【割腹自殺】●●三島由紀夫2●●【肉体改造】at BOOKS【割腹自殺】●●三島由紀夫2●●【肉体改造】 - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト450:無名草子さん 10/03/03 15:57:11 しかし、それほども永い間、いわば肉体を欠如したまま仮死状態におかれていた幸福は、ある時期、本当に 死滅するかもしれないという微妙な予感におびえ始めたのかもしれない。不死の存在は、あまりにもながく その仲間たち――かつてのあの戦士共同体――からの通信は絶たれていた。日常の中に瀰漫して眼に見えぬ媒介を 行うものたちがしだいに消失して行くのに気づいて、三島の中の隠された幸福感は、事態の緊急性にいらだち 始めたのかもしれない。三島自体についていえば、戦後を生きるために計算されつくしたはずの計画が、 思いがけない破綻に直面していることを知ったということになるのであろうか。 …解決は、ノスタルジアの果に来る狂か、死か、または政治というもう一つの芸術か、であろう。 橋川文三 「中間者の眼」より 451:無名草子さん 10/03/04 10:48:56 『金閣寺』は、鴎外風の冷徹な文体を用いて、不朽の美と人生との不条理な関係という、混沌としたテーマを 追及した観念小説というべきものである。 …金閣寺は、この作品において美の象徴であり、しかも戦火によっていつ焼亡するかもしれないという時期、 凄まじいまでの美をあらわしている存在である。主人公は、その終末の予感に陶酔しつつ、金閣寺=美との 共生にいいがたい浄福を感じている。これは、すでに伝記において見たとおり、孤独な美的趣味に熱中する 三島の精神風景と同じものである。 しかし、その反面において、美に憑かれた人間にふさわしい現世的不具性もまた、主人公の運命である。人生を 象徴する女性との性行為の瞬間、金閣の幻影はたえず現出して主人公を不能におとし入れる。三島がその作品で しばしば描くそのような挫折の瞬間は、金閣寺と京都の歴史がよびおこすある人工的なイメージに助けられて、 この作品においてもっとも成功しているといえよう。 橋川文三 「主要作品解説 金閣寺」より 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch