09/06/26 06:59:30
今回来たのは、フォグランプが付いた後期型のGT-R34、前期型jzx-100のマークⅡとチェイサーとクレスタ、
後期型の180クラウンアスリート、Y31シーマ、Y31セドリックセダンのVIPブロアム、Y33グロリア アルティマの計8台だった。
とりあえず目の前の道路に縦列で並べてから、後は一人でできるのでと、トレーラーには帰ってもらった。
トレーラーが去った後、一台ずつ寮の裏手の駐車できそうなスペースに注射した後、マークⅡのトランクに鞄だけ積んで、シートベルトをしてエンジンを掛けて、
ブレーキを踏みながらギアをDレンジに入れ、パーキングブレーキをはずしたあと、ステアリングを切りながらアクセルを踏み、校門の方に車を回した。
当然というべきか、20年以上前の古いモデルで、ローダウンにホイールやブレーキを交換、マフラーも左右二本だしにし、ハイマウントストップランプ付きのウイングを付け、
フルエアロにした、ドリ車なのかVIPカーなのかよくわからないシルバーメタリックのハードトップセダンがミニバンの横に並んだとたん、母親以外の全員が目を点にしていた。
242:ふみあ
09/06/26 07:00:29
葵姉ちゃんが目を丸くしながら、
「クーちゃん、この車は?」
「僕のですけど。」
と言うと、猪瀬が、
「なんか、暴走族の車みたい。」
「せめて走り屋と言っていただけないでしょうか。」
天城さんが、
「兄の車に雰囲気がよく似ています。」
「そうなんですか?」
春日先輩や葛城先輩まで、
「確かに男が乗るような車だね。」
「あまり女の子が乗るような車ではないですね。」
もはや何も言うまい。
243:ふみあ
09/06/26 07:01:30
そこに成瀬が突っ込んできた。
「ところで薫ちゃん、あんた免許持っているの。」
「AT限定の少年用普通一種なら持っています。」
少年用普通免許とは近年加速する中年以前の若者の車離れを抑止するために2年前に政府が、現時点で15歳以上か、その年の4月時点で15歳以上になる見込みがある児童にも、普通車・普通二輪・原付きの免許をとれるようにした制度のことである。
AT限定しか取れないが、自動車を運転できる人口を、年齢を引き下げることで、需要をかさ上げしようとしたメーカーの思惑は一応成功したといっていいだろう。
現在僕の車と並んでいるミニバンは、やはり葛城先輩の家の車だった。さっきは気がつかなかったが、よく見ると運転席に正装した運転手が座っている。ということは、都合葛城先輩の家の車に都合6人、こちらに5人乗れるということになる。
「2台で分乗すれば宜しいと思うのですが、順番の組み合わせはどうしましょうか。」
と訊くと葛城先輩が、
「そうですね、まずは皆さんの希望を訊いてみないと。」
なんだかんだと話し合ったのち、僕の車に僕と母と春日先輩。もう一台に残り全員が乗り込むことになった。
葵姉ちゃんは葛城先輩と姉妹だし、他の連中も元々葛城先輩と葵姉ちゃん狙いのようなものだったので至極妥当だとは思ったが、一人追い出された形となった春日先輩のことが気にかかった。
244:ふみあ
09/06/26 07:02:12
先輩に、
「向こうの車じゃなくてホントに良かったのですか?」
と訊いてみると、彼女は、
「別に構わないさ、移動の間のことだから。それに君とはもう少し話してみたいしね。それに道がわかる人間が一人はいた方がいいだろう?」
と答えた。
「そうですか…。それもそうですね。じゃあ、向こうの準備もできたようだし、こちらもそろそろ出発しましょうか?」
と言いながら、車に乗り込んでシートベルトを締め、エンジンを掛けようとしたその時、向こうのミニバンの助手席のドアが開いて、天城さんがこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
何かトラブルでも起こったのか?
何のことはない、フル乗車でのミニバンが予想以上に狭かったために天城さんが一人脱落してこちらの車に乗り換えたというだけのことだった。
結局運転席に僕、助手席に春日先輩、後席左側に母が座り、僕の後ろに天城さんという配置で出発することになった。
3-3終了。3-4に続きます。
245:ふみあ
09/06/27 05:32:33
3-4 ドライブ1
>>薫
マークⅡのエンジンをかけ、軽くドラポジとミラーのチェックをして、全員が乗り込んだのを確認してから、ロックをし、左後方、左右のサイドミラーとルームミラー、
右後方をチェックした後、右ウインカーを点滅させて、ミニバンの方に合図する。
ミニバンが発進したのを確認してから、ギアをPからDレンジに入れ、ブレーキから足を離しながらサイドブレーキの解除フックに手をかけた。
「それじゃ、改めて出発しましょう。」と言いながら軽くアクセルを踏み込み、ステアリングを切りながらミニバンの後ろにつく。
葛城先輩の家のミニバンは、正門を出ると、大通りを左に曲がり、東の方向に進路を取った。
こちらも周囲の状況を確認しながら左折して次の交差点で信号待ちしているミニバンの後ろに停車する。ギアをNレンジにしてサイドブレーキを踏みながら春日先輩に、
「そういえば僕たち、これからどこに行くつもりなのでしょうか?」
「ん、とりあえず西武の池袋店だけど。」
「百貨店ですか…。」
この街を案内してくれるんじゃなかったのか? 道理でなぜ車が必要になったか疑問に思ったが、都心へ行くとなればそりゃ必要になるだろう。この学校武蔵野台地にあるせいか、都心と比べればだいぶ西の方にある。
近くに駅があるわけでもないし、車があるなしではだいぶ違いそうな立地にあるからな。