07/08/23 21:40:32
英会話学校がはけて、高志は駅へ歩を向けた。閑散とした駅で人は少なくガランとしている。
電車がもうすぐ来るが、ふと尿意に見舞われた。
「パッと行ってパッと帰ってくりゃ大事だべ」
トイレに入りかけ、しかし、立ち止まり、静かに引き返し始めた。
見てしまったのだ。トイレの中で二人の同級生にいじめられる満田君の姿を。助けるべきか?
いや、それは賢明では無い。そりゃ満田君とは同じ学校だけど、そんなに親しくもない。わざ
わざ助けに入って痛み分けをもらう義理も無い。外出用の服も汚したくないし。それに僕達は今
三年生だ。ケンカなんてしたら内申書に響く。後味は悪いけど仕方無いよね・・・・・・。
高志は淡々と切符を買い、改札口に通した。・・・・・・わずかな逡巡があった。
「おい、てめえら!!」トイレの戸口で高志は吠えた。
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