06/06/01 14:39:24
小説は人生を書くんだ。頭の中に湧き上がる場面を紡いで文章にするんだ。
今、地下に見ているように、聞いているように、触っているように、喜びや
悲しみ、不安や、怒り、そして愛情。別の人生を疑似体験しながら書くんだ。
だから、初心者はまず、日記を上手に書けるようになること。
たとえば親しい人と一日過ごしたら、まずは自分が見たものや
自分の感じたこと考えたことを細かに書く。
そして次に、その日一緒に過ごした親しい人の視点で
その人の過去や性格を頭の端っこで意識しながら、書いてみる。
その人が自分の言葉をどう感じたかも書いてみる。
これが一番の訓練だと思う。
こういう多重人各症のような作業がストーリーの創作というもの。
俺がつくづく感じるのは、ほとんどの人が、他人の心を見ないように
して生きていることへの疑問。みんな本心がどこにあろうと
相手がほんとうは自分を嫌っていようと、それに気づかないふりをして
平気で生きていることが俺には分からない。なぜそんなに無関心で
いられるのか。俺は人と付き合うのが恐ろしい。
ファミレスで「ちょっと、トイレにいってくるから」と言って誰かが
席をたった時に始まるその人への悪口。だれもが好き勝手に
他人の価値を決める。ただ道をあるいているだけでも襲い掛かる
容赦ない内心の批評。俺はそれを想像するだけでも身がすくむ。
…でも、小説を書くにはこの感性が役に立つ。そうして俺の過去や
異常性をもキャラクターやストーリーに書き記し、俺の分身ともよべる
ぐらい、同じような価値観、同じような体験を持つファンを見つけだしたい。
俺は自分でも自覚している変人だが、そんな俺に共感を示し
惚れ込んでくれるファンが中にはいるだろう。おれはそいつのために書く。
感じ取れるか感じ取れないか、そして感じ取ったものを感覚を意識化・言語化できるかできないか。
それが重要なんだ。その訓練が必要なんだ。言葉尻をいじっても意味は無い。
感覚を起こす。それだけだ。