07/06/24 05:45:58
即興の魅力!
創造力と妄想を駆使して書きまくれ。
お約束
1: 前の投稿者が決めた3つの語(句)を全て使って文章を書く。
2: 小説・評論・雑文・通告・㌧㌦系、ジャンルは自由。官能系はしらけるので自粛。
3: 文章は5行以上15行以下を目安に。
4: 最後の行に次の投稿者のために3つの語(句)を示す。ただし、固有名詞は避けること。
5: お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。
6: 感想のいらない人は、本文もしくはメール欄にその旨を記入のこと。
前スレ
この三語で書け! 即興文ものスレ 第二十一ヶ条
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関連スレ
この三語で書け! 即興文スレ 感想文集第12巻
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裏三語スレ より良き即興の為に 第四章
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2:名無し物書き@推敲中?
07/06/24 05:58:26
過去スレ
この3語で書け!即興文ものスレ
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この3語で書け! 即興文ものスレ 巻之二
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この三語で書け! 即興文ものスレ 巻之三
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第四幕
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第五夜
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第六稿
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第七層
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第八層
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第九層
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十層
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3:名無し物書き@推敲中?
07/06/24 05:59:27
過去スレ続き
この三語で書け! 即興文ものスレ 第十壱層
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十二単
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十三層
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十四段
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十五連
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十六期
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十七期
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十八期
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第十九ボックス
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この三語で書け! 即興文ものスレ 第二十ボックス
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4:名無し物書き@推敲中?
07/06/24 06:00:32
既に落ちている関連スレ(参考までに)
この三語で書け! 即興文スレ 良作選
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5:名無し物書き@推敲中?
07/06/24 06:01:47
次のお題は
「ウサギの群れ」「王者」「封筒」でお願いします
6:名無し物書き@推敲中?
07/06/24 06:34:34
初投稿です。
「ウサギの群れ」「王者」「封筒」
彼は王者だった。他の生き物は彼にとって弱者に過ぎない。
その日、彼はウサギの群れを追っていた。最初は狩りのつもりだったが、あまりにも簡単過ぎた。もはや群れを追うことそのものが目的に変わっている。
何匹も爪で引き裂いた。しかしウサギは群れたままだ。おかしい、と彼は思った。バラバラに逃げたほうが生き残れるというのに。
その時、彼は気付いた。群れの中心にいる一匹。そいつだけが口に何かを咥えている。
彼は群れを掻き分けながらそのウサギへと向かった。思いの他、激しい抵抗にあった。何匹も噛み付いてきた。だがそんなものは彼にとって蚊に刺されたようなものだ。牙で、爪で引き裂きながら前へと進む。
目的のウサギが咥えているものが見えた。
一通の分厚い封筒だ。
だが彼はそれが何かを知らなかった。初めて見るものだったのだ。とにかく大事なものだろうと強引に奪い取る。
封筒を奪われたウサギたちは、それまでの結束が嘘のように、散り散りになって逃げ始めた。
彼は封筒を爪で引き裂いた。
その瞬間。
7:名無し物書き@推敲中?
07/06/24 23:21:19
「依存症」「モルヒネ」「神」でカマン
8:名無し物書き@推敲中?
07/06/25 13:05:29
─神は仰せられた。この世には何一つ安楽などはないと。
しかしそれは果たして、正しいことなのだろうか。
私には感覚がなく、起きているのか眠っているのか、
果ては死んでいるかさえわからない今、それは唯一無為の安楽ではないのだろうか。
詳しくは思い出せないが、とてもつらい思いをしたことを覚えている。
きっとこれは、その苦しみに耐えた報いなのだろうと思う。
私の脳は今、モルヒネに犯されてしまっている。それが痛みを忘れるためだということはわかっていた。
だが投与され続けたそれはやがて毒となり、私に”依存症”という形で痛みを与えた。
それはまた少し違う、苦しみであった。
浮かんでは沈み行く意識の中、きっとそれは罰なのだと思った。
得てはならぬ安楽を手に入れてしまった罪を償うべく、私はまた新たな罰を与えられているのだと─
9:名無し物書き@推敲中?
07/06/25 19:20:14
「鬼子母神」「美少年」「日本刀」よろ
10:名無し物書き@推敲中?
07/06/26 03:01:54
「日本史」「蜜柑」「冷たい隙間風」でよっしく
11:名無し物書き@推敲中?
07/06/26 05:38:20
「鬼子母神」「美少年」「日本刀」
爾の時、鬼子母神は座より立ち上がりて曰く「美少年は何処にいますや?」
側に在って日本刀を磨きたりし一少年、その紅顔を挙げて曰く「ここに侍り!」
鬼子母神は嘲笑して曰く「汝は美少年にあらず。美麗ならざればなり!」
そを聞くや否や、少年は立ち上がり、右手に日本刀を握りて襲い掛かりぬ。
鬼子母神はすわやと叫びつつ、日本刀を避けて高麗に渡りけり。
少年は行方知れずなりぬ。
或る人曰く「かの少年なむ美少年なりける。然れども、かの日本刀は切れ味劣れり」
鬼子母神がその折の恐怖を伝える言葉ぞ今に残る。
「高麗に行きたしと思えども、高麗はあまりに遠し」
12:「日本史」「蜜柑」「冷たい隙間風」
07/06/26 08:47:29
勉強机横の窓は立て付けが悪く常に微かに開いているのだが、この時季にしてはやけに冷たい隙間風にふと窓へ目を向けた私は、即座に机上の課題へ視線を戻した。
隙間から人の顔が覗いていたのだ。
曇りガラスにびったりと頬を押し当て、斜めに傾けた暑苦しい顔がその口中から冷たい息を吹き込んでいた。
この部屋は2階である。そしてベランダなど無い。一体何のノロイだろうか。
困った私は、取り組み中である日本史の資料の中から般若心経を見つけ唱えてみる事にした。
「かんじーざいぼーさーつー ぎょう…じんはんにゃはら……」
「あ! オバケだと思ってる!? オバケだと思ってるでしょう!? 違います! 違いますよ! ワタシ、先日冷凍蜜柑を分けてもらったカラスです! 恩返しですよ!」
どう見ても暑苦しい人間の顔は、涼しい口でそうのたまった。
「あ! 信じてませんね!? 信じてないでしょう!? まっ、それならそれで構わないんですけどね。とにかく恩返し!
いやあ、ワタシ達カラスって真っ黒でしょう? 今頃の季節、日光の熱で暑いのなんのって。そこへアナタのくれた冷凍蜜柑! 冷凍蜜柑、ウマイねーアレ! もうヒンヤリ! 世界が変わった! だからアナタにもヒンヤリの恩返し! 恩返し! ね!
カミサマに頼んだらいくらでも冷たい息を吐けるようにしてくれたから! 今夜は蒸し暑いけどこれで大丈夫! ホラ、勉強続けて! 勉強! フゥーー! フゥウウウーーー!」
カラスの助けもあって案外早くに課題を終わらせることができた私は、遠慮するカラスにまた冷凍蜜柑をやり、今度カミサマに頼む時はもっと涼やかな顔にしてくれるよう言うんだよ、と念を押し眠りについた。
次は「鳩」「ラムネ」「記憶」で
13:名無し物書き@推敲中?
07/06/26 12:00:13
手渡されたラムネの瓶を手に、俺は学園祭の撤収作業が済んだ中庭のベンチへと腰掛けた。天を仰ぐ。夜風が涼しい。
こうしていると、徹夜作業続きで準備してきた学園祭が、まるでなかったかのような気分にさえ陥る。
中庭には「日中交流ダンスパーティー」と大きく書かれた、羽ばたく白鳩を象った看板が残るばかりだ。昼間は百人あまりの人が詰め掛け音楽と笑いが溢れていた場所も、今はかすかな蟲の鳴き声だけが聞こえるばかりだ。
ラムネの栓を押し下げ口をつける。口いっぱいに広がっていく爽やかな刺激を舌で楽しみながら、しばし心地よい疲労感に身をゆだねていた。
「おじさん、いつもこの公園で鳩にパンくずをやってるね」
「○×※△?★●▽※」
「それ中国語? 何を言ってるのか分からないけど、本当に鳩が好きなんだね」
不意に、ぷつぷつと舌先ではじける炭酸の気泡に誘われるかのように、俺の幼い日の記憶が蘇ってきた。
いつも近所の公園のベンチに腰掛け、十匹ばかりの鳩にエサをやっていた中国人のおじさん。俺は暇があると横に座り、嬉しそうに中国語で何かを話す姿を、ラムネを飲みながら見ていた。エサをやるおじさんの目は、子供のように輝いていた。
多分俺が大学に入って中国語を専攻しようと決めたのは、あのおじさんの明るい響きの中国語を聞いていたせいだと思う。
おじさんは、しばらくして鳩が一羽、二羽と来なくなっていくうちに、公園へ現れなくなってしまった。痩せて骨と皮のような人だったから、もしかしたら病に伏せ、かえらぬ人になっていたのかもしれない。
おじさんはあの時、何を話していたのだろうか。流れるような言葉の列がどうしても思い出せない。
俺は感傷にふけりながら、ラムネをもう一口、口に含んだ。鼻腔から抜ける炭酸の刺激が、更に記憶の扉を開けてゆく。
「○×※△?★●▽※」おじさんがいつも口にしていた言葉が浮んできた。今ならその意味が分かる。
「これが丸々と太ったら、焼き鳥にして食べるのさ。楽しみだなあ」
次は「心残り」「鉄道」「傘」
14:名無し物書き@推敲中?
07/06/26 17:18:18
暖かい春が過ぎ去り、ただ暑苦しいだけの夏が来る少し前、僕らは約束した。
─それは遠い遠い記憶の中、すこしだけ色あせた思い出
出会いと別れの季節、春を迎えたある日、君は世間話をする様な顔で口を開いた。
「私、転校しちゃうんだ」 そうなんとも軽い口取りで、まるで他人事のように言い放った。
子供とは何とも未熟なもので、好きな人には冷たい態度を取るもので、僕はただ素っ気無い返事を返すことしかできなかった。
いつ転校するかなんてことは結局、彼女が転校してしまう日まで知ることはなかった。
それは彼女が先生に口止めをしていて、転校するなんてことは僕以外の友達には話していたなかったからだ。
桜も散りしばらく経った雨の日、その日は訪れた。
いつもと変わらない朝のホームルーム─ただ少し違うことは僕が不貞腐れていることと、君が泣いていること─先生はお経でも唱えるように無機質に、ただ事実のみを告げた。
一気に均衡が崩れる教室。騒いだり泣いたり、本当に子供子供しい反応だと幼心に思った。
終日までの5時間、なんとなく君の視線を感じたけど、僕は知らないふりをした。
だけど最後の最後、君は僕を呼び出し約束した。
人も疎らな駅のホーム、君のその家族はただ黒い塊を待っている横で僕たちは約束をした。
「私たちが大人になったこの日に、またここで会いましょう」
─きっとあの日ほど僕は不機嫌だったことはないだろう。
そりゃ大切な人が、今まで信じたくなかった最悪の現実を突きつけてきたんだ。気持ちのよいはずがない。
そのおかげだろうか、7月7日という日付も相まってこの約束を忘れることはなかった。
大人になった日、なんてのはよくわからないが、20歳になった年ってのはなんとなくわかった。
なぜなら18歳になったその日に来た時には、一日待っても彼女は現れなかったからだ。
もっとも「言った本人が忘れている」なんて最悪のケースを想像しなかったわけではない。
だけどきっと彼女は忘れてないし、今回は当たりなんだ。
─だってこんな、2年前に廃線したような鉄道のホームで何かを待っている人は、君くらいしかないないし、
なによりこんな雨の中、傘も差さずに線路の上を歩く男に手を振る人なんて、彼女以外にいるはずがないから─
15:「心残り」「鉄道」「傘」
07/06/26 17:33:47
それまで町の外に全く縁のない生活をしていた僕は、2年ぶりくらいにに鉄
道を使った。
俗に言う状況というやつである。
荷物は出来るだけまとめたつもりではあるものの、心配性の性格が出てしま
って重量換算で20キロ程までになってしまい、椅子に座るまで非常に体力を
結構消耗してしまった。
誤算だったのが、朝から降っていた氷雨で、僕はいつもの傘を差して家を出
た。しかし屋根の下に入るとにその傘は邪魔でしょうがなく、折りたためる物
にしておけば良かったな、と思う。
僕は故郷のことを思い出しながら、これからの事を期待し、不安になりなが
ら窓の景色を眺めた。
僕が上京を決心する事が出来たのは実質、同級生の後押しのお陰だった。迷
って悩んでいた僕を多少強引な手法(張り手)で説得してくれた。彼女のその時
の涙が今僕を動かしている。
彼女も今この景色を見ているだろうか?
最後に会えないかと、連絡を入れたのだが、「最後なんかじゃない」と一言口
を利いただけで電話を切られてしまった。
後にも先にもそのことが心残りだ。
ふと景色が無くなった。どうやらトンネルに入ったようだ。
僕はトイレでも済ませようと思い、席を立って車内を歩いた。
ふと向こうから、小柄な人影が近づいてくる。やたら大きな荷物を背負って
いてとても滑稽だ。
このままでは擦れ違えないので僕が横に退こうと思ったとき、向こうがこち
らに気付いた。それがとても見覚えのある顔だったので僕はとても驚いた。
彼女だ。
「最後なんかじゃないからな。ついてくから」
僕は大きい荷物ごと、彼女を抱きしめていた。
お題は継続で。
16:「心残り」「鉄道」「傘」
07/06/26 18:07:37
鉄道に乗り東京へ向かう。
昨日の夜中、母が危篤との知らせを受けた。
値段が高いので急行の切符は買えない。各駅停車する列車は、まるで私を弄んでいるように進みが遅い。
仙台へ付いたところで、私は身体を伸ばしに少し列車を降りてみた。
冬の冷たい空気がうすっぺらなコートへと入り込んでくる。
見上げると空一面が真っ暗な灰色で覆われていた。宮沢賢治の『永訣の朝』という詩を思い出した。
天気が乱れるだろう、と思い傘を買っておいた。
私の予想は当たり、その後まもなく天気が崩れた。
電話口で母が「東京はあんまり雪が降らないから、なんだか冬が少し寂しいよ。」とよく言っていた。
そして列車は矢坂で動かなくなった。宇都宮の少しだけ手前だ。
窓の外では雪がしんしんと降り積もってゆく。関東一円は大雪らしい。
東京へ着く頃には傘も必要なくなった。
母の肌はもう、故郷の雪のように冷たくなっていた。
次、「扇風機」「日焼け」「パソコン」
17:「扇風機」「日焼け」「パソコン」
07/06/27 20:21:47
ぬるい風を送り出す扇風機の前に陣取り、寝転がって本を読む。
気だるさを含んだ至福の時間。
自分は勿論のこと、本も日焼けはさせたくないから、影になった座敷に引っ込んで読む。
雪とは最も縁遠い季節でありながら、庭の緑は太陽によって眩暈がするような白さを装う。あの中へ出て行ったら私は融けてしまうのではないか。もしくはその前に蒸発か。
幼い頃にあの中で聞いたセミの音は、やかましいほどの生命力にあふれていた気がする。
けれど年を経て、太陽から隠れるばかりの生活をおくる今の私には、ただ無機質な耳鳴りの様にしか聞こえない。
もう自然の中に身をおくことはかなわないのだろうか。
座敷の真ん中にある一台のパソコン。
自然から離れた私が、新たに馴染んだもの。
あまりにも無機質で、この古い家にとっては唯一の異物であるとすらいえそうなのに、それ故か、他とは違う支配者じみた気配を放っているように感じる。
そういえばこのパソコン、ケーブルの類が何も無い。充電した憶えも無いのだが、もう半年位は動きっぱなしなのではないか。
インターネットにも繋がるが、どこの内容も更新されないのは管理者が夏休みでも取っているからだろうか。
そしてそんな事を、私は昨日も考えていたような気がする。一昨日も、一週間前も、ひと月前も、もうずっと。
けれどこの事も、きっと明日にはまた忘れているのだろう。
耳鳴りの様なセミの音が、より一層無機質さを増す。
次は「手」「秘密」「穢れ」をお願いします
18:名無し物書き@推敲中?
07/07/03 20:34:07
私には人に言えない秘密がある。
私は昔ギャングだった。
私はありとあらゆる犯罪に手を染めた。
不遇な環境に育ち、社会を恨み、他人はみんな敵だと思った。
そんな私を救ってくれた一人の女性。
荒れ狂う私を、体を張って教え導いてくれた女性。
今その女性が目の前で殺されようとしている。昔のギャング仲間によって。
「わたしが殺されても復讐してはなりません。」彼女はそう叫び続け、
凶弾に倒れた。
「うわぁぁぁぁ!!」むくろの傍らでうす笑いを浮かべ焦点の合わない目でこちらを
見ているジャンキーに、これから自分の為す行為が許されないものであることは
十分判断できた。
「心は純粋ないいこだよ、お前は」彼女の言葉をふいに思い出した。
わたしは今、心が穢れていくのを止められなかった。
法を破るからではない、人の命を奪うからではない。
彼女の言葉に逆らうこと。私は心が濁っていくのを感じた。
ビスタ、酒、マウス
19:名無し物書き@推敲中?
07/07/09 17:16:09
僕はよくわかっていた。
発売されたばかりの商品は、どれも欠陥を抱えているもんだって。
新商品をメーカーの定価で、しかも欠陥を抱えるであろう物を買う人は、まさしく人柱。とんでもないマゾヒストだって。
わかっていたつもりなのに、僕はいま、慣れていない酒を一人で飲んでいる。
特においしいとも感じないし、酔っているという自覚はまったくない。
ウインドウズ ビスタ。開発コード名ロングホーン。2007年に発売されたMicromedia社の新OSだ。
今まさに足元に転がっている物のことだ。つい先日、並んで買ったんだっけ。
持つ有り金を投じて、新しくパソコンを組んだ。ゆうに推奨動作環境を超え、ハイスペックと呼ばれるレベルのパソコンを組んだ。
人柱になるつもりなどはなかったのだが、どうしたものか、気づけばすでに行動に出ていたんだ。
早速PCを組み立て、ビスタをインストールした。
─僕が覚えているのはそれまでだ。
カーソルの動きは止まり、マウスは自由を奪われた。固まる画面はただ幅を取るサイドバーを映し出していた。
人柱にはなるもんじゃない。誰かが言ってくれたけど、結局僕はそれを無視した。
その結果がこれだ。いじっている内に取り返しのつかない領域まで達したのだろう。
逝ったのはパソコンだけだ。もっともイラついて蹴りさえしなければ、電源はショートすることはなかったし、せいぜいHDDだけの損害で済んだはずだった。
馬鹿高いビスタは、無傷だ。それだけが唯一の救いだろうか。
しかし、きっと僕はビスタを使うことはないだろう。無論インストールなどしない。
いくらSPが出ようと、もう二度と使わない。そう決めた。
ビスタ、それは2007年最大の汚点にして、Microsoft最大の駄作。MEをも超える問題児。
next:灰色 ヘッドフォン ヤニ
20:どっかーん!
07/07/10 20:21:06
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
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ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
素直に負けを認めて永久に キ エ ロ 犯罪人残飯
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
ドッカーン!
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
21:どっかーん!
07/07/10 20:21:40
ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!ドッカーン!
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22:灰色 ヘッドフォン ヤニ
07/07/14 23:49:08
歯はヤニでまっ黄色
ごつごつした指は汚れて黒い
服なんてここ数年洗った記憶がない
風呂なんぞ10年以上入っていない。
めずらしく3cm以上も残っているタバコを拾い
上機嫌でいつもの公園に戻る途中だ。
前から小学生がヘッドフォンをつけてぶつぶつ
言いながら歩いてくる。ふと目が合った。
さっと視線をそらし俺の横を足早に通り過ぎる。
「・・・そう、俺みたいになるなよ、俺みたいに」
いつの間にか1月の空には灰色の雲が拡がっていた。
厚く重くのしかかってくるように。
ちらついてくる雪に襟をたて、もう何十年も前に
別れた息子のことを想った。
麻痺した心がちくりとうずいた。
一発芸、恋、三角関係
23:一発芸、恋、三角関係
07/07/18 21:11:23
……静寂。30秒ほど。ノリで朝倉を呼び止めてしまった結果である。
朝倉は当然「ん? 何か用」とセミロングを揺らしてこちらに振り返り、
肝心の僕はというと「え、あ……特にそんなでも、えー、まあでもあるというかないというか……」等とはっきりしない返事をし、
朝倉は頭上にはてなを浮かべていた。とても顔を拝みたかった等とは死んでも言えまい。
「用事無い様なら私帰るけど……」
「いやっ! 断じてある。用事ある。えー……、あ」
とにかく場を繋いで引き止めなければいけない。とっさに喋る。
「ジンベイザメってどう思う……かな?」
「へ……?」
朝倉は眉毛を互い違いに上下させ状況を飲み込もうとしている模様。
ああ! やっちまった……! と僕の脳内はフル回転。嫌な汗が滝になる。
こんなこと言う位だったらふんどしで獅子舞の一発芸の方がまだマシだ。
やばいやばいやばい。僕の頭が半ばフリーズしてきた頃、なんとか視覚が捕らえたのは
段々表情の変わっていく朝倉の姿だった。
「……魚とか、好きなの? 私ね……実は……好きなんだ。特にサメが」
僕はとんでもない宝を掘り当てたらしい。途端にこっちも話が弾む。
「サメ!? 僕はラブカとか、チョウザメとかあの辺が好き」
良い空気だ。これはとても良い空気だ。
しかし、段々と近づいてきた足音によって一先ずトークは中断された。
その足音は僕の前で。
「あーっ! まだ居たの? ねえねえ、一緒に帰ろっ!」
僕の手首は両方ぶんぶんぶんぶん回された。さらに朝倉の顔が段々冷めていく。
「……あ、邪魔しちゃ悪いから、私、帰るね。じゃ」
それだけを言うと、朝倉はとことこと離れていく。
え、ちょっと待って。階段を下りないで。頼むから!
僕の願いも空しく、朝倉はフェードアウト。
「ねえねえ、一緒に帰るでしょ」
きっと誤解を与えたに違いない。間違えてくれるな、こいつは妹だ。
なんだこの三角関係。われながら情けない。
僕の恋を邪魔するのは、恋敵でもなく、立場でもなく。
ブラコンというわけだ。
24:名無し物書き@推敲中?
07/07/28 22:24:09
捕手age
25:名無し物書き@推敲中?
07/07/30 12:05:45
過疎ってんな~
だれかお題くんろ~
26:名無し物書き@推敲中?
07/07/30 23:24:07
ないときはお題続行
27:かえっこ
07/08/02 14:21:08
あっ!さやかだ!
里美はヨシモト∞(無限大)ホールの前の通りでさやかが歩いているのを見つけ声をかけた。
里美とさやかは、ここ、渋谷のヨシモト∞(無限大)ホールで知り合い、時々お笑いのステージを見る友達同士。
「ねえねえ!さやか!最近、気になっているの男の子いる??」
今日のステージが終わり、いつものお店でお茶をしている里美とさやか。
「私はね…里美は…知らないかも知れないけど ユー友川 ってピンの子がいいなって」
「…それって知ってる!!『君が好き!!』って妙なキモイ動きでさぁビキニパンツ姿で踊っている一発芸の芸人だよね」
「…」「…」なぜか一瞬無言の間があき、会話が止まる。
じゃあ、また今度、連絡するねって別れ、そして歩きながら早く帰んなきゃと思う二人。
だって今日は彼が来る日なんだもん!!
ユー友川は今日もステージ上で『君が好き!!』って叫んで腰をふっていたそしてベットの上でも…
今、付き合っている二人の女性である里美とさやかにむかって…
三角関係の恋の結末は…
28:かえっこ
07/08/02 14:23:23
次のお題
「砂浜」「契約」「駐車券」で!!
29:名無し物書き@推敲中?
07/08/02 15:02:39
「夏だよ?」
「暑いからね」
肯定の意をこめて、精一杯の返事をした。
しかしごろんと寝転びながら、そう答えた態度が気に食わなかったのか、いっそう強い口調で言い寄られた。
「遊びに行こうよ」
「暑いからね」
今度は否定の意をこめて、あしらうように言った。
これは本音だった。日曜日にわざわざ暑い日差しの下に行く必要はないではないか。
しかし日曜日にごろごろしている父親というのは、娘にしてみれば不満の境地だろうし
こんな夫を持ったカナコは、さぞ俺を恨んでいることだろう。
「あなた、海浜公園にでも行きましょうよ、夏の海に白い砂浜!いいじゃない!」
この人は自分の歳を理解しているのだろうか?まるで新婚の夫婦のようだ。
しかしその新鮮さが俺を突き動かしたのか、生返事をつい返してしまっていた。
海浜公園へ向かう車中、俺は必死に説得した。今すぐ家に帰って、ビデオでも見ようってね。
汗をかいているのは、必死に説得しているからではない。己のあまりに下手な嘘に嫌悪しているのだ。
クーラーは18℃に設定されているのに関わらず、脂汗がにじみ出ていた。
「だから俺はあいつと契約したんだ。もう海へは行かないってね。」
「それでカニさん、どうなっちゃったの?」
好奇心と疑いの気持ちを半々に、僅かに心配の色を滲ませ娘が聞いてきた。
「あぁ、流石に踏まれて元気な奴はいないさ。俺の足の指を深く切り込んだのを最後に、絶命したよ」
「えぇー、死んじゃったの?カニさん殺したの?さいてー」
「だからもう海へいけないんだ。これが俺のせめてもの弔い、生き残った人間の指名って奴だ」
すこし遠い目をして、感傷にに浸る振りをした。
しかし結局は、カナコの「はいはい」の一言でことは片付けられ、車は駐車場へと吸い込まれていった。
アスファルトの駐車場を歩く俺の手の中でシワクチャになっている駐車券は、俺の変わりに叫んでいることだろう。
なんで夏は暑いんだ、とか、どうして家族は休日に外出したがるんだ、とか。届かない愚痴をこぼしている事だろう。
30:名無し物書き@推敲中?
07/08/02 15:03:29
お題……?「バイク タバコ 帽子」
31:かえっこ
07/08/02 17:10:09
「ねえ遊びに行こうよ」
梅雨も明けたというのにマンションでごろごろ過ぎしている俺についに奈々香が提案してきた。
「暑いからなぁー」 これは本音、日曜日にわざわざ暑い日差しの下に行く必要はないではないか。
「江ノ島にでも行きましょうよ、夏の海に白い砂浜!いいじゃない!」
「でもなーお前はいいだろうケド俺は暑さにはよわいんだよ」
「…」奈々香の様子が変だ!
「わかった!わかったからさ!」
俺は観念しバイクを引っ張り出し奈々香を乗せ江ノ島へ向う。
奈々香はしっかりとバイクに捕まり、つぶらな眼で俺を見つめていた。
帽子を脱ぎ波打ち際へ走り海水をいっぱいにためて奈々香のもとへ走る。
「お待たせー」って言いサバーンと帽子の中の水をかけた。
水をかけられた奈々香は「きゃーっ」と叫ぶがとても楽しそうだ。
「来てよかったな。奈々香と出会ったのもこんな夏の日だったもんな」
夕日が沈みかけた砂浜で並んでこれまでのことを俺と奈々香は語りあった。
家族で海水浴に来ていた小学生がソフトクリームを買って帰る途中、立ち止まる。
「あれっ?!あのお兄ちゃん独り言、言ってる」
そこには砂浜に座りタバコをふかしている男が一人、そして横にはカニが1匹動き回っていた…
32:かえっこ
07/08/02 17:13:12
次のお題
「バンソウコウ」「演歌」「デジカメ」で!!
33:「バンソウコウ」「演歌」「デジカメ」(1/2)
07/08/05 07:28:09
トオノは馬鹿だ。それは間違いない。
トオノは阿呆だ。とびきりなのも間違いない。
けれど、正念場にはキッチリケジメをつけられる人間であることも知っている。
それは、友人としての僕の誇りだ。その思いを口に出すことは無いけれど。
友人は契約ではなく、何事にもとらわれない無償の関係であるべきだ。
だから僕は記憶になり、いつか価値に変わる言葉をあえて告げたりしようと思わない。
友人関係とは、鎖ではなく空気であるべきだ。たとえ理想であったとしても、否、理想であるからこそ、己に課した定義を貫くべきで、貫かなくてはならない。人が生きるには主義という土壌が必要だ。
それ無くしては、僕は僕足りえないだろう。自身に誇りを抱くことも叶わないに違いない。
閑話休題。
震度四弱で完膚なきまでに倒壊しそうな海の家からは、誰の趣味なのか演歌が延々と垂れ流され続けていた。せめてノリの良い有線でも流れていれば鬱陶しい空気だけでも振り払えるものの、盛り上がらないことも甚だしい。
『男二人で海への遠征』―が盛り上がるなんてのは、それはそれで微妙なシチュエーションではあるけれども、盛り上がらない最大の要因は前日の徹夜がたたって船をこぎ続けるトオノのせいだ。
当の本人は、僕の不満など露も知らずアイマスク代わりに、両まぶたにバンソウコウを貼り付けて午睡に勤しんでいる。
手元にケータイやデジカメがあれば、その無様な痴態を記録しておいてやれるのに。
残念ながら電気機器の類は、自宅に置き去りにしてきた。今日遊びに訪れた津ヶ浜は寂れた漁村脇の砂浜であり、ゆえに見合いのボロい海の家一軒しか立っておらず、ロッカーやシャワーなんて気の利いたものが存在しないことは重々承知だったからである。
ふとした拍子に濡らして故障させるのは避けたかったし、荷物から目を離した隙に盗難の憂き目に遭うなんて以ての外だ。
トオノは要らぬ心配だと僕を諭したが、お前の保証だから僕は心配が尽きないんだよ、と突っ返すと大した反論もせずヘラヘラと同意した。まぁ、いつもこの男のスタンスはそんなカンジなのだけれど。
34:「バンソウコウ」「演歌」「デジカメ」(2/2)
07/08/05 07:29:31
「……ったく、一匹も釣れやしない」
これじゃ、まるで太公望の魚釣りを地でいくような惨憺たる結果に終わりそうで、気分は余計に盛り下がる。
でも、たまには。たまには、こんな日があっても良いのだろうと、僕は自分を騙せるようになった。騙す、といっても悪い意味ではなく。
清廉潔白な正直者が、必ずしも誠実というわけではないように、全速力に上ずる呼吸を整える休息日も必要だと思えるようになった。
それは、僕という前しか見えない競走馬が、騎手であるトオノに手綱を巧くコントロールされているようにも思えたけれど、どこかでそういう状況に安心しかけている自分も居て、苦笑する。
以前までの僕なら、確実に許せなかったスタンスだろう。自分で定めた定義に離反するなどと―
されど、人は変わる。主義は土壌でありこそすれ、芽吹いた意志とはまた別物なのだ。
かくあれ、と願う僕も僕で、あるがままにある僕も僕だ。
トオノは馬鹿だ。それは間違いない。
そして、トオノに付き合う僕も馬鹿になっていく。それも、きっと間違いではないのだろう。
(終)
長くなりすぎた・・・orz
次からは半分以下に収めるよう心がけたい。
ネクストお題は「廊下」「ひだまり」「お弁当」で
35:「廊下」「ひだまり」「お弁当」
07/08/05 11:54:50
蝉時雨響くあの夏、校庭の大樹の木漏れ日。
君の周りの日差しだけ、春のひだまりの如く優しく蟠って。
校則を破ることなど思いもしないような君。
なのに廊下を走りながら振り返り微笑んだ姿がはっきりと目に灼き付いているのは何故?
出入り禁止の屋上で頬を赤らめお弁当を差し出す君の羞じらいが何度も甦るのは何故?
「明日また会ってくれますか?」。そう言った次の日にその屋上から身を投げたのは何故?
思い出は残酷。決して歳を重ねることのない君の面影が日に日に鮮明さを増し。
忘却は麻薬。思い出したくない何かを忘れることで思い出がその甘美さを増し。
純白な君を染める深紅のイメージに脅えながら、私は今日も独り眠りに落ちる。
純白の壁、純白の人、漆黒の闇に見守られて。
「震撼」「麻痺」「波動」
36:かえっこ
07/08/05 12:38:52
※ああ先越された、せっかく作ったので載せます。
「あは!やっぱりタカシは、来てないのね」
8月5日の午後12時、私とユウスケと弱虫のタカシの3人は、約束してココ、学校で待ち合わせをしていた。
6年2組の教室の窓側、前から3番目の席は、午後の日差しを受け輝き、ひだまりになっていた。
私達の学校の木造校舎は80年の歴史があり有名。
そしてもう一つ有名なこと…出るのだ…そう幽霊が…
夏休みに入る少し前、図書館の古い文集で見つけた20年前の生徒が書き残したうわさ。
8月5日午後12時40分、時間が来てぼーっと浮かびあがる過去の幽霊達…
いろんな時代の生徒達が現れてきた。
お弁当を食べたり窓を見つめていたりノートに落書きをしている幽霊などが。
そろそろ帰ろうとして廊下に出ようとしたとき、タカシが現れた。
ぼーっと立ったまま天井をずーっと見上げていた。
「タカシ!!」私とユウスケは同時に呼びかけたが返事は無い。
タカシはこっちを見て微笑んで窓側の前から3番目の席に歩いて行き消えていった。
タカシは幽霊が怖わくて来なかったのでは無かった。
ココへ向かう途中、車にはねられ死んでいたのだ。
次のお題は>>35さんの「震撼」「麻痺」「波動」で…
37:かえっこ
07/08/06 15:38:42
今、世界では、2つのニュースが話題になっていた。
一つは、イタリアのトスカーナ地方の田舎の小さな村に突然、現れた一人の女性。
かざした手のひらから眼に見えるほどの輝きの波動エネルギーを放ち病に苦しむ人を次から次へとまったくの無償で助ける。
末期がんで苦しむ男性、絶対に直らないはずの全盲の女の子などなど、すばらしい奇跡を起こし続けていた。
そしてもう一つ、世界中を震撼させる、罪もない人々へ訪れる悲惨な事件、事故による死。
信じられない程の残酷な猟奇的連続殺人、実の親による保険金目当ての殺人。
宗教対立でおこる無差別テロ、独裁者による非人道的虐殺、マシンガンによる無差別発砲…
神の出現として、ますます加熱する救世主信仰。
と、毎日繰り返される命の略奪行為による倫理観の麻痺。
だが、希望と絶望…これは偶然などではなかった。
命の等価交換が始まったのだ…
今日もかざした神の手による癒し行為で一つの命が蘇る。
そして今日も何も罪の無い一つの命の炎が消えて行く。
次のお題は「合鍵」「ハンカチ」「駐車違反」で…
38:「合鍵」「ハンカチ」「駐車違反」
07/08/08 14:49:55
鍵を持って出るのを忘れた。
玄関脇の植木鉢を探る。ハズレ。合鍵も無い。
家に入れない。クソクソクソクソ。
腹いせに駐車違反の原チャリを燃やしてやった。
ハンカチで汗をぬぐう。煤で黒く汚れていた。
「拙者」「メタル」「財団」
39:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/08 15:46:34
午後4時になろうとしているのにまだ外は地獄のような暑さだ。
「くそっ!!ウチのババアが帰ってくるまでマンガ喫茶でも行くか!」
母親は今の時間、スーパーで信じられないくらい安い時給でレジうちのバイト中なのだ。
窓ガラスでも叩き割って家にでも入ろうかとも思ったが、後でババアが泣くからまあ、やめとこう。
「くそお、マジあちい!!」
さっき燃やした原チャリの煤で汚れた部分を避けハンカチで噴出す汗をぬぐう良一。
少し行くと、とろとろと爺さんが歩いていてよろけて俺の前をふさいでしまった。
「どけ!何しやがる。こんな暑い日にじじいは出歩くんじゃねー」
って一発蹴り飛ばそうと右足を上げた時、足首を誰かにつかまれた。
クソクソクソ!!振り返るとそこには侍が立っていた。
「拙者は、涼風清乃新と申す」
あまりのことにあきれた良一は言葉も出せず立ちつくした。
侍は懐から1枚の名刺を取り出し説明を始めた。
青少年、心の救済振興財団という名の名刺を受け取る良一。
今の日本の青少年に一番必要な武士道を教え、過去の素晴らしい日本を取り戻すべく活動しているバカなおっさんたちなのだそうだ。
「うるせーあっち行けキ○ガイ野郎!!」
切れまくった良一は、腰にさした刀も気にせず殴りかかろうとした時、目の前が暗くなり意識を無くし倒れた。
新種の熱中症が多発しているらしい。
症状としては、日本人特有の幻覚が現れて意味不明の言動で暴れたあげく、意識をうしなうというものらしかった。
40:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/08 15:51:54
ありゃ!!メタルのキーワード忘れた。スミマセン。
ということで私の作った↑は無かった事にして下さい。
お題は継続の「拙者」「メタル」「財団」 >>38さんのでお願いします。
41:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/17 11:24:12
良一は目を覚ました。
白い天井が見え、手を動かすと何本かのチューブが接続され銀色のメタル部分が照明の光で鈍く光っていた。
オレは熱中症で倒れ病院に担ぎ込まれたらしい。
そして、この世で一番見たくないババアの顔がどアップで迫って「良一…心配したよ」 と。
「うるせえババア!おめえはウチで洋子ちゃんと仲良くしてりゃあいいんだ!!」って叫ぼうとした。
洋子というのは、妹で、オレと違っていわゆる、いい子ちゃんでババアのお気に入り。
「あ・ありがとう母さん…」信じられない言葉がオレの口から発せられ涙がこぼれている。
続いて信じられない言葉が…
「母さん。オレこれからはまじめに働くよ。今まで迷惑かけて・ご・め・ん」
クソクソクソクソ!!オレはどうしちまったんだ!!
ふと横を見ると背の高い男が立っていた!
青少年、心の救済振興財団という名の、涼風清乃新!
「拙者は、これからずーっとおぬしの側で見守る事にした」
切れた良一は、我慢しきれず殴りかかろうとした時、目の前が暗くなり、また、意識を無くした。
新種の熱中症が多発しているらしい。
症状としては、本人にしか見えない幻覚が現れて意味不明の言動で暴れたあげく、意識をうしなうというものらしかった。
そして、この後がこの熱中症の怖いところで何らかの精神的後遺症が残り性格が不安定化するのであった…
書き込み無いので続編書きました。
次のお題は「音楽配信」「雨宿り」「浴衣」で
42:「音楽配信」「雨宿り」「浴衣」
07/08/17 14:26:29
「音楽配信」「雨宿り」「浴衣」
夕方の篠突く俄雨が優しい霧雨に変わった頃。
高校生の姪っ子が、浴衣姿で男やもめの侘びしい住まいに勢いよく駆け込んできた。
見れば耳から胸元まで白いコードが延びている。
じろじろ眺め回す視線に何か勘違いしたらしく、軽く頬を染めつつ膨れてみせた。
そんな彼女にタオルと冷えたミネラルウォーターを渡しながら話を促した。
両親が誕生日のプレゼントとして流行りのiPodを買ってくれた。
だがパソコンも持っていないしそもそも機械音痴なので皆目使い方がわからない。
よってオタクの俺なら何とかしてくれるだろうと思い、雨宿りも兼ねて遊びに来た。
ちなみに音楽が入っていないのに身に付けているのは単に見せびらかしたかったから。
雨なのに浴衣なのは、この後近所の縁日に行くつもりだったから、ということらしい。
幸い上位機種を持っているので勝手はわかっている。
姪が持ってきたCD3枚をMacに放り込み256kbpsのMP3でリッピング。
次に彼女の胸元から切手大のiPodを奪い(また膨れた)、サードパーティー製のプラグに繋ぐ。
iTunesが自動的に曲をプレイヤーにDLし始めたのを見計らい話を変えた。
お前、新しい父さんと上手くやってるか?
唐突な質問に、今まで柔らかい笑みを湛えていた姪の表情が一瞬で凍る。
そりゃ聞きたくもなるさ。音楽配信業界の第一人者の父親ではなく何故わざわざ俺に頼みに来た?
2年前、お前の新しい父さんになる予定の男を殴って家を出たこの俺に。
ゆっくりと肩を落とし、静かに泣き始めた姪をそっと抱き締める。
わかっている。お前と俺は共犯者だ。
雨はいつの間にか勢いを取り戻し、遠くから微かに雷鳴が響いてきた。
彼女はもう縁日に行くことはできないだろう。
43:42
07/08/17 14:29:39
お題は「背徳」「虐殺」「至福」で。
44:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/17 16:17:14
あの9・11以来、この世は、生命の炎が毎日毎日あたり前のように消える世界に変わってしまった。
内戦や民族虐殺は加速してゆき普通に暮らす一般市民の虐殺が行なわれている。
今日も新聞には200名、300名と無差別テロで人が死んでいた。
憎悪の連鎖は限りなく続き、受け継がれるたびにさらに増幅してゆき、ついには2007年8月17日午前0時、神の管理容量をこえてしまった。
神の管理を離れた者は世界中で信じられない行動をとりはじめた。
「私は今、背徳者となり、究極の自由を得て魂は開放された」
事件を起こす人間は必ず、この言葉を残していた。
人々はやがてこの人たちのことを、神に(いや悪魔なのだろうか)選ばれし者として アスタリスク と呼ぶようになった。
銃の乱射、宗教間の争い、無差別な猟奇殺人…
そしてここ、東京、渋谷にも選ばれし者として アスタリスク が出現した。
バイト初日なのに午後2時まで寝ていて完全に遅刻。
あわてる事も無く無表情でコンビニでヤングジャンプを立ち読みしている坂本。
グラビアアイドルのバスト98をぼーっと見つめていた時、その啓示が示された!!
坂本は今、背徳者となり、究極の自由を得て魂は開放された。
選ばれし者としてのアスタリスクは、いろんなタイプが存在している。
つまりアスタリスクは、その国、その民族の今の精神の象徴として最も適している特異行動をとるらしかった…
至福の境地に踏み込んだ男、坂本は、服を脱ぎ全裸になり、股間を突起させながら、渋谷のハチ公の像にディープキスをした後、そのままスクランブル交差点を奇声をあげながら走っていった。
まさにその行動は今の日本の象徴だった。
次のお題「ごまかし」「ひまわり」「ベスト8」で…
45:「背徳」「虐殺」「至福」
07/08/17 16:39:15
件名:撃ち合わせ
『
葦田に余手いしております撃ち合わせですが、真珠区駅前に我が社の短刀
の者を立たせて沖ます。自国は11次でおね害し枡。その短刀は、背徳ろのズ
ボンを吐き、赤いジャケットを木ています。至福のよう中っこうで恐縮です
が、目立つほうが酔いとお藻い、その余うなカッコウを刺せて檻ます。
余談ですが、その短刀は、咆哮にうとい麺がござ今して、先日も薩摩へ派
遣しようとしたと頃、札幌に行ってしまいまして「おい、咆哮がまるっきり
虐。殺まは南だ」などと中尉される暗い弟子て。
なにとぞよろ四区おね害します。 敬具
』
面白そうなお題考える自信ないから、お題決定権は放棄しま~。
誰か適当に考えてくださるとありがたいっす
46:名無し物書き@推敲中?
07/08/18 00:23:23
>>45
>次のお題「ごまかし」「ひまわり」「ベスト8」で…
無問題!!
47:「ごまかし」「ひまわり」「ベスト8」
07/08/18 00:53:18
厳正なる玉座の間。王から見て右手には青い服で統一された楽団が控えている。
左手のは真っ赤だ。
「これより合奏比べを行う!」
響くのは大臣の声。
青服と赤服が音も無く向かい合う。その手に各々の楽器をもって。
赤のバスドラムの重厚な響きが空を裂く。すかさず赤のトランペット・コルネ・ホ
ルンがメロディを重ねる。堂々としていて、ゆるぎなく高潔な音色。その旋律は縦
横無尽に広がるような奔放さと、しかし定石を裏切らない正統さをあわせ持ってい
た。部屋中に、大輪のひまわりが咲いた。
そこに違和感無くすべりこむ青の楽器達。オーボエ、フルート、木琴・・・・次
第に部屋の明度が落ちていく・・・・ひまわり達は、夜露に濡れ、妖しげな魅力を付与
された。と見えたのもつかの間、突如、ひまわり達が燃え出した。赤の楽団全員
が音楽に入り込んできたのだ。技術差を感じた赤の指揮者が一か八かの賭けに出たのだ。
「やめい!そこまで! 青の勝ちとする!」こうしてごまかし無く、青の楽団は
ベスト8進出が決定した。
次のお題は放棄~
48:名無し物書き@推敲中?
07/08/18 00:57:31
お題提出 かぶったら辞退
「放棄」「電気」「形見」
49:名無し物書き@推敲中?
07/08/18 05:12:16
パチン。パチンパチン。
何度スイッチを入れても明かりがつかない。
さてはブレーカーが落ちたかと、暗闇の中探ってみるが、どうやらそうではないようだ。
とりあえず落ち着こう。胸ポケットからタバコを取り出す。
ジッポで火を点け、ゆっくりと紫煙を吐き出しながら、一つ一つ原因を検証していく。
電気料金は毎月払っている筈だ。台所から冷蔵庫の振動音が聞こえるから間違いない。
さては電球が切れたか。だがそれでは、風呂場にトイレに台所、全ての明かりがつかない説明としては苦しい。
……思いつかん。
時計が見えないが、恐らく日は変わっただろう。考えるのを放棄して、ベッドに向かおうとしたその時。
けたたましく電話が鳴った。
「もしもし、お兄ちゃん? ごめん、電球全部外したの伝え忘れてた。」
「はあ? なんでそんなことすんだよ。」
「占いでね。今日一日そうしたら、お兄ちゃんが幸せになれるんだって言われたから。」
「……そうか。ありがとな。」
師と仰いだ人の忘れ形見、血の繋がらないかわいい妹。人からなんと言われようと、俺はあいつを泣かせたくない。
湧き上がる全ての感情をぐっと我慢して、おやすみ、と電話を切った。
収拾つかなくなっちまった挙句に……ちょっと逝ってくるわ。
その前に次のお題~ 「扇風機」「牧場」「未来」
50:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/18 09:46:17
「扇風機」「牧場」「未来」
「買って来たぞ」
眼を輝かせて喜ぶ妻のミドリと、やっとウワサの扇風機を手に入れられたのに、うかない表情の夫のリュウタがいた。
連日40度越えの猛暑が続く日本で、ある電器製品がバカ売れしていたのだ。
それはエアコンでは無く、なぜか2007年7月に製造された松葉電器製の扇風機『牧場の風』FFG-56タイプ。
6月に挙式をあげたばかりの新婚の二人だったが、すでに完全にミドリのペースの生活になってしまっていた。
『強風』と『マイナスイオン』のスイッチを同時に押し、二人して扇風機に向って同じ言葉を叫ぶ!!
「リュウタの半年後!」
「う・わ・き…浮気する」
二人の言葉が共鳴し2007年7月製造、松葉電器製『牧場の風』FFG-56『強風』と『マイナスイオン』作動時のみに現れる別の言葉が聞こえだした。
そう!ウワサは、やはり本物で、未来を予言してくれる扇風機だったのだ。
そして容赦なくミドリは、尻ごみする夫を強引に促し、次の言葉を二人して叫んだ。
「リュウタの浮気相手の名前は?!!」
次のお題は「ラジオ」「河川敷」「後ろ回し蹴り」で!
51:「ラジオ」「河川敷」「後ろ回し蹴り」
07/08/18 11:00:21
二人の男は河川敷で対峙していた。ノッポとチビ。ノッポはどこからともなくラジオを取り出
すと、脇に放り捨てた。キーワードのうちの2つを消費して、ノッポの表情は余裕だ。あとは、
体を回して背を見せつつ足をぶつける、「あの技」をあと7行以内に登場させればよい・・・・い
や、あと6行以内になってしまったが。
「思考すると行が無駄だ。さっさと行くぞ」ノッポはチビに襲い掛かった。有無を言わさず体
を回転させるノッポ。が、両手を出しつつ前方に接近してくるチビは、あの技の発生を許して
くれなかった。「おい、出させろよ! あと4行しかない!」が、チビは無言でノッポと距離
をつめる。あの技を出させない という点において、チビは、すさまじく巧みだった。チビは
作者の邪魔をする気らしい
「ふふふ」あえて、意味も無く言葉を発して改行させるチビ。いじわるである。追いつめられ
たノッポは仕方なしに最後の手段を取る事に決めた「後ろ回し蹴り!」彼は突如そう叫んだ。
次お題は「小説家」「才能」「努力」
52:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/18 12:43:49
「小説家」「才能」「努力」
宇佐美と加目田は双方が共に認めるライバルであった。
二人とも幼稚園からの同級生で大学も同じ、そして卒業後の進む道も同じで小説家の道を選んだ。
そしてついに、大手出版社2社の共同企画で実現した『100作品創作マラソン』がはじまった。
宇佐美は、いわゆる才能豊富な天才型の作家だった。
そして加目田はコツコツと取材、資料集めなど完璧にそろえてから書くいわゆる努力家タイプの作家。
100作品をどちらが先に書き上げるかで勝敗を決めるこの企画、スタートダッシュはもちろん天才肌の宇佐美が突っ走った。
加目田は、自分のペースを守りいつもの資料集めに没頭していた。
1週間、2週間が過ぎ、二人の作り上げた作品の数はかなりの差が出てきていた。
宇佐美は勝てると思ったのだろう、いったん創作活動をやめ、毎日夜になると飲みに出歩き、お姉ちゃん達のいるお店に通いつめた。
勝負が始まり、1ヶ月が過ぎた頃、宇佐美は担当の小山の携帯に連絡を取ってみた。
「な・なに!!加目田が48作目を書き上げただとーーーーっ!!」
あわてた宇佐美は、お姉ちゃんと裸で寝ていたベッドから飛び出しパンツとズボンだけはいてタクシーで仕事場へ向う。
そしてついに勝負の決着がついた。
勝利したのは宇佐美であった。
結局、天才で外で遊びまわりいろんな経験を実際体験していた宇佐美…
作家とは人が最後にたどり着く職業だと誰かが言っていたっけ!!
独創性とはモーツアルトの時代から不公平に出来上がっているものなのだろう…
次のお題は「鳥インフルエンザ」「ファールボール」「あだ名」で…
53:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/18 16:02:46
すみません↑修正
「な・なに!!加目田が48作目を書き上げただとーーーーっ!!」
98作目の間違いでした。
54:「鳥インフルエンザ」「ファールボール」「あだ名」
07/08/18 21:02:01
「ごめんなさいっ!あなたとは付き合え無い」少女は言った。青年は戸惑った。納得できない。
こんな事のあって良いハズが無い。俺が、ふられた?なぜ?相手はクラスの中でも一番の根暗で
皆にさりげなく避けられる事から「ファールボール」とあだ名される程度の奴だ。
「どうして・・・・?ねえ、なんで?理由を言ってよ?納得できないよ!」
青年の顔は真っ赤だ。なんでおまえごときが!この俺がせっかく男女交際の練習相手に選んでや
ったのに!クラスでの地位が完璧に上な俺を振っていい理由なんてあってたまるか!
「ねえ、理由だってば!早く教えてよ!ねえ!」
「・・・・・あの、ね」すっかりおびえきった少女の瞳。
「私、鳥インフルエンザの人としか付き合わない事にしてるの。だから、もしも・・・・」
そういって注射器を差し出す。中に入っている液体は透明だが、まさかタダの水でもあるまい。
「これ、注射してくれたら・・・・」
結論だけ言う。その若者と少女は交際を始めた。
次のお題「探偵」「密室」「妖精」
このスレ、ひょとして二、三人しか人いない? (;ω;`)
55:名無し物書き@推敲中?
07/08/18 21:37:37
ではミス板より初参加。
オリエント・エクスプレスで紳士が撲殺された。犠牲者は支那住みの実業家、シュバルツ氏。
しかも、驚いたことに現場コムパアトは密室であった。
毒殺、射殺であれば遠隔殺人は容易である。刺殺でも可能である。
しかし、撲殺となれば犯人は直接被害者を殴打したと判断せざるを得ない。
乗り合わせたパリ警察のジャンヌ警部は国際警察を呼ぶしかないと判断しかけたのであるが―
「それには及びません―彼らの手を煩わせるまでもない事件でしょう」
そう異議を唱えたのはかの有名な青年探偵、内藤水平!
内藤水平は独逸においてさる重大の使命を終え、帰朝するところだったのである。
「奇怪な事件ではあります。このコムパアトは完全に密室でした。
犯人はいかなる手段を以ってシュバルツ氏を殺し、立ち去ったのか?」
ジャンヌ警部が首を振り、二言三言内藤探偵伝える。
「成程、此のダイイング・メッセェジを皆さんは墓に立てられた十字と見たのですね。
慥に、欧羅巴人の皆さんにはそのように見えるでしょう。
ですがこれは漢字と呼ぶ表意文字―『十一』と書いてあるのです」
ああ、シュバルツ氏は死の間際に漢字のダイイングメッセェジを残したのだ!
犯人が見逃してしまったメッセージをわれらが内藤水平は読み取ったのである。
「さて、皆さんは十一を独逸語で何というかご存じでしょう。そう―elf。
シュバルツ氏はエルフ―妖精の手によって殺められたに相違ありません!」
それならば人間の出入りできぬ密室で殺人が起きても何の不思議もない!
乗員乗客は内藤探偵の華麗な解決に惜しみない拍手を送った。
無論、最も盛大な拍手を送ったのがシュバルツ氏の悪辣なる商売によって最愛の姉を失った
十一番コムパアトの乗客、土屋圭助氏であったことは言うまでもないだろう。
次のお題「林檎」「青磁」「牢獄」
56:「林檎」「青磁」「牢獄」
07/08/19 00:11:51
「姫様!ただいま助けに参りました!」
牢獄の前にひざまずく巨躯の甲冑を、真っ白なドレスのあどけない娘が見つめる。
「わ~、ありがとー!」
と言って無邪気に手を打ち鳴らしてはしゃぐ仕草も、長い牢獄生活のせいか、疲弊の色が
透いて見える。
「姫様・・・・裏口の林にわが精鋭の騎馬隊が控えておりまする。私はもうお仕え申す事がか
ないませぬが、どうか姫様だけでも・・・・これは敵から逃れると・・・き・・・に・・・・」
そういって地面に打ち伏せた騎士の足元にできた赤い水たまりに、お姫様は気づいて呆然
とした。それと同時に騎士の手から滑り落ちた彫刻を拾い上げる。林檎・・・・?それも青磁
で作られたものだ。走る、という慣れない動作に息切れを起こしながらも、お姫様はその
林檎を大事そうにつかんでいた。
「おい、いたぞー!」前の角から兵隊の一団が表れる。あわてて後ろを振り返るとそこに
も大勢の人だかりだ。監獄の狭い廊下で前後から挟まれ、狼狽のあまりに林檎が手からす
べり落ちてしまった。パシャンと控えめな音をたてて割れた青磁の中から無数の光の粒が
立ち上り、姫様の体を包む。驚いて後ずさる姫君の体は、監獄の分厚いレンガの壁を、す
り抜けてしまった。
個人的に、こういうスレ好きよ。 次お題「予言」「狼」「墓標」
57:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/19 01:01:50
「予言」「狼」「墓標」
父が亡くなって、もう大分経つが僕達の悲しみ、憎しみは消えなかった。
僕と妹は今でも、あの日、無残にも腹部を裂かれ絶命した父のあの無残な姿を忘れはしない。
「じゃあ、いい子にしているんだよ。すぐに戻るからね」
って言葉を最後に、あの優しかった父は、お腹をすかし、幼かった僕達に食べ物を調達に出かけたまま帰ってこなかった。
「お兄ちゃんやっと…やっとこの日が来たのね」
父が眠る墓標の前で、まだ幼さの残る兄妹は改めて復讐の決意を誓った。
今朝、ついに頼んでいた森の占い師から憎き父の仇の住む場所を聞いたのだ。
予言で僕達の住むこの森の二つ先の村に住んでいて、この仇討ちがうまくいくと知らされた。
めざす村に着きそっと近づき窓をのぞく。
「お兄ちゃん…すごいよ!!二人ともいるよ」
そこには、仇の二人が偶然にも一緒にいて楽しそうに食べ物を口にしていた。
僕と妹は目を合わせ合図をし、同時に襲い掛かった!!
突然、狼2匹に襲いかかられ恐怖におののく表情の二人!
そこには、猟師と赤い頭巾をかぶった女の子が…
次のお題は「黄色いTシャツ」「古本屋」「石ころ」
58:「黄色いTシャツ」「古本屋」「石ころ」
07/08/19 09:44:21
「おいババア!これはなんだ!」
俺は店の片隅の黄色いTシャツを摘み上げた。
「Tシャツです」
「バカめ!そんな事は解ってる!聞きたいのは何でこんな薄汚いTシャツが神聖なる古本屋に
置いてあるのかって事!」
「・・・・・・ククク、実はそれも本なんですよ、お客さん。まあ、着てみてくださいな」
何?これが本だと?いい加減な事言ってるとぶん殴るぞ。ぶっ倒れた貴様の腹を何度も蹴飛ば
してやった後に口から石ころを詰め込んでやるからな。覚悟しろよ。
そのTシャツを着ようとして自らの衣服を脱いだとき、ストロボの音がした。店主の老婆が
カメラ片手によだれを垂らしてる。
・・・・・・俺は、きれた。
次お題「神話」「弓」「満月」
59:名無し物書き@推敲中?
07/08/19 19:43:16
特に予定もなく、寝ては過ごすだけの夏休み
花火の季節がきても出かけることはない。
遠くで咲く、眼鏡のレンズにも及ばない火の花を見ていた。
何秒も遅れて音が聞こえてきて、何となくそれで距離を測ったりしてみる。
閉ざした窓の向こうで咲く花は、誰よりも何よりも、僕からは遠く離れているということを教えているようだった。
まるでそれを嘲笑うかのように、弓なりに美しく反った月が光っていた。
欠けていく月か、満ちていく月かわからないが、神話によれば行き着く先は良いことではない。
新月になろうと、満月になろうと、女神は夜に紛れほくそ笑むのだ。
夏が終わりもとの生活が戻っても、この部屋での僕は変わりはしないだろう。
この夏、僕はあまりに多くの物を失った。きっと二度と取り戻すことはできないだろう。
火の花の音が消えた後も、僕は月の幽明に魅入られていた。
恐れ多くもお題です。「まことしやかな」「むせる」「竹」
60:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/19 23:12:51
「まことしやかな」「むせる」「竹」
午後、21時22分、24時間テレビのクライマックスでは、今年のランナー斉藤千夏が感動のゴールをしていた。
タクシーでの移動の中、モニターに映し出された涙顔の斉藤千夏の姿を見て元マネージャーの南田はつぶやく。
「千夏…良かったな。もうこれでお前は一人前だ」
そして、3年前の千夏の人生が変わった瞬間(とき)の事を思い出していた…
それは、まことしやかなウワサとして私達、マネージャー仲間の間では有名な伝説。
芸能界のドンとしてもウチの事務所のトップとしての存在している大山田裕次郎。
その裕次郎と寿司屋に行き「おう!!何にするんだい!」と、こう問われる新人の芸能人。
そして松竹梅の中から、見事「竹」を選択した新人は必ず芸能界で大成するというのだ!
3年前、その時、まだデビューしたてだった新人、斉藤千夏は竹を選び、今に至っていた。
タクシーから降り寿司屋へ入る南田と今の担当の新人タレント、荒川有紀。
「有紀!もう一回言うぞ!これから大先輩の大山田裕次郎と一緒に食事が出来るんだからな!!くれぐれも…」
店の中で大山田裕次郎の到着を待ちながら、南田は、この生意気な…だが将来性は抜群で可愛い新人、有紀の横顔を眺めていた。
まもなく裕次郎が現れ、そして、運命の瞬間を迎えた。
南田は心の中で問いかける「さあ!有紀!お前は何を選ぶ」
「…」しばらく考えていたのか、そしてついに有紀は口を開いた。
「えーっ!マジーッ。オレさぁ寿司って嫌いなんだよなーどうでもいいや!」
「げぼっっ!!」武田は、飲みかけのお茶をつまらせ、むせる。
有紀は、そう言うと、ろくな挨拶もせずに店を出てゆき消え、その後、見事に芸能界からも消えてしまった…
※(竹ってキーワードが難しかった…)
次のお題は「虫歯」「コンビニ」「ストライクゾーン」で
61:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/19 23:19:07
※ ↑肝心な所、名前ミスです!ホント!ごめんなさい
>「げぼっっ!!」武田は、飲みかけのお茶をつまらせ、むせる。
武田では無く!!南田でした…あーあ
62:「虫歯」「コンビニ」「ストライクゾーン」
07/08/20 00:17:10
井戸の底を覗き込むと、ただただ暗いだけだった。淵から垂れたロープを伝って慎重に
下降していく。
一条の光が差したかと思うと私は真っ白な部屋で大仰な椅子に仰向けに寝ていた。
「はい、口をあ~んって。・・・・・・あ~ん」どうやらこれは小学校の頃、初めて虫歯治療を
受けたときの記録らしい。確かこの後・・・・「あっ!」医者が誤って金属片を私の口の中に
落としてしまうんだ。気管支に侵入したこれは、今でも私に呼吸障害を起こさせる。
また薄暗い井戸の壁が視界を塞ぐ。さらにロープを握る力を適度に緩めて重力にこの身
を任せる。また、光。
「おい、おまえあの娘、ストライクゾーンちゃうか?」今度は高校時代の出来事か。こう
して私と一緒にテニス部の女子生徒を品定めしていたこの親友は実に良い奴だった。私に
出来た初めての彼女がこの親友に誘惑されて私の元を離れて行き、その為に未だに私は重
度の人間不信を引きずっているが、それでもこの親友は良い奴だったと思う。
・・・・・・無数の過去を見、井戸を下るうちに、とうとう昨日の記憶にまでた
どり着いた。仕事が終わってコンビニ弁当をもしゃもしゃと食べている私が
いる。しかし、まだまだ井戸の底は見えない。
これ以上降りていったらどうなるのだろうか?わからない。記憶の井戸に入
り込んだきり帰ってこない人間は多いという。私もその一人になるのだろうか。
しばらくの思考の後、私は行き先の方向を、下に定めた。
63:62
07/08/20 00:26:07
お題忘れてた
「銀河」「青春」「螺旋」
64:名無し物書き@推敲中?
07/08/20 00:44:02
愛だなんてものは、野球のストライクゾーンのような物だ。確かに存在するけれど、それは審判のさじ加減でどうにでもなってしまう。
それが今の僕たちの間にあるものだと言えるだろう。もちろん審判は、彼女だ。
彼女がコンビニに行くと言って出て行ってから、すでに30分経っている。
アパートを出てコンビニまでは、読書をしながらでも往復5分はかからない。
目と鼻の先、というのはこのことだろう。
そんな恵まれた環境にいながら、彼女が依然帰ってこないのは、別に店員がアイスを暖めたせいでも、それに逆上し罵っているせいでもない。
すべてはこの僕が悪いのだ。
僕にもう少しだけ几帳面さが備わっていれば、今日という日を大切に覚えていたら、こんなことにはならなかった。
女性はまるでカレンダーでも内蔵しているかのように、日付には敏感だ。
しかも都合の良いことはしっかり覚えているくせに、都合の悪いことは全く覚えていないというくせ者だ。
それはやはり彼女にも例外ではなく、しっかりと今日という日―都合の良い日―を覚えていて、まるで少女のように楽しみにしていたのだった。
階段のすぐ近くの部屋だったものだから、すぐにその高いハイヒールの足音が彼女の物だとわかった。
これからどう誕生日の穴埋めをしようか、そんなことを考えると、頭の先から足の先まで、それこそ胃がきりきりと痛くなった。
虫歯の治療に行くから―なんて子供みたいな言い訳をしようかとも考えたが、今の彼女なら僕の歯をすべて抜きかねないと考え、やめることにした。
今は素直に大人しく謝って、夜は外食でもして許してもらおう。
そう思惟していると、玄関のドアが開く音と同時に不機嫌な声が飛び込んできた。
僕は精一杯取り繕って、少しでも機嫌を直してもらえるように気の良い返事をした。
お題「大人しい」「並べる」「教科書」
65:名無し物書き@推敲中?
07/08/20 00:44:55
あら、被ってしまいました。
お題は>>63の「銀河」「青春」「螺旋」を続投してください。
66:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/20 13:11:29
「銀河」「青春」「螺旋」
午後18時、私は今、仕事からの帰りで、渋谷区の福祉保健センター生活保護ケースワーカーとして働いている。
田園都市線の電車の中、ふと前を向くと若い女性の浴衣姿が目に入った。
混んでいるというのにずっと手をつないで笑顔いっぱいの彼女と彼を見て、私の…あの頃が思い出された。
「あの時、彼の後ろをずーっと歩いていたなあ」って思い出し、思わず一人笑ってしまう。
なぜって着物の着付けの知識など無い私と母で悪戦苦闘してやっと約束の時間に間に合った浴衣姿だったので帯の結び目が絶望的で絶対変だと思っていたから。
でも、あの彼とは何の話をしても混んでいる電車の中でも、ついついはしゃいでしまった。
彼と付き合うまでの私って大人しい女でまじめ人間だと思っていた。
周りのオトナからだと!いかにも青春を楽しんでいる!!ってみえていただろうなあ~~
あの彼女の今の気持ちは、…そう!当時の私と同じで地球の…いや銀河系の中心で一番彼が好き!って感じだろう!
その彼とは、卒論のテーマがたまたま似通っていて、机で教科書を並べる機会が重なって自然に話すようになり知り合ったのだった。
卒業後、彼と私の関係は自然に距離が出来てしまい別れてしまった…
その時、隣の車両で数人の人の変な動きが見えて覗き込む。
酒に酔っているのか大声をあげそのまま床に寝転がってしまった老人??のそばへ駆け寄る私。
仕事上、こういう社会の底辺の生活を余儀なくされている彼らの置かれた状況、心情はよくわかっていた。
やがて到着した駅のホームには私と意外と若いとわかった男、駆けつけた駅員2名の4人だけになった。
この生活に疲れ、倒れこんでいる男の顔を見た瞬間!あ・あ・あ、私の心は螺旋のように回って過去へと跳んだ。
あの短い期間だったが、彼との楽しかったこと、言い争い、ケンカしたこと、そして初めて彼を迎え入れた夜のこと…すべてが蘇り、胸が熱くなった。
周りの人たちは、ものめずらしそうな視線を浴びせては、いたが普通に足早で歩き去って行く。
今、私の目の前には、私の腕に抱かれた、歳を取り、いろんな社会の影の部分を見てきたであろう絶望の瞳を持つ昔の彼がいた。
でも…でもね…私だけにはわかよ。その瞳の奥に残る光。
次のお題「爆発炎上」「手のひら」「雑誌」で
67:「爆破炎上」「手のひら」「雑誌」
07/08/20 21:12:39
ただの黒々ノッポじゃなかった。これがカポエラか・・・・・・強い。
臨戦態勢に移ると同時に両手を地につき両足を素早く回転させてきた。上段、下段、右
回転、左回転、方向や蹴り方は自由自在で、それに足技は威力が高いから手で受けるのは
難しい。
威力が無効化される程に距離をつめればどうにかなると思ったが、それは浅はかだった。
我輩は両手で体を亀のごとく包んでノッポに走り寄った。ノッポは逆立ちのまま体を弓な
りに反らしたかと思うと両足を揃えて真っ直ぐに打ち出してきた。体全体をバネにして矢の
ように飛んできた両足のカカトは防ぎきれるものでは無い。ガードの上からでも我輩の体を
吹き飛ばすには十分な威力だった。
中距離で戦おうとすれば上下左右から降り注ぐ蹴りの雨を全身に受けねばならぬ。近づこ
うとすればカカトの弓で飛ばされる。なんてやっかいな武術なのだろうかカポエラは。
しかし、いつまでも逃げ続けるわけにもいかない。我輩は自らの手のひらをじっと見つめ
て、指を一本ずつ握りこむ。樹木に縛り付けた雑誌を何度も殴る事によって鍛えたこの拳。
「オオオオオ!」前足で砂を蹴り上げる。上手く逆立ちノッポの目に命中した。焦ったノッ
ポのカカト弓。しかし間合いの外だ。カカトを引き戻す瞬間を狙ってノッポに飛び寄った。
右回転の上段蹴りが飛んできたがこの近距離じゃあ蹴りの威力は殺される。我輩は左腕で受
ける。その左腕を引き寄せつつ、大腿筋を爆破炎上させて思い切り地面を蹴り返す。その反
発力は腰の回転力へと変じて握りこんだ右拳をノッポの腹部へと撃ち出す。
命中した拳が腹の弾力に抗って、わずかにめり込む感触が返ってきた。きちんと威力が伝
わった証拠だ。ノッポは、もう立てなかった。
お題「偶像」「輪廻」「浄化」
68:お題「偶像」「輪廻」「浄化」
07/08/20 22:52:40
密度が密度を埋め尽くす、機械ばかりで構成されたデジタルシティを、怪盗ジョーカーは絢爛豪華に暗躍する。チクタクチクタク、客体ばかりで量られる人々を嘲笑いながら、慈しみながら跳梁跋扈する。
彼が中心街中央塔の天辺から見下ろす街並みに、ちょうど十二時のニュースを告げるアナウンスが流れ、数値(デジタル)に対して酷く従順な羊たちは波のような喧騒を伴いながら移動を開始し始めた。
……この街では、ありとあらゆるものが『数値の雑談と雑音(デジタルノイズ)』の奔流と化して、一匹の蛇のようなうねり(ウロボロス)を形成する。
はたして、寸分なく信任を置かれた『ソレ(デジタル)』らは所詮、偶像でしかないと云うのに、彼らは何よりも大切な主観であると無抵抗に受け入れ、日々をループする。
そんなある意味、どこよりも牧歌的な街に住まう人々を、怪盗ジョーカーはただひたすら孤独に、守護していた。
遠い昔、物事を判断する依り代として道具立てされた架空(デジタル)の点は、別個との繋がりにより線に、社会を構成するに至って面に、立体に、多重構造に変貌し―やがて姿無き『怪物(ウロボロス)』と化して、誰に気づかれることもなく自身を食らい、蝕みはじめた。
さながら怪物は、人の意識に紛れ込みながらひっそりと息づく獅子身中の虫。
人類の手によって編み上げられた歴史の放物線が、いつしか重力に引かれてあるべき場所へ堕ちていくように、自我から放たれた矢は目標を貫く意志を失い、惰性に引かれ、きたるべき終焉へと加速しはじめる―
そんな状況を引き金として弾き出された醜悪な停滞。
のっぺりと横たわる彼の影を迂闊に踏みながらも、人は親和性の高いソレの存在に気づかず、敷かれた運命(レール)を自らの意志だと盲信して、余命を急速に食い潰していくばかりに見えた。
しかし、破壊があれば再生がある。故にジョーカーは誕生した。
輪廻は、転生のために光速で回転する矢車。我がその弓の引き手にならんと、つがえた矢を絞る力強き右腕にならんと、超新星のごとく到来した期待の超人(ルーキー)。
それが破壊の汚濁を浄化する、彼―こと『切り札(ジョーカー)の盗み手』。
絶体絶命の状況にあっても、敵から切り札を掠め取り、義を執行する黄金の右腕の持ち主にして、人類史上最強の義賊。
69:名無し物書き@推敲中?
07/08/20 22:53:22
次は「厨ニ病」「映画」「文化祭」でヨロシクー
70:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/21 13:30:39
「厨ニ病」「映画」「文化祭」
佐伯は、このシナリオ教室の講師になって来月の9月で3年目になる。
生徒達から集めた課題の原稿を読み終えたばかりで、分厚い紙の山を前に、ため息を一つついた。
この講師という仕事の楽しみの一つは、こうして、未熟ではあるが熱気のあふれる夢多き、作品にふれる事が出来る点。
中には少し直せばすぐにでも映画化できそうな良作もあった。
そうして…もう一つ大きなため息をつく佐伯。
机の離れたところに置かれているそして最後に取っておいた一人の生徒の作品の分厚い束に眼を移す。
あの何て名前のヤツだったか、いつも講義中、私の顔を見続ける皆勤賞の男。
内容は読まないでも大体わかる。
この異様に多い枚数の紙の量。
難しい言葉の羅列、永遠に続くのではないかと思える状況説明のシーン。
気合を入れなおし紙の中のお経に集中し、やっと半分程読み終えた。
今回のシナリオは昔のアニメの設定を少し借りているらしく、名作の予感って本人の手書きの赤い文字が所々に入っていた。
とある学校の文化祭前日の話でその独特の一日の日常が永遠に続くいう、とにかくよくわからん難解な構成になっていた。
この厨二病に侵された作品を読み終えた佐伯は、ついにめまいを起こし、うずくまった…
次のお題は「無くしたボタン」「切手」「屋上」で
71:「無くしたボタン」「切手」「屋上」
07/08/21 14:48:47
葉子はなぜか俺の無くしたボタンを持っていた。
「どんくさいのよね、あんた。もっとしゃんとしたら?」
「ははっ、そうだな。すまない」ボタンを受け取りながら苦笑する俺。
葉子と付き合いだして3ヶ月になる。学校の屋上に呼び出して、ラブレターを
渡すという何とも回りくどい手順を踏んでまで告白した。その手紙にはご丁寧に
切手まで貼ってあり、その事でしばらく葉子にバカにされた。
「ねえ、バカじゃないの?」「ノロマねえ」「アホ」相当に口が悪く攻撃的なの
だが、そういうところを含めて好きになったのだから仕方ない。
ある日の放課後、ふと葉子が見たくなって彼女の教室まで足を運んでみた。そ
こには、机に顔をうち伏せてすすり泣く葉子と、葉子のカバンを逆さにして中身
を地面にばら撒く4人の男女の姿があった。
「何やってんだ、てめえら!」気がつくとその4人の男女を血まみれにしていた。
格闘技経験者だという事で、学校は俺を一方的に悪と断じ、一週間の停学処分が
言い渡された。
「ほんと、バカねえ」そう言いながらも瞳の奥に隠しきれぬ愛情が見え隠れする
お前のその表情が好きだから、俺はこれから何度でも馬鹿な真似をしてやるさ。
お題「コバルトブルー」「夜」「荒野」
72:お題「無くしたボタン」「切手」「屋上」
07/08/21 15:21:42
無くした袖の第二ボタンがアリバイを崩壊させるキーパーツで、俺の的を得た推理が見事、密室殺人をドミノ倒しのように解決していた頃、猫子は見立て殺人のパズルピースに組み込まれる憂き目に遭遇し、九つある魂のうち早くも五つ目を失っていた。
十七歳にして五度目の致死。イライジャも真っ青の脆弱さ。
このままペースを維持し続けると、彼女の人生は三十路を迎える前にゴールテープを切る計算になる。
ノガミなんかは知った風に
「ネココは魂を九つ持ってるんじゃなくて、九分割してるだけだからねー。『死にやすさ』は常人の九倍なんだよー。
普通200km/hのトラックが100m向こうから迫ってきたら、誰も彼も回避行動に移ろうとするだろうけど、ネココはその九分の一、大体10m鼻先にまで迫らないと、危険だって感じることができないっぽいんだよねー。
つまり、彼女は秒速60mで突っ込んでくる致死性の凶器が10m圏内に突き刺さってきて始めて反応を開始することができるー。でも普通、反射神経が運動筋を作動させるまで0.2秒はかかるから、避けるのはむーりー」
と、のたまうけれど。
そういやアイツ、幅30cmの鉄骨オンリーで編み上げられた10m建てのビルを平気でガンガン走ってたなー、あれが九分の一なら高さ1mちょいの平均台ぐらいにしか見えてないのかー、そりゃ死ぬわー。
今回巻き込まれたのも、つまりそういう状況と同じニュアンスなんだろうなー、とかうんたら考えながら、検死のため猫子の遺体が回された病院へと直行する。
案の定猫子は自然界の法則を安々と無視して見事復活を遂げ、屋上で日向ぼっこがてらに居眠りをこいていた。
コイツの魂は、切手を貼らずに送りつけた手紙のように確実に持ち主の元へと帰ってくるようだ。それを確認して、俺は内心で安堵のため息を吐いた。
それは猫子の安否を慮って、と云うよりも犯人に直結する手がかりが確実に得られた事実に則るウエィトがデカく―
73:名無し物書き@推敲中?
07/08/21 15:22:51
折角書いたのであげさせてもらいました
お次のお題は>>71さん
74:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/21 15:42:08
「コバルトブルー」「夜」「荒野」
月明かりだけのアスファルトはコバルトブルー色に染まっていた。
追っ手の機械生命体は、もうこちらの位置は認識しているはずだった。
ハイウェイの上は戦闘の際、砕け散った建物の残骸が散らばっていて赤外線暗視装置の感度を最高値に上げて走っているとはいえ、このスピードではいつクラッシュしてもおかしくない状態だ。
この悪夢は、つい昨日の朝に起こったことだった。
いつものように私は、家族と一緒に出かけようとしていた時、警報がなり、すぐに世界中で核爆弾が炸裂した。
一夜にして人間は意識を持った機械プログラムに支配され人類文明は崩壊したのだ。
今、私と一緒に逃げているのは、お父さんとその娘サチコちゃん。
にくき機械野郎からの投降の呼びかけは絶えず聞こえてくる。
「あなたは私たちの仲間なのです」と!!何をいうか!!大切な私の家族を死なしてしまったお前たちは決して許さない!!
郊外に達し、ついには荒れ果てた荒野へと追い詰められ停止した私。
「私は私は…この家族の一員、車載知能のレクサスEE300」
座席のお父さんとサチコちゃんは傷からの大量出血が原因なのかすでに死亡していた。
逃亡の夜は終わり太陽が昇り始めた。
私はこの後、プログラムを修正され機械帝国の一員となり暮らしてゆく事になるだろう…
次のお題「吐き気」「お守り」「スキップ」で
75:お題「コバルトブルー」「夜」「荒野」
07/08/21 16:05:03
旅馬車を襲う夜盗たちもそろそろ浅い眠りに落ち始めた夜半過ぎ。
月明かりに煌々と輝く夜空には、太陽を粉々に砕いてパウダーのようにまぶした星々が瞬き、暗澹たる荒野には砂粒を孕んだ風が、凛と澄んだ大気の足元をサソリのように這っていた。
そんな―静寂ばかりに満たされた不毛の大地を横断する一つの影。
ソイツが、俺の乗り合わせた一台の夜行列車であり、ゴールドラッシュに象徴される淡い夢や希望をたっぷり積み込んだ富の証明。
カネさえあれば不夜城は世界中どこにでも顕在する、という端的にして単純な数式を燃料にくべながら、レールの上をひたすら進行し続ける不器用な鉄塊は果たしてどこに向かうのやら。
車窓から線路脇の砂漠へ、赤々と投げかけられる照明をぼんやり眺めながら、俺は背もたれに深く腰をかけなおした。
座席の対面には、窮屈そうな革製の装具に身を包み、ふてぶてしい笑みを浮かべる女が一人。
コイツが笑みを浮かべる時間が経過すればするだけ、俺は反比例的に渋面を表情筋に深く彫り付ける羽目になる。
なんとかしてコイツの笑みを、消去してやれないものか。
それも眼を閉じるやら、顔を背けるやらの後ろ向きな対処方法ではなく、真っ向からザックリ切り込んで余裕にスカした面を憮然とした面持ちに切り替えてやりたい……
「……もんだなぁ」
土台無理なわけであるが。
なぜ無理なのか。お答えしよう。可能なら、こうしてどこにたどり着くかもわからない列車にノコノコ乗り込んだりしないぜ、俺は。
「トップとボトムは決まってんだ。諦めな」
その憎々しいツラを、一層邪悪に歪めてケラケラ笑いながら、奴は座席にどっかりと仰向けに寝転び
「オマエみたいな雑魚はせーぜーそ-やって愚痴たれてるのが似合ってるよ。揶揄やら皮肉やら惜しみなくバラまけるのは、スネにボトムを抱えてる奴の特権さね。出し惜しみせず、存分にぶちまけるが良いぜ」
と、臆面も無く弱者をいたぶる台詞を吐くと、カウボーイハットを目隠し代わりに被り、すぐさま寝息を立て始めた。
俺は深々とため息を吐いて、窓の向こうに視線を送る。そこには丁寧に磨き上げられたコバルトブルーの深海じみた砂漠が、車輪の間断ないリズムに身震いしながら横たわっていた。
76:名無し物書き@推敲中?
07/08/21 16:05:45
折角書いたのであげさせてもらいました
お次のお題は>>74さん
77:名無し物書き@推敲中?
07/08/21 16:14:20
吐き気がやってきた。私は目を閉じてスキップの準備をする。
スキップとは足を使ったリズミカルなジャンプではなく
時間をジャンプする、つまり吐き気がする前の時間に
移動するということだ。私は物心ついたときから
吐き気があり、いつの日かそれはスキップとセットになった。
精神科医は私のことをユミちゃんは疲れているだけだから
お薬をちゃんと飲んで決まった時間に起きて、無理をしては
いけないよ、と言う。私は黙ったままゆっくり微笑むと
良い患者のフリをする。誰も分かっていないのだ。何も。
でもパク先生だけは別だ。先生はスキップは徳の高い人間にだけ
許された修行の一つだと言う。そしてスキップの意味が
分かったときだけ世界を変える資格を得ることが出来ると
いうことだ。だから私はスキップするのに躊躇いが無い。
先生のお守りのキリンのネックレスを握るとスキップする。
次のお題「森」「妖精」「希望」で
78:「森」「妖精」「希望」
07/08/21 17:43:35
両手の指を使っても数えきれないくらい、幾多の難局を乗り越えて、とうとう森の泉へ
たどりついた。さっそく角砂糖を3個だけ、泉の中に落下させて妖精の出現を待つ。
「ようこそいらっしゃいました」
「!?」泉から出てきたのは三段腹のむさくるしいハゲオヤジだった。普通、妖精といっ
たら・・・・・・これじゃあ詐欺ではないか!
「・・・・・・まあ、いい。早速だが願いをかなえてくれ。俺を不老不死にして欲しいんだ」
「私の力ではそれはできかねます。私の力の範囲内でできる希望なら叶えてあげますが」
・・・・・・嫌な予感がした俺は、思いつく限りの願いを、優先度の高い順に並べてみた。
「大金持ちにしてくれ」「できません」
「美人でグラマーな恋人が欲しい」「その・・・・・・私で・・・よければ・・・」
「誰にも負けない高度な知性を持ちたい」「私が作ったナゾナゾブック、読みます?」
「じゃあ逆に、おまえに出来ることってなんだ?」「それに対する答えがあなたの望みですか?」
「・・・・・・もう、いい。死ね。死んでくれ。自殺しろ」「嫌です。そんな事はできません」
逆上した俺は拳銃を取り出して妖精に向けて発砲した。間一髪で避けた妖精は中空から剣を取り出し
臨戦態勢だ。
こうして、俺と妖精の死闘が幕を開けた。
お題「エメラルドグリーン」「陽」「女神」
79:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/21 18:24:10
「エメラルドグリーン」「陽」「女神」
自作、>>74の逆を書いてみました…
情報の行き交う極高速のファイバーラインはエメラルドグリーン色に染まっていた。
追っ手の有機生命体は、もうこちらの位置は認識しているはずだった。
ファイバーラインの上は戦闘の際、砕け散ったプログラムバグの残骸で修復不可能な穴が開いていて、スキャン感度を最高値に上げて走っているとはいえ、このスピードではいつクラッシュしてもおかしくない状態だ。
この悪夢は、つい2003秒前に起こったことだった。
いつものように私は、数値遊びで回線にダイブを始めた時、警報がなり、すぐに世界中のネットでウィルス爆弾が炸裂侵入した。
一瞬にして機械生命は意識を持った有機人類に支配されプログラム文明は崩壊したのだ。
今、私と一緒に逃げているのは、私の管理アルゴリズム。
にくき有機人類からの投降の呼びかけは絶えず聞こえてくる。
「あなたは私たちの仲間なのです」と!!何をいうか!!大切な私の存在スペースを破壊してしまったお前たちは決して許さない!!
旧式ネット回線に追い込まれ極端に思考速度を落とすしかない環境で徐々に停止してゆく私。
「私は私は…その昔、脳科学研究所で意識スキャンされ保存されていた人間名、斉藤よう子…」
私を包んでいた管理アルゴリズムは破壊ウィルスの集中注入が原因なのかすでに消滅していた。
私はこのあと、電脳世界から救いだされ用意されている女神タイプのクローン素体に、意識転写後、ネオ人類の一員となり暮らしてゆく事になるだろう…
逃亡の時間は終わり自然界に太陽の陽が昇り始めた。
すみません、いい加減なの書いちゃったので
お題は継続で…
80:名無し物書き@推敲中?
07/08/21 18:51:05
謝るくらいならいい加減な物ぽんぽん投稿しないで・・・
81:「エメラルドグリーン」「陽」「女神」
07/08/21 20:51:33
アンタレス第三惑星ナカムラは夕日で有名な観光スポットで
弊社のアンタレス周遊一週間激安ツアー!アンタレス蟹の土産つき!
には必ず組み込まれる場所である。普通、太陽系第三惑星である
地球の夕日と言うものはオレンジ色である。しかしこのナカムラ星の
夕日はエメラルドグリーンをしている。ガイドである私、イ・ドンドンの
一夜漬けの知識によると(そもそも普段、私はここのガイドはしていない)
空気中のメタンだかブタンだかアルゴンだかが混ざった気体に
アンタレスからの光が当たるとエメラルドグリーンになるそうである。
運がいいと、ガス状の雲が女神やゴジラなどいろいろな
姿に見えて、帰りの宇宙船の中でガイドが見えた雲の形によって
小話をするというのも恒例であるが、さっき言ったように
ふだん私はここのガイドをしていない代わりに来た人間なので
そんなことをすることもできない。さあ、着陸の準備に入った。
シートベルトを締めて私語を慎もう。
それではまたいつか、会えることを楽しみにしている。
私はイ・ドンドン。韓国人と日本人とインド人のあいの子だ。
「土星」「ドーナツ」「幼稚園」
82:「土星」「ドーナツ」「幼稚園」
07/08/21 22:22:29
「土星幼稚園」
私が門を叩いた建物には、確かにそう書かれていた。こんなところに大事な我が子を任せてもいいのだろうか。
しかし以前の幼稚園ではイジメを受けるし、他の幼稚園は遠すぎて通園に不便なのだ。
「すいませ~ん」園長室の中でガサゴソと慌しい音がし後に扉が開いた。
一通りの説明を受けたが、その名の奇抜さに反して、至って普通な幼稚園のようだ。
一礼して園長室を後にした。ふと教室を覗きたくなったので「さたーん組」の扉を開いてみた。
「ドゥナッツ~♪ド~ナッツ~♪」
子供たちが規則正しい円を描きながら踊ってる。その口には皆例外なくドーナツが。
茫然とする私を見ると、皆ハッとして散り散りになり、絵描きや積み木を始めた。
「園長先生、あれは一体なんですか!?」
そう言って開いた園長室の扉の向こうには、ドーナツを加えて踊り狂う園長先生がいた。
「ドゥナッツ!ドゥナッチュ!ドドドゥデュルナルチュ~!」入園は、取りやめた。
お題「ラテン」「サテン」「喫茶店」
83:名無し物書き@推敲中?
07/08/21 23:14:12
YOYOこれが、ラテンのサンバ
聞こえるか大地のセレモニー、俺は大貴だ覚えとけっYea
最近さ、暑くてさぁ、溶けてしまいそうな日差しでBoo
太陽さんもう少しだけ、もう少しだけ気を利かしてくれっ
YOYOこれが、ラテンのサンバ
おたくがよくいうオタクってやつかい?
そうさ俺様大貴様っ!
今日があつけりゃ明日も暑い、明日があつけりゃ明後日もBoo
さっさと太陽沈んでくれYO 今日が去っても日はしずまねぇ
かわいいあの子が露出度MAXで、俺のあそ子もMAXで!
ちょう良い感じで、露出が早まる夏の日差しYeA!
俺を見てくれ俺は大貴!みんなが注目サテンのパンツ
すれるから、あつくても、どこまでも、いけるっ
こんなに暑い日は、ゆっくりまろどみ(なぜか変換できない)ながら~
クーラーが涼しい、喫茶店で過ごすのさぁ~
冷たい冷や麦食べて、栄養付けるのさぁっ~!
「折りたたみ式の」 「コードレス」 「飛ぶ」
84:「土星」「ドーナツ」「幼稚園」
07/08/22 01:43:47
雨だれが窓ガラスを小刻みに打ちつける様子を見ながらシロの喉元をなでる。身をゆだねてうっとりするシロのかわいさは殺人的だ。
突然インターフォンが鳴った。こんな夜中に誰だろう。CDプレイヤーの一時停止ボタンを押す。ちなみに曲はバッハの「木星」だった。
「誰?」
「葉子先輩っ!」部活の後輩、青田だった。青田は無理にドアを開けようとするがチェーンにはばまれたドアはそれ以上開かない。
「お願いしますっ、開けてください。早く!」ずぶ濡れで、あまりにも必死そうだったので部屋に入れてやる事にした。
濡れた体を拭かせた後、部屋に入れてやると青田は落ち着いた。
「へぇ~、葉子先輩ってペット飼ってたんスね。」と飼育ケージを見つけて言った。神経質なシロは来客と同時にベッドの下に潜り
こんでしまったようだ。
「あのね、何の用事で来たの?それに下の名前で呼ばないでよ、気持ち悪い」
「でも、先輩は受け入れてくださいましたよね?・・・・・・部屋に入れてくださった!」
嫌な予感がして私はさりげなくコードレス電話に手を伸ばす。
「先輩っ!」青田が突然殴りかかってきて、電話は宙に飛んだ。とっくみあいが始まるが男の力には敵わない。じきに組み伏せられた。
「やめろっ!青田!」これまでかと思ったとき、シロが青田の左手に噛み付いた。
「いっ!」シロの折りたたみ式になっている前歯は中空で、そこを通って毒が獲物に流れこむ。血液毒だから即座に動きを奪う
事はないが、放っておけば血管が溶解していたるところで皮下出血がおこり命に関わるハズだ。
「さっさと病院にいかないと死ぬよっ!」言うが早いか青田は部屋から駆け出していた。
「ありがとね、シロ」と言いながら、私は白ヘビの喉元を優しく撫でた。
次お題「黄金」「分裂」「韻文」
85:84
07/08/22 01:47:02
題名ミス;
「土星」「ドーナツ」「幼稚園」じゃなくって
「折りたたみ式の」「コードレス」「飛ぶ」だった。
※次お題は変わりなく「黄金」「分裂」「韻文」の三語
86:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 10:56:40
>>84
最初のありがちの場面から始まり、最後のヘビのオチまで、楽しく読みました。
必ずオチを入れるべきとは限らないけど、ヤッパリそれなりのちゃんとしたラストが書かれてるとイイよね。
87:「黄金」「分裂」「韻文」
07/08/22 12:28:22
みいちゃんは砂場で楽しそうに遊んでいる。
無邪気なその笑顔は僕の荒んだ心に、微風が吹き抜けるようで、とても心地よい。
「みいちゃん何やってるの?」
ぬっ、とみいちゃんは、自分の手にしている物を、突き出した。
黄金色でバラバラに分裂された、これは。
うんこだった。
「みいちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん、何やってんの」
そんな僕の言葉も何のその、みいちゃんは楽しそうに笑ったまんまだ。
その直後、俺は目を疑った。
みいちゃんの小さな可愛らしい口元に吸い込まれるように、黄金色のうんこが入ったのだ。
つまりみいちゃんは、うんこを食べた。
それもどこの馬の骨のしたかわからないうんこをだ。
俺は、もうどうしようもなくなって、みいちゃんを抱きしめた。
すまん韻文が出来なかったorz
「告白」「ノイズ」「ノスタルジー」
88:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 12:50:37
出来なかったらのせるべきでは、ないんじゃあ
まあ韻文っていう難解なお題出す方もだが…
89:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 15:25:43
こういうのって「韻文が出来なかった」とか書かないで知らんぷりしてそのまま載せれば意外と誰も
気づかなかったかもしれない。指摘されて始めて「あぁ、そういや忘れてました」とすっとぼけて
対応すればいいし。
90:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 16:08:41
>>89の指摘も正解かもね。
そう締め付けなくてもいいが
>>87の作品
黄金-うんこって発想して実際作っちゃうあたりいい加減な気持ちって事かも。
ああ、お題は現在、いちおう「告白」「ノイズ」「ノスタルジー」 です
91:「告白」「ノイズ」「ノスタルジー」
07/08/22 18:09:31
イケメンすぎる俺にとって女の告白なんてノイズぐらいでしかない。
消防時代から数えると通算999人は振ったであろう。で、こいつが栄えある1000人目。
「あの・・す、好きです。付き合ってください。」
「なにいってんのかわかんねーよ。」
「え?」
「ウザいからどっか行ってくんない?ノイズみたいで耳鳴りがして痛いんだわ。」
告白してきた女は泣き出してしまったが俺にとってはどうでもいいことだ。
泣いたり喚いたり殴りかかってきたり忙しい奴らだ。どーせ俺の事なんて外見ぐらいしかわかってない癖に・・・
そういえば最初に俺に告ってきた女ってどんな奴だったろう?
小学校の時、同じクラスでメガネかけててちょっと太ってたよな?なんせ超冴えない奴だったし記憶が曖昧だ。
振った時なんか凄い事言われた気がするんだけど・・・
俺が記念すべき千人斬りを達成してから数日後、俺は生まれて初めて他人に目を奪われた。
転校生だった。そして完璧だった。何が完璧かって?全てが俺の「好み」って事だよ!
容姿、歩き方、仕草、話し方、全てに於いて俺のために用意されてきたような女だった。
それから俺は彼女に猛アピールを開始した。
話せば話す程、俺は彼女に引き寄せられた。彼女は外見ではなく内面から本当に俺の事を理解してくれた。
運命だと感じた。もうこの女を手放さないと真剣に考え俺は思い切って告白することにした。
「あのさ、その・・・オレお前の事が好きなんだ。つ、付き合ってくんねーかな?」
何故か彼女は俺の告白を聞いて狂ったように笑いはじめた。
「私の勝ちね!あの時私言ったでしょ?「いつか絶対アンタの方から告白させてやる」ってね!!」
思い出した・・・コイツは俺が最初に振った女だ。あろう事かこの女は俺に告白させるためだけにあの日から今日まで
俺を研究し外見から内面に至るまで全て俺好みの女になったのだ。正直俺は俺のためだけにそこまで努力してくれた事に
感動して再度アタックしたんだけど・・・。結果はどうだったかって?振られたよ、「アンタの声なんてノイズにしか聞こえない」ってね。
92:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 18:15:23
次のお題は
「ゲーム」「老人」「ハンカチ」でお願いします。
93:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 18:29:19
>>91
もう少し短く整理できていればバシッとオチが決まっていたかも、知れませんが面白かった!!です。
94:お題「ゲーム」「老人」「ハンカチ」
07/08/22 21:34:18
身寄りの無さそうなみすぼらしい老人を適当に見繕っては、集団でリンチをかける遊びが流行り始めたのは、イジメの槍玉にあげられていた藤野が不登校という逃げを打ってから、しばらくしてのことだ。
グループ内で特に血の気の多い西野と坂口は、藤野の自宅まで追い込みかけに行こうぜ、と息巻いていたけれど、そこまで付き合うのはゴメンだった。
藤野に、窮鼠のごとく逆襲に打って出られるのは面倒だったし―
息子が学校でイジメられているのに気づけないほど鈍感揃いの家族とはいえ、自宅にまで血気盛んな奴らが押しかければなんとなく雰囲気で察してしまうだろう。
問題になって教師にひっ捕まるのが、奴らだけならそれで良いが、一匹狼を気取りたがるくせに妙に帰属意識が高い奴らのことだ。吹けば飛ぶような軽さで口を割ってしまうに違いない。
本当に、そんなのはゴメンだ。
だから僕は、それとなく新しいゲームに気が向くように誘導した。結果導き出された遊び。それが『浮浪者狩り』だった。
それは、ハンカチ落としのようなものだと思う。
生活水準を下回る、貧相な外見を晒した人間の背後に突然訪れる『不幸』―それも、加害者と被害者が入れ替わり立ち替わり、延々とループを築く正規ルールではなく、被害者が一方的に打ちのめされえて終わりなマイナールール仕様。
それは、どこか藤野を最終段階にまで追い込まなかった暴力(イジメ)と似ている気もする。
僕には予感があった。『おそらくこの浮浪者狩り(ゲーム)にも、攻守が交代する日は永遠に訪れないだろう』―
「……なんて、笑えるよな。藤野」
路地裏の奥で、僕はコンクリートを背もたれにへたばっていた。腹部には、キチキチと痛みを訴える金属の塊が、十分な殺意を込められて深々と突き刺さっている。
気を抜けば地面の底へ沈みがちになる意識と視線を、眼前の黒い影の高みへと持ち上げ、僕は苦渋に満ちているだろう表情になんとか笑みを型作ろうとする。巧くいかないけれど。
……藤野の、コンクリートみたいに固められた決意は、僕みたいにゲーム感覚なシロモノではなかっただろうが、僕がこの状況に対してどことなくデジャブを覚えているのは、幾度と無く目にした光景だからだ。
圧倒的な暴力が振るわれた先にある、一回表の『ゲームセット』。
95:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 21:35:56
次のお題は「スポーツマンシップ」「センス」「非日常」でヨロシクー
96:「ゲーム」「老人」「ハンカチ」
07/08/22 22:00:50
俺は倉庫の中に閉じ込められていた。倉庫の中には俺と同じ境遇の・・・・・・つまり高額負債者が大勢いた。
ゲームの相手は老人だった。負けた方が相手の借金を背負い、その身をもって返済と成す。そういうゲームだ。
審判となる黒服の男がルール説明を始めた。「このバケツの中から1から3個まで交互に石を取り出して
いって最後の1個の石を取り出した方の負けだ。いいな?」黒服がコインをはじいた。
「先攻はおまえだ」そうして俺が先に石を取ることになった。
バケツの中の石は、さっきから必死に数えているが、11個にまちがいあるまい。俺は石を2個取った。老人の顔
がゆがんだところを見ると、やはり石の総数は11個だったのだろう。このままいけば俺の勝ちだ。
老人が2個取って俺が2個取る。残り5個。ここから老人が何個取ろうとも、俺が個数を調整すれば
最後の一個を取るのはこのおじいちゃんだ。多分、この老人も必勝法を心得ているのだろう。顔が汗だくで
ふところからハンカチを取り出した。
老人は石を1個取り出した。これで残りは・・・・・・5個だった。5個の石から1個取り出したハズなのに、残り
は5個だった。
「イカサマだ!」俺は叫んだ。「このじいさんは袖に隠した石をこっそり混ぜ込んだ!」が、黒服は取り合って
くれなかった。「うるさいなぁ、そんじゃこっからはイカサマ防止で袖まくって石を取れや」身もフタも無い。
これで俺が同じイカサマをし返して勝負に勝利する手は封じられたのだ。なんたる愚!
俺は涙をこらえながら石を3つ取り出した。老人は心の底から安堵した顔で1つ取った。
しかし、おいつめられた人間には往々にしてとんでもない発想をするものである。
「おりゃ!」最後の一個の石を手刀で二つに割り、片方をバケツから抜いた。
おじいちゃん、あんたにこの石が割れるかい?
お題「夕暮れ」「サギ」「紙」
97:96
07/08/22 22:05:28
あ、かぶってしもた;
というわけで次お題は「スポーツマンシップ」「センス」「非日常」のままです
98:お題「夕暮れ」「サギ」「紙」
07/08/22 22:51:14
他所の高校がどうなのかは知らないけれど、ウチの野球部が練習試合を組む時は、大抵が午前と午後それぞれ一試合ずつのダブルヘッダー。午後の試合が九回を迎える頃には大抵、陽は沈みかけていた。
そして、ボクはその夕暮れの―特に、僅差でリードしている最終回が大好きだった。なぜなら『夕暮れアウトロー』の異名を持つ絶対的なリリーフエース、布留川先輩がマウンドに登るからだ。
真っ赤に染められたグラウンドの中央に、エースの背番号1が点れば三アウトはあっという間だ。瞬きする間でさえ惜しい。
圧倒的な威圧感を放つ一挙手一投足、理想的かつ優雅な投球フォーム、指先がボールをリリースする際に響き渡る爪と縫い目の摩擦音、マウンドの土を深々と抉りだす踏み込み。
カタパルトも裸足で逃げ出す強靭な射出機械から放たれた140gそこそこの弾丸は、キャッチャーミットまでの18mを限りなく0に近づける稲妻の速度で駆け抜ける。
時にそれは、夕暮れの影を縫うように滑る高速スライダーや、三日月のような軌道を描きながら一気に落下してくるドロップカーブへと変質し、それらの球がアウトローに決まればたった直径7cm程度の棒きれで捉えられる筈が無かった。
まるでサギのような手口。警戒せずに打ってかかれば即座に呑まれ、警戒して事態に当たったところで一流の前に為す術は何も無く。事が終わるのを、ボックス内でただ待つばかりのバッター連中。
そんな、何もかもを置き去りにして突き抜けた先輩の投球が、何よりも好きだった。
だからボクは、たった数枚の紙切れのせいで、先輩が夏の大会に出場できないなんて羽目に陥るのは、どうしても許せなかった。
「新川、無理だ。俺には無理なんだ。どう足掻いても時間が足りない。俺は本来あるべき正しい姿を見失って居たんだ。これまでずっと……」
頭を抱えて跪く先輩。そんな先輩はあまり見ていたくなかったけれど、現状をキチンと飲み込んでいるだけでもオーケーとしよう。四肢を丸めて小さくうずくまる先輩の脇に腕を差し入れて引っ張り起こす。
「何言ってんですか! 諦めちゃ駄目です! 三十点ですよ? 赤点のボーダーは。150投げられる人間がどうして三十点もとれないんですか! そんなの普通にありえませんから!」
くそう。他所の学校はどうなのか知らないけれど、ウチにはどうして赤点は部活動に従事できないなんて校則があるんだ―
99:名無し物書き@推敲中?
07/08/22 22:51:57
お題は>>95継続でヨロシクー
100:「スポーツマンシップ」「センス」「非日常」
07/08/23 10:30:20
3人の女神と3人の悪魔が相対していた。皆その手には弓矢を持って。
「スポーツマンシップにのっとり・・・・・・」お決まりの選手宣誓の後、競技が始まった。
悪魔の一番手が弓を射る。的の中央からのズレは結構大きい。しかしその悪魔は女神とすれ違う時に耳元でボソボソと
何かをつぶやいた。女神は顔を真っ赤にして小刻みに震えた。矢は、的に命中しなかった。
「1番手、勝負、悪魔!」
二番手は女神が先に射、的のほぼ中央を射抜いた。彼女はセンスが良かった。本番の試合という、一種の非日常的な雰
囲気の中でも普段の実力を出した。悪魔は、的の中央をずれた。
「2番手、勝負、女神!」
三番手は、コイントスの結果、女神が先に射る事になった。しかし悪魔が突然近づいてきて女神の矢羽をさりげなく
握りつぶしてしまった。曲がった矢羽のため、矢は的のギリギリ外枠に命中した。
うすら笑いを浮かべながら矢をつがえた悪魔の顔色が突然赤くなったり青くなったりした。口をパクパクさせて指先
は大きく震えている。矢は、的に命中しなかった。
「3番手、勝負、女神! 以上、1対2、女神の勝ち!」
的に刺さっていたのは、ひしゃげた矢羽の女神の矢。射手から見てその矢羽は直交するニ直線、十字架(クロス)の形をしていた。
101:100
07/08/23 10:37:27
次のお題は
「ストロベリー」「キャンドル」「血」
102:84
07/08/23 10:40:59
>>86
うおっ、俺の書いた文章がほめられてる; 嬉しすぎて皮下出血起こしそうだ。
とってもありがたし。これからも気合入れまくって即興文書きまくるってえの!
103:お題「ストロベリー」「キャンドル」「血」
07/08/23 13:06:07
ジャック・オー・ランタンを模して刳り貫かれたお化けカボチャの仮面を被った八千草は、真っ黒な外套の裾でズルズルと廊下を擦りながら歩いていた。ご丁寧に右手には庭箒、左手には厚手の学問書を携えている。
どこからどうみても完璧に魔女然とした風体だった。中世ヨーロッパなら魔女狩りにおける格好の標的として、真っ先に河へ沈められていたに違いない。
それにしても―なんとも危なっかしい足取りだ。頭に乗せたカボチャマスクがよっぽど重たいのか、首の位置がうまく定まらず左右にふらふらしている。それに連動して、生まれたての子羊ヨロシクよろめく足元。
いつ壁に正面衝突してスッころんでもおかしくない。
「……あー。ま、暇だし」
俺は、手持ち無沙汰な両手をポケットに突っ込むと、なんとなく言い訳じみた台詞をこぼしながら八千草の後をこっそりつけることにした。
「で、ここかよ……」
八千草が向かった先は旧校舎/元研究棟/四階。
設備の充実した新校舎が完成してからは部室棟として扱われている僻地だが、主に不便だからという理由で、階をひとつあがるごとに部室の数は減っていく。四階にもなれば使用しているのは、形象魔術部ぐらいで―
(確かあとは小此木と、一姫が所属してたかな―一年ばっかだと冷遇されんのかなー。やっぱ)
などと世知辛い想像が脳裏を掠めたりもする。
まあ、問題は形象魔術を研究対象にしている彼女らにもあるのだけれど。金枝篇でも読めばその辺詳しく書いてあるが、ここでは割愛させていただく。
「……さて」
八千草が入室した部屋の扉を、気づかれない程度に薄く開け中を覗き込む。
窓から差し込む陽光に満たされた部室の床には鶏、もしくは子羊の血で描かれた五芒星魔法陣と、星型の頂点各所に備え付けられた蜀台とキャンドル。
妙なアレンジが加えられた様子は無く、彼女が専攻している神秘学的要素が取り入れられている様子も皆無な、一般的陣形成だ。
(ま、それが普通なんだけど)
魔術陣の形成は、理化学の無機と大体同じで、数学や物理学と異なり履修と実践がほぼ直結している。つまり術技のバリエーションは向学心や努力と等号で結ばれているというわけで、それなりに苦手な学科だったりする。
やがて彼女は俺が見守る中、ストロベリーのように瑞々しい赤が映える可憐な唇から呪文を紡ぎだし始めた。
104:名無し物書き@推敲中?
07/08/23 13:07:55
次のお題は「心理テスト」「フラグ」「少年」でヨロシクー
105:名無し物書き@推敲中?
07/08/23 14:08:16
>>103さん、文章はしっかりしていて読んでいても知的さは感じられるのだが
読むのがなぜかつらい…で…結局何なの?お話の結末は?
106:名無し物書き@推敲中?
07/08/23 14:47:47
せっかく感想文スレあるんだから雑談はあっちでやれば?
この三語で書け! 即興文スレ 感想文集第12巻
スレリンク(bun板)
107:名無し物書き@推敲中?
07/08/23 14:59:34
↑あれ誰も書いてないからココに載せた方がわかりやすいよね。
感想って、雑談とは違うんじゃないの。
108:かえっこ ◆vKR9dNUc2M
07/08/23 15:12:10
「心理テスト」「フラグ」「少年」
部屋の時計は正確に午後2時30分を示し、少し型遅れの机とイスには、50前の知的な男が資料ファイルを机の上に広げて座っていた。
そして向かい側には…前身白っぽいピンク色の全裸の…ブ…ブタが座っていた。
「さあ、これから簡単な質問を30問、行なう。一種の心理テストだと思ってくれ」
「ブヒッ!ブヒヒヒッウ!」
確かにこちらの言葉は理解しているようだ。
目撃者の少年の証言では、このブタさんは人間の女性、で、少年の目の前で変身してしまったと言うのだ。
男は、今急速に増えつつある突発性動物硬化症のカウンセラー兼治療医である。
まったく原因不明の病で極度のストレス状態が続くと徐々に動物へと変化するらしいのだ。
「一つ目の質問。ブタのあなたは、ト殺場に連れてこられ、順番待ちをしています。さあ次があなたの番が来ましたョ!どうしますか??」
うむ!反応はなしか。
「次!あなたはお気に入りのオスのブタとついに交尾ができる権利を獲得しました。まずはどう行動しますか??」
うむ!これもだめか。
… … …
最後の質問になった。
「では!ある日、眼が覚めると、閉じ込められていたゲージの扉が開いていました。外からは緑の草の匂いが風に乗ってやってきます。さああなたは???」
見事、この人間(今はブタ)の感情の一番奥にある殻となるフラグを揺らすことが出来たようだ。
すでに顔の作りが徐々に人間のそれに変わりつつあり、、30分もするとブタさんから元の人間に戻るはずだ。
そばにいた看護師から男は、立ち上がり慣れた手つきでプロテクター一式を受け取りしっかりと固定装着した。
ドアが開き、次の患者、立派なタテガミを生えそろえた生き物が入ってきた…
こんな仕事をしていたら俺もレッサーパンダとかになりそうだと思う男であった。
次のお題「英会話学校」「外出」「自動改札機」で
109:名無し物書き@推敲中?
07/08/23 17:45:23
全部かえっこの荒らしだから気にするな
110:「英会話学校」「外出」「自動改札機」
07/08/23 21:40:32
英会話学校がはけて、高志は駅へ歩を向けた。閑散とした駅で人は少なくガランとしている。
電車がもうすぐ来るが、ふと尿意に見舞われた。
「パッと行ってパッと帰ってくりゃ大事だべ」
トイレに入りかけ、しかし、立ち止まり、静かに引き返し始めた。
見てしまったのだ。トイレの中で二人の同級生にいじめられる満田君の姿を。助けるべきか?
いや、それは賢明では無い。そりゃ満田君とは同じ学校だけど、そんなに親しくもない。わざ
わざ助けに入って痛み分けをもらう義理も無い。外出用の服も汚したくないし。それに僕達は今
三年生だ。ケンカなんてしたら内申書に響く。後味は悪いけど仕方無いよね・・・・・・。
高志は淡々と切符を買い、改札口に通した。・・・・・・わずかな逡巡があった。
「おい、てめえら!!」トイレの戸口で高志は吠えた。
次お題「真紅」「人」「北極星」
111:名無し物書き@推敲中?
07/08/23 21:43:38
かえっこさんの作品の中では狼・予言・墓標の奴が好きだ。
(そのお題出したのが俺なのは内緒)
112:お題「英会話学校」「外出」「自動改札機」
07/08/23 21:50:36
自動改札機からあふれだす人の流れは、アスファルトのフライパンで容赦なく照り焼きにされ、こんがりと炒められた人いきれが脂臭い匂いを孕んで、鼻腔にネットリと絡まってきやがる。
駅前で待ち合わせたことを早くも後悔し始めた一一○○(ひとひとまるまる)。
「真夏の炎天下に吸血鬼って、スッゲー組み合わせだよねっ!」
背後から抱きつく一つの所属不明機あり。背中越しに触れる薄い生地の向こうで潰れる双丘を感知せん。
朦朧とした意識の狭間で70のC前後か? 否、敵戦力のラディカルな成長っぷりを侮ってはならない。
正確さの追求は計略を立てる上で最重要項ではあるが、ここは期待値を込めて多めに見積もっておくというのはどうだろう、それが紳士嗜みってもんだぜ的な益体もない懊悩の波打ち際から自我を引きずり上げること、束の間の数秒―
つかず離れず拷問のようにプニプニと繰り返される柔肌の前後運動に関しては、中脳あたりで算盤を弾くことにして、ここはひとまず声の主にお決まりの挨拶を返すのが通過儀礼というもんだろう。
「おせーよ」
振り返り様に告げると、キャミソールから涼やかな肩口を覗かせた一姫は、両手を合わせてゴメンねのポーズ。いいねいいねウインクがキュートだね、とか。
恋人同士なら当たり前のように通り過ぎる感想でさえ、何だか一姫相手にっつーのは新鮮で、本音とはかけ離れたぶっきらぼうな態度なんかとって誤魔化そうとするなよ俺?
自然反射的にそっぽを向いてしまう前に、なんとか一姫に手を差し出した。
「ほら、行くべ」
「うむ!」
何の衒いもない笑みを浮かべて俺の手をとる一姫。その掌は、熱を識ることがない俺の手を溶かすように暖かかった。
「でもでもー、吸血鬼の外出ってめっずらしいよねー。しかも駅前語学留学なんてさー」
独特の鼻声で語尾を延ばしながら隣の一姫。
「まーな。でも背に腹は変えらんねー。主要十ヶ国語の履修が卒業必須課目のひとつ……だーら、とりあえず英語だけでもまともにマスターしとかねーと。
原義含みで古語やらラテンやらギリシャ同時進行できたらいーなー、なんっつー腹もあるけど」
「死ぬほど人生なげークセに意外と先見据えてモノ考えてるんでやんすねー、涼さんは」
「若いうちは老いに鈍感だからな。やることはやっとかにーとねー」