09/06/26 06:20:10
3-3 第一陣到着!
>>薫
「それでは、今日は、この位にしときましょう。では、瀬川さん。」
「はい、起立。礼。着席。」
一同が起立礼した後、鈴木先生は教室を出て行った。
自己紹介の後のオリエンテーションは特にやることもなかった。あったことと言えば新学年を迎えての学校からのお知らせと自己啓発と健康診断の案内を書いた何枚かのプリントが着たぐらいで、
後は号令を掛けるクラスの級長、たまたま席の位置的に先生の一番近くにいた、16番の瀬川 湊を決めたぐらいである。
予定の12時半よりだいぶ早く終わったのでどうしようか思案していると、猪瀬が話しかけてきた。
「薫さん。祈さん。一緒にこれからどこか遊びに行かない?」
「私は…かまいませんけど。」
「ごめんなさい。誘ってくれたのはうれしいんだけど、すでに先約があるので一緒に行くことはできないわ。また今度お誘いしてくれないかしら。」
天城さんは行くつもりのようだが、僕には葵姉ちゃんや母さんと約束があるので、悪いけど今回は断らせてもらった。が、
「あら、先約って?」
「僕の母と、葵お姉様と一緒に出かけることになっているんです。」
というと、猪瀬と天城さんは急に前のめりになりこう言った。
「葵様も来られるんですか。」
「ええ、たぶん葛城先輩と春日先輩も来られるはずですが。」
「紫苑お姉様と雪乃様も来られるんですか?!」
「え、ええ。」
「薫さん。」
「は、はい?」
猪瀬、顔が近い近い。
237:ふみあ
09/06/26 06:21:38
「私たちも御一緒していいかしら?」
「で…できたら私も。」
「ちょっと待って、お母様とお姉様に訊いてみますから(;・`д・´)。」
少し予定外なことになったので、母親の携帯に電話するため、携帯の電源を入れる。恐らく4人とも同じ場所にいるだろう。
何回かの着信音の後母親が出てきた。
238:ふみあ
09/06/26 06:22:20
「もしもし。」
「もしもし、薫です。お母さん?」
「そうだけど、どうしたの?」
「葵お姉様と、紫苑様と雪乃様そっちにいる?」
「いるけどどうしたん。あなた急に女言葉になって。」
「今、教室からかけているの。」
「ああそうなん。」
「それでみんなはそこにいるの?」
「ええ、いるわよ。」
「実はクラスで友達になった子たちがさ、一緒に行きたいって言っているのだけど、かまわないかしら? って訊いてみて。」
「お母さんはかまわないけど。」
「お母さんがいいならいいけど、一応葵お姉様たちにも訊いてみて、どっちかっていうとそっちが目当てだから。」
と小声で言うと、
「葵ちゃんたちはいいってさ。」
「そう、だったら連れて行くわ。待ち合わせは正門でよかったよね?」
「いいけど。もう終わったんなら待ち合わせの時間、早めようか?」
「ありがとう。10分でいいかしら。」
「かまわないわよ。」
「ありがとう。じゃあそういうことで。じゃあ。」
と言って電話を切ると、
239:ふみあ
09/06/26 06:23:01
「どうだった?」
「いいって、一緒に行きましょう。」
「やった。おーい瑠衣、麻里亜さーん。」
「どうした?」「何かしら直子さん。」
「実は薫さんがね…」
連れて行く人数が増えた。
その時、急に僕の携帯が鳴った。出てみると、
「綾小路 薫様の携帯ですか?」
「はい、そうですが。」
「ショップ如月の者ですが、お車を届けましたので受け取りを…」
いつも利用している馴染みのカーショップからの電話だった。陸送を頼んでいた車が届いたようである。聞かれたら少しまずいので、その場から席をはずし廊下に出る。
「そうですね。できれば高等部の寮の前で受け取りたいのですが来れますか。」
「さあ、なにぶん車が大きいものでどこまで入れるかわかりませんが、いけるところまで行ってみます。」
「では、寮の前でということで。目印は何かありますか?」
「赤いトレーラーなのですぐにわかると思いますが。」
「そうですか、いつ受け取れますか。」
「もう、目の前まで来てますから、5分もあれば十分ですよ。」
「じゃあこれから取りに行きます。」
「ではお待ちしています。」
「お願いします。」
電話を切った。
240:ふみあ
09/06/26 06:23:42
天城さんと、猪瀬と成瀬、吉本さんを連れて葵姉ちゃんと合流した後と、葛城先輩が困った顔で待っていた。どうしたのかと思ったが、そばに止めてあったミニバンでとりあえず状況は呑み込めた。どうやらこのミニバンで行くつもりだったらしい。
僕が4人も連れてきたせいで、全員乗り込めなくなったのである。
葛城先輩が免許持ちだったことも意外だが、逆に僕にとっては好都合となった。
とりあえず、「ちょっと寮の方に荷物置いてくるけど、一人で行くわ、少し私用があるの」
と言っても怪しまれるのが落ちなので、母親にだけ、
「車が届いたそうだから受け取ってくる。ついでにそっちに回してくる。」というと、
「別にいいけど、あなた大丈夫なの、取ったばかりでしょ。」
「大丈夫だよ。得意だから。」と答えて荷物を置くがてら車を取りに行く。
寮棟まで戻っていると、すでに寮の玄関へ続く道に入る交差点の傍まで赤いトレーラータイプのキャリアカーが止まっていた。
運転していた店の人は、はじめは僕の姿に驚いていたが、事情を知っているためか、受取証を僕が提示したためか、すぐに車を下ろしてくれた。
241:ふみあ
09/06/26 06:59:30
今回来たのは、フォグランプが付いた後期型のGT-R34、前期型jzx-100のマークⅡとチェイサーとクレスタ、
後期型の180クラウンアスリート、Y31シーマ、Y31セドリックセダンのVIPブロアム、Y33グロリア アルティマの計8台だった。
とりあえず目の前の道路に縦列で並べてから、後は一人でできるのでと、トレーラーには帰ってもらった。
トレーラーが去った後、一台ずつ寮の裏手の駐車できそうなスペースに注射した後、マークⅡのトランクに鞄だけ積んで、シートベルトをしてエンジンを掛けて、
ブレーキを踏みながらギアをDレンジに入れ、パーキングブレーキをはずしたあと、ステアリングを切りながらアクセルを踏み、校門の方に車を回した。
当然というべきか、20年以上前の古いモデルで、ローダウンにホイールやブレーキを交換、マフラーも左右二本だしにし、ハイマウントストップランプ付きのウイングを付け、
フルエアロにした、ドリ車なのかVIPカーなのかよくわからないシルバーメタリックのハードトップセダンがミニバンの横に並んだとたん、母親以外の全員が目を点にしていた。