07/12/30 02:39:50 dm/JwDrD
「ああ、そのダンボールはそこに置いたままで構わない。
…さてと。一応これで全部かな。ふむ、僕はあまり物を持たないほうだと思っていたんだけど、
こうして見るとその認識を改めないといけないかもしれないね。
しかし、本当に君に来てもらって良かった。男手があるのと無いのとでは全く違うからね。
取り敢えず荷物はこのままでいい。この状況では食事もできないし、散策も兼ねて外食にしようか。
…この荷物の片づけを手伝う? キョン、君は分類上女性である僕の私物をそんなに見たいのかい?
例えば僕の下着やらを片付けるとして、君はそれを顔色も変えず淡々と箪笥に詰めてくれるとでも?
流石にそれは困るな。君が僕をどう認識しているかという事と、君がその年齢にも関わらず所謂枯れた状態に
なっているという事の二重の意味でね。
…くっくっく、そんなに慌てて弁明しなくてもいいよ。君に他意が無いことはこの僕が一番知っている。
まあ、他の女の子に対しては、そういう事を言わないほうがいいと忠告しておこう。
さて、今度こそ食事をしに行こうか。このあたりで安くて美味しい店はどのあたりにあるんだろうね。
食事が済んだら、近所の人達への引越し蕎麦を買っていこう。本当は事前に準備するべきなんだけど、
如何せん急な事だったからね。ああ、引越しの際に何故蕎麦を配るのかというと…、ああすまない、その話は
食事の間にすることにしよう。今はいい店を探すのが先決だ。
それはそれとして、ご近所に挨拶に行くときは頼りにしているよ。…何故って、女の一人暮らしは何かと無用心だ。
僕があの部屋に一人で住んでいる事が広まったら、何かと無用なトラブルが起きるかもしれないからね。
…そんな顔をしないでくれ。その為に君と一緒に回ろうと言っているんじゃないか。
別に馬鹿正直に一人暮らしをしていますと言う必要なんて無い。僕と君とで挨拶に行けば、普通は二人で
越してきたと思うはずさ。それに実際、君は時々僕の部屋に来てくれるんだろう?
…わかってるさ。万一彼氏なんかができたら、一番最初に君に報告するよ。
だからそれまでは、このスペアキーは、君に預かっていて欲しい
そうして、時々でいいから、君の都合のいい時には、ここに来て欲しい
…寂しくない、不安なんて無い、なんて言ったら確かに嘘になる。
一人暮らしなんていうのは、遅かれ早かれ誰もが経験することさ。
人はね、一人でも生きていけるようにできているんだよ。
…それとも、君が僕と一緒に暮らしてくれるとでも言うのかい? それはまるでプロポーズだね。
…くっく、分かっているよ、冗談だ。だからこれからも頼むよ、『親友』」
佐々木さんは引っ越しで少し不安になっているようです。