07/10/20 20:54:29
>>579
分けのわからないとは、少々言葉足らずだったようなので以下補足を。
創作的完結とは土方の死による終劇を意味しますが、それにとどまらず
司馬は戦闘に関して殆ど合理的人間として描いてきたはずの土方をあえて
史実に逆らってまで単騎突撃をさせ、非合理的行動による死を演出しています。
これによって彼の実は多重的であった内面と共に、非合理的行動に象徴される
武士道の終焉と時代の切り替わりをも見事に表現しており、その点を芸術的完成
と言ったわけです。
後半の私の文章に対する批判は甘んじて受け止めますが、余りに過敏な修辞への
嫌悪は現代デジタル化社会の病理の一つだと思います。
それにしても司馬の魅力は語るに尽きないですね。
以前何かで読んだのですが、由来作家とは患者である、ここが痛い、ここが悪いと
と訴えるのが作品というものだが、司馬遼太郎のみが突如医者として登場した、と。
言い得て妙ですね。
司馬の見立ては実に鮮やかな為、彼が俎上に載せた人物の評価はほぼ定まってしまいます。
まあそこが反感を呼ぶところでもあるのでしょうが。
彼の取り上げた人物を新たに小説に描くのは勇気がいるとは思いませんか。