自作小説を書いて見るスレat BUN
自作小説を書いて見るスレ - 暇つぶし2ch245:ふみあ
09/06/27 05:32:33
3-4 ドライブ1
>>薫
 マークⅡのエンジンをかけ、軽くドラポジとミラーのチェックをして、全員が乗り込んだのを確認してから、ロックをし、左後方、左右のサイドミラーとルームミラー、
右後方をチェックした後、右ウインカーを点滅させて、ミニバンの方に合図する。
 ミニバンが発進したのを確認してから、ギアをPからDレンジに入れ、ブレーキから足を離しながらサイドブレーキの解除フックに手をかけた。
「それじゃ、改めて出発しましょう。」と言いながら軽くアクセルを踏み込み、ステアリングを切りながらミニバンの後ろにつく。
 葛城先輩の家のミニバンは、正門を出ると、大通りを左に曲がり、東の方向に進路を取った。
 こちらも周囲の状況を確認しながら左折して次の交差点で信号待ちしているミニバンの後ろに停車する。ギアをNレンジにしてサイドブレーキを踏みながら春日先輩に、
「そういえば僕たち、これからどこに行くつもりなのでしょうか?」
「ん、とりあえず西武の池袋店だけど。」
「百貨店ですか…。」
この街を案内してくれるんじゃなかったのか? 道理でなぜ車が必要になったか疑問に思ったが、都心へ行くとなればそりゃ必要になるだろう。この学校武蔵野台地にあるせいか、都心と比べればだいぶ西の方にある。
近くに駅があるわけでもないし、車があるなしではだいぶ違いそうな立地にあるからな。

246:ふみあ
09/06/27 05:33:14
「しかしなんで百貨店へ?」
と訊くと、母親が、
「あなたの服を買うためよ。」
「はい?」
「今のままじゃ足りないでしょ、私服。」
「そう? 結構ある方だと思うけど。」
「そうでもないわよ、これから夏物だって必要になってくるし。」
「まあ、そうだけど。」
「それにあなた少し心配なところがあるから。外見だけでもきちんとしてないと。」
「ああ、そう。」
気持ちは痛いほどわかるが、口に出すなよ。
 信号が青に変わったので、Dレンジに入れ、サイドブレーキを解除し、前車に合わせてアクセルを踏み込む。
 葛城先輩の家のミニバンはしばらく東の方へ進んだ後、とある国道の大きな交差点で右折レーンに入った。案内標識にはこの方向に高速のランプがあるらしい。
ただでさえも交通量の多い道路なのにみんな高速の方へ行くのか、こちらの右折レーンと対向の左折レーンだけ混んでいるらしく中々進まない。信号の変わり目に行こうとしたが、
ミニバンが行った後僕の番になった時に完全に赤となってしまい、ミニバンと離れ離れになってしまった。

247:ふみあ
09/06/27 05:33:55
 次に信号が青になるまでの間、気になったことを春日先輩に尋ねてみる。
「あの、雪乃様。」
「なんだい急に。」
「西武までの道はご存じだとおっしゃってましたよね?」
「ああ、言ったよ。」
「前の車とはぐれてしまったので、しばらく道案内をお願いしてもよろしいですか。できるだけ自力で頑張りますが。」
「構わないよ。いざとなったら葵や紫苑様と連絡できるようになっているから。」
と春日先輩は笑いながらこう言って、携帯を見せてくれた。
「ならたぶん大丈夫です。すぐ追いつくと思いますから。おっと、青になりましたね。」
 ギアをDに入れて、サイドブレーキを解除する。そのままブレーキを踏みながらクリープでゆっくりと前進する。

248:ふみあ
09/06/27 05:34:36
 予想通りというべきか、只でさえ交通量が多いうえに対向の左折車が列をなしているのでなかなかタイミングがつかめない。どう考えても右折オンリーになるまで待つしかなさそうだったが、
後ろに止まっているガラの悪そうなメルセデスのCクラスが、こちらに対してパッシングしているのがルームミラー越しに見えた。思わず舌打ちをすると、僕以外の全員が驚いてこちらを見てきた。
「何?!」と訊いてきたので、
「いや別に、後ろのベンツがパッシングしてきたものですから。どう見ても今右折できるわけないでしょ、バカって思って。」
 本当は、何煽ってんじゃ、空気読めや馬鹿野郎! と思っていたが口に出すわけにもいかないので黙っておいた。
 その後もベンツは何度もクラクションを鳴らしながらパッシングをしてきた挙句、いざ右折するときにもパッシングしてきたので、
さすがにムカついてきたので、喧嘩売っとんのかこの野郎、そんなに売りたいならその喧嘩買ったっらあ、と思ってしまい、自分以外にも人が乗っているという事実を忘れて、
ステアリングを右に切り交差点を曲がりきったところから、一気にアクセルを踏み込んで車をキックダウンさせ、ベンツを振り切った。
 急に後ろの方に体を押し付けられたためか、加速したとたん悲鳴が車中に響いた。あわててアクセルを緩めて、次の信号が赤だったのでついでに減速して停車する。

249:ふみあ
09/06/27 05:35:19
 何だろう、気まずい、視線が痛い。まず、春日先輩が口を開いた。
「薫君。」
「は、はい(-_-;)。」
「今のは何だったのかな?」
「いやあ、後ろの車がしつこかったので、振り切ろうって思いまして思いっきり加速したのですけど。…ハハハ。」
なんとかそれだけ言うと母が、
「あんた何キロ出せば気が済むの。事故起こしたらシャレじゃすまないのよ。」と呆れ、怒っている。
「ごめんなさい。」と謝ると、天城さんが「怖かったです。」と泣き出しそうになっていたので、
「ごめんね。祈さん。大丈夫だから。ね。」
泣かないで、頼む。
 肝心のベンツはさっき振り切られて戦意喪失してしまったのか、だいぶ距離を取って後ろに止まっている。もちろん煽ってこない。

250:ふみあ
09/06/27 06:05:25
 気を取り直して出発することにする。とりあえずここからランプまでのルートを確認する。
「ここから先はしばらく道のりで行くとして、ランプまでの道順はどうなっているんでしょうか?」
「というと?」
「中央高速のランプだと一方方向の可能性が高いので、高速沿いにどこかで東の方に左折しなきゃいけないかな、って思いまして。」
「いや大丈夫だよ。この道はこのまま自動車専用のバイパスとして高速道路と立体交差しているからね。」
「というとそこのジャンクションで高速の入口に直接入れるんですか。」
「ああ、最近できたんだよ。もうすぐバイパスの入口だよ。」
 見ると、前方に道の真ん中だけ坂になっておりその先が高架になっている。そして入口には自動車専用道の標識が立っていて、車がどんどんそちらに流れている。
しかも高速とのつなぎであるためか、高速並に流れが速い。制限速度は80キロのようである。
 僕は流れに乗るため、みんなに声をかけた。
「今から速度を思い切り上げますから気を付けて下さい。」
「え?」「ちょっと!」「きゃっ」
「上げますよ、いきますよ。」
 右ウインカーを点滅させながら追い越し車線に合流し、加速しながら坂を登って行く。気がついたら100km/hを超えていた。みんな飛ばしているねえ。

251:ふみあ
09/06/27 06:06:07
 結局120km/hまで加速し、周りの車をバンバンと追い越すことになった。
「しかし、走りやすい道ですねえ。ホントに高速道路みたい。どちらかというと新御堂筋かしら。」
思わず感想がもれてしまう。本当にそれは標識が青くなかったら、ちゃんと出入り口に、加減速用の車線と、案内標識、交通情報ラジオを備えた中々のものだった。
しばらく前から、高速道路の補完事業としてこのような規格の自動車専用の一般道が整備されているが、これもその一つだろう。
「だからと言って、少し飛ばし過ぎじゃないかい?」
「そうですよ、少し落とした方が…」
「飛ばし過ぎよ。スピードを落としなさい。」
「そうですか、160くらいなら普通に出しますよ。むしろこれでもゆっくり走っている方ですから。」
「まさか。」
「ホントですよ。そろそろ高速との接続みたいですね。確か新宿方向でしたよね? 4号からC1経由で5号か、C2か、どちらかで行こうと思うので。」
「ああ。そうだね。」
「じゃあここの出口をでて、こう行ってっと。あ、本当に料金所がある。お母さん、ETCで行くけど、いいよね?」
「いいわよ。」
「ありがとう。」
ETCカードを機械に挿入する。

252:ふみあ
09/06/27 06:06:48
 料金所のETCレーンを通過しようとすると、目の前に見かけたことのある車が現れた。
「前の車、紫苑様のお宅のお車ですよね。よかった、追いついた。」
後は、この車の後ろについていけばいいだろう。だが、そう思ったのもつかの間だった。
 合流するときまでは良かったのだが、本線車道を走り屋と暴走族が集団で猛スピードで疾走していたために、ミニバンは減速して一時退避。
僕の方はこの手の合流には慣れていたので、気にせずスピードを上げながらそのまま合流してしまい、またしても離れ離れになったのだ。
「あらら、また逸れちゃいましたね。」
「薫さん。そ..そんな呑気なことを言っている場合ではないような。」
「そうだよ薫君、成り行きとはいえ、この先どうするんだい。」
「別に、このままこの流れに乗っていくしかないでしょう。」
「そうはいっても、このままだと危険だと私は思うのだが。」
「大丈夫ですよ。」
確かに現在180km/h以上を出しているが、カーブでは減速するし、普段からこのくらい出しているので特に問題には思わないのだが。むしろ前を走るローレルのドライバーがよほどうまいのか、
的確な加減速とライン取りで走っているので安心してついていっていられるのだけれど、やはり3人とも怖いらしい。
 料金所を知らせる看板が見え始めたころ、前を走る車が次々とハザードを点滅しながら減速し始めたので僕もそれに倣う。料金所が見え始めると、今度は青と白のレーンで色分けられたETCレーンにレーン変更し、
徐行しながらブースを通過する。

253:ふみあ
09/06/27 06:35:28
 そのまま加速して本線に合流しようとしたが、前方の車が次々とブレーキランプを点灯させて停車していく。平日昼間の首都高の名物、渋滞に巻き込まれたようである。
しかも厄介なことに完全に停止するわけではなく少しずつだが、動いている。
「あーあ、やんなっちゃう。」
思わず不満を漏らす。
「どうせ渋滞になるなら完全に止まってくれればいいのに。」
「少しでも動いていた方がいいやない。」と母が言う。
「同乗だとね、でも運転している分では止まっていた方がいいですよ、休めるから。ブレーキ踏みながらの徐行って神経使うから疲れるんですよ。」
「そういうものなのですか?」と天城さん。
「そういうものですよ。」
と答えた。
 しばらく行くと今度は完全に止まってしまった。車のギアをNに入れ、サイドブレーキを踏み、ステアリングから手を離して姿勢を楽にする。
暫くはこの場所から動けないだろう。少し休むことにした。

3-4終了。3-5に続きます。

254:ふみあ
09/06/28 05:19:33
3-5 首都高でナンパ?
>>???
 「チキショー、完全に止まっちまいやがったジャンよー。」
「ホントパネェ。」
隣の助手席と後席の左側に座った男がグーたら文句を言っている。それを聞いた運転役の男が、
「文句いっても仕方ねえだろう、お前ら。」
と二人をなだめている。
 こんな時間に男3人が一台の車に乗って移動しているのもどうかと思うが、仕事中でもないらしい。3人とも典型的なチャラ男のようである。運転役の男は金髪の短髪で、耳にピアスをした、
黄色い半袖のTシャツにブルージーンズを着て、首にゴールドチェーンのネックレスをしている日焼けした若い男である。この中では一番の二枚目で、このグループのまとめ役のようである。
助手席の男は茶髪にロン毛の、いかにも自分の事をかっこいいと勘違いしたお調子者の三枚目な感じの、赤い半袖のTシャツに白いチノパンを着て、青いジージャンを羽織った若い男で、
後ろに座っているのは黒いTシャツに迷彩のミリタリーズボンをはいた
スキンヘッドに赤いバンダナをした若い男である。
 3人はどうやら八王子から渋谷の方へナンパに行くらしい。その道中で渋滞に巻き込まれてしまったという訳だ。尤も改造されているとはいえ、半分クラッシックカーとなっている
黒いY32のグロリアに乗りたがる女子高生がいるかどうか疑問だし、どこかで車を降りるにしても、とてもじゃないが彼らに女の子をゲットすることができるとは思えないから急ぐ必要ないと思うのだが、
彼らはこの状況に不満を持っていた。なぜ、今俺たちは男3人で渋滞の中こんな狭い車の中に閉じ込められなきゃいけないのか、と。
 もうそろそろイライラも限界に来た頃、ロン毛の男が気晴らしに窓を開けたとき、彼の眼に一台の車、シルバーメタリックの古いマークⅡが映った。どう見ても黒いスモークが張ってある普通の改造車なのだが、
何か違和感がある。男が目を凝らしてスモーク越しに内部を窺って見ると…

255:ふみあ
09/06/28 05:20:14
「おい、見ろよ。あの車。」
と、中を確認した男が仲間に向かって叫んだ。
「なんだどうした。」
「あの100がどうかしたのかよ。」
「よく見ろよ、運転しているの女の子だぜ。」
「マジで、うお! 本当だ。」
「どれどれ….ほう。」
「他にも女の子が乗っているみたいだぜ。」
「本当だ、っておい、オバンが一人乗っているじゃねえか。」
「でもよお、3人も女の子が乗っているぜ。しかも3人とも女子高生らしい。制服着てるぜ。」
「しかも結構かわいくね? やる? やっちゃう?」
「そうだな、さそうか。おい、直哉、声かけろや。」
「おう、任しとけ。」
と、直哉と呼ばれたロン毛男は助手席から身を乗り出した。

256:ふみあ
09/06/28 05:20:55
>>薫
 すごく誰かに見られている、そんな嫌な気配を感じたその時だった。突然運転席の窓をノックする音と振動を感じたので、ドアに肘を掛けて頬杖をついた状態で外を見ると、たまたま並んだ黒いY32から身を乗り出した若い男と目があった。
と思ったら突然その車がクラクションを鳴らしてきた。よく見ると身を乗り出している奴以外に二人の男が乗っているのが見えた。3人ともこちらに手を振ったりクラクションを鳴らしたりしている。
 最初は僕の車に異常があるのか、知らず知らずの内に迷惑をかけたのかと思ったが、警告灯は点いてないし、どうもそういう感じではない。どうやらナンパを仕掛けているようである。関わらない方がいいな、と思ったので天城さんに呼びかけた
「祈さん。祈さん。」
「何でしょうか? 薫さん。」
「絶対にそちらの窓の外を見ないで下さい。」
「?」
「なにも聞かないで、ただ目を合わせなければいいんです。前を向いて。」
「は、はい。」
と、天城さんは少し混乱しながらも従ってくれた。

257:ふみあ
09/06/28 05:21:37
 その時春日先輩が話しかけてきた。
「薫君、何かあったのかい。」
「ええ、どこかの馬の骨がナンパを仕掛けてきたみたいです。」
「ナンパ?」
「隣に並んでさっきからモーションをかけているみたいです。聞こえるでしょう、クラクション。」
「ああ、それでさっきから警笛が何度も鳴っているのか。で、君はどうするつもりなんだい。」
「僕は無視した方が賢明だと思うんです。だから雪乃様もあまり向こうの方を向かないで下さい。」
「わかった。私もその方がいいと思う。」
 その時母親が、
「でも薫、この車に何かあるんじゃないの? その、どこか壊れてるとか、そういう事を教えてくれてるんやないん?」
「それはないわ。どこも壊れてないし。それにあの雰囲気は絶対ナンパよ。」
「そやけどね…」
「言いたいことはわかるわ、お母さん。この車は黒いフィルムを張っているからたぶんあの人たちにはお母さんのこと、見えていないわ。ただ…」
「ただ?」
「保護者がいることをわかった上でやっているとしたら少し厄介ね。」

258:ふみあ
09/06/28 05:22:17
 渋滞が解消することを、今か今かと待っていたが、少しずつ列が動くことはあっても、Y32を振り切れるほどには全然届かないレベルである。未だに隣にくっついているY32からは、
余程諦めが悪いのか、まだチャラ男どもがアプローチをかけている。
 いい加減に諦めろよと呆れつつも頑なに彼らの誘いを断っていると、「ドンッ」という音と共に茶髪ロン毛が車のドアを拳骨で叩いたのが目に入った。
 野郎っ、と怒鳴りかけたが、ここは理性で抑えて右手を左の方へ掌を突き出すように抑止のジェスチャーを取る。左と後ろの方へ口出しをするなと合図してから、
ドアのひんじに付けられた運転席側のパワーウインドウのスイッチをいっぱいに押して窓をあけ、隣の車を睨みつける。
 こっちが振り向くのを待っていたのか、目があったとたんすぐに男どもが、
「Yo Yo、彼女。俺らと遊ばない?」
「楽しいことしようゼイ。」
「かわいがってやるぜ。」
と、この手の定番というか、ありきたりの慣用句を並べ立ててきた。やはりその手の誘いだったようである。

259:ふみあ
09/06/28 05:53:40
 もともとナンパに乗るつもないし、そもそも乗れないので適当に聞き流して文句を言う。
「すみませんが、今私の車を叩いたのはあなたですか?」
と助手席の男に尋ねるとロン毛の男は、
「叩いたって、ヤダなあ、ちょっとノックしただけじゃん。」
「そうそ、全然俺らの熱いアプローチに気づいてクンねえだもん。」
「だからって、そんな何触ったか分からないような手で車に触らないで頂けませんか。それにあなた方のような色男のお誘いに乗るほど、
私お尻の軽い女じゃありませんから、やめて頂きません? はっきり言って迷惑なんです。」
「車叩いた事は謝るからさあ、そう固いこと言わず付き合ってよ。」
「ていうか、この娘ひょっとしていいとこのお嬢じゃね? ね?」
「ピチピチの女子高生でいいとこのお嬢様かよ、こいつぁ悪かねえな。」
「ねぇ彼女ぉ。ひょっとして隣と後ろの娘もお嬢様のお友達ぃ? だったら俺らにも紹介してくれねぇ? 一緒にどっか行こうぜぇ。」
「ごめんなさい。私たち所用があるんです。他の方を当たって頂きません? それにお気づきではないかもしれませんが、保護者も乗っているんです。諦めて下さい。」
「他の人なんてどこにいるのかなぁ。」
「せめて、名前とメアドくらい教えてよ。」
「ババアなんてほっといて楽しいことしようぜ。」
「全力でお断りします。」

260:ふみあ
09/06/28 05:54:22
「そう固いこと言わずにさ、ねぇねぇ。」
「嫌です。」
「そう言わずにさあ。」
「しつこいですよ。」
「ひょっとして彼氏いんの?」
「大丈夫、彼氏よりきもちよくしてやっからさぁ。ヘッヘッヘ。」
「いませんし、そういうの興味ありません。」
「だったらさあ。俺らにつきあってよぅ。」
「いい加減にしないと怒りますよ!」
「うぉっ、怒った顔もかわいくね。」
「キュンってくるう。」
 ダメだこりゃ、少しでも相手をした僕が馬鹿だったと、後悔しながらパワーウインドウのスイッチを思い切り引っ張った時だった。

261:ふみあ
09/06/28 05:55:04
「おいシカトしてんじゃねえぞ。このアマ。」という声がしたかと思うと、後席からバンダナが下りてきて大きな手でせり上がってくる窓ガラスを抑えているのが目に入った。
 あわてて、パワースイッチを下に押し付け、ガラスを下ろす。
「何ですか! 急に。」
「何ですかじゃねえよ。折角俺らみてえないい男が遊びに誘っているのに断った挙句シカトしやがって、調子こいてんじゃねえぞこのアマ!」
と言って、逆切れして殴りかかって来た。のをかわして肘鉄を喰らわせる。
「危ない!」と、天城さんが叫んだ気がするが気にせずドアをアンロックし、思い切り力をかけて、ドアを振り開けた。
 案の定ドアは思わぬ反撃にあってよろめいた哀れな男を直撃し、男を振り払った後勢いあまって隣に止まっている男たちの車に「ゴツン」という音と共に激突した。
 哀れな男は完璧に体勢を崩し、地面に伸びている。Y32は真新しいへこみができている。やりすぎたかな。急いでドアを閉めてロックし、窓を閉める。
 Y32の運転席と助手席からは、仲間をやられ、さらに車に傷がついたことに逆上した金髪とロン毛が降りてきた。

262:ふみあ
09/06/28 05:55:45
 やばい、どうしようかと思ったその時、「パーーーーーーーーン」というものすごい音量のクラクションを鳴らしながら後の車がパッシングしてきた。何事かと思って前を見ると、
とうに渋滞が解消して、前車がスピードを上げて向こうの方に走り去ったところだった。
 今なら振り切れる! そう確信した僕は、数回ブレーキを踏み、後続車にお詫びを込めてテールパッシングした後、ギアをNからDに入れ、サイドブレーキを解除しながらアクセルを思い切り踏み込んで車をキックバックさせた。
 急加速する車中で、ミラー越しに後ろを見ると、後続車にパッシングで急かされながらのびた仲間を後席に運び込む二人の男たちの姿を確認することができた。この車はもう100km/h以上も出している。僕自身はこのまま加速して
180kmオーバーまで出すつもりだったので、気絶した男をどうにか車に乗せてから発進させても追いつくことは無理だろうと思った。
 思わず心の中で笑みがこぼれたことはここだけの秘密である。

263:ふみあ
09/06/28 05:56:26
3-5終了。3-6へ続きます

264:ふみあ
09/06/29 05:21:56
3-6 ドライブ2
>>薫
 前方を走る車の集団の最後尾に追いついてしまったので、結局120km/hまでしか出せなかったが別に問題ないだろう、集団の中ほどに来るまで追い越していたらまた渋滞にはまりこんだからだ。
すでに隣と後ろに後続の車が続いている。この先に待つ西新宿JCTでの分流を考えてすでに追い越しから走行車線に入っているので彼らの車が左側につくこともないはずだ。
「ここまで、来ればもう大丈夫ですね。」
徐行しながら皆に話しかけると、天城さんがこう言った。
「あの薫さん、大丈夫ですか。」
「何がです?」
「その…さっき男の人に…」
「ああ、それなら僕は大丈夫ですよ。あのパンチかすりもしませんでしたから、怪我なんてしていませんし、安心して下さい。」
「それならよろしいんですが。」
「寧ろ殴りかかって来た彼の方が心配ですよ。あの様子じゃたぶんこけた時に地面に後頭部をぶつけて脳震盪を起こしたようですから。何もなければいいのですけど。」

265:ふみあ
09/06/29 05:22:36
 そこに春日先輩が、
「しかし、さっきの人たちは何をしたかったのかな?」
「言ったでしょう。ナンパですよ。」
「ナンパ?」
「体良く言えば逢い引きです。僕たちをデートに誘いたかったんですよ。」
「たち、というより君を誘っているようだったな。」
「さあ、どうでしょう。僕は雪乃様や祈さんも誘うつもりだったように感じましたが。」
「そうかも知れないが、私は主に薫君を誘っているように見えたがね、祈君もそうだろう?」
「は..はい、私もそう思いました。」
「そうですか。あの人たち、よほど女に飢えていたんでしょうか?」
「?」
「僕みたいなのをナンパに誘おうと思うなんて、よほど飢えていたんでしょうね。」
「….」
「ところで、もうすぐC2の新宿線との分岐ですけどどうします? どっちが近いんでしょうね?」
 そういいながら、カーナビの画面と照らし合わせてロードマップを調べる。
「あ、C1から5号に入った方が近いですね。じゃあこのまま真直ぐ行きましょう。」
 どうやらC2から5号を抜けて、外環から関越道や東北道、磐越道に抜ける車が多かったらしく、西新宿JCTを抜けると一気に車の台数は少なくなった。
そのまま快調に飛ばしながら新宿で右方向にまわって三宅坂JCTに向かった。

266:ふみあ
09/06/29 05:24:23
 JCTのトンネルの入り口で大型トラックを抜かした後すぐにライトをつけながら走行車線に入り、そのまま左方向に入る、そのまま一車線のトンネルの中を減速しながら進み、
C1で合流するときにまたアクセルを踏み込む、右ウインカーをつけながらミラーと後ろを振り返って目視し、走行車線を並走するタクシーを先に行かせた後合流し、そのまま加速しながら走行車線を越え追越車線に入る。
「ふん、ふん、ふふん♪」
FMデジタルラジオから流れる音楽に合わせて鼻歌を歌いながら右手でステアリングのスポークを、左手でシフトノブの頭を叩く。そんな感じで気持ちよく運転している時だった。
「薫、薫。」
と突然母が声をかけてきた。
「何? お母さん。」
「あなた、左手はどこへ行ったの?」
「左手? 左手ならここにありますけど?」
と答えながらATのシフトノブを叩く。すると母は、
「なんで左手がそんなところにあるの?」
「? ああ!」
片手ハンドルのことを暗に言ったのだと思ったので両手でステアリングを握りなおす。
「またあなたは、お父さんにもさんざん注意されてるでしょ?」
「わかりましたよ。気を付けます。」
確かに父からは散々片手ハンドルを止めるよう言われてはいるが、癖だからしょうがない。
 母はまだ何か言おうとしているようだが、無視して運転に集中しようとしたその時だった。
 突然僕の携帯の着メロが鳴り出した。ポケットの中を探って携帯電話を取り出し、左手で開いてそのまま通話ボタンを押す。画面には「葵姉」と書いてある。

267:ふみあ
09/06/29 05:25:04
「ちょっと薫さん。危ないですよ(゚Д゚)」
と天城さんが叫んだが、
「え、なにが?」
「何がって、運転中に携帯電話なんて…」
「大丈夫ですよ~。あ、もしもし。薫です。」
「あ、もしもし! 今どこにいるの?」
と葵姉ちゃんが言った。
「今ですか? 4号からC1に入ってもうすぐ5号に入るところです。あ、今竹橋JCTに入ります。」
 携帯を首に挟んだまま左車線に入りハンドルを切りながらJCTの分岐に入る。
「今5号に入りました。」と伝えると。
「え、もうそんなところ?!」
「今どこにいるんです?」
「え、今どこだろう?」
「まあいいや、とりあえず僕らはこのまま池袋まで行こうと思うんですが。」
「そうねえ、ねえどうしましょう?..........ええ….はい、じゃあ、どこかで落ちあえないかしら?」
「さあこの辺はPAもSAもないから途中で止まるわけにもいかないし。東池袋の出口を出て反対車線側とも合流したところでハザードを付けて停車してますから、その時落ちあいませんか?」
と提案すると、
「ちょっと待ってて…………はい、……..はい、いいって。」
「わかりました。そういうことで。また。」
終話ボタンを押し左手で元のように左ポケットにしまう。そしてステアリングを持ち直し、姿勢を正してから、車を加速させていく。

268:ふみあ
09/06/29 05:55:04
 「今の電話葵ちゃん?」
と母が訊ねてきたので、
「ええ、現在地とこれからどうするかを教えてほしいって。」
「どうするのこれから?」
「とりあえずこのまま行って、出口を出たところで落ち合うことになりました。」
「そう。」
「しかし、運転中の携帯電話とはあまり感心しないね。」
と春日先輩が割り込んできた。
「そうでしょうか。確かに好ましいとはとは思いませんが、まさかここで止まるわけにはいかないでしょう。ただでさえレーンが狭いうえに路側帯もありませんから。」
「そうかも知れないけれど、誰かに代わりに出てもらうという手もあったんじゃないか?」
「今どこを走っているか正確に伝えられる人が僕以外の誰がいるんです?」
「・・・・・」
「雪乃様、今回は大目に見てもらえませんか? もうこう言う事はしませんから。」
「わかった。今回だけはそうしよう。」
「ありがとうございます。」

269:ふみあ
09/06/29 06:14:11
 目的のランプに近づいたので左ウインカーを出して減速しながら減速車線に入り少し強めにブレーキを踏みながらカーブに合わせてステアリングを切っていく。対向車線の方から来た道と合流した所をやや過ぎたところで左側に車を止め、ハザードを点滅させ、
ブレーキを踏みながらギアをPに入れ、サイドブレーキを掛ける。携帯電話を取り出して電話帳から葵姉ちゃんの携帯に電話を掛ける。
「…もしもし。」
「もしもし、薫です。今到着しました。」
「え、もう?」
「ええ、待ってますので近くに来たらもう一度連絡してもらえないでしょうか?」
「わっかたわ。」
「じゃあ、お願いします。」
と言って一旦電話を切る。
 葵姉ちゃんの様子だとかなりかかりそうだったので、この間に少し休憩することにした。後にいる天城さんに声をかけた。
「祈さん、祈さん。」
「な…なんでしょうか薫さん。」
「少し狭くなると思いますが、シートを倒してもいいでしょうか。」
「え、ええ?」
「じゃ、すみません。」
と言いながら少しだけシートをリクライニングさせる。オーディオの音量を落とし、シートベルトをはずしてシートに体を預け、少しだけ眠ることにした。

270:ふみあ
09/06/29 06:14:54
 突然携帯のアニソンの着メロが車中に響き渡った音で目が覚めた。音の発生源が自分の携帯で、葵姉ちゃんから発信されていることを確かめて通話ボタンを押す。
「もしもし、薫です。」
「もしもし、クーちゃん? 私たちもうすぐそこまで来ているから。」
「わかりました。それじゃあまた。」
と言って、終話ボタンを押しシートを元に戻し、ドラポジをチェックしてからオーディオの音量を上げ、バックミラーを見る。
 しばらくすると後方からカーブを下ってくる白いミニバンが見えてきた。後方を確認してから解錠してドアをあけ、外に出て車の後ろに回り込みながら手を振って合図をする。
 ミニバンは左ウインカーとハザードを点滅させながら僕の車の後ろに停車した。運転席の窓が開き、運転手の男性が「どうも」と言って頭を下げたので、「こちらこそ」と挨拶する。
「これからどうしましょうか。」と男性が訊いてきたので
「こちらとしては道も知りませんので、案内していただければ…」
「では、私が先導するという事で、宜しいでしょうか。」
「お願いします。」
「畏まりました。」
そう言って、男性は窓を閉めたので、こちらも周りに気をつけながら車に乗り込む。
 ドアをロックしブレーキを踏んでギアをPからDに入れ、ハザードを切って右ウインカーを点滅させる。ミラー越しにミニバンが発進したことを確かめてからサイドブレーキを切って、
周囲の安全を確かめてから、ミニバンに続いて車を発進させた。


第三章 完

第三章終了。只今第四章をgdgdと制作中。でき次第適当にうpしようと思います。

271:名無し物書き@推敲中?
09/06/30 21:57:37
おK

272:ふみあ
09/08/06 13:32:43
みんなおひさー\(^o^)/
まだ、第4章できていないけど話の目途が立ったので久しぶりにうpします。
話は次スレから...

273:ふみあ
09/08/06 13:35:17
第四章 4月

4-1 駐車場にて
>>薫
 先にミニバンが駐車して、乗員が全員下りたことを確認してから、シートベルトを外し、ブレーキから足を離して車を少し前進させ、一旦ステアリングを右に切ってから、ギアをRレンジに入れてから左に切り直し、
バックでミニバンの隣の縦列駐車スペースに駐車する。少し前進して、位置を微調整してからもう一度バックで入れ直し、RからPレンジに入れ、サイドブレーキを踏んでからエンジンを切った。
「さあ、着きましたよ。皆さん降りて下さい。」
 他のみんなが下りてから右側に止まっているミニバンを傷つけぬよう注意しながらドアを開け、外に出る。
ドアを閉めてキーについてるドアロックボタンを押す。「ガチャッ」という音と共にハザードが一発点灯し、ドアが開かないことを確認してからみんなが待っている方へ向かう。
「お待たせしました。」

274:ふみあ
09/08/06 13:38:00
 道中ハンドルを握りながらずっと考えていたのだが、僕と母は服を買いに行くとして、後のみんなはどうするのだろう、と考えていると、葛城先輩が葵姉ちゃんに、
「それじゃあ私は雪乃さんと一緒にこの子たちを連れて行きますから、あなたは薫ちゃんと叔母様に付いて行ってあげなさい。」
「ありがとうございます。」
「それでは4時頃にまたここに集合しましょう。皆さん行きましょうか。」
と言っているのが聞こえた。所詮高3から見れば高1など子供も同然かとも思ったが、これが一番いいだろう。僕の買い物に付き合わせるのも悪い気がする。
 とりあえず駐車場の出口で別れて、我々3人は婦人服売り場に直行した。

4-2へ続く...これだけやけに短くてワロタww

275:ふみあ
09/08/07 14:09:06
4-2 帰り道
>>薫
 ガタンッと音を立てながらマークⅡのトランクを閉め、運転席の方へまわってドアを開けて車に乗り込んだ。隣には母親が、後部座席にはなぜか猪瀬と成瀬のコンビが座っている。さっきからキョロキョロ辺りを見回して落ち着きがないので正直うざい。
そんなに僕の車って珍しいのか? 完全自律走行制御補助機能が付いてないくらいでその辺の車とそこまで性能や雰囲気に差があるとは思えないんだが…。
 しかもただ落ち着きがないならいざ知らず、なんかいろいろなことを訊いてくる。例えば、インパネの中央、エアコンの吹き出しの上のダッシュボードに取り付けた3連メーターを指差し、
「これ何?」
「後付けで取り付けた3連メーターです。」
「3連?」
「左から、水温計、油温計、油圧計と3つのメーターが仲良く並んでいるので。」
「水温計って?」
「冷却水の温度を測るための温度計です。」
「油温って?」
「エンジンオイルの温度のことです。」
「油圧は?」
「エンジンオイルがどれだけの力でエンジンの中を流れているかをあらわしたものですね。」

276:ふみあ
09/08/07 14:10:38
こういう事ってある意味常識じゃね? というようなことを聞かれるがままに答えていく。はっきり言って運転に集中できないのでやめて欲しいのだが、やり取りはまだ続く。
「何でこんなものついてるの?」
「何でって、そりゃこれを見れば車に、特にエンジン回りでトラブルが起こった時にすぐにわかりますから。こういう車にはつけている場合が多いんですよ。」
「でもうちの車にはついてないよ。」
「そりゃ、後付けですから(;・∀・)」
 猪瀬とこんなアホらしいやり取りをしていると、何故か天井の辺りを眺めていた成瀬が急にこんなことを訊いてきた。
「ところでこのパイプみたいなのは何なんだ?」
「パイプ? ….ああ、ロールバーことですか。」
 僕の車には乗員変更なしのタイプの6点式の鉄製のロールバーがルーフやピラーに沿って溶接で取り付けられている。無論つけられるところには全て黒いパッドを巻いて、
運転席と助手席のドア下にはBピラーとAピラーに沿ったロールバーに取り付ける形でサイドバーを増設している。


277:ふみあ
09/08/07 14:11:47
「ロールバー?」
「これのことですよ。ロールバーっていうんです。」
「へえ。….何でこんなものつけているの?」
「?」
「わざわざ、室内をせまくする必要もないじゃない。」
「まあ、この方がいざという時安全だと思いましたから。」
「でもいらなくない?」
「買える安全はとりあえず買っておく主義なんです。」
「ふ~ん。わからないな。」
なんか面倒くさい。
 走り始めたら走り始めたで、今度は乗り心地が悪いとぬかしてきた。そりゃ、シャコタンして最低地上高を3cm落して大判ホイールにして
足元を固めているから多少は悪いとは思うけど、エアサス組んでいるからそこまでひどくはないと思うぞ?


278:ふみあ
09/08/07 14:16:26
 また、狭いともぬかしてきやがった。セダンだから頭周りの空間が制限されるのは仕方がないが、この車かなりでかい方だぞ。すると今度は自分ちの車より狭いと言ってきたので、
「あの…、猪瀬さんのお父様はどんな車にお乗りになられているんですか?」
と訊くと
「アルファード。」
と返ってきた。比べる対象がおもいっきり間違っていると思うのは僕だけなのか?
 他にもこんな改造車に乗っていて(法的に)大丈夫なのかとか、ひょっとして不良なのかとか、この手の車に乗っていると一般人から言われそうなことをこれでもかというくらい質問されたが適当に受け流した。

(途中だけど少し長いので次回に持ち越します。続くよ)

279:名無し物書き@推敲中?
09/08/07 14:56:54
ふ~ん

280:ふみあ
09/08/11 09:55:19
>>278つづき

 なんだかんだで寮の前について解散した時にはだいぶ日がかたむていた。少し休憩したかったが、母親が今日中に京都まで帰らなければいけなかったので。そのまま車を出すことにした。
「私も見送りたい」と葵姉ちゃんが言ったので3人で向かうことにした。昼間通った道を辿るように車を走らせていく。夕方のラッシュが始まったのか対向車線が込み始めている。暗くなってきたので車幅灯とフォグランプの他にロービームでヘッドライトをつけると、
ハロゲン色のフォグランプにグラデーションを重ねるようにHID特有の真っ白な光が目の前の路面を照らした。真っ暗になった車内の後ろの方では、先ほどからずっと母親と葵姉ちゃんが何かを話し合っては、時々二人揃って高い笑い声を上げている。車は白い街灯に照らされ
縞縞模様を作り出した道路の上をスピードを出して駆け抜けていく。
 東京駅に着き、駐車場に車を停め、探すのに苦労しながら新幹線の改札に着いた。見送るために券売機で入場券を2枚買おうとすると、母がホームまで上がらなくていい、改札の前で別れようと言い出した。
「別にいいじゃない。荷物もあることだしさ、このまま上まで持って行くから見送らせてよ。葵お姉ちゃんも行くでしょ?」
と、葵姉ちゃんの合意を取りつつ半ば強引にホームまでついて行った。


281:ふみあ
09/08/11 09:56:32
 ホームにはすでに博多行きの「のぞみ」がすでに入電し、発車の合図を待っていた。
 指定席に一番近い車両のドアまでつくと、僕は荷物を母に渡しながら、
「じゃあね、母さん、気を付けて。」
というと
「あなたも葵ちゃんや学校のみんなに迷惑をかけないように気をつけなさいよ。」
と母が別れ際に釘を刺してきた。
「わかっているよ。心配しなくても大丈夫だから。」
「わかった、わかったって言いながらやったことないでしょ、あなたは。」
「そんなことないって。」
「そうでしょうが、いっつもぼーっとして。もっとしっかりしなさいよ。」
「大丈夫だよ。しっかりするつもりだから。」
「ホントにしっかりしなさいよ。今回はめ外すことがあったらただじゃ済まないんだから。」
「母さん…。それは僕が一番よくわかっているから。きちんとするから。ね、大丈夫だから。ほら、そろそろ新幹線も出る時間だし。」
「ホントにしっかりしなさいよ。後お父さんとお母さんがいないからってさぼるなんてことしないでよ。」
「しません。誓ってしません。(口約束)」
「葵ちゃん、この子すごいヘマをしでかしたり、失礼なことするかもわからないけど、その時は私たちの代わりにこの子のことを叱って頂戴。」
「はい、任せて下さい。おばさま。」
「ホントにお願いね。葵ちゃんだけが、頼りだから。そうだ、5月の連休に薫と一緒に家へ来ない? 歓迎するわ。」
「はい、喜んで。」
「母さん。まだ連休にそっちへ帰れると決まったわけじゃあ…。」
「帰ってこれるでしょう。帰ってきなさい。」
「はい。」
「じゃあ、もうそろそろ汽車もでるからこの辺でね。葵ちゃん、ホントに薫のことお願いね。それじゃあね。」
「さようなら。お気を付けて。」
「父さんと怜にもよろしく。」

282:ふみあ
09/08/11 09:58:59
新幹線のドアがゆっくりと閉まりながら、行く人と見送る人を一枚の扉で隔てて行く。ちなみに怜とは僕の3つ下の弟で今回入れ違いに高市中学に入学して、明後日の入学式に出る予定だそうである。
 ホームの彼方に赤い光の軌跡を名残惜しそうに残しながら、新幹線は暗闇の向こうへ消えていった。さて、帰るか。
 帰りの車の中で葵姉ちゃんは何故かものすごく嬉しくなったのか、やたら普段よりずっとテンションが高かった。理由はあえて考えないことにしている。この分じゃマジで四六時中葵姉ちゃんに監視されそうだ。今更ながら彼女が風紀委員で、
それもかなり皆から信頼されていて、次期風紀委員長に一番近いところにいることを考えても冗談じゃなく可能だろう。
 こちらが人知れず戦々恐々としているのを知ってか知らずか、相変わらず葵姉ちゃんは上機嫌でいる。なんだかよくわからない空気が車内に流れ込んできた。
 やっぱり考えるのはやめよう。

4-2終わり4-3に続く...

283:ふみあ
09/09/04 18:36:46
4-3 新しい学生会長
>>薫
 入学式から2~3日たってから授業が開始された。その間に車第二陣(140マジェスタ後期、160アリスト後期、200クラウンアスリート前期、2代目レクサスIS、W212、
BRレガシィ、Y50フーガGT後期、UA4/5インスパイア前期)が来たが、面倒なので機会があればどこかで追記するかもしれない。
 とりあえず、自己紹介と簡単に授業内容を説明するだけの特に授業とは言えない授業や、オリエンテーション、部活案内などが続いた。
 やはりお嬢様学校だからか、授業にもかなりの部分でどう考えても花嫁修業としか思えない家庭科系や作法系の授業が全体量のかなりの部分をとってたり。部活動も運動部、
文化部共に、一般的なものから金持ち好みのマニアックなものまで多彩な部や同好会があるのはいいのだが、何故か科学・工学系、乗り物系の研究会が一切ない。いや、
辛うじて「生きものクラブ」という同好会があったが…。まあ、基本男しかそういうの興味持たないから仕方がないか。


284:ふみあ
09/09/04 18:40:11
 学校生活のリズムにも慣れてくると、今度は生徒会執行部(学生会)とやらの
会長選挙が行われた。
 会場となったのは入学式でも使用された講堂だった。入学式の時はそれでも大きいかと思ったが、さすがに全校生徒が入るとかなり狭く感じた。
 先日あったオリエンテーションで行われた事前の説明によれば、この学校は学生会会長を中心として副会長以下何人かの役員を中心とし、風紀委員会、学校行事実行委員会、
社会奉仕(ボランティア活動)委員会、クラス委員会といった下部組織がそれを支える形で生徒の自主性に任せて運営されているらしい。生徒会長は全校生徒を代表してこれらの組織と
学生をまとめ上げる立場のため全校生徒による総選挙で、他の役員は生徒会に入った生徒から会長が指名し、残りの委員会の委員長は前任者が所属する委員の中から新任者を指名するらしい。
しかも生徒会には会長の、委員会には委員長の認可を取り付ける必要があるそうな。
 学生会長に関しては一応自由に立候補が出来るらしいが、前任の会長が学生会所属の生徒の中から一人を指名して立候補させるため、大抵その指名された生徒一人か、二人以上でも前任者の推薦を受けている点で
有利であるため大体前任の人が指名した人が当選することがほとんどらしい。そのためか今回も立候補は前任の学生会長から指名された2年生一人だけが出馬し、本日この場で選挙演説をし、所定の紙に学年・クラス・
学生番号・氏名を明記した上で信任の欄に、信任なら○、不信任なら×を書いて選挙を取り仕切る実行委員に提出すればいいらしい。


285:ふみあ
09/09/04 18:42:13
 前にいた学校の高校の生徒会長戦を思い出してみると、大体立候補者本人の演説が5~10分、その立候補者を全力で応援する友人・知人・または後援会の代表など応援演説が1~3人ほど続き全体で長くても10分、
選挙用紙の記入・提出は教室に戻ってから行われた。恐らくそういう段取りであれば、たぶん30分もすれば教室へ戻れるだろう。と、そんなことを暗がりの中で考えていた。
 周りの女生徒達は下級生、上級生を問わず、選挙や候補者の演説に対する期待し、楽しみにしているのか、先ほどからずっと周りでざわざわと互いにそのような言葉を口に出し、会場全体がワクワクするような
ゾクゾクするような、異様なほどの熱気に包まれていた。
 そんな空気を感じながら、なぜ僕はみんながそこまで生徒会長選挙に熱くなれるのか理解に苦しんでいた。確かに生徒会長は重役かも知れないが所詮は学生の下部組織の長にすぎない。上には下から教員、
教頭、校長、理事会、理事長の順番で君臨しているし、これらの組織の意向にはどうしたって避けられまい、結局誰がなっても同じじゃね? と。だから信任か不信任かも、本人の話を聞こうと聞くまいと適当に決めるつもりでいた。


286:ふみあ
09/09/04 18:43:53
 学校行事実行委員の選挙担当の生徒が舞台の傍らからマイクで、
「全校生徒の皆さん、大変ながらくお待ちしました。ただいまより第11X回生徒会執行部・学生会会長選出選挙を始めます。まずは本選挙立候補者有栖川 麗子の選挙演説です。」
という声と共に舞台がサッとサーチライトで眩しいほど明るく照らされると、それらを跳ね返すかごとく、華奢だが、堂々とした風格と存在感と豪華さをその身から周囲に振りかざすような、
強烈な雰囲気を備えた美少女が、自身に満ちた表情で、猛烈な存在感をにじませながら、しかし静かに舞台袖から舞台上に登場するや否や、爆発したかと思うほど会場を揺らすような歓声が全ての女生徒の口から発せられた。
 遠く離れた舞台上のたった一人の女性から発せられた。すさまじい威圧感と、それを上回るような地鳴りのような歓声に思わず圧倒された僕は、すごいのが来たなあ、前の学校の存在感が希薄な生徒会長とは大違いや、
とただただ感心するしかなかった。このぐらい気迫があれば理事会は無理にしろ、その手前くらいまでならごり押しが効くかも知れない。
 彼女が放つ圧倒的なオーラからは、彼女こそが生徒会長に相応しいとその場にいた全員に感じさせた。また、そもそも今回立候補している生徒は彼女ひとりである。彼女で決まりでいいじゃないかと思ったが、
形式上一応演説をやらないといけないらしい。


287:ふみあ
09/09/04 18:46:31
 彼女が演壇の前に立つと、それまで湧いていた歓声は鳴りを潜め、彼女の放つ存在感だけを残し会場は、今度は異様なほどの緊張感と澄みきった水のような緊張感に包まれた。
 会場全体が完全に沈黙すると、彼女は泉の水のように澄みきった、しかし空間を切り裂くような意志のこもった鋭い声で、しかし穏やかに彼女の演説を始めた。
「ごきげんよう、みなさん。はじめまして、今回学生会会長に立候補した有栖川 麗子と申します。この度は前任者の大原 美千代お姉様の推薦を預かり、僭越ながら皆様の面前で、正々堂々と戦う事を誓い、
皆さんと一緒によりよい学校の環境を創ることをここに所信表明いたします。…」
 その後、彼女は延々30分も、学生会長という重責や、それを全うとする覚悟、己の信念、マニュフェストとそれに懸ける並々ならない意気込みについて熱く語り続けた。
途中何度も運営委員が止めようか止めまいか迷っているのを何度か見かけたが、彼女の尋常ではない気迫に打ちひしがれて結局誰も何も言えなかった。
 投票用紙の所定の欄に氏名などがきちんと書けているかを確認して、信任の所に○を書いたあと、なぜ公開選挙なのか疑問に思いながら回収してきた選対の委員に渡してその場は解散となった。
 その日の昼休みに、全校放送の選挙開示結果速報で彼女の当選確実が真っ先に伝えられたことは言うまでもない。

4-3終了、4-4に続く。気が向いたらまたupします。ノシ

288:名無し物書き@推敲中?
09/09/04 19:01:03
かったるぅ

289:ふみあ
09/10/08 03:25:42
てすと

290:ふみあ
09/10/08 03:28:26
よっしゃああああ、アク禁解除!さっそく載せます。

4-4 生徒会長との邂逅
>>薫
 急がなきゃ、急がなきゃ。くそう、何でこんな日に限って寝坊しちゃうんだろう? まあいい、このまま10分で朝ごはんを終えて出れたら遅刻は回避できるかも…
ん、いや、ちょっと待てよ、なんか忘れてないか? えーと、鍵、携帯、財布、ハンカチ、学生証にMP3ウォークマンはあるな。カバンの中は教科書とノートを昨日のうちに
チェックしてカバンの中に入れてきたから大丈夫なはず、えーと、今日は数Ⅰ・国Ⅰ・家Ⅱ・英Ⅰ・体…ん、体育?
 と、朝食をかきこみながら行儀が悪いのを承知してそばに置いたリュック型の学生鞄の中をチェックしている最中に僕の思考は完全に停止していた。確か今日は5時限に
体育があるはずなのだが、なぜか体操服一式が入った青い布袋が見つからない。やばい、部屋に忘れてきちゃった。
 朝食を食べた後寮の食堂からダッシュして1生棟のエレベーターの所へ向かうが、こんな時に限って9階に止まっていたりする。しかも中々降りて来ない。やっと降りてきたエレベーターに飛び乗り7と閉のボタンを同時に押す。
 何とか部屋にたどり着き体操服を鞄に詰め込んで部屋を出ようとしたときには8時15分になろうとしていた。やばい、このままじゃ確実に遅刻してしまう。ただでさえ誰も遅刻しない校風な上に、鬼婆のような数学教師の顔を思い浮かべると、
何としても遅刻を回避したかった。

291:ふみあ
09/10/08 03:30:15
 ふと、机の上に車の鍵が放り投げてあるのが目についた。とたんに僕の中である黒い考えが浮かんだ。背に腹は変えられない、車で行っちゃおうか…始業は8時半だから車なら余裕で間に合うはず…。
 思い立ったら吉日、車のキーを引っ掴むと、そのまま玄関の方へ踵を返し、靴を履いて扉に鍵をかけ、学校へ向かってダッシュした。
 寮のエントランスへ降りると、皆先に登校したのかだれ一人いなかった。そのまま外に出て少し裏手にある駐車場へ向かう。手に取ったキーがアリストのものだったので、そのまま開錠してアリストを発進させた。
 発車してから2分もしない内にもう女子高生の集団に車は追い付いていた。時刻はまだ20分になったところなので十分間に合うだろう。やたら校内が広い分、中を通る道路も充分に広いため、女子高生の集団が歩いていても
車一台くらいが通れる隙間はそこかしこに開いている。ブレーキングをしてゆっくり徐行しながら、僕は彼女らの傍を通過していた。
 しかし、間もなく校舎の入り口に近づいたところで女子高生の山ができていたため完全に停車せざる得なくなった。なぜか他の後から来た女子高生たちも何かを言いながら足を止め、次々とその輪に加わり、
車は完全に周りを囲まれてしまった。

292:ふみあ
09/10/08 03:32:43
 まだ、二週間も通っていないが、前日までこういう事はなかったので、一旦停止措置をすると、窓を開けて上半身を外に出し、箱乗りの要領で前の方を覗いてみたが人が多すぎてよくわからない。周りの会話からはなにか相当な人気者が前にいて、
みんなが集まってきたらしいというようなことがわかったが、さすがにこれ以上ここにると冗談抜きで遅刻しそうだった。ここで、車を乗り捨てることも考えたが、さすがに道のど真ん中に駐車するのも考えものだろう。僕はそんなことを考えながら
ステアリングの真ん中、エンブレムの下に付いているホーンボタンを手のひらでグイッと押した。
 「パアーーーーーーーーーーアァァァァン!!」と威勢のいい音を出しながらクラクションが辺り一面に響き渡ったとたん、その場にいた全員がこちらの方を睨みつけてきた。少し怖かったが、通りたい意思を示すため数回パッシングした。
 露骨に嫌な顔をされたが何人かが車が通れるように道を開けてくれたため、サンキューハザードを点滅させたり頭を下げてお詫びをしたりしながら集団の傍を通過した。


293:ふみあ
09/10/08 03:35:22
 その時、先日見事新しい学生会長になった有栖川先輩と新しく役員になった2年の先輩方がいるのが目についた。どうも集団は彼女たち、というより学生会長が目当てだったらしい。話に聞けば会長は
日本随一を誇る多国籍企業である有栖川コンチェルンの一人娘らしく、学校一であろう名家の令嬢である上に、持前の才色兼備な性格からカルト的な人気を誇っているらしい。どうりでこんなに人が集まるはずだ。
 そんなことに納得しながら横目で彼女たちを見たとたん、かなり機嫌が悪そうに見える会長と目があった。が、一瞬のことだったので特に気にせずそのまま通過した。そのまま校舎そばの適当なところに停車するまで、
フィルムを掛けた運転席側の窓が全開で向こうからも丸見えだったという事に、僕は全然気付いてはいなかった。

4-4終了。4-5に続きます。

294:ふみあ
09/10/09 04:27:52
4-5 なぜか学生会に入ることになってしまった。
>>薫
 車で登校したことについては特に何も言われなかった。というより、生徒によっては実家から車と専属の運転手を取り寄せて通っている人もいるらしくスルーされているようだった。
さすがに自分で乗ってきたのは僕だけらしいが…。
 ただ、何人かのクラスメイトに車から降りてくるところを見られたらしい。車乗ってくることもさることながら、その車がドリ車仕様のVIPカーだったためものすごく奇異な目で見られた。
 ただ、自分でも意外だったが、車を自分だけの更衣室として十分活用できたのは一つの収穫だった。更衣室での着替えだと他の女子に絡まれることで男だとばれそうになったり、
時間差を稼いで人が少なくなった後に急いで着替えるにしろ、何かしらの罪悪感があり、第一授業がプールで行われた時にどうしようかと考えていたので、更衣室に行くふりをして
車の中で着替えればすべての問題が解決できることを発見できたことは本当に良かった。これから体育があるときや着替える必要があるときは車を使う事にした。

295:ふみあ
09/10/09 04:30:17
 その日の終業のホームルームが終わった僕は、特に部活に入っているわけでもないので寮の方へ帰ろうとして、車の元に向かっていた。やや日が傾いてきたせいか、夕陽の光を浴びてアリストは
そのシルバーメタリックの車体を金色に光らせて、朝停めた場所と同じところに止まっていた。
 車の鍵をボタンで押してアンロックして、ドアノブに手を掛け、ドアを開いて乗り込むためサイドバーを片足でまたごうとした時だった。突然とてつもない気迫を纏った何者かに右肩を掴まれた。
「お待ちなさい。」
限りなく澄みきった、しかし容赦を許さない女神のようなその声を耳にして、僕の体はガチガチに硬直していた。
このオーラ、この独特の声の響き。振り返るまでもなく今後ろに立っているのが誰か、嫌でも理解できた。

296:ふみあ
09/10/09 04:31:48
 恐る恐る後ろを振り返ると、そこには僕の肩を掴んだまま仁王立ちしている学生会会長その人がいた。そこはかとなく命の危険を察知つつも、
後ろ背に夕日を浴び、金色に髪を輝かせ、時折吹く風に靡かせながら、堂々として佇むその風格に圧倒され、僕は不覚にもかっこいいと思い、
そしてどうしてよいか分からずしばらく沈黙した。
 先に沈黙を破ったのは会長の方だった。
「あなたがこの車の持ち主かしら?」
「………(゚д゚)(。_。)(゚д゚)(。_。) 」
「名前を訊いても宜しいかしら?」
「……( ゚д゚)ハッ!」
「黙っていては何もわからないわ。お名前はなんていうのかしら。」
最初のやや棘のある感じから、何か柔らかい雰囲気に変化したところで漸く僕は口がきけるようになった。


297:ふみあ
09/10/09 04:33:10
「いっ、1年5組3番、綾小路 薫とも、もうしまう。は、初めまして…。」
「初めまして、薫。いい名前ね。わたくしのことはご存知かしら。」
「は、はい! よく存じ上げています。こ、この度の選挙、御当選、お、おめでとうございます。」
「そんなに力まなくてもいいわ。少し肩の力を抜きなさい。」
「は、はあ…..。」
 いったいこの人はこんな名も無い新入りの元へ何用で来たのだろう。まさか野暮用ではあるまい。未だパニクっている頭でテンパりながら思案していると、
「薫、今朝あなた、わたくしに対してこの車の警笛を鳴らさなかったかしら?」
この人、ひょっとして今朝のことまだ根にもているのか? 彼女の言葉を聞きながらはっと、今朝の出来事を思い出した僕は、まさかの野暮用に驚きつつもすぐに彼女に対し謝罪と言い訳を始めた。
「すみません。僕、いえ、わたし、麗子様があの場にいらっしゃることを知らなくて。今朝は急いでいたので、つい。やだわたし、本当に失礼なことを。ごめんなさい。本当にすみませんでした。」
と、頭を下げた。今は、僕は女の子として過ごしていることを考慮して、また何かこっちの方が心象が良さそうだったので自分のことを「僕」ではなく、「わたし」と称してみた。
 それでも、ものすごく怒られる事を覚悟していたのだが。以外にも会長は、
「畏まらなくてもいいわ。わたくし、そこまで怒ってはいませんから。」
と言ったので、少し拍子ぬけた。が、
「ただ、申し訳ないというなら、少しわたくしに付き合ってもらえないかしら?」
「……?」
何処へ行くか分からなかったが、申し訳も込めて、取りあえず後部座席の方へ乗ってもらった。


298:ふみあ
09/10/09 04:37:44
 会長に言われるがまま校内にそびえる小高い丘を登っていくと、頂上、行く手の先にこじんまりとした、しかし造りが華奢な、2階建ての洋館が見えてきた。事前に人から聞いた情報では、
通称学生会館と呼ばれ、他の校舎から離れており他の生徒が寄り付かず、そして一番高い所にあるため、学生会部員の詰め所、兼憩いの場になっているらしい。
 建物の前で車を止め、停止措置をし、エンジンを切って車から降り、後ろの扉を開け、会長を車から降ろしてすぐに、会長から「ついてらっしゃい。」と言われて、おとなしくついて行く。
 建物と見事に調和した玄関の扉を開けると廊下と階段があり廊下を真直ぐ行くとキッチンと物置、階段を真直ぐ登って行くと上の階にある執務室に辿り着くようだった。

(長いので一旦ここで切ります。後半へ続きます。)

299:名無し物書き@推敲中?
09/10/10 00:20:08
めんどくせえwww

300:名無し物書き@推敲中?
09/10/10 01:12:51
恋愛小説の陳腐さが日本の小説を糞にしている。
そりゃノーベル文学賞は無理だわ

301:名無し物書き@推敲中?
09/10/10 18:15:15
まだ続くの?
個人的には>>16の続きの話が読みたい

302:ふみあ
09/10/10 21:08:15
>>298

 玄関に入ると、足元にある籠に入ったスリッパに履き替えて、脱いだ靴は其処にある下駄箱に仕舞うように指示された。
その通りに靴を脱ぎスリッパに履き替え、下駄箱に靴を置こうとすると、もう先に何足か靴が収まっていることに気がついた。
 次に会長は階段を上って行き、そのまま突き当たった奥の、見た感じかなり広そうな部屋に入って行った。そのまま僕も続けて
その部屋に通じるドアを開けて部屋に入った。
 まず目に入ったのは向かいと左右に開いた大きな飾り窓だった。そのせいか薄暗い廊下と比べて部屋全体が明るく感じた。
床には赤い、少し古びた絨毯が引いてあり、壁・天井の壁紙の色はベージュ色で、部屋の明るい雰囲気に華を添えている。
そして天井には古びたシャンデリアがぶら下がり、まるで祖父母の家の応接間を彷彿させるような部屋だった。広さも20畳
くらいはあるだろう。2階一杯を使って一部屋を作ったようである。
 何よりも目についたのは、かなり古い骨董そうな大きな長方形のダイニングテーブルと十数脚位の椅子、そしてそこに座る何人かの
生徒だった。皆さっきまでティータイムに興じていたみたいだが、我々、いや会長が部屋に入って来たとたん、急に姿勢を正して部屋に向かいいれた。
 一旦その場にいた全員が会長の方へ向き直り挨拶を交わした後、ほぼ同時に会長についてきた僕の方へ視線が注がれる。中には今朝、あの場にいた
生徒もいたのか、互いにこそこそと耳打ち合う人もいた。しかも全員役員を務める2年生か、引退してある意味OGを気取っている3年生しかいないようである。
非常に気まずい。


303:ふみあ
09/10/10 21:13:10
 その時一人のショートヘアの2年生が、
「その娘どうしたの麗子? ひょっとしてもう妹なんてつくったの? 手が早いわね~。」
と言った。この先輩、会長にため口をきいている?! 麗子様には同級生どころか上級生すらその気品に対し皆敬語を使う
と聞いていたので、僕はこの先輩がよほど親しいのか、ただの無謀な馬鹿なのか、どちらか判断しかねた。
「違うわ、凛。それにここでは会長とお呼びなさいと何度言えばわかるのかしら。」
「はいはい会長さん。別にいいじゃない。あんたとわたしの仲なんだし。で、妹じゃないならなんなのよこの娘?」
どうやら前者だったらしい。
「だから今説明するわ。おほん。皆さん、この娘の名前は綾小路 薫。この春入ったばかりの一年生で、本日から本生徒会執行部で
役員見習いとして入部することになりました。ほら、薫。皆様に挨拶なさい。」


304:ふみあ
09/10/10 21:18:28
 あまりにもサラリと言われたので、一瞬思考が追い付かなかった。生徒会? 入部? 学生会に入れとは一言も…ただ
付き合えって…あれ、もしかしてあれ、学生会に参加せいっていう意味だったの? えっ? えっ? Σ(゚Д゚;エーッ!
 聞いてないと抗議しようかと思ったが、頻りに挨拶を迫る会長の顔に鬼気迫るものを感じたのでなし崩し的に
受け入れてしまった。ええい、ままよ。
「1年5組の綾小路 薫です。これからお願いします。」
 と、挨拶をすると、先ほど凛と呼ばれた2年生が、
「宜しくね、薫ちゃん。わたしは尾添 凛、今期の副会長をやってる麗子の親友。
んで、今そこにいるおさげ眼鏡が会計の朝倉 綾乃で、反対側に座っている貧乳ツインテールが書記の中西 怜。」
と言うと。
「誰が、貧乳ですか! 誰が!」
と中西と呼ばれた先輩が凛先輩に噛みついた。どうやら相当なコンプレックスらしい。
「貧乳でしょ。どう見ても。」
とよせばいいのに凛先輩も煽る。
「私は普通ですよ。皆さんが大きすぎるんです。」
「まあまあ、レイちゃん落ち着いて、リンちゃんも煽らないで」
と、朝倉と呼ばれた先輩がなだめる。すると二人とも喧嘩を止め、
「アヤノンが言うなら…」
「はいはいごめんね。んでそこにいるのが前回役員だった…」
とその時来ていた3年生で前役員をやっていた先輩達を一人ずつ紹介された。

305:ふみあ
09/10/10 21:20:16
一通りその場にいたメンバーを紹介した後に、凛先輩が。
「しかし薫ちゃん。わたしの記憶が確かなら、今朝私たちの傍を車で通らなかったかい? えっ、えっ。」
「はうう、ごめんなさい。」
「ダメだぞ~そんなことしちゃ。まあ、誰も咎めないけどねうちの学校。ところで免許持ってるの?」
「少年用の普通免許ですが持ってます。」
「へえ、見せて見せて。」
「あうう…」
どうしたものか、免許証にはウィッグも化粧もしていない僕の写真が写っている。見られたら僕が男であることがばれてしまう。困ったな。
「ねえねえ、お姉さんに見せて見せて。」
「はうあ….うぅ」
どうしよう。
 その時僕に一計が案じた。そうだ、写真のとこだけ隠して一瞬だけ見せるのはできないか? 免許証には氏名、生年月日、住所、免許一覧と写真以外は性別すら書いてない。
写真さえ隠せればオールOKジャン。善は急げ、早速財布を取り出し、写真だけがうまく隠れるように出した後、「ねっ。」と言いながら少しだけ見せる。すると先輩は、
「お、持っているのか。だったら素直に見せれば良かったのに。」
「は、恥ずかしかったんです。」
「何言っているのそれくらいで、かわいいなあ、もう。」
と言いながらどこぞの親父の如く、いきなり先輩が抱きついてきた。どうやら写真の件はスルーしたらしい。ひとまずホッとしたが、如何せん胸が顔に当たって苦しい。


306:ふみあ
09/10/10 21:36:54
 「うぅん、やっぱ小さい子は抱き心地がいいなあ….ε-(´∀`*)」
とわけのわからぬ事を云いながら先輩はずっと抱きついていたが、急に何かに気がついたのか、離れたと思ったら、後ろにいる怜先輩に向かって、
「怜、喜べ。薫ちゃんも胸がないぞー。」
と叫んだ。先輩、今ここでいう必要がありますか?
 思わず赤くなったとたん、それまでずっと我慢していたのか。麗子先輩が、
「凛、もうそれくらいになさい。薫、今からあなたの仕事を説明するわ。」
と言ったとたん。凛先輩は悪ふざけを止め、再び静寂が訪れた。
 仕事は簡単な役員の補佐と雑用だった。とりあえず放課後になったらここにきて、お茶を入れたり、役員の指示に従って簡単な作業を行う事が当分の仕事だそうである。
 そしてなぜか先輩のことを敬意を込めてお姉様と呼べと言われた。つまり会長なら麗子お姉様。副会長なら凛お姉様という風に。要は尊敬する姉を一途に慕う妹の如く姉にこき使われろ、
というようなことらしい。なぜか凛先輩の何かのつぼにハマったらしく、何度も「薫ちゃん。」「なんですか? 凛お姉様。」「なんでもなーい。」などという不毛なやり取りをさせられたことには閉口したが…。
 とにかく、その日僕は半ばなし崩し的に、学生会の一員になった。

4-5終了。4-6に続きます。
>>301 ごめん、まだ当分続く。正直いつ終わるかわからんOTL

307:名無し物書き@推敲中?
09/10/11 02:36:18
ブログ「イザ」の相模文芸クラブ。
ここに作品がさらされ、批評を求めてる。
他の作品を見るのも、批評するのも有益だ。

308:名無し物書き@推敲中?
09/10/15 01:42:59
>>301
二年前にうpされた作品だからもう続きはみれないだろ

309:名無し物書き@推敲中?
10/01/07 12:28:06
アク禁解除テスト

310:ふみあ
10/01/07 13:47:17
久しぶりに>>306の続きから

4-6
>>薫
 学生会館へ続く坂道の右カーブの途中から学生会館前の広場に突っ込むように左方向に車の向きを向け、
そのままブレーキを踏みながら建物の前まで突っ切ったところで停車してエンジンを切る。
シートベルト外しながら助手席の上に放り投げてた青色の封筒を手にとり外に出る。20クラウンのドアがロックしたことを確認してから
いつものように玄関の扉に歩み寄り建物の中に入る。
 中に入るとさっきよりも薄暗く、やけに静かなような気がした。決して大きくはないが古い上に重厚な造りをした建物なので物音が響きにくい上に、
日も落ちてきたので気のせいだと思いながら履物を履き替えて階段を上る。
 階段のあるホールにやたら大きく自分の足音がこだまするので、どうやら他の人は今で払っているらしい。そんなことを考えながら
執務室のドアの前に立つと、部屋の中から微かにだが異音がすることに、ふと僕は気がついた。何の音かわからないので
異音の正体を見極めるため僕はドアに聞き耳を立てた。
 扉の向こうからは人の…女の子の「はぁ、はぁ、んん!、あぁ」という感じの喘ぎ声が聞こえてきたので一瞬僕の思考はフリーズした。
固まりながらなお聞いているとさらにもう一つ聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ふふ、加奈ちゃんったらかわいい声なんか上げて..ほらもっと私にその声を….」
「….んうん、あぁぁ…様..ダメ♡…」


311:ふみあ
10/01/07 13:49:59
 心臓が飛び出そうなところをなんとか堪え、中の二人に気づかれぬようにそっとドアを開け、隙間から覗き見る。残念ながら眼鏡の外だったので大まかな輪郭しか見えなかったものの、
それを尾添先輩と、リボンの色から自分と同学年だとわかる、知らない女の子が百合っぽい情事に耽ってる現場だと確認するのには十分すぎるものだった。
 あの噂は本当だったのか….と感心しながらも、気づかれないようにドアをそっと閉める。残念ながら僕には他人の情事を興奮しながら覗き続けるような真似は出来ないので、
抜き足差し足しながら階段の方へUターンして、一階に降りた。
 階下に降りたのはいいが、どうしようか、車の中でやり過ごそうかと考えていたとき、何故か自分が手ぶらであることにふと気がついた。封筒よ、どこへ行った?

312:ふみあ
10/01/07 13:54:42
 2階までは確かに持って上がった記憶があるので落としたとしたら執務室の前だろうと考え、階段に足をかけようとした時、執務室のドアが開き、こ
ちらに向かってくる足音が聞こえた。急いで階段の下に隠れてやり過ごすことにする。
 一階に降りてきた二人は階段のそばで何やら話している。時折「彼氏」だとか「あいつなんか」とか「気持ちよく」とか聴こえてきたので
恐らく碌な内容ではないと察せられたが良くは聞こえない。それよりよく考えたら今外には僕の車が止まっていることに気がついた。
封筒と車…ああ、詰んだな。
 予想通りか、二人は扉を開けて外に出て行った。恐らく車に気付いただろう。先輩が戻ってくるまでここに隠れていた方がいいかもな。
で、戻ってきた後にさも今まで外に封筒を探しに行っていた振りをして合流する方がいいだろう。

313:ふみあ
10/01/07 13:59:01
 そうこうするうちにすぐに先輩が戻ってきた。そして先輩はそのまま階段の方に目をくれず一階の廊下の方へやってきた。そして階段下のスペースを覗きこみ…
「みーつけた♡」
と言いながら隠れていた僕と目があった。
 先輩と目があったので「こんにちはお姉さま♡」とさも今出会ったかのように下級生らしくなるべくかわいく同じように挨拶を返す。すると先輩は
「何やってるの?薫ちゃん、ひょっとしてかくれんぼ?」
とおそらく当然疑問に思うであろうことを聞いてきた。
「いえ、違うのですが…あ、でも、そうかもしれませんね。私おっちょこちょいのせいかファイルを失くしてしまったみたいで..
確かにここまでは持ってきたはず何ですけれど、ああ…ホントどこへ行っちゃたんだろう。」
と答えながらさも探しているかのように床に手をつきながら動きまわていると、
「それって、ひょっとしてこれのこと?」
と言いながら先輩は僕に先程の青い封筒を差し出してきた。
 呆然としながらそれを受け取ると、先輩は
「見つかってよかったわね、ここではなんだから上でお茶でもしない?」
と言ったので、反射的に「はあ。」と返事をしていた。

続く...

314:ふみあ
10/01/08 14:24:09
続き

 二階に上がり執務室に入ってしばらくした頃になってやっと我に返った。そしてこれからどうするか考えた。やはり、いったん執務室の前に来たものの
車に忘れ物をしたことを思い出して封筒を放って来てしまった、ということにしておくことにした。
 先輩と向き合ってお茶を飲みながら、先輩に
「お姉さま、さっきは本当にありがとうございました。あの封筒、どこで拾ってくださったのですか?」
と聞いてみると、
「ああ、そこの…この部屋の前の廊下のところに落ちてたよ。」
と予想通りの答えが返ってきたので、
「あ、そこに置いて来てしまったんですね。先程執務室の方に来た時車の方に忘れ物をしてしまったのを
思い出して慌てて取りに戻ったんです。私おっちょこちょいだからそのと…」
と言おうとしたが、途中で遮るように
「ねえ、薫ちゃん」
と先輩が意味深な雰囲気で話しかけてきた。
「はい?」
「ひょっとして、見てたんじゃない?」
「ほぇ、何のことですか?」
全身全霊、全力をかけて精一杯とぼける。
「(ΦωΦ)フフフ…何って、わたしたちのこと♡」
「だ、だから何の事を仰ってるんですか?お姉さま。」
「知ってるわよ…わたしたちがしてること、あなたが覗いていたこと。」
「し、知りませんよ。本当に、な、何のことですか?」
やばい、ぼろが出そう、っていうかばれてるじゃん。
「とぼけないで、知ってるのよ。」
「い、いや、ほんともう、なんのことやら…」
顔が紅くなってるのが自分でもわかる。
「あら、ひょっとして見ていて興奮していたの?」
と耳元で先輩が囁いてくる。
「そ、そんなこと…」


315:ふみあ
10/01/08 14:25:49
 やばい、ドキドキしてきた。否、ドキドキしすぎているような気さえする。よく考えたら覗き見たのは確かだが興奮している程覗いてはないし、
殆ど視界にも入ってはいなかった。思い出して、というよりは明らかにすぐ隣で甘い声で囁かれているからドキドキしている気さえする。そういえば
なんで先輩は僕のすぐ隣にいるんだ?先輩は確かテーブルの向かいに座っていたはず。
 疑問に感じたのとほぼ同時に、突然先輩が僕の首に腕を回すように後ろから抱きついてきた。
「な、何をするんです?!止めてください!」
と半ば叫びながら振りほどこうとしたが、時すでに遅し、かなり強い力で抱きしめられてしまった。
「ふふ、こんなに紅くなっちゃって、やっぱり見ていたのね。」
「こ、これは、ちがっ…」
力がだんだん強くなる。
「違うの?」
「いえ..ほ、ホントはみ、見てい、まし、た。」
急に力が緩んだ。深呼吸をしながら改めて聞いてみる
「お姉さま。」
「ん、なーに?」
「あ、あの噂、本当だったんですね?」


316:ふみあ
10/01/08 14:28:35
 最近一年生の間に『学生会関係者で、1年生を次々と喰っている2年生がいる』らしいという噂がまことしやかに流れていた。もうなんだかんだと10人近く喰われたそうで、日替わりで下級生を捕まえては学生会館へ連れて来て事に及んでいるという、そういう噂だった。
この噂を聞いた時、信憑性はともかく狩人の目星はついてたが、実際目の当たりにするまで正直信じられなかった。と、いうより先刻から狩人の顔色を窺うと、どうやら次の獲物は僕らしい、ヤバイ、ヤバすぎる。
「あら、あの噂って何かな?」
フフフと、小悪魔っぽく微笑みながらその人は逆に聞いてきた。
「その、一年生に、その…あんなことやこんなことをさせているとか、そういう…。」
「あんなことやこんなことって?」
「ご、ご想像にお任せします。」
「もしかして薫ちゃんもこういう事、考えていたの?」
と言いながら僕の股間の方へ右手を伸ばしてきたので、
「止めてください!怒りますよ!!」
と言いながら彼女の右手を叩くように払った。あぶねえ、男だってバレルとこだった(; ・`д・´)。

317:ふみあ
10/01/08 14:32:19
「あら、嫌なの?それとも嫉妬いているのかな?」
「どうして嫉妬くんですか?!」
「薫ちゃんがツンデレかもしれないじゃない。それに…」
「….?」
「わたしのテクで気持ち良くならなかった娘なんていないんだよ。」
「…?..あっ!しまっ…」
 遅かった、僕が油断した一瞬のすきを突いて、彼女は右手を僕のスカートの裾の中に突っ込み、そのままショーツの上から指で艶やかに撫で始めた。が、股間にある一物の違和感に気がついたのだろう。急に愛撫を止めると彼女は驚愕した表情でこういった。
「薫ちゃん、君、ま…まさか…」
「あ、ああ、あぅ….あぅ、あ…..ああああああああ!」
/(^o^)\ナンテコッタイ、バレテもうた。\(^o^)/オワタwwwwwwww

4-6終 4-7へ続きます

318:ふみあ
10/01/28 13:32:56
test

319:ふみあ
10/01/28 13:35:30
>>317
規制解除されたので続きをカキコ

4-7

>>薫
 五月が近づいてきたせいか今日も頭上には嫌なくらい澄んだ青空が広がっているが正直朝から気分がどんよりとして重かった。昨日はあの後その場から逃げだしたこともあって正直帰りたかった。あの人が来るまでは…
「薫、あなたにどうしても確かめたいことがあるから….わかってるわよね?」
そういってものすごい剣幕をした麗子先輩は放課後呼び出しに、僕のところへ昼休みになったとほぼ同時にやってきた。
「わかってます..お姉さま。」
「あるとは思わないけど、間違っても逃げようなんて考えちゃ駄目よ。」
「め、滅相もないです!」(((( ;゚д゚))))アワワワワ
「あと、今度新しい風紀委員長になった綾小路 葵、あなたの従姉だそうね。」
「は、はい。」
「あの娘も当然このことを知っていたんでしょうね。」
「あ、葵お姉さんは…ッ。」
知らなかった、じゃ済まされないか…そう気付いた途端、黙らざる得なくなった。
「私はなるべく事を大げさにしたくないの。綾小路 葵はあなたがそれとなくわたしのところへ連れて来なさい。いいわね?」
「わ、わかりました。」
強い口調で言われて気落されながら力なく返事をすると、麗子先輩は教室から出て行った。

320:ふみあ
10/01/28 13:37:15
 今をときめく生徒会長が僕ごときに会いに来たのが不思議だったのか、クラスどころか廊下からも
おおくの生徒がこちらの様子を窺っていたようだった。その場から逃げるように学食へ昼食を取りに行こうとすると、スクープに喰いついた芸能週刊誌の記者のごとく瞳を輝かせながら猪瀬がついてきた。
「ねえ、ねえ、薫さん。今の麗子さまよね、ね?どこで知り合ったの?麗子さまのことお姉さまって言ってたわよね?ひょっとしてあなたたち姉妹の契りを….いえ、もしかして、
もしかすると、百合!キャ━━(゚∀゚)━━!!」
お前は無駄にテンションの高い腐女子か?とうんざりしながら
「ちがいます。ひょんとしたことで僕が学生会に入ることになったので面倒を見てもらっているだけです。」
と訂正すると
「でもさ、でもさ、わざわざ放課後自分のところへ呼びに来たってことはさ、さ、ホントは満更でも…」
「あるわけないでしょ、昨日学生会の仕事で大ポカをやらかしちゃったから、そのことで説教するために呼び出されただけです。」
「そ、そうなんだ…(゚⊿゚)ツマンネ」
そういって猪瀬はどっかへ行ってしまった。遠巻きに様子を窺っていた野次馬もつまらなそうに退散していた。お前らは何を期待していたんだ?

321:ふみあ
10/01/28 13:39:52
 学食へ行くついでに葵姉ちゃんに軽く事情を話して学生会館に一緒に来てくれるよう話しておこう、と思い遠回りになるが階段で3階まで登り2年の葵姉ちゃんのクラスまで向かおう。
としたがちょうどいいところに他の春日さんと一緒に葵姉ちゃんが階上からこちらの方へ降りて来るのが見えた。
 向こうの方も僕の存在に気付いたのか、こちらに声をかけて来た。
「あら薫、どうしたの?」
「ひょっとしてランチのお誘いかな?」
「あ、まあ、そんなところです…」
適当に茶を濁しながら精いっぱい作り笑いを作りながら葵姉ちゃんのそばに行く。
「あのさ、お姉ちゃん。放課後、少し時間貰ってもいいかな?」
「ん、どうして?」
そこで僕は彼女の耳元で他の人には聞こえないように囁いた。
「バレちゃった…」(∀`*ゞ)テヘッ
 次の瞬間僕は彼女の表情が強張ったのを見逃さなかった。というより、只でさえ大きな瞳をさらに大きくして目を見開き、全身を固まらして凍りついているようだった。
そしてそのあとすごい形相で、青から赤に顔色を変えると、僕の腕を引っ掴み、傍らにいる春日さんに向かって
「雪乃ちゃん、食堂へ先に行ってくれない?少し薫と二人だけで話したいことがあるから。」
「ん?うん、わかった…」


322:ふみあ
10/01/28 13:43:46
 そうして春日さんが行ったのを確認すると、そのまま僕の腕を引っ張りながら、階段そばの女子トイレの個室の一つに入り、鍵をかけた。そして
「薫、バレたってどういうこと?まさか…」
「…うん。」
「なんてこと…」
葵姉ちゃんはこめかみに手を当てて溜息をついた。
「いったい何があってどうしてバレタの?」
 しどろもどろしながら昨日の尾添先輩との顛末を語り、今現在尾添先輩と有栖川先輩の両名がこの事実を知っていること、そして証人として有栖川先輩のもとにお姉ちゃんを連れてくるよう言われたことを葵姉ちゃんに話した。
 全部話し終えると、葵姉ちゃんは半ばあきれながら
「ホント、あなたって子は….。」(# ゚Д゚)
「不可抗力だったんだから仕方ないじゃん。」(TдT)
「仕方ないじゃないわよ、わたしの立場も考えてよ。」ヽ(`Д´)ノプンプン
「悪かったと思ってるよ!だけど…。」(;´Д`)
「もー、風紀委員長が女装した男の子の存在を黙認するどころか幇助してたなんてことが学校中に知れ渡ったら…。」( ´Д`)=3
「あ、でも、でも!麗子様は事を荒げるつもりはないって仰ってたよ。たぶん内密に処理するつもりだろうから…」
「それでもあなたと私が従姉弟同士であることは周知の事実だから勘のいい人は簡単に察するわ…」
「あー...」

323:ふみあ
10/01/29 03:54:58
 そうしてしばらく、お姉ちゃんは頭を抱えながら、僕は足元を見つめながら、完全に沈黙した。
そして腹が据わったのかお姉ちゃんの方から静寂を破った。
「とにかく、向こうの出方次第ね。ここで愚痴ってても仕方ないわね…」
「放課後になったらそっちの方に迎えに行くよ。」
「わかったわ。とりあえず今はお昼を食べに行きましょう…」
「うん..」
僕らはトイレを後にした。


4-7完 4-8に続く


324:ふみあ
10/01/29 03:56:14
4-8

>>薫
 執務室のドアの前に来ると、すでに部屋の中から人の気配が感じられた。僕は左側に立っている葵姉ちゃんの方へ顔を向け、
互いに何かを確認するように二人でうなずいた後、覚悟を決めて扉を二回軽くノックした。
 すると同時に部屋の中から
「どうぞ。開いてるわ。」
といつもよりやや険しい口調の会長の声が聞こえてきた。僕はドアノブを握り
「失礼します。」
と言ってドアを開けて先に部屋の中に入り、ドアを支えながら葵姉ちゃんが入ったのを確かめて扉を閉めた。
 部屋の中には既に4人の役員全員が席に着いていた。
「遅かったわね、いの一番に来なさいって言わなかったかしら?」
と会長が依然険しい口調で尋ねた。
「す…すみません。お姉ちゃんを迎えに行く時に…手間取ってしまって…」
とオロオロしながら答えると
「まあ、いいわ…悪いわね、葵さん。呼び出しちゃって。少しこの子…」
とちらりと僕の方を見ながら
「…のことで確認したい事があったから、証人として私たちに証言してもらいたかったのよ。話はたぶん聞いてるわよね?」
と言うと、葵姉ちゃんは
「ええ」
とうなずいた。


325:ふみあ
10/01/29 03:57:35
 しばらく沈黙が続いた後有栖川会長が僕の方を向きながら
「薫、まずはこれだけは確認させて、あなたは女ではなく、男なのね?」
「はい、そうです。間違いありません。」
「では、凛のいうことは間違いないのね?」
「あたしゃ嘘はつかないよ?」
「凛、あなたは黙ってて、わたしは今薫に訊いているの。で、どうなの?」
「凛お姉さまが麗子お姉さまにどのように説明したのかはわかりませんが、たぶんそうです。」
「そう、つまりあなたはこの学院が女子校であることを知りながら、男なのに女だと詐称して入学して、今まで学生として生活していた。と、いうことね?」
「はい。」
「しかもあなたにはこの学校に親しい身内がいた。しかもその娘はわたしと同じ学年で、しかも今期の風紀委員長だった。あなたたちが親しそうにしているのを目撃した生徒が何人もいる。まさか知らなかったというわけではもちろんないのでしょう?葵さん。」
「ええ、知ってたわ。」と葵姉ちゃん。
「なら、なおさら悪いわね。ただ、あなたのような風紀委員、それも責任ある委員長がこういう真似をしたということが腑に落ちないわ。ばれたらただじゃ済まないってわかってたでしょうに。どうしてこんなことを?」
「そ…それは…」


326:ふみあ
10/01/29 03:59:19
 どうしようかと葵姉ちゃんと二人、顔を見合わせて苦笑する。葵姉ちゃんは心底困ったような表情をしていた。恐らく僕も似たような表情をしていたのだろう。
そんな僕らの様子から何かを悟ったのか
「どうやら一応それなりの理由はあるようね。話してくれないかしら?」
「え、ええ…でも。」
言えない。曾祖母のボケた勘違いでふざけた遺言状によって女子校送りになりましたなんて言えない。
曾祖母の名誉に関わるし、親戚一同白い目で見られかねない。何より僕自身が恥ずかしい。そこは同じだったのか葵姉ちゃんが
「すみませんが、公にできない身内に関する話になりますので返答を慎ませて頂きます。」
と言うと、会長は別に気にすることでもないように
「構わないわ。私も他言無用にするつもりだし。ここに他人の恥ずかしい秘密を言い回るような娘はいないから話してくれない?
理由次第では私も酌量しないでもないわ。」
と言った。


327:ふみあ
10/01/29 04:00:44
 どうしたものかとも思ったが、やはり話さぬわけにもいかないだろう。僕は葵姉ちゃんの表情を窺うと、彼女もこちらを向いた。話した方がいいと目で合図された気がしたので、
僕は事の顛末を一から説明することにした。
「実は…こうこうこういうことがあったんです。」
「なるほど、そういうことがあったのね。」
「ホントにわかったのかな?」
「さっぱりわからなかったけど、おおよその事情はわかったわ。難儀なおばあさまをもったものね。」
「そうですね…」
「でも、あなただって嫌だったのなら断ってもよかったんじゃないの?」
「そうしたかったんですが..断ると私以外の親族も遺産相続できなくなるような書式だったらしくて
無理やり入れさせられたんです。ちょうど中学を卒業する頃でしたから丁度いいって。」
「フフフ…ひどい人たちね。」
「全くです。迷惑です。」
「で、こちらでのお目付け役を葵さんが仰せつかった、ということね?」
「はい。」
「そういうことなら仕方ないわね。薫、あなたには風紀委員による監視付きで
ここに残ることを認めましょう。葵さん、あなたもこれまでどうり風紀委員長として頑張って頂戴。」
 会長はこういうと今度は同席していた他の役員の顔を見渡しながら
「3人ともこれでいいわよね?」
と決定に対する同意を求めた。


328:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 00:12:34
「いいんじゃない。」
「私も別に構いませんよ。」
 と二人は一応同意したが怜先輩だけが強硬に反対した。
「私は反対です!絶対に同意なんてできません。」
「なぜ?」
「なぜ?って!当り前じゃないですか。男ですよ、お・と・こ!この神聖であるべき女学園に汚らわしい男がいるんですよ。」
「別に女子校って、いうほど神聖でもないわよ。むしろドロドロしてるんじゃないかしら。」
「でも…!」
「それにこの子の問題が綾小路家の遺産問題に絡んでいるとわかった今、あまりこの問題に執着しない方が得策だわ。
わざわざ学生を一人切って収入を減らす必要だってないでしょう?」
「でも、でも、会長。不正を許すんですか?」
「許すつもりはないけど、そこに執着するつもりもないわ。それに一応監視させるという対策は執るって言ったでしょ?」
「ですが…!」
「怜、あなたにはわからないかも知れないけど、わたしも凛も綾乃の家も、綾小路の家とは
ビジネスでもプライベートでも付き合いがあるの。綾小路家の遺産問題が絡む以上、この子を強引に追い出しても、
先方に混乱を招いて私たちが綾小路家の人々の恨みを買うだけで、デメリットはあってもメリットは全くないわ。
むしろ事を丸く収めるためには全力でスルーする必要もあるのよ。」


329:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 00:18:59
 怜先輩はまだ何か言いたいようだったが、黙ってしまった。だが会長は続ける。
「それに今はもう四月の末、さすがに新入生同士互いの顔も覚えたでしょ。理由なく失踪したクラスメイトの事情をあれこれ詮索する…
そういう子が現れたら厄介だし。まだ入って一カ月も経ってないから家庭の事情と説明することも苦しいわね…余程大きな問題を起こしたならともかくね。」
 怜先輩は叫んだ。
「起してるじゃないですか!現に。彼女、いえ、彼は男の子ですよ。女子校に男!大問題じゃなきゃ何なんですか?会長!これは糾弾すべき重大な問題です。」
「怜、あなた少し落ち着いて考えなさい。もしこれが外部に漏れたら学校中が混乱するわ。それにさらに学校の外に漏れたら…女装男子の入学を許した学校という
レッテルを貼られて女学院の面子や信用を傷つけることになる。そうなったら学院の経営にも重大な影響を与えかねないわ。」
「わかりますが、わたしは…!!」
 先輩はまだ続ける。
「だから今のところわたし達で薫を監視しながら保留しておくのが一番いいのよ。わざわざ事を荒立ててややこしくする必要もないわ。
今のところ誰かが何かの被害にあったわけでもないでしょ。それに本人達もそれなりに覚悟してここにいるようだし…問題ないでしょ。」
「今はそうでもいつか絶対問題を起こします。男なんてみんな女を食い物にする獣なんです。すぐに被害にあう娘が絶対に出ます。追い出すべきです。」
「そうならない様に監視はつけると言っているでしょう?本人だってその気はないって言いてるんだし。」
「男のいうことなんて信用できません。」
「もうわかったわ。話はこれでお終い。葵さん、こちらにいる時と授業中以外…できるだけでもいいから保護者として、風紀委員として責任もって薫を監視すること、
お願いできるかしら?」
「はい。わかりました。」


330:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 00:20:56
「じゃあ、下がっていいわ。ごめんなさいね、時間を取らせて。」
「いいえ、では失礼します。」
「…それと薫。」
「はい。」
「あなたもくれぐれも妙な問題を起こさないように気を付けること。間違っても他の人に男だと勘付かれないこと。あとついでにこの書類一式をクラス委員会の方へ持って行ってくれるかしら。」
「クラス委員会….議長の田淵さんのところへですか?」
「ええ、いなければ副議長か、他の委員に頼んで議長に回すよう頼みなさい。」
「わかりました。行ってきます。」
そして僕は小型の段ボール一杯にある書類の束を両手で抱えると執務室を後にした。


331:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 00:22:49
 その後学生会館に戻ってくると、執務室には麗子、凛、綾乃の三人の先輩しかいなかった。
「あれ、怜お姉さまはもう帰られたんですか?」
と訊くと、三人は困ったように顔を見合わせながら
「ええ。男と同じ空気は吸いたくない、そうよ。」
「怜の奴も強情だよなあ。」
「まあ、仕方ないといえばそうなんだけど…」
「….?」
何が仕方ないのかと不思議に思っていると、その疑問に答えるがごとく凛先輩がこういった。
「怜はね、男嫌いなんだよ。それも相当のね。」
「はあ、何かあったんですか?」
と訊くと綾乃先輩が答えた。
「怜のお父さんがね…」


332:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 08:22:29
 綾乃先輩の話によれば、事の発端は去年のクリスマスを過ぎた頃、正月へ向けて準備するための買い出しに家族で出かけた車中で中西母が明らかに自分でも娘の物でもない髪の毛を偶然発見!
すぐに運転中の中西父に詰め寄るが、中西父が明らかに目を泳がせながら必死に白を切ったのですぐに極秘に馴染みの探偵社と大手興信所に調査を依頼、あっけなく中西父に愛人がいることが発覚したのだという。
「あー、そういうことですか。この手の話じゃよくありますよね。父親の不倫って…」
「不倫というより、怜ちゃんのお父さんの場合そっちが本命らしかったらしいんだよね。」
「と、言いますと?」
「怜ちゃんのお父さん、怜ちゃんのお母さんと結婚する前に付き合っていた女の人がいたらしくてね…」
「ま、まさか結婚して家庭持ちになった後も愛人として付き合っていたんですか!?」
 そもそも中西父には昔結婚まで約束した恋人がいたようなのだが、中西家の家族に猛反対を食らったらしい。というのも有名な政治家であった父親である中西祖父が長男である中西父に自分の後を継がせ、
さらにその政治的地盤を強化するために当時財界で名を馳せ、中西祖父とも親交が深かった中西母の家と血縁を結ぶことを画策していたかららしい。もっとも後に愛人となった恋人というのも銀座のクラブの
新人ホステスだったそうだからどっちにしろ反対されるような気がせんでもないが…とにかく中西家はその恋人だった女性に大金の手切れ金を払い、息子を家に軟禁してまでも徹底的に二人を分かれさせたらしい。

333:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 08:24:40
 普通はここまでされたら諦めるだろうが、いや事実中西父は政治家となり、中西母と結婚し一女までもうけているが、彼の恋人に対する執念は凄まじく、
また恋人も銀座でクラブを新しく始め(出資金はもちろん手切れ金)てそこのママをやってたこともあり、政治家という立場を利用して仕事の接待と偽っては
事あるごとにその店に飲みに通っていたという。無論実際は愛人として通っていたことは言うまでもない。
「ひどい話ですね。」
と言うしかなかった。
「ただの不倫ていう関係ならまだよかったんだけどねえ。」
「どういうことです凛先輩?」
「だからいつもお姉さまry…」
「失礼しましたお姉さま。それでどういうことなんです。」
「愛人の他にね、怜に腹違いの弟や妹達がいることも発覚してね…」


334:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 08:26:15
 毎晩のように仕事の付き合いと嘯き愛人のもとに通っては愛人の所に泊って朝帰り、そのたびに(*´Д`)ハァハァな事をするうちに愛人との間に子供が出来てしまった。
しかも二人。これだけでも最低だが、さらにその店に雇われて働いていた女の子とも仲良くなってしまい、その人との間に一人、さらに別の女ry…な感じで何と五人の愛人と
10人の隠し子がいることがつい最近発覚したのだという。
 もっとも中西父は若い時から女癖が悪く、家族が手をこまねく程だったし、事情を知る中西母はただ呆れるだけだったが、
問題は娘。父親の不祥事へのショックと、有名政治家の不祥事というスクープを聞きつけたマスゴミの連日の来襲というストレスから怜先輩は重度の男嫌いになってしまったという。


335:名無し物書き@推敲中?
10/01/30 08:27:40
 最も怜先輩の男嫌いも綾乃先輩や凛先輩の協力もあってここ最近大分収まってきたようだったが今回の件で振り出しに戻ったような状況になってしまったらしい。
「だからさ、薫ちゃんには責任をとって怜の男嫌いを治してほしいんだ。」
「え?でもどうやって…?」
「任せる。じゃ、あとよろしくねー。」
「え、ちょ、おま、( ´゚д゚`)エー!」
4-7完 第四章完


第五章へ続く..

336:名無し物書き@推敲中?
10/02/20 09:36:15
■兄弟1■
多分ぼくは、ブラコンだ。

幼い頃から、ぼくの頭の中は兄と弟のでいっぱいだった。それは愛しさだけじゃなくて、憎しみも含めて。

兄はぼくより3つ上。弟はぼくより1つ下。歳の近い弟とは仲がよく、自然と兄が孤立する構図になってしまった。

兄は長男の宿命で、親の期待を一身に受け塾に通い、私立中学を受験した。

戦争ごっことロボットが好きで、小学生の時、自由研究の題材にしたいと、パトリオットミサイルのプラモデルを親にねだった。

パトリオットミサイルは、湾岸戦争の時にアメリカがイラクにぶち込む為に開発したミサイルだ。兄は一生懸命そのミサイルの格好よさを親に説明していたけど、うちの親は戦争が大嫌いだから、結局プラモは買って貰えなかった。

そんな兄がやった自由研究は、『渡嘉敷島の貝殻の標本作り』とか『沖縄弁と標準語の比較』とか『新聞の折込チラシの分析』という、難易度の高いものだった。

最初の2つにも親の入れ知恵はあったかもしれないけど、最後のチラシの分析は、小学生が企画したとは到底思えない内容な訳で、まあ勿論それは受験勉強に忙しい本人に代わって親が考えたやつな訳で。

こんな風に、兄は、とても窮屈な環境の中で育ったと言える。

337:名無し物書き@推敲中?
10/02/20 09:39:08
■兄弟2■

競争とか戦いが好き、っていう時点で、中道を志すうちの家族の中では異端であったと言える。

兄が東京で生まれた後、家族3人が沖縄に引越してからぼくと弟が生まれた。

両親は時々冗談で、兄や弟に向かって『〇〇は橋の下で拾ってきたの』と言ってはからかっていた。ぼくだけからかわれなかったのは多分、ぼくがそういう冗談を冗談として捉えられずに、真に受けて泣いてしまうからだと思う。

ぼくは、自分の分のアイスが用意されていなかった(母がうっかり食べてしまっていた)だけで、『自分はこの家にはいらない子なんだ』と思い込んで涙するくらいで、その軟弱さと言ったらカイ・シデンもびっくりする程だと思う。

話を兄に戻す。

兄は元々普通であり、ちょっと『変わって』はいたけど、塾に通い出してから、段々それが『おかしい』レベルになっていった。

兄は真面目で、勉強はきちんとしていた。でも、遊びたい盛りの子供である事も揺るぎない事実。押さえつけられた何かが、歪みとなって現れ出した。

338:名無し物書き@推敲中?
10/02/20 09:55:10
■兄弟3■

兄はぼくや弟に対して、色んなちょっかいを出して来るようになった。それは、『ちょっかい』と呼べるかわいい悪戯から『嫌がらせ』と呼べるものまで、ありとあらゆる内容だった。

モノを隠されたのも、ゲームのデータを消されたのも、トイレやお風呂を覗かれたのも、100回や200回では収まりきらない。トイレ風呂云々は多分1000回を軽く超えるんじゃないかな。トイレと風呂のカギは、いまだに兄に壊されたままの状態だ。

兄に対してぼくや弟が怒鳴らない日は殆ど無くて、それは兄が小学5年生になった頃から、大学3年生になるまで、約10年間続いた。ぼくは髪の毛が沢山抜けて、弟は不眠症になった。

兄はぼくらにちょっかいを出している時、本当に、心の底から楽しそうに笑った。人が嫌がる事をして喜ぶ人がいる事を、ぼくは兄から教わった。
唯一大人しかった高校の3年間、兄はぼくらをいじる事よりも剣道に夢中になっていた。戦いが好きな兄らしいとは思う。


339:名無し物書き@推敲中?
10/02/20 10:01:16
■兄弟4■

時が経つにつれて、兄と弟の喧嘩はエスカレートしていった。兄も弟も、体が大きくなっていったから。ぼくはと言うと、途中から『兄は頭がおかしいから相手をするのは時間の無駄だ』と考えて、何かされたり言われても無視するようになっていた。

ぼくが高校3年になってから大学1年の終りに留学するまでが、一番酷かった。

弟は反抗期との相乗効果なのか、よくブチ切れて台所から包丁を持ち出して振り回していた。

親はいつも外に出ていて家にいなかったし、無視を決め込んでいても死人が出るのは御免だと思ったから、弟をなだめるのはいつもぼくの役目だった。

いつもギリギリでなんとか抑えていたけど、ぼくが大学1年の秋、それは起こった。

リビングでぼくいつものように兄と弟が言い争いをしているのをBGMにテレビを観ていた。

弟が何処かへ消えて、戻ってきたのはわかった。その後、兄の悲鳴が聞こえて、驚いて振り返ると、兄の右足から真っ赤な血が流れていた。

弟は手にパン切り包丁を握り締めながら泣いていた。

『こいつを殺して俺も死ぬ』

そう言っていた。

その後の事はあんまりよく覚えていない。居合わせた両親が弟をなだめて、兄は翌日外科に行った。病院では怪我の理由を『ぶつけた』と説明したらしい。

兄は元気そうだったから良かったけど、ぼくは弟が警察に捕まるんじゃないかと思って怖くて弟が警察に捕まるんじゃないかと思って怖くて、布団の中でずっと泣いていた。



340:名無し物書き@推敲中?
10/02/20 10:14:04
■兄弟5■

弟が警察に突き出される事は無かった。法律には詳しくないけど、兄が被害者として届け出ない限り、弟は罪に問われないみたいだ。

ぼくはほっとした。兄は被害者にも関わらず、両親にこってり絞られていた。件が起こるまでの過程から判断して、兄が悪いと両親は踏んだのだ。

それが効いたのか、その後しばらく、兄は大人しかった。

そしてぼくは、今までに無いくらい情緒不安定になった。一人になるとフラッシュバックに襲われて、涙が止まらなくなった。家に帰るのが嫌で嫌で、泣きながら自転車を漕いでトンネルを走った。

母親はいつも言っていた。『みっともないから、家の外で家族の悪口を言うな』

ぼくは母親の言う事は大体正しいと思って育ってきたから、10年間それを守っていた。でもあの時のぼくの情緒不安定さは、何をどうしたって抑えきれるものじゃなくて、ある日ぼくは、たまたま帰りが一緒になったサークルの同期の前で一言、『家族が仲が悪いんだ』と漏らした。

始めは別に話す気なんかなかったけど、その時のそいつの登場の仕方が可笑しくて(信号待ちしてたら後ろから口笛吹きながらやってきたw)、笑いながら『こいつなら、家族と面識ないから話してもいいかな』なんて思った。

そいつは、ぼくが徐々に泣き、寒さで鼻を啜りながらたどたどしく喋るのを一生懸命聞いてくれた後、関西弁で『話聞くからメシでも行くか』と言ってくれた。

こんなに親切な人は多分めったにいないのに、ぼくはそれを断った。


341:名無し物書き@推敲中?
10/02/20 10:28:25
■兄弟5■

それでもぼくは、何事も無いようなフリをして大学に通っていた。講義は殆ど右から左だった。


ご飯会の時、ぼくが生まれて初めて家族の話をしたあの関西弁の子がいた。ぼくはその時のことと、前日のことを思い出して、泣きたくて仕方なかった。

堪えて堪えて、なんとか泣かずにご飯会が終わった。

ぼくはそいつを引き止めて話をしようかすごく迷ったけど、そいつが忙しそうだったから諦めた。

まあいいやと思って、同期の女の子と一緒に二人で歩いて帰った。

その子は普段はのほほんとしていて、『お弁当作ってきました!』と言ってワサビやチョコレート入りのおにぎりを皆に食べさせたりする、いわゆる電波な女の子だ。

でも本当はすごく賢くて勉強熱心だから、電波な部分はぼくと同じように性格を演じているだけなのかもしれないと思う。

その子は頭がいい上に空気が読めるみたいで、その日のぼくの様子がおかしいと言ってきた。

まあ、ぼくがよっぽど泣きそうな酷い顔をしていたせいなのかもしれないけど、そのへんはさして重要じゃない。


342:名無し物書き@推敲中?
10/02/22 05:30:45
■兄弟6■

ぼくは答えに窮した。こないだの子に話そうとは思ったけど、目の前のその子に話す気にはなれなかった。

母親にいつも言われていたように、家族の悪口をベラベラ喋るのは、なんだか恥ずかしいような気がしたからだ。

ぼくは、たとえ地球上でたった一人だけでも、ぼくがこんな風に悩んでいるのを知っている人がいると思っただけで、不思議と強くなれるような気がした。

部室で学祭の準備をしていた時、そいつは、それはそれは器用に口笛でFly Me To The Moonを吹いていた。エヴァのエンディング曲だったからぼくでも知っていた。

343:名無し物書き@推敲中?
10/02/22 05:33:19
■兄弟7■

そいつもヲタなのかと思ったら、アニメ好きではなくてジャズが好きなんだと言った。でも一度、カラオケで爆れつハンターの曲を入れていたから、多分やっぱり、やつもアニヲタだと思う。

ぼくはそいつのメール着信音をオルゴールのFly Me To The Moonにしていた。普段メールなんか送らないし、そいつからも来なかったけど、死にたくなったら延々とそれを聴いた。

そいつはいろいろと忙しくて、サークルには滅多に顔を出さなかった。大学3年の学祭の時、珍しく手が空いたからと手伝いに来てくれた。ぼくはその時、部長の権限を利用してそいつに掃除を手伝わせた。

誤解の無いように言っておくけど、ぼくが部長の権限を私的に利用したのは、後にも先にもその一回だけだ。

と、思う。

344:名無し物書き@推敲中?
10/02/22 05:35:29
■兄弟8■

二人でやきとり焼き器をたわしでこすって洗った。焼き付いた鶏の脂とタレはなかなか落ちなかった。

ぼくはたった一回だけど、あの時のお礼が言いたくて、チャンスを伺った。家族が学祭を観に来ていて、兄も来ていると告げた時、そいつは予想だにしない言葉を吐いた。

『へ~。お兄ちゃん、おるんや?』

はっきり言ってぼくはかなりショックだった。

でも2年も前に、暗闇の中でたった10分しどろもどろで話した内容を覚えている方が奇跡だ。しかもそいつは人がいいから、よくいろんな人の相談に乗ると言っていた。

ぼくがあの話をした時も、『似たような話聞いたことあるで』と言っていた。大変なのはぼくだけじゃないって意味で言ってくれたんだろうけど、それを聞いたぼくはその先を話す気になれなかったのだ。

345:名無し物書き@推敲中?
10/02/22 05:37:50
■兄弟9■

覚えていないなら、まあいいやと思った。よくよく考えると、ぼくは今までこいつに対してまあいいやをかなりの回数発動させてきた。

でもぼくはこいつがご飯会をすっぽかしたりサークルに来る約束を守れなくても憎めなかったし、ピンチの時には必ずと言っていいほど助けてくれたから、すごく感謝している。

ぼくは自分が大嫌いだったけどこいつのお陰で自分のことも少しだけ好きになれた。

もしもぼくの性別が違っていたら、間違いなくぼくはこいつの友達面をして、朝から晩までベッタリくっついていただろう。生まれ変わっても友達でいたい。こいつみたいになりたい。とてもとても尊敬している。

346:名無し物書き@推敲中?
10/02/22 05:41:25
■兄弟10■

ぼくが泣きながら話をした日、こいつは夜中の3時前にも関わらず、長文のメールをくれた。

メールはずっと大事に保存していたけど、TU●Aからa●に変えた時に消えてしまった。

消えてしまったけど、何度も何度も読んだから、今も覚えている。


『苦しい思いをした分は、種になっていつか花が咲くから、今度はそれで他の人を照らしてあげてやり』


メールが届いた時、ぼくは眠れなくて、トイレで一人で泣いていた。

その時聴いたFly Me To The Moonは、トイレの壁に反響して、すごく綺麗な音色だった。

347:名無し物書き@推敲中?
10/02/24 13:01:18
「兄弟」書いてる人、すごくいいよ
読ませるね
応援しています。

348:名無し物書き@推敲中?
10/03/10 21:08:09
URLリンク(www.mbga.jp)

モバゲーで書いてます。
辛口アドバイスがほしいです。
描写の悪さは重々承知ですので
内容の面白さについてのアドバイスがほしいです><


349:おやや
10/03/17 01:03:52
さ、今の間に雑炊をも一度温め直しておきましょ

・・・おはる、おはる!
ちょっとひとっ走りして、お母様と嘉助殿を呼んで来ておくれ
まだ畑にいらっしゃる筈だから

350:おやや
10/03/17 01:11:42
んまあ汚い!
小袖から袴からいったいに泥だらけでどうだろマア・・・
どんなお勤めをなさったらこうも汚せるものかしら
これは気張ってお洗濯しないと

351:おやや
10/03/17 01:25:09
お帰りなさいまし、弥太郎殿もつい先刻お帰りですよ
いいえいいえもう直に風呂が空きまする
ええ、もうお出でになる頃でございます
お寒うございましたろう、白湯をお召し上がりなすって

352:おやや
10/03/17 01:33:20
ほほほ
召し上がってというのも大仰ですわね
今日は菜の漬物と梅干しの雑炊ですよ
夕さりのあきんどが・・・ええ、そうなんですのその紀州とやら
本当においしゅうございますよ

353:おやや
10/03/17 01:37:50
ああお前様、湯加減はいかがでございましたか
・・・
さ、嘉助殿、風呂とお召しかえの支度を整えてございます
さ、さ、汗の物をいつまでもお召しではお体に触りまするぞ

まあ厭だ、そのような所で寝そべっておられいで、早う早う、湯が冷めぬ内に早う

354:おやや
10/03/17 01:44:25
お母様、お肩をお揉みしましょう
・・今日は久し振りのほんとうにいいお天気でございましたな
お洗濯が良う乾いて・・・ええ
そうそう、お前様お洗濯といえば、あの尋常ならざる汚れ方は
どうなすったのです?

355:おやや
10/03/17 01:55:10
・・・
まあ、おに川の堤を?
それを根津様とおふたりでなさるのでございますか?・・
まあ、それはたいへんなお役目を賜ったのですなあ・・
・・・いいえそのようなこと・・
それほどお目にかけてくだされるのでございましょう
お気張りなさってくださいましね
・・・

356:おやや
10/03/17 02:18:34
お母様、さとの祖母が抜け毛にほとほと困り果てて薬を求めたのですが
それが大そう良い塩梅だったそうで、是非にもこちらのお母様にと申して、
その薬を少しばかり寄越したのでございます
どうぞ使うてやってくださいまし
・・・ええ、おぐしに塗る物で、おお島とやら・・何でも齢百を数えても
くろぐろと美しく保つのだとか、ほほほ・・

357:名無し物書き@推敲中?
10/03/25 16:31:02
おれも書く
この話は子供時代の俺を再現したものがたりである
ここは?県のなんとか市。この物語は俺がとある治安の悪い島で
悪党をぶっ潰す物語である
ぶんぶんブーン隣のマンションに誰かが引っ越してきたようだ

俺はそのときゲームを完全クリアだーとガチでよろこんだ
ピンポーン
「ったぐーなんでこんなときにー」と俺は文句を言った
「隣に引っ越してきた飯島です。お願いします」と母親がいっていた
どうやら転校生のようだ。おれらに新メンバーか!?とおもいきやあっち側は女子だった
でも可愛らしかった。「宜しくお願いします」と、とてもいい声で言ってきた
「どーも失礼しました」と最後にこの家を去っていった。
次の日
なにやらそいつが転校してきた。そいつはどうやら勉強もできる。運動もできる。
「おれとは大違いだ」と心の中でつぶやいた
このつぶやきが悪党との大事件を引き起こす
帰り、漏れはきれいな石を見つけたのでもって帰ることにした


358:佐藤
10/03/26 12:02:42
書きます!

俺は中学生でした。北海道にいました。
書くと苦しいよ。でも書こう。
彼女との出逢いは衝撃的だった。
僕は中学の入学式の日、教室にいたのであった。
周りは割りと静か。でもちらほら喋り声。
周りはDQNそうな人ばっかりだった。
俺は入学式に向かった。
騒がしい。
そして、校長先生が来た。
入学式は終了した。
そして、教室に戻った。
やっぱりDQNそうな人ばっかりだった。
Aが話しかけてきた。
「どこから?」
「××」
「××か。俺は××」
ここは私立中学である。
A「勉強、大変だったよな」
俺「大変だったな」
A「音楽聞く?俺、××が好きなんだよね」
××とは今流行りの音楽グループのことである。
俺「俺は○○が好きだな」
○○とは、そんなに売れてないが昔からの音楽グループである。
A「○○?渋いな。ところで、部活はどこ入るんだ?」
俺「まだ、決めてない」
A「そうか。俺はやっぱりサッカーかな。女の子にモテモテだぜw」
当たり障りない会話を繰り返した。

359:佐藤
10/03/26 12:04:13
担任が入ってきた。女の先生だった。
改めて、周りを見回したが、やっぱりDQNそうな人
ばっかりだった。そんな中、俺は幻想を目にしたのである。
長い綺麗な黒髪の澄んだ目をした少女が座っていた。
それは正に幻想だった。
俺は見とれた。とりあえず見とれた。そして心の中でこう思った。
「神様ありがとう」


360:佐藤
10/03/26 12:05:24
担任「まずは班を作ります。」
その時、奇跡が起こったのである。
何と、あの子と一緒の班。その時、俺は心の中で、こう思った。
「神様ありがとう」
「班で○○を作ってください。」
共同作業で仲良くなろう、というヤツである。
班は4人だった。俺とあの子とAとある女子Bである。
A「じゃんけんで分担しようか」
その時、奇跡が起こったのである。
俺とあの子で作ることになったのだ。その時、俺は心の中で、こう思った。
「神様ありがとう」

361:佐藤
10/03/26 12:06:29
「お…おれ…佐藤っていうんだ…よろしく…」
やべ…何でふるえてんだ、俺…
「原田です。こちらこそよろしく」
すんなりと答えた。
「原田さんって音楽とか聞くの?」
「たまに聞くかな」
「俺××が好きなんだよね」
××とは、Aが好きな今流行の音楽グループ。さっきAに○○が好きと言ったら
微妙な反応をされたので、反応への期待込みで本心を偽って言った。
「私、××ってあまり好きじゃないわ。何か今流行りの音楽って気がして」
「そっそう…」
あまりにもストレートな反応に躊躇してしまった。
「部活は入るの?」
「テニス部に入ろうと思ってるの」
その時、俺はこう思った。
「俺も入ろう」
作業は順調に進んでいった。そして作業を完成させた。
そして、ある放課後、
担任「それではこれで終わります」
階段を下りると、原田さんが歩いていた。テニスバッグを持っている。

362:佐藤
10/03/26 12:09:09
「原田さん」
「佐藤くん、どうしたの?」
「俺もテニス部入ろうかなと思ってて。テニスバッグ持ってるから」
「そうなの?じゃあ、一緒にコートに行こう?」
コートでは熱い練習が繰り広げられていた。
「新入部員はとりあえず玉拾いをしてもらう。俺はキャプテンの中田だ。
よろしくな。」
俺はいままでテニスをしたことがなかったので、先輩たちの熱いプレーに
釘付けになった。そして、俺は原田さんの姿を探した。
原田さんは体操服姿で同じように玉を拾っていた。かわいいな。
日が進むにつれて、テニスができるようになった。
ここで驚いたのが、原田さんがとてもテニスが上手いことだった。
「原田さん、上手いね。テニスやってたの?」
「小学校の時、クラブチームに入ってたの。」
俺は、原田さんと話し、テニスをがんばったり、勉強をがんばったりしている
原田さんを見ていて、とても幸せな気持ちになる日々を送った。それは正に、
俺にとって薔薇色の青春だった。

363:佐藤
10/03/26 12:11:19
俺は夜、眠りにつく時、目を閉じて原田さんを思い浮かべていた。
普段は落ち着いてクールなんだけど、時々笑う笑顔が眩しい。そんな女の子。
俺は、原田さんの笑顔を思い浮かべ、幸せな気持ちを抱いていた。

そして俺はあらぬことか、こんな妄想を抱いてしまっていた。
原「佐藤くん、アーン♪」
俺「アーン♪おいしい!原田さんの手料理」
原「本当?嬉しいな♪」

それは普段の原田さんのテンションとは似ても似つかぬテンションだったが、
自然とそんな妄想を抱いている自分を発見し、一人照れていたのであった。
それは俺の初恋だった。彼女と結婚し、子を産み、幸せな家庭を築きたい。
そう、本気で思っていた。

364:佐藤
10/03/26 15:13:07
ある日、Aがテニス部に入部した。そして俺に、こう言った。
「テニスも女にモテるしなwしかも女の子と一緒に部活できるなんて最高
じゃねぇかw」
Bもテニス部に入部した。Bは女子で名字は村田である。
ある日、加藤(A)がおもむろに俺に言ってきた。
「俺、村田さん(B)と付き合うことになったwウハウハだよwマジでw」
村田さんは、ギャルっぽくて口は少々悪いが、美少女で、正直、加藤を妬ましく思った。

しかし俺には原田さんという心の(?)彼女がいたので、全く気にならなかった。
彼女以外は目に入らないほど、彼女のことが好きだった。


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