09/06/27 06:05:25
気を取り直して出発することにする。とりあえずここからランプまでのルートを確認する。
「ここから先はしばらく道のりで行くとして、ランプまでの道順はどうなっているんでしょうか?」
「というと?」
「中央高速のランプだと一方方向の可能性が高いので、高速沿いにどこかで東の方に左折しなきゃいけないかな、って思いまして。」
「いや大丈夫だよ。この道はこのまま自動車専用のバイパスとして高速道路と立体交差しているからね。」
「というとそこのジャンクションで高速の入口に直接入れるんですか。」
「ああ、最近できたんだよ。もうすぐバイパスの入口だよ。」
見ると、前方に道の真ん中だけ坂になっておりその先が高架になっている。そして入口には自動車専用道の標識が立っていて、車がどんどんそちらに流れている。
しかも高速とのつなぎであるためか、高速並に流れが速い。制限速度は80キロのようである。
僕は流れに乗るため、みんなに声をかけた。
「今から速度を思い切り上げますから気を付けて下さい。」
「え?」「ちょっと!」「きゃっ」
「上げますよ、いきますよ。」
右ウインカーを点滅させながら追い越し車線に合流し、加速しながら坂を登って行く。気がついたら100km/hを超えていた。みんな飛ばしているねえ。
251:ふみあ
09/06/27 06:06:07
結局120km/hまで加速し、周りの車をバンバンと追い越すことになった。
「しかし、走りやすい道ですねえ。ホントに高速道路みたい。どちらかというと新御堂筋かしら。」
思わず感想がもれてしまう。本当にそれは標識が青くなかったら、ちゃんと出入り口に、加減速用の車線と、案内標識、交通情報ラジオを備えた中々のものだった。
しばらく前から、高速道路の補完事業としてこのような規格の自動車専用の一般道が整備されているが、これもその一つだろう。
「だからと言って、少し飛ばし過ぎじゃないかい?」
「そうですよ、少し落とした方が…」
「飛ばし過ぎよ。スピードを落としなさい。」
「そうですか、160くらいなら普通に出しますよ。むしろこれでもゆっくり走っている方ですから。」
「まさか。」
「ホントですよ。そろそろ高速との接続みたいですね。確か新宿方向でしたよね? 4号からC1経由で5号か、C2か、どちらかで行こうと思うので。」
「ああ。そうだね。」
「じゃあここの出口をでて、こう行ってっと。あ、本当に料金所がある。お母さん、ETCで行くけど、いいよね?」
「いいわよ。」
「ありがとう。」
ETCカードを機械に挿入する。
252:ふみあ
09/06/27 06:06:48
料金所のETCレーンを通過しようとすると、目の前に見かけたことのある車が現れた。
「前の車、紫苑様のお宅のお車ですよね。よかった、追いついた。」
後は、この車の後ろについていけばいいだろう。だが、そう思ったのもつかの間だった。
合流するときまでは良かったのだが、本線車道を走り屋と暴走族が集団で猛スピードで疾走していたために、ミニバンは減速して一時退避。
僕の方はこの手の合流には慣れていたので、気にせずスピードを上げながらそのまま合流してしまい、またしても離れ離れになったのだ。
「あらら、また逸れちゃいましたね。」
「薫さん。そ..そんな呑気なことを言っている場合ではないような。」
「そうだよ薫君、成り行きとはいえ、この先どうするんだい。」
「別に、このままこの流れに乗っていくしかないでしょう。」
「そうはいっても、このままだと危険だと私は思うのだが。」
「大丈夫ですよ。」
確かに現在180km/h以上を出しているが、カーブでは減速するし、普段からこのくらい出しているので特に問題には思わないのだが。むしろ前を走るローレルのドライバーがよほどうまいのか、
的確な加減速とライン取りで走っているので安心してついていっていられるのだけれど、やはり3人とも怖いらしい。
料金所を知らせる看板が見え始めたころ、前を走る車が次々とハザードを点滅しながら減速し始めたので僕もそれに倣う。料金所が見え始めると、今度は青と白のレーンで色分けられたETCレーンにレーン変更し、
徐行しながらブースを通過する。
253:ふみあ
09/06/27 06:35:28
そのまま加速して本線に合流しようとしたが、前方の車が次々とブレーキランプを点灯させて停車していく。平日昼間の首都高の名物、渋滞に巻き込まれたようである。
しかも厄介なことに完全に停止するわけではなく少しずつだが、動いている。
「あーあ、やんなっちゃう。」
思わず不満を漏らす。
「どうせ渋滞になるなら完全に止まってくれればいいのに。」
「少しでも動いていた方がいいやない。」と母が言う。
「同乗だとね、でも運転している分では止まっていた方がいいですよ、休めるから。ブレーキ踏みながらの徐行って神経使うから疲れるんですよ。」
「そういうものなのですか?」と天城さん。
「そういうものですよ。」
と答えた。
しばらく行くと今度は完全に止まってしまった。車のギアをNに入れ、サイドブレーキを踏み、ステアリングから手を離して姿勢を楽にする。
暫くはこの場所から動けないだろう。少し休むことにした。
3-4終了。3-5に続きます。