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2009年4月1日 中日新聞 夕刊コラム「大波小波」
『開戦前夜?』
北朝鮮のミサイル発射準備に対して政府は、破壊措置命令を発令した。
この法令には、本来なら公表する規定はない。もちろん情報公開が悪いはずはない。
ただしPAC3の展開場所まで公表したことも含めて、この異例の情報公開の背景には、
悪い北朝鮮に屈しないとの強硬姿勢を強調することで、人気を浮揚させようとの
現政権の思惑が透けて見える。
断言するが、ミサイルが日本に落下する可能性はほとんどない。もちろん事故はありうる。
でもそれを言うのなら、日本上空を飛ぶすべての人工衛星に事故の可能性はある。
「人工衛星であれミサイルであれ、我が国の領土の上を飛んでいくのは極めて不愉快だ」
と浜田清一防衛相は発言したけれど、わが国の領土の上は、いろんな国の人工衛星が飛んでいる。
不愉快とか許せないとか、そんな感情レベルの語彙を、国防の最高責任者が安易に□にするべきではない。
Xデーなどと報道するメディアとポピュリズムの政治家によって、こうして危機と不安が煽られる。
まるで開戦前夜だ。
「やられる前にやれ」式の敵基地攻撃論が、また現首相の□から出るのも時間の問題だ。
過ちはくりかえされる。焼け野原となってから後悔するのは誰だろう。
(偵察衛星)