09/06/07 17:04:26 kVjyQKqH
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『ちゃんとプロットを構成してから書いてるかい?プロットがないとグダグダになりやすいから気をつけなよ』
食事を終えた達夫は、一連の書き込みを見て納得すると共に、なろうスレの住民に感謝をした。
(俺の作品は文学系だから読んでもらいにくいんだな……ん?)
ここで初めて、後に達夫の小説理念を根底から覆す単語が出てきたのである。
―プロット
初めて聞いたこの単語が何なのかがわからず、いつもの癖でつい反射的に『プロットとは何ですか?』と書き込みをしようとした瞬間、右手の親指が携帯の決定ボタンを押すことを拒んだ。
調べればすぐにわかるだろう、それにこの前のようにググれカスなんて言われたくないという脳の判断の方が一足早く、決定ボタンを押す前に親指への指令が間に合ったからである。
プロットを調べると、すぐに出てきた。そして、色々なサイトを回っているうちにプロットの重要さが目に染みるくらいよくわかった。
今までのグダグダ進行もこれで解決できるかもしれない、と達夫の目は水を得た魚のように再び活き活きとしだした。
『みんな、ありがとう。俺、頑張ります』
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真っ暗な部屋の中。部屋の中には、棚の中には収まりきらない美少女フィギュアが溢れている。中心にある机の上にはCDロムが山のように積まれており今にも崩れ落ちそうだ。部屋の一角には同人誌が散乱している。
『みんな、ありがとう。俺、頑張ります』
パソコンのモニターを前に、使い古されたキーボードを高速で叩く謎のオタク風の男がモニターを見ながら薄ら笑いを浮かべている。
最新のレスに目を付けた男は、片方の唇を吊り上げ不気味な口調でブツブツと一人言を呟く。
「フヒヒ、私の作ったプログラムでお前の個人情報を丸裸にしてやるよ……君が記念すべき初目標だ。ハヒヒッ……」
奇妙な笑い声は、暗黒の中でひたすらこだましたのであった……
おわり