃の一筋にも悪寒が走る思いがする。その範囲にしたってそうだ。リビングと書斎だけに向けられていた
私の意識は、次第に台所や物置場などにも広がっていった。
そして今日、残すところは息子の部屋のみ、という段階にまで私は来た。
そのために、前もって有給休暇を取得した。雑巾やクイックルワイパーは勿論のこと、オスバンなどの薬品だって購入した。
準備は万全を期していたのだ。
果たして掃除は始まった。まずは机の周りだ。食べ散らかしたポテトチップスの欠片や空き缶など、
片端からゴミ袋に捨てていった。燃えるゴミも燃えないゴミも関係ない。まだ使えるものだって構わず放りこんだ。
私は異常者なのだろうか。いくらか偏執に過ぎたのだろうか。
息子の反応も、その結果としてもたらされる事態にも、容易に想像はついたが、どうにも衝動を止めることはできない。
殆ど恍惚といってもよい表情を浮かべながら、私は掃除機をかけ、はたきを振り回し、雑巾を絞る。
正直に言おう。私は勃起していたのだ。
性への意識以外でそのような肉体的欲求が顕示されるなんてことは、もちろん、私は知らなかった。聞いたことも無い。
だが、実際に私は、はあ、はあ、と勃起していた。
一時間半が経った。息子の部屋は十分に満足ではないが、おおむね満足、という段階に達していた。
私は部屋の隅のベッドに、寝転がった。そして壁掛け時計を眺めながら自慰に耽った。
もう誰も私を止めることはできなかった。私自身ですらその行為は止められなかった。そして果てた。
所要時間はきっかり一分十五秒だ。悪くない。ああ、ぜんぜん悪くない。
散った白濁液が壁を伝っているのが見えた。おそらくはベッドの下の方にまで伸びていたのだろう。
私は迷った。つまり、拭き取るか否か―まあ、それは記念に残しておくのもいいだろう。
息子が帰ってきたら言おうと思う。
「どうだい、綺麗になったろう? 最後はおまえの手で綺麗にするんだ。ほら、ベッドの下だよ」
次のお題 「ギター、村上春樹、うんこ」
520:お題 「ギター、村上春樹、うんこ」
08/05/25 10:45:03
萌えキャラは語尾から始まる。
という定説通り、萌えキャラになりたい僕も、語尾から始めてみるうんこ。
今日から僕の語尾はうんこでうんこ。
さて、キャラ立ちはこの辺でオーケーでうんこ。
今日は村上春樹の話をしてみようと思うでうんこ。
村上春樹うんこ。
その執筆スタイルは、予め書き下した日本語を英訳し、それを再び日本語に変換し直すという、特殊な方法が選択されているでうんこ。
これにより、一文ごとの主題が前面に押し出され、また、キャラクターが能動的になる、という利点がゲッチュできるでうんこ。
そんな彼のルーツはどこにあるでうんこ?
これについては諸説あるけれど、個人的には庄司薫にあるという説を押したいでうんこ。
(ちなみに、村上自身は、処女作の後書きでデレク=ハートフィールドなる架空の作家について言及しているでうんこ)
彼の趣味で、最も良く知られているものの一つにジャズがある、と思うでうんこ。(最近文庫化された、東京~も冒頭にジャズを持ってきていたでうんこ)
また、ジャズ以外にも様々な種類の音楽を愛しており、アフターダークに登場した通奏低音などを筆頭に、専門用語を比喩に用いるシーンが見かけられるでうんこ。
あと、彼、スガシカオが好きでうんこ。
良い音楽家は、その本人だけに備わっている和音(コード)で、音楽を構成している、とか何とか発言している記事を、読んだ記憶があるでうんこ。
これで『ギター』のワードを、クリアしたことにして欲しいでうんこ。
ラストに、彼とその歴史を同じくした(印象的にリンクしている、という意味で)人物に、江藤淳を挙げておきたいでうんこ。
詳しくは、各自で調べれば良いと思うでうんこ。
オマケで彼を慕う、若手(?)作家には、
伊坂幸太郎うんこ。
金城一紀うんこ。
古川日出男うんこ。
舞城王太郎うんこ。などが居ることも、挙げておくでうんこ。
次のお題は「玉子酒」「月見酒」「新巻鮭」でヨロシク
521:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/25 13:32:31
月見酒、玉子酒、荒巻酒
姉御の背中に彫られた鯉を
ふたり並んで、眺めてる
兄弟仲は、おやじの教え
古い男のヨオ、ベタな生き様サア
「あんたら、この商売、筋が要や
『シャブと売りには手を出すな』
亡くなった先代の言葉です
いいか、あんたら、
わたしらやくざもんを食わしてくれるみなさんのためしっかり働けるよう
兄弟どうし、仲良うやるんやで
さあ正月や。鮭食いなはれ。荒巻鮭、食いなはれ」
「姐さん
あっしらオヤジの人柄ァ忘れやしません
オヤジの言葉しっかり守って
組ぃしっかり守らせて頂きます」
「あんたら、ようゆうた
あんたらようゆうたでぇ
先代も安心しておられます
先代の言葉、歌わせていただきます」
シャブと売りには手を出すな
意地と見栄と思いやり
玉子酒、風邪時に
月見酒、したことない
手酌酒、本音だが
てめえの本音とあちらの面子
計ればきりないやくざ道
522:sm ◆.CzKQna1OU
08/05/25 13:36:03
次のお題「ここって」「sageスレ?」「けもの道」
523:お題「ここって」「sageスレ?」「けもの道」
08/05/25 14:16:51
coccoよりもスピッツが好きで、だから俺は、けもの道と聞いて三日月ロックを思いだすんだけれど、実は古川日出男の方がもっと好きで、けもの道は、俺の中ではgiftになる。
とはいえ、遠野物語にだってけもの道は登場するわけで、一つの単語を指して、何がどう。と判別するには、圧倒的に知識が足りない。
知識。この時点では、ボキャブラリーと言い換えても良い。
ボキャブラリー。俺の知性が喫水線上に浮かぶ、道徳の海。
なぜ道徳と表現するのか。については、適切な日本語が思い当たらなかったから。
英単語から逆検索した。moralが最適だと、個人的には思うんだけどね。
さて、ここ。『ここ』って。
ここ、とはどこを指しているのか?
とか、云わないけど。俺は。
使い古された形而上学的問題に携わる探求は、ムスリム的に、コーランの教えに違反してそうな気がする。一神教だし。
同じ一神教を信仰しているよしみで、その程度の律法は守ってもいいんじゃね? とか考えている、今。
いや、実際は、定義して証明するのが面倒くさいだけなんスけど。
ただ、俺は、このレスを読んでいるお前と、必ずしも同じ世界に位置しているとは限らないわけで。
数学的帰納法で証明するなら、このスレのコミュニケーションにおける一方通行性は→情報が上位から下位に流れていることを示し→
相互交換は無し→なおかつ、俺は情報が下位から上位に流れるシチュエーションを体験したことがない→
つまり、他者の存在する世界は、常に俺の上位か下位に位置し→
よって、等位置であることが証明できず、同じ世界に位置しているとは限らない、という前提が反意として証明される。
だから、sageスレ?というお題を、あえて俺は質問として受け取りたい。
答えないけど!
次は「個人」「自由」「オルタナティブ」でヨロシク
524:「個人」「自由」「オルタナティブ」
08/05/25 17:38:41
個人の自由じゃ。勝手にさせろや。ニートは存在がオルタナティブなんじゃ。
つぎのお題は「ここって」「sageスレ?」「けもの道」
525:「ここって」「sageスレ?」「けもの道」
08/05/25 18:57:22
ここってsageスレ? 選択の道は、けもの道。危ぶむなかれ、その己の道を。
次は「邦人」「誓約」「ルール」でヨロシク
526:名無し物書き@推敲中?
08/05/25 19:36:08
「邦人て何?」と彼女が訊いた。
「日本人のことだよ」とぼくは答えた。
「じゃあ、誓約は?」と彼女が訊いた。
「自分で調べろよ」とぼくは答えた。
「ルールに縛られたくはないな」と彼女は言った。
つぎのお題は、不思議、人形、ラスト
527:お題「不思議、人形、ラスト」
08/05/26 12:26:09
第二次ベビーブーム期に誕生した父親が、最後に消滅した。
既に、姉も母も消滅しているので、俺一人だけが我が家に残る。
4-3=1。うむ。
地球は、というか人類は、こうして緩やかに総体数を減少させつつ、終末期、いわゆる、『この世の終わり』を迎えているようだけど。
そのエンドロールは、あまりに穏やかすぎて拍子抜けしてしまう。
戦争も、飢饉も、伝染病もなく。
ただ自然災害的に訪れる、人の消滅を繰り返して、最後にはすべての人類が消滅してしまうんだろう。
幽霊船のように。未だ豊穣な、文明の残滓を地表に置き去りにして。
kaoru:不思議だよな
nao:だね。どーしてネット生きてんだろ
kaoru:電気だって水道だって生きてる。生活便利すぎ(笑)
nao:缶詰あれば数年持ちそう
kaoru:言えてる。娯楽たんねーけど
nao:でもネトゲ鯖、けっこう人いるよ?
kaoru:なにしてんの?そいつら
nao:フツーに狩りしてるw 娯楽大国、日本バンザイ
kaoru:いやいや(笑)
チャット。後、俺は人類が消滅し始める直前まで、大盛況だったネトゲ鯖を訪れるけれど、『人』は居ない。
俺のロールキャラだけが、ポツンと一人、NPCで賑わう町のど真ん中に立っている。
オーケー。今更だ。
俺は、理解しよう、自分に理解させよう、と笑う。
発電所、下水処理場。無人ロボットが、その耐久年数を終えるまでキッチリ任務をまっとうするだろう。
チャット。言語感覚が人間並みに発達したCPUによって弾き出された、乱数のキャッチボール。
あれだけの会話で、俺がkaoruかnaoか分かる人間は居るだろうか?
俺は、何度も心の中で反芻する。人類が消滅していく兆しを見せ始めた、夏の始まりに親友の薫が口にしていた言葉を。
「もう、人間は主役じゃなくて良くなったんだよ。人形(アンドロイド)が、人間に近づくんじゃなくて、人間が人形に近づく。そんな時代が来た。それだけ」
2-1=1。うむ。
俺はまだ、この世界で、人間のまま生きている。
528:名無し物書き@推敲中?
08/05/26 12:27:51
長すぎた・・・反省orz
次は「霧」「帰郷」「始まり」でヨロシク
529:「霧」「帰郷」「始まり」
08/05/27 02:55:27
交通安全を呼びかけるDJの声をカーラジオが発した。
大学生が高速道路で事故を起こしたニュースにちなんでのことだった。
春休みを利用して帰郷する途中の惨事だったという。
「車を運転される方は本当に気をつけてくださいね。ということで、
春は出会いと別れの季節です。始まりがあれば終わりがあります。
その終わりがまた新たな始まりだったりね。
これがまた桜の季節でもあったりするんだな」
再びDJがニュースを引っ張り出した。
何者かによって某所の公園で桜の枝が折られ、持ち去られたというのだった。
「何が面白くてこんなことをするんですかねえ」
凡庸なようでいて、DJは邪推や偏見を巧みに避けた。
そのとき、時速100キロで流れる景色のなかにぼくはあるものを発見した。
工事標識用の鞘に挿された桜の枝だった。死亡事故の現場なのだ。
その夜は風雨が強く、走行車両の後方には、必ず、人工の霧がついてまわった。
運転技術の未熟な大学生は、動く霧のなかでハンドル操作を誤ったのだった。
ひどい夜だった。
つづく
530:「霧」「帰郷」「始まり」
08/05/27 02:58:05
つづき
「警察も捜査をしてるみたいですし」というDJの声が
ぼくの意識を現実に引き戻した。
「こういう手合いは早く捕まえてほしいものですね」
「捜査ねえ。してないよな?」
助手席にすわった相棒にぼくは同意をもとめた。
「管轄外だからな」
極めて屈折した相棒の返答を、ぼくは様式美としてたしなめた。
「警察には協力しようよ。自分だってそうなんだからさ」
531:名無し物書き@推敲中?
08/05/27 21:51:18
お題忘れてるよ!
532:名無し物書き@推敲中?
08/05/27 23:58:18
お題がない時は継続
533:霧 帰郷 始まり
08/05/30 05:48:37
私は今、暗いトンネルを白のワゴンに乗って走っていた。
十数年ぶりの帰郷にも関わらず私の心中は穏やかなものでは無かった。ステアリングを握る手にも力が入り、ついついアクセルを踏み込んでしまう。
先々週の事だった。大学を卒業して以来プライベートの時間まで削り尽くしてきた会社から突然転勤を命じられた。もちろんそれが良い意味では無いことなど容易に理解できた。同僚等の間で「島流し」と称されたこの辞令を、私は冷静を装いながら受け止めた。
そんな最高に格好が悪い帰郷なのだが、楽しみな所もあった。小学生の転校以来あの土地を踏んでいない私にとって、きっかけはどうあれ帰郷する理由が出来たのが唯一の救いだった。
そんなやるせなさと楽しみが混ざり合い霧が掛った様にスッキリしない気持ちのまま、転勤先の事務所に到着した。一応本社の人間だったということで私の役職は所長。所長といっても私を含め全社員五人という子会社で、まさに「島流し」の名がふさわしい。
舗装されていない駐車場に車を停め、バックミラーで髪型を整える。そして助手席に掛けてあった背広を羽織ると私は車から降りた。
続く
534:名無し物書き@推敲中?
08/05/30 12:25:04
即興文のつづきをいつまで待てばいいですか?
535:名無し物書き@推敲中?
08/05/30 12:27:45
失礼。どちらかというとお題のほうを、いつまで待てばいいですか?
536:名無し物書き@推敲中?
08/05/30 12:57:35
次は「霧」「帰郷」「始まり」でヨロシク
537:オッケーまかしといて 霧 帰郷 始まり
08/05/30 17:57:37
深く立ちこめた霧があたり一面を覆い尽くしていた。
帰郷したいのだが、方角もわからない。
こうなったら最後の手段だと考えて、ぼくは強い決意とともに手を挙げた。
「ヘイ、タクシー」
開かれたドアの奥にぼくは体をすべりこませた。
ひとつの局面が打開され、新たな局面の始まりへと変じたのだ。
ぼくはおごそかに宣言した。
「とりあえず次の信号までまっすぐ」
538:名無し物書き@推敲中?
08/05/30 23:01:45
>>553-554
ここに書くのも本当はナンセンスなんだけど、>>1にルール的な物が書いてあるんで参考にどうぞ。
>5: お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。
お題が書いていない場合は、同じお題で書けば良いということ。
書いている間に被ったらどうしようなんて心配はしなくても良い。
もし少しの差で先に投稿されても、出したければ載せてお題だけ前の人のを尊重すれば良いだけだから。
気楽に楽しくいきましょ。
スレリンク(bun板)l50
スレリンク(bun板)l50
ここらで雑談と感想書いてるから参加してみたら。
で、最後にお題がないんで次も
「霧」 「帰郷」 「始まり」 ってことで。
539:名無し物書き@推敲中?
08/05/31 15:13:36
墓を、持ってきた雑巾で磨いてやる。そしてたばこを線香代わりにして、最後に手を合わせた。
もう俺は両親と同じこの墓に入ることもないだろうが、別にもうそんなのは意味がないことだし、どうでも良かった。
ご先祖様、今までありがとうございました、とでも感謝すればいいのだろうか。楽に死ねますように。
そこから盗んだ自転車で五分ほど、やがて目的地に着いた。俺が帰郷したのはこれが目的だ。自殺の名所。
有名な場所なので写真も多い。
崖が垂直に切り立っており、さらに引き潮の時には、その下に鋭く盛り上がった岩場が姿を現す。身を投げれば、まず確実だ。
そして満潮になれば潮の流れがどこかへと運んでくれるというわけだ。しかも海流の関係で、一度流れ出せばもう日本には戻ってこない。
試しに例の自転車を落としてみると、ずっと小さな粒みたいになって落ちていった。冷や汗が出てきたので、腕で額を拭う。
あ、しまった。と思ったがもう遅い。眼鏡も落としてしまった。どうなったかは分からない。俺は目が悪いんだ。
最後に一服することにした。
頭の中を安っぽい煙で満たす。俺の不幸の始まりはいつからだろう。小学生の頃だろうか。いじめられっ子たちに目を付けられたのはそれくらいだ。
無理矢理運動会のリレーに出場させられ、それまでトップだったのに周回遅れにされて、クラス中のみんなから責められたりした。
勉強もからっきしだったし、テレビゲームですらド下手で、誰も仲間に入れてくれなかった。
そのうち、気づけば大人になっていて、もう借金で首が回らなくてパーだ。もうどうすればいいのか分からない。
そうするうち、霧が出ているのに気がついた。どんどんと濃くなってゆき、すぐに手の届く範囲くらいしか分からなくなる。
どちらへ行けば良いんだ? もうどうでもいいや。いずれ、崖の方向へ歩けば大丈夫さ。
闇雲にとにかく歩いていると派手に転んでしまった。頬に濡れた雑草が触れる。土の匂いがした。
と、大丈夫ですか、と声をかけてくる人がいた。いつの間にか霧が晴れていた。振りかえると中学生くらいの男の子が立っていて、俺の眼鏡をさしだしていた。
あなたのですか、と言う。ありがとう。俺は恥ずかしくなって引ったくるようにして眼鏡を掴んだ。
我ながら大人げないかと考え、もう一度、ありがとうと言っておく。俺は死ぬのをやめた。
540:名無し物書き@推敲中?
08/05/31 15:14:44
↑「霧」「帰郷」「始まり」
↓「笛」「ねこ」「扇風機」
でお願いします。お題の指定を忘れてました、すみません。
541:名無し物書き@推敲中?
08/05/31 18:43:00
ひきつづき
現スレ>>532
そのスカウター旧式ですよ
>>500 可
会話文中の含蓄に対して、行動が端的なせいか、構成が甘口。
あと、愚直の使い方がちょっと気になり。
>>499 拙作
最終段落の陳腐さは拭えず。
華厳の滝は栃木日光にあります。
>>498 良
オチが一つだけに絞られていない点が好。
ワード消化の甘さを補って余りある良。
>>537から振り返る中では、最好。
>>497 可
状況詳細を、前知識として把握していれば面白いのか。どうか。
文章として成立してるだけに、判断ムズカシ。
>>496 可
たしか絶対零度モジった演奏で、無音の音楽。4分33秒。
パス意図を汲んで(たぶん)構成した点はgj。オチ受けも良。
>>495 不可
絶妙に洒脱なトークがますます冴え渡りたい。
>>494 良
小説の神が、ふんだんに宿ってある文章は良いです。
細部が好。この分量で良くぞ、のラストシーンgj。
542:名無し物書き@推敲中?
08/05/31 18:43:44
>>541
スレ違った。申し訳ない。
スルーしてください
543:名無し物書き@推敲中?
08/05/31 18:56:04
「野球」「美少女」「ちくわ大明神」
これでヨロシク
544:ベデンド・ホベイザ ◆fr6CRV8lSs
08/05/31 19:30:01
笛 猫 扇風機だよ。
猫が扇風機に顔を向けている。風の勢いに目を細め、耳を後ろに折っている。後ろ足をたたみ腰を下ろし、前足をぴんと伸ばし、首も伸ばし、扇風機に届くよう顔をできるだけ高く持ち上げている。
「どうした。そんなに気持ちいいのか」
傍らにあぐらをかいて座りながらそう訊くと、口を細くあけてミャーと答えた。音がかすかにふるえてビャービャーと聞こえる。前足の下から腕をいれて抱え上げ、あぐらの上に抱こうとすると、するするとすり抜けて扇風機の前に戻ってしまう。
「俺より扇風機のほうがいいのか」
顔を近づけて横からのぞき込むと瞬きをして耳をくるっと振った。
「あっちいけ、ってのかよ。ったく」
ご主人様をないがしろにしてはばからない。良い根性している。
「俺もそんなふうにできたらなぁ」
背中をなでながら独りごちた。
奥の部屋からピーとホイッスルが鳴った。ビクリとする。
「ほら、おれのお姫様のお呼びだよ。休憩終わり」
立ち上がって伸びをした。うーんと唸ってベッドルームに向かった。
「よっしゃ。もう一発行ってみよう!」
気合いを入れ直す土曜の夜。
子作りも大変だよ。
「野球」「美少女」「ちくわ大明神」
545:名無し物書き@推敲中?
08/05/31 21:53:07
野球部マネージャーの風子は、県予選開始前の失言を後悔していた。
もしこのチームが甲子園で優勝したら、宿泊所の男場に一緒に入って、
部員どものちくわの中からちくわ大明神を選ぶ、と宣言してしまったのだ。
いつもなら地区予選3回戦敗退がいいところなのに、俄然やる気を出した
野球部員たちは、あろうことか、夏の甲子園大会決勝まで進出してしまったのである。
試合は九回ウラを一点リードで迎えていた。ピッチャーの谷崎はMax120キロと
スピードこそショボいものの、ここまで神懸かり的なコントロールで防御率0.3を実現していた。
勝利の気配に興奮した男子部員たちが、風子の体をチラチラと横目で見ていた。
なにしろ、野球部開闢以来の美少女マネージャーといわれた風子である。それが、今夜……、
てなわけで、アルプスの麓はいつしかジャングルの熱気に包まれていたのである。
風子は焦った。このままでは勝ってしまう。勝てばみんなのオモチャになってしまう。
どうすれば、どうすれば……。
そのとき、風子の頭に閃くものがあった。彼女はベンチを出ると、ピッチャーの谷崎に
向かっていきなり大声で叫んだのだ。
「谷崎くん、先に言っておくわ、ちくわ大明神は、あなたよ!」
谷崎を除き、チームの全員が凍り付いた。監督は何事かと驚いたが、踵を返して
ベンチに戻った風子の凜とした姿を見て、何も言えなくなってしまった。
そして谷崎は急に大暴投を繰り返し、試合は逆転負けとなったのである。
翌日、満を持して告白しにきた谷崎を、風子は容赦なく振った。
こうして彼女の貞操は守られ、弱小チームは金星を逃し、少年たちの夢は潰えたのだ。
チンと汗と涙はがいかに固くなるかは、すべて女次第なのである……。
次「サッカー」「浴衣の娘」「飛行船」
546:名無し物書き@推敲中?
08/06/01 00:59:56
>>545
うまいプロだな、次は素人の俺様が書いてやるw
547:名無し物書き@推敲中?
08/06/01 02:57:50
「お父さんシリトリしょう」
七歳になったばかりの娘が言い出した。
「しりとりのり」
「りさ」
「サッカー」
「カ?ア?」
「カでいいよ」
「かみさま」
「まゆ」
「浴衣の娘」
「お父さん『の』は、反則だよ他のにして」
「じゃあ 夕日」
「飛行船」
「ん!?」
「終っちゃった・・・」
次 「バイブ」 「美少女」 「竿」
548:名無し物書き@推敲中?
08/06/01 11:55:08
「お父さんが釣って。竿、一本しかないから」
歩美が言った。海釣りに来た太平洋で嵐に遭い、無人島に流れ着いて
はや2ヶ月。妻と船長は行方不明、生き残ったのは俺と娘の二人だけだった。
ぼろぼろになったシャツから溢れる歩美の肌は褐色に焼けて、若い体の
なめらかな曲線は、15の子供だとばかり思っていた歩美の「女」を、ことさら
際だたせていた。
「お父さん? 聞いてる?」
我に返る。いけない、俺はこの娘の父親だ。いくらこの子が妻の連れ子だった
からといって、劣情に負けるわけにはいかないのだ。この子を連れて日本に
帰るために、俺は自らのサバイブ能力をフルに使って、ここの生活を組み立てていた。
釣った魚を焼いて食べるともう夜だ。日が落ちると最近は少し冷えるようになった。
そしてこの夜、予期しなかったことが起こったのである。
「お父さん、そっちいっていい。ちょっと寒いの」「ん……いいよ」
暗闇の中で、歩美が肌を寄せてきたのだ。
「あたしね……お母さんが再婚するって言ったとき、反対したの。でも、いまはお母さんの
気持ち、よくわかる」「ん……んん」
「お母さんがいなくなって、あたしたち、どういう関係なのかな」
「家族……だよ」「家族?」「ああ」「どういう?」「親子さ」「それだけ?」「え?」
「違う形の家族があっても、いいんじゃないかな」「……」
歩美の裸体が月光に眩しかった。俺は、この夜、この美少女を……抱いた……。
「タブーなんてない。ここじゃ社会のルールなんて無意味よ。二人の人間が
いるだけ……愛して、康二さん……ああ、ああ!」
ピピピ ピピピピ。俺は暗闇の中で目を覚ました。そうだ。今日は部長と海釣りに行く日だ。
港に着くと、チャーター船で部長と船長が待っていた。天気予報では少し時化るとの
ことだったが、そのほうが釣果はいいものらしい。部長は笑っていった。
「山下君。ずっと前から、君と一緒に遊びたいと思ってたんだよ。ふふふ……」
翌日、俺と部長は無人島に流れ着いた……。
次「竹藪」「秋の空」「ミッドナイト・エクスプレス」
549:名無し物書き@推敲中?
08/06/01 14:11:30
>>548
釣れた!ギザワロス
釣り用語 バイブ=バイブレーションルアーの略
550:名無し物書き@推敲中?
08/06/01 18:11:32
世の中には釣り用語と一般用語しかないのかよw
vibroseisとか仕事で使うが、この手の用語はいくらでもあるぞw
551:感想NG 1
08/06/01 21:36:32
竹藪ごしに仰いだ秋の空は、次第にまぶしさと青みとを減じていった。
琥珀を溶かしこんだような夕陽の色に包まれながら、
ぼくは痛みにも似た寝心地の悪さを認識してはいた。
三輪車なみの速度で上空を移動する飛行船に、
散漫になりがちな意識の焦点がときおりあう。
それが広告用の小型機だとぼくはマスメディアを通じてあらかじめ知っていた。
うちわを手に、笑顔をふりまく浴衣の娘たちが、その両側面にプリントされている。
なんらかの選考基準で、美少女たちと飛行船とを起用した花火大会の広告だった。
きょう、ぼくが起床したのは、新聞配達員が最初の朝刊を配り始める時刻だった。
目覚めと同時に毛布を跳ね上げたそのさまは、
バイブスも満タンと評するにふさわしかっただろう。
身支度もほどほどに向かった先は駅前のバス・ターミナルであり、
ミッドナイト・エクスプレスで帰ってくるはずの恋人を迎えるためだった。
幾度となく竿立ちをくりかえす野生馬の境地かどうかはともかく、ぼくは待った。
つづく
552:感想NG 2
08/06/01 21:38:09
つづき
しかし、終点であるはずのそのターミナルに、バスは姿を見せなかった。
代わりに現れたのはバス会社の職員であり、彼によって、
ぼくは夜行便の一台が事故を起こしたと知らされた。
やむをえない事情で彼女がその便に乗り遅れたことをぼくは願った。
しかし、まちがいなく彼女は乗車しており、その乗車券が天国への片道切符となった。
笹の葉のこすれあう乾いた音の下で、ぼくは何度目かの寝返りをうった。
サッカーに興じる児童たちの声が、道一本を隔てた公園から、いやに強い存在感をまとって聞こえた。
星々のまたたきを透かす闇の色は、いまだ地上のすべてを覆い隠そうとするそぶりを見せない。
553:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 12:46:35
で、お題は?w
554:お題「竹藪」「秋の空」「ミッドナイト・エクスプレス」
08/06/02 20:07:01
人生。俺の人生。自由度は低い。難易度も、それなりに。
定期的に故郷へ帰る。クニへ帰る。難易度のボトムへ帰る。
ボトム。底に原点がある。底に。
そこから見上げたトップには、自由が幾らでも転がっているように見えた。
トップ。それは空で良いのだろうか。
ミッドナイト・エクスプレス。映画の題名。
そして、夜行列車の総称。鈍行もエクスプレスと呼称される。
つまり、愛称。北斗星、トワイライト、カシオペア、ムーンライトetcetc。
一つだけ拾い上げるなら、トワイライトのワードを拾い上げる。
日の出、日没後の薄明かり。夜が完全ではないことを示す、単語。
俺の故郷。俺の記憶。
故郷には、少年時代が埋まっている。発掘する作業は退屈で死ねる。
少年時代。そこには全てがあって、何もかもなかった。
それでも切ないのは、決定的な時間の差異が、未だ眠っている気がするから?
竹薮。気候条件に適している。
だから、僅かな時間の差異で、すぐさま林になる。森になる。
それでも藪と呼ぶ。適切な距離を保つ様が、日本人の気性を体現している。根は深い。深い場所に根がある。
時間の問題ではなく、記憶も、情緒も、何もかもが深い。
故郷の竹薮に分け入る。革靴で、乾燥した土を踏む。
秋の空のように、深い場所で未だ眠っているボトムを見つけようとする。
次第に西の底へと落ちていく太陽は、光量を減じ、もはや手元さえ危うくなってくる暗闇の中で、何の気はなしに空を見上げた。
物語の主人公になってしまったような気分で、自由なら、空に幾らでも転がっている、と、確信していた頃の自分をなぞる様に、見上げた空は。
変わってしまったのかどうか、一切分からない。
退屈はつづく。
555:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 20:08:14
次は「アラビア」「夜」「種族」でヨロシクー
556:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 20:15:24
アラビアの夜はどの種族にとっても納涼こそ最上の贅沢である
次のお題は、校門、汗、腕時計
557:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 20:39:41
春なのに朝の風はまだ冷たい、今年中学の新1年になった加奈子はしょっぱ
なから遅刻しそうになって必死で走った校門をくぐって腕時計をみた8時19
分、ギリギリセーフだった。気温は低いのに汗だくだった。必死で走ったのだ
から当然だ。
「加奈子じゃないか?なにやってんだ?」
「先生、セーフでしょ?」
「つかお前何しに来たの?」
「あ。。。。」
加奈子は間違って卒業した小学校に来たことに気が付いた。
次のお題 「角」 「気持ちいい」 「18才」
558:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 20:44:22
角を曲がると気持ちいい風が感じられた。18才になって最初の朝だった。
次のお題は、麒麟、エベレスト、虹
559:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 20:56:52
角を曲がるとさーっと気持ちいい風が吹いた。
ふと足を止めて小学校を見上げる。
―ふふ。そう言えばそんなこともあったっけ。
昔の失敗を懐かしく思い出し微笑む。
彼女は横髪を大人びた仕草で整えると歩き出した。
靴下の柄が左右で違っていることには気づいていない。
加奈子18才の春であった。
次は「茶碗」「排水溝」「グレーチング」
560:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 20:58:06
>>558
エベレストに登ると
虹の向こうに
麒麟が
見える
そうだよ。
561:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 22:46:03
>>559
558は無効?
>>560
お題無いなら俺の書いたの乗せるぞ
562:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 22:50:58
なぜわざわざ>>559に訊くのでしょう?
テンプレ>>1をよく読みましょう。
理解できないのなら参加を見送りましょう。
563:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 22:51:50
中国の金持ち、周は街の路地裏で占い師に声をかけられた。
「夢にとおりになさい、さすれば必ず良いことがある」
その夜不思議な夢をみた、麒麟にまたがって虹の橋をの上を駆ける夢だった。
中国では麒麟は演技の良い動物だ、これは吉兆と思い思い切った株投資をしてみた。
周の買った株はエベレストを登っていくかのごとく上がりつづけた。
周は気を良くしてその株を全財産を使って買い増した。
周は娘を大学に行かせる資金として貯めていたお金までつぎ込んだ
このお金は周がまだ貧乏だったころに必死で働いて貯めたものだった。
さすがに注文ボタンを押すときには迷った、しかし周の財産の全額と比べたら少ないお金
だったので結局使ってしまった。
一月後、その株の株価は3倍にもなっていた。周はそろそろ売り時だと思っていた。
周は別の投資先を見つけ翌日にはそちらに乗り換える予定だった。
翌日、株式市場が開く前に大変なニュースが飛び込んできた。
周の買った株の会社に粉飾決算が発覚したのだった。株価は連日ストップ安。
結局会社はそのまま上場廃止で周に戻ってきたお金はほとんど無かった。
周は占い師の事を思い出した。
「あの占い師め謝罪と賠償をさせてやるあるね」
周は占い師を探しに街に出かけた。
つづく
564:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 22:56:47
次は「茶碗」「排水溝」「グレーチング」
565:561
08/06/02 22:57:35
>>562
見落としました 投稿中止、出直します。
566:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 23:26:42
確かこの路地を抜けて次の路地を曲がって・・・
路地で迷った周は思わぬ光景出くわした、周の娘が街のチンピラに絡まれ今にも連れ去ら
れそうになっている、週は昔とったキネヅカの太極拳の必殺奥義をを繰り出してチンピラ
をぶっ飛ばした、チンピラは排水溝に落っこちた。
チンピラが溝のグレーチングを外して襲い掛かって来た。周は娘をかばってグレーチング
を背中で受け止めた。周は体勢を立て直すとまわし蹴りをチンピラの腹に決めチンピラを
撃退し、娘を連れて無事に帰った。
周の娘は3日前に家出をしていたのだが、株のことで頭がいっぱいで娘が居なくなっていた
ことすら気づかなかったのだ、そして周は気が付いた3日前どころかここ数年娘にほとんど
かまってやって無かったことを。周は目からうろこが落ちた。
「俺は何をやっていたのかあるよ。。。」
周は元々娘の幸せのために良い学校に行かせて、エリートと結婚させてやるのが夢だった。
そのために必死ではたらいて金を貯めてそれを元手に事業を起こし投資をし金を増やしま
くっていったのだった。しかし金を稼ぐことばかりに没頭し、娘を構ってやらなかった事を
後悔した。
つづく
567:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 23:28:15
つづくとかアホか!
テンプレ読めアホ!
568:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 23:32:58
1年後、周は最後に手元に残った小さな餃子店を営んでいた、娘も店をずっと手伝っていた。
金持ちだったときより遥かに幸せに思えた。ただ一つ気がかりなのは娘を北京の一流大学に
行かせる資金はたまりそうに無かった。
「俺が不甲斐ないばっかりに苦労をかけてすまないあるよ」
「お父さんそれは言わない約束よ」
娘は茶碗を洗いながら笑顔でそういった。
そのとき電話が鳴った。
「へい、餃子の来々件あるよ」
「○X証券の珍ですが周さんが1年以上放置している株券の件について」
「株券って証券コード8033の株券の事あるか、あの会社はもう上場廃止あるよ・・」
「いえ、8031のことです株価が800倍になっております」
「え?」
「いやあ周さん先見の明がありましたね、当時上場直後で会社の規模も小さく不人気な銘柄
だったのですがアラブで井戸を掘っていて油田を掘り当てたらしく暴騰しましてね」
自分が買ったわけでもないのに証券会社の人は興奮して喋り捲っていたが周には心当たりが
無かった。
だが株は確かに買っていた1年前に娘のために貯めておいたお金で注文した時8033と入力す
るところを誤って8031と入力して注文したのだった。
誤発注でも注文は成立しているので周はまた大金持ちになった。めでたしめでたし。
15行を遥かにオーバーしたので 次の御代も「茶碗」「排水溝」「グレーチング」
569:名無し物書き@推敲中?
08/06/02 23:37:56
>>567
感想雑談は感想スレへ
570:茶碗 排水溝 グレーチング
08/06/03 07:37:41
疲労という名のバーベルをダース単位で抱えこんでいるような感覚は消えない。
しかし、フルマラソンを走り終えた時の達成感に似た感覚もはっきりと覚えていた。
ついにここまでたどり着いたのだ。世界中を駆けずり回った挙げ句、目的のものはご町内にあった。
しかも中学時代の通学路にである。灯台もと暗しもいいところだが、
過去よりは未来を、悔恨よりは希望を見据えるべきだろう。
いままさに、ぼくの目前には伝説の泉があった。それはごくありふれた排水溝の、
ごくありふれた集水漕のかたちをしており、グレーチングと呼ばれる蓋も、
格子の粗いごくありふれたものだった。じつにみごとなカモフラージュだった。
ぼくは気合いのうめきとともにグレーチングをはずした。
ふるえる手に伝説の茶碗をつかんで、屈みこむとヘドロの臭いがした。
飼い主と連れだった愛玩犬の爪がアスファルトの路面をうつリズミカルな音が、
あまりの臭気にたじろいだぼくの脇を通り過ぎていった。
なにげなく音の向かった先をふりかえってみると、
麦茶色の排泄物が、電柱の根元へときれいな放物線を描きはじめたところだった。
571:名無し物書き@推敲中?
08/06/03 14:36:04
2レス以上になるなら全部書いてから間を置かずに投稿して欲しい。
次のお題が出るのか前のお題で継続していいのか判断しづらくて困る。
感想スレか裏に書こうか迷ったけど、あっちを見てない可能性もあるのでこっちに書きます。
572:お題「茶碗」「排水溝」「グレーチング」
08/06/04 17:42:48
武田勝頼の騎馬隊をフルボッコにした、織田信長の策を覚えておられるだろうか。長篠の、アレね。アレ。
鉄砲三段詰めって言うの? いや、それはどうでも良いんだけど。
俺が想像しているのは、この側溝に填まってるグレーチングが、あの作戦で使用されていた、馬防柵に似ているってコトで。
どうにか利用できないもんかな。オトヤ君。
正面対決? 用意できる火器に、向いてないよ。
ラップトップガンなんか、恐ろしく銃口跳ねまくるから。
すぐに死ねるね。暴発して死んじゃうかもしんないし。
それに、射程距離が全然不足してるよ。マカロフ一丁で、装甲車と対等に渡り合えるほど頑健なら、話は別だけど。
グラスホッパーズ。グラスホッパー。飛蝗。命名俺のチーム名。
構成員は十代の前半ばっかりで、そうだな、成長過程の肉体は、飛蝗の脚部の付け根ほどに脆いと思われる。
だろうね。グレーチング。グレーチング。側溝。側溝。
うーん、みんな嫌がるだろうけど、排水溝を使う手もあるよ。
汚水塗れになっても、戦意が萎えない前提の話。三丁目の犬飼さん家から、上級生が根城にしてる工場まで一直線。
犬飼。犬飼ね。茶碗爺の犬飼ね!
業突く張りの金の亡者。にして、幼児性愛者。虐待癖もオマケにつけてやる。でもね、オトヤ君。
そんなクソのクソにまみれて、クソどもをブッ殺しにいくなんて詩的じゃない? 因果、ここに極まれり。韻が、ここに踏まれまくり。
グラスホッパー。ホッパーズ。飛翔する者。
銃弾のホップが、距離を稼げないのなら、この足で稼ぐ。
遥かな距離を一瞬にして稼ぎ出す、グラスホッパーなこの足で。
緻密な筋肉の、柔軟性に富んだ躍動が。誇りを糧にして汚泥にまみれる精神の燃焼が、それを逆説的に証明するだろう。
だからオトヤ君、思うんだ。
誰の手によって犠牲の対価が支払われるべきか? それは、名付け親の、俺以外にないんじゃなかって。
次のお題は「アルタ前」「ギフト」「紅茶パーティー」でヨロシク
573:名無し物書き@推敲中?
08/06/07 08:36:20
裏は見ていない人間も多いと思うのでこちらで。
>>556とか>>558とか>>560とか、荒らしと変わらんカキコは無視って以前住人で取り決めた気が。
あと最近変なお題を出す人間も増えたね。
自己満足なだけの奇を衒ったお題はしらけるだけなので自粛して欲しい。
574:「アルタ前」「ギフト」「紅茶パーティー」
08/06/07 18:50:53
「紅茶パーティーいかがですか?」
中国人らしき男が話しかけてきた。まただ。最近、流行っている。
真偽の程は分からないが、ネット上のアングラな掲示板では麻薬パーティーだとか、乱交パーディーだとか、はたまた新興宗教だとか噂されている。
「では案内しますよ。」
僕はいつの間にか中国人と一緒にアルタ前へと移動していて、しかも車に乗り込むところだった。
車内ではすぐアイマスクをかけられた。位置を隠すためか、やたらと何度も曲がり角を曲がる。
僕は何とか特定してやろうと思ったが、カーブが二十回を超えたところで諦めた。
ただ覚えているのは案外と優しい運転だったということだけで、次に視界が明るくなったのは、どこかマンションの玄関だった。
奥から女の人が出てきた。ようこそ、と微笑みかけてくる。いつの間にか中国人はいなくなっていた。
「私はアリスです。今日のテーブルをさせてもらいます。」
そうですか、ここは何処なんですか。森ビルですよ。森ビル、本当ですか。いいえ、でも森ビルで良いでしょう、場所なんて関係ないから。
そうして僕は奥へと通された。どこからか甘い香りがする。家族が紅茶好きの僕には、慣れた香りだ。
アリスさんがどこからかポットを持ち出し、丸いテーブルに置く。
「どうぞ腰掛けて。今日は紅茶を飲みに来たんでしょう。」
「はい。」でも、僕は紅茶を飲みに来たのだろうか。
「いいわよ、じゃあ私たちはお友達ね。」
いいわよ、というその発音にわざとらしさを感じて、こいつは元・男なんじゃないかと思った。
アリスさんはカップに紅茶をなみなみとついだ。ポットからは際限なく紅茶が出てくる。バケツほどの大きさのカップだった。
「ではどうぞ。おいしいわよ。」
ええわかります。じゃあ全部飲みましょうね。いやです。いえ、全部飲んで下さいね。はい。
僕は何とかバケツカップを全て飲み干し、また際限なく注がれてゆく紅茶の水面にオシャレなランプが映り込んでいるのを眺めていた。
はい、次をどうぞ。はい、気品のある味と香りで、とてもおいしいです。
アリスさんは僕の友達だ。僕はまたなんとか飲み干した。
アリスさんの椅子の後ろに、洗濯機が置かれているのに気がついた。紅茶の香りがする。
「焼き肉」「言葉」「魔法」
575:574「アルタ前」「ギフト」「紅茶パーティー」改
08/06/07 18:53:37
すみません、「ギフト」が抜けていました。
「紅茶パーティーいかがですか?」
中国人らしき男が話しかけてきた。まただ。最近、流行っている。
真偽の程は分からないが、ネット上のアングラな掲示板では麻薬パーティーだとか、乱交パーディーだとか、はたまた新興宗教だとか噂されている。
「では案内しますよ。」
僕はいつの間にか中国人と一緒にアルタ前へと移動していて、しかも車に乗り込むところだった。
車内ではすぐアイマスクをかけられた。位置を隠すためか、やたらと何度も曲がり角を曲がる。
僕は何とか特定してやろうと思ったが、カーブが二十回を超えたところで諦めた。
ただ覚えているのは案外と優しい運転だったということだけで、次に視界が明るくなったのは、どこかマンションの玄関だった。
奥から女の人が出てきた。ようこそ、と微笑みかけてくる。いつの間にか中国人はいなくなっていた。
「私はアリスです。今日のテーブルをさせてもらいます。」
そうですか、ここは何処なんですか。森ビルですよ。森ビル、本当ですか。いいえ、でも森ビルで良いでしょう、場所なんて関係ないから。
そうして僕は奥へと通された。どこからか甘い香りがする。家族が紅茶好きの僕には、慣れた香りだ。
アリスさんがどこからかポットを持ち出し、丸いテーブルに置く。
「どうぞ腰掛けて。今日は紅茶を飲みに来たんでしょう。」
「はい。」でも、僕は紅茶を飲みに来たのだろうか。
「いいわよ、じゃあ私たちはお友達ね。」
いいわよ、というその発音にわざとらしさを感じて、こいつは元・男なんじゃないかと思った。
アリスさんはカップに紅茶をなみなみとついだ。ポットからは際限なく紅茶が出てくる。バケツほどの大きさのカップだった。
「ではどうぞ。おいしいわよ。」
ええわかります。じゃあ全部飲みましょうね。いやです。いえ、全部飲んで下さいね。はい。
僕は何とかバケツカップを全て飲み干し、また際限なく注がれてゆく紅茶の水面にオシャレなランプが映り込んでいるのを眺めていた。
はい、次をどうぞ。はい、気品のある味と香りで、とてもおいしいです。
アリスさんは僕の友達だ。僕はまたなんとか、彼女のギフトを飲み干した。
アリスさんの椅子の後ろに、洗濯機が置かれているのに気がついた。紅茶の香りがする。
576:名無し物書き@推敲中?
08/06/07 20:53:04
オフィス時計は午後10時を回っていた、目の前に書類が山と詰まれているディスクを見やりながら >>1 はつぶやいた
「魔法でも使ええればぱぱっと片付くのに」
>>1 は疲れていた、仕事にも、人生にも、ちまたでは硫化水素で自殺なんぞ物騒なものが流行っているが >>1 は死ぬ度胸もない。
とりあえず今日仕上げて置かないといけない書類だけは仕上げ終た。>>1 は急ぎではない自分の担当する見積もり書の類を明日に回すことにした。
「おう、西村ずいぶん遅くまでがんばったな、久しぶりに焼肉でも食いに行かないか?おごってやるらさ」
そう声を掛けてきたのは面倒見の良い課長だった。 >>1 は胃腸のほうも疲れていたのだが、久々の禿下田課長の誘いを断りきれなかった。
入社した頃から禿下田課長は >>1 の直属の上司だった。>>1 が入社したころは酒を飲めない >>1 によく焼き肉をおごってくれた。
>>1 は久しぶりに課長と焼き肉をつつきながら下らない世間話をしていた。そこへ別の客が課長のほうに近寄って来て言った。
「お?禿下田じゃないか?久しぶり、そちらの方は?」
>>1 とその客はお互いに自己紹介をした、どうやら禿下田課長の大学時代の同級生らしい、そのまま三人で同じテーブルを囲むことになった。
課長の同級生は気前良く課長と >>1 にビールを大ジョッキでおごってくれた。ほとんど飲めない >>1 も今日は3杯も飲まされた。
「イオナズン!!!」 なぜか課長の同級生が魔法を唱え出した、やけ具合の悪かった骨付きカルビが程よく焼ける。
「パルプンテ!」課長まで魔法を使い始めた。しばらく魔法の応酬が続いた跡にボインの萌え萌えメイドが目の前に現れ会計を求めてきた。
つづく
577:名無し物書き@推敲中?
08/06/07 21:20:17
良く見ると萌え萌えのメイドではなく焼き肉屋のおばちゃんだった。そう>>1はむちゃくちゃ危ない酔いかたをしていたのだ。
課長ら2人も完全に酔いつぶれて寝ていた、>>1 は三人分の支払いをしてタクシーを手配し、自分もタクシーで家路についた。
財布はスッカラカンになった、もうサラリーマンなんていやだ。。。
>>1 は自分のマンションにたどりついた、もう午後2時を過ぎているというのに「おかえりあなた」と嫁が迎えてくれた。>>1 疲れも酔いもこの嫁
の魔法の言葉で消し飛んだ。>>1 は嫁を抱きかかえてベットに向かった、そう、その紐を引っ張ると喋る1/1涼宮ハルピンのフィギアを。。。
578:576-577
08/06/07 21:34:42
次のお題は前のを継承
「焼き肉」「言葉」「魔法」
579:名無し物書き@推敲中?
08/06/07 22:13:23
>>576-577
だから「つづく」とかじゃなく、全部書いてから一気に投稿してくれー
580:576-577
08/06/07 23:09:07
>>579
すみません、18行だから入ると思って書いたのですが、入りきらず切り取った部分がなぜか消えてしまい書き直しました。
581:名無し物書き@推敲中?
08/06/07 23:53:17
行数ではなくデータ量で切られたんじゃないかな。
582:名無し物書き@推敲中?
08/06/08 00:34:50
「焼き肉」「言葉」「魔法」
便利っていいよね。苦労しないしね。
『狭いマンションで呟いている』
魔法みたい。移動は早いし、店は多いし。
でも都会って人多いよね。しかも増えてるよね。
『壁を挟んで左右にも上下にも人がいる』
人がどんどん狭い場所に集まって、気分的に暑いよね。
『常に何かしらの音がしている』
暑い、焼き肉にされそうだよ。
『呟く言葉を聞く者はいない』
次:カレーライス スコール 瑞々しい
583:名無し物書き@推敲中?
08/06/08 14:51:04
「カレーライス」「スコール」「瑞々しい」
今、僕は出張でタイに来ている。
タイは四月でもうすごく暑い。
日本とは大違いだ。
だって日本で四月といったらスキーも出来る時期だろう?
当地ではいつも屋台で朝飯を食べている。
ホテルで食べることも可能なのだけど、
出来れば現地の人がしている生活を体験してみたくてね。
今日はタイカレー(これはタイのカレーライスだ。とても辛い)を食べたんだけどその途中でスコールが来た。
スコールは雨期のこの時期、毎日のように来る。
ざっと降り、一時間ほどで止む。
そのあとすっと涼しくなる。
現地の人たちは傘を持ち歩かないから濡れても平気で歩いている。
僕も、と思うけどさすがにこれは真似できない。
仕事があるからね。濡れたまんまで行ったら困るだろう?
スコールの降ったあとには、花売りの売る瑞々しく咲いているジャスミンの花に雨粒が光っている。
とてもきれいだ。
君にも見せたいよ。
次→「冷蔵庫」「お肉」「野菜」
584:名無し物書き@推敲中?
08/06/08 16:14:25
「最近、どの野菜も高くてこまるよ」と彼女が言った。
「まるでお肉は安いみたいな言い方だね」とぼくは言った。
「いま、グラムいくら?」と彼女が訊いた。
「お野菜よりは高いよ」とぼくは答えた。
「冷蔵庫にこんなに入りきらないね」と彼女が言った。
585:lieb ◆SShzdr.d1I
08/06/08 18:04:26
「冷蔵庫」「お肉」「野菜」
僕は冷蔵庫を開けた。冷えてしなびた野菜と赤みの失せたお肉がある。
この部屋は完全に包囲されているようだ。
屋外からメガホンの叫び声が投げかけられる。投降しろ、と。
―僕は人を傷つけた。このピストルで。
渋谷でこれを売買しようとしていた人をたまたま見かけて奪った。
消火器で殴ったら、2人ともぐったりとしてしまった。
そのピストルで銀行に押し入って適当に撃った。
窓の外には青い空がただ、ある。
メガホンを持った男(警部かなにかだろう)は、なにやら部下に指示している。
僕は冷蔵庫から野菜と肉を出して頬張った。銃口をくわえる。肉は鮮やかさを取り戻し、野菜は瑞々しくなるだろう。そうなるだろう。
メガホンの機械的な怒号が響く。お前のしたいふうにはさせないぞ、と。
そりゃ残念だ。僕は引き金を引いた。burn。
次題は「双生児」「マヨネーズ」「肌理」