07/12/30 03:30:48 IB3gVnHQ
まあ、わかっちゃいたことだが、
先にGJな61とか69を見てしまうとどうなのよ自分。
でも落とす。とりゃ。
佐々木さんの、お引越しの巻
「キョン、僕は引越しをするよ。こちらでは当面会えなくなる。いや、もう戻らないかもしれない」
ある日突然、平然とした顔で佐々木は爆弾発言をぶちかました。
ちょっと待て佐々木。引越しっていつ?
「もう準備が出来たようだから、今すぐにでも。こういうものはだらだらしても仕方ないからね」
いきなり引越しって、学校とかそのほか諸々どうするんだ。
「まあ、そのあたりは大丈夫だよ。何とかなるから。
……ああすまない、ちょっと準備があるので」
そういい残すと佐々木はきびすを返し、振り返ることなく駆けていった。
ちょっと待て佐々木。新しい連絡先も聞いてないぞ。
待て、待ってくれ佐々木。
確かに中学卒業後、一年間連絡もとらなかった俺だ。
でも心のどこかで、いつでも佐々木には会える、そんな風に思ってもいたんだ。
それをこんな形で、突然サヨナラってのは。
なんだろう、動悸が止まらない。足元がガクガクする。
胸の奥がぽっかり空いて、師走の風が吹き抜けるような錯覚に襲われる。
こんな気分、ハルヒたちが消失した時以来だ。
知らぬうちに足が駆け出す。
俺はまだ、お前に伝えてないことがたくさんあるんだ、佐々木!
角を曲がると、いきなり人にぶつかる。
よく見ると、おい、佐々木じゃないか。
「すみません、ってキョン? ああ、言い忘れてたんだけど……」
佐々木!
「ち、ちょっとキョン!」
倒れたまま、自然に佐々木を胸にかき抱くような体制になる。
頭の中は、こいつをこのままいかせちゃならない、それだけだった。
「佐々木、行くな!」
「キョン!? あの、僕にも心の準備とか今日は引越しなんで汚れてもいいものしか着てないとか……」
佐々木の言葉が半分くらいしか耳に入らない。
「俺たちは親友だろ、確かに一年も連絡を取らなかったのは悪かったけど、
俺はこんな形でお前と別れたくなんかないぞ!」
腕に思わず力がこもる、鼻先を掠めた佐々木の髪は、ほのかな汗と、フローラルの良い香りがした。
「い、いや、あのねキョン、ちょっと落ち着いて」
落ち着いてなんていられるか。
「あの、だからね。ちょっと我が家がリフォームなんで、その間しばらくすぐ近くの家に引っ越すんだよ。
歩いて1分くらいの。 電話番号は変わらないから、と言い忘れたから戻ってきたんだけど……
なんならこのまま君の家に永久に引越しをするのも僕としてもやぶさかでないというかその……」
……え?
「……あと、あちらの方で、涼宮さんを始めとするするSOS団の皆さんが凝視してるんだけど、
できたら場所を替えて二人きりの場所に移ってくれた方が僕としては好ましいな」
……なんですと?
「……キョン、説明してもらおうじゃないの」
「……き、キョンくん、あわわわわ」
「……不潔」
ピルルルル
「……はい、もしもし。ああやっぱり出ましたか。それも群れで。
……すぐ戻ります。ええ、死ぬときは皆一緒です」
……佐々木、これからはもう少し、誤解のない表現で重大事項は伝えてくれ。
いやマジで。お前のおかげで、SOS団の男性陣は重傷者2名だ。
おしまい