07/10/19 01:50:49
>>565
>同曲異演の愉しみ
司馬さんの作品が面白いと思うのは、「これが歴史です」と世間一般で認識されている
ことに対して、「なぜ世間はそう解釈しているか」というところを、当時の文化・風土・社会情勢を
記録やら書物から掘り起こして、司馬さんなりに解釈しているところだと思うんだよね。
だから作中の余談はとても重要なわけで。
小説にしろ街道にしろエッセイにしろ、司馬さんにとっては自分の手で掘り起こしてきた
「自分なりの考え」の発表の場であって、歴史学者たちの考えとか通説に沿って無くても
おかまいなし。ファンにとってはそういうところが魅力。それが「作風」っていうモノだと
理解している。
たとえば「街道をゆく」で北の方を回っている巻で「今」という姓(今東光さんの今)が中国の金王朝の
女真族の末裔が日本に流れてきたのではないか、と地元の人に何度も聞いてはポカーンとされてる
ところなんかは、とても司馬さんらしいと思います。