07/10/22 08:45:17 biOzfcFQ
中華飯店 ◆z2FbWk11aM ＜「１４１０６」＞
マジで勝てない参号。
文章力、心情描写が圧倒的。薄っぺらい心理描写がウリの俺、ボッコボコです。
この作品のキモは、『事実上柳田さんの独白だけで出来ている』という所だと思います。
ともすれば退屈になりがちなひたすら内面掘り下げ描写ですが、しっかりと読者を飽きさせないように彼女の違う心の一面や変化を次々に
見せている所に実力を感じます。
柳田さんの危うい所でぎりぎりアウトな歪んだ心がしっかりと書けていました。
彼女の事が手に取るように分かって、それでしっかりと不快感を覚えさせてくれます。
物語全面に流れる陰惨な雰囲気や、重めの文体もそれを後押ししている感じです。
そして彼女の心の表面をなぞる事件（ネクロフィリアな強姦魔）も薄っぺらくならず、しっかりと彼女の心情の変化を描いています。
その変化（気持ち悪い、怖いという感情の発露。最初の飛び降りでは無かった人間らしさ）を描いた上でなお「ポケベル遊び」を続けると
柳田さんに断言させた事で、胸糞悪い（褒め言葉）印象のラストになっていたと思います。
感嘆しきり。
唯一気になった点が、散々引っ張っておいてのオチの弱さ。
タイトルにまでしているのに、なんともありがちな文章に収まってしまい、物語全体の雰囲気に負けてしまっていると思いました。
兄と妹の愛情を理由にするのはいいとして、その愛情の歪みっぷりを表すような文面だったらもっと気分が悪くなったかもしれません。
以上です。
偉そうに色々書いていますが、適度に参考にしていただければ幸いです。
それでは、またいづれこのスレで。