09/01/17 00:38:50
記 憶
玉 虫
近所にあった聖福寺というお寺の境内で、
覚えたての文字や絵を砂に書いて遊んでいた
時、門の柱の下辺りに黒い虫の死骸が仰向け
に落ちていた。
そばにあった枝の切れ端でおそるおそる突
ついてみた。
すると今までの暗い黒色とはうって変わっ
て、深みのある金色に近い、濃い緑色のつる
つるした羽根が、強い日差しを浴びて煌びや
かに輝いた。
手に持って帰って母に無視の名前を聞いて
みると
「玉虫よ」
と教えてくれた。
「ふぅーん玉虫か」
呟きながらも心の中では反面
『玉のように丸くないけど……』
と考えていた。