08/03/24 07:48:26
>>692
タニス・リー特有の、印象画家が色を折り重ねていくように
作品世界に生命を吹き込んでいく描写が、それに近いかも知れませんね
例えば、窓から外の景色を見る描写でも
↓
遥か上方、塔の頂の裂け目が始まる手前に、大いなる刀傷が浮かんでいた。
硝子の花びらを持つ窓……紫紅、葡萄茶、紅に赤、血の色、緋色、茜に柘榴―”血を流していた”、この窓は。
花びらの一つ一つに至るまで。
そして東のかた、日の出の方向を向いているため、薔薇のさまざまな赤みの全てを映し出している。
血の涙―私はその名を知っていた。
と、実際の風景と、人物の心象風景が混ざり合い、独特の世界が現出される描写になっていきます。