07/10/22 08:43:44 biOzfcFQ
普通感冒 ◆jvO3x5lVVs <雪月花綺譚>
こりゃかなわん弐号。普通感冒さんです。
読み返してみると部分部分に無茶や不自然さがあるのですが、それでも読みやすい文章と展開ですらすらと引き込まれていきました。
文章力や構成力とは別の所にある『華』が感じられます。文章力も物語もキャラ立ちも平均以上なのですが、その上でさらに惹きつけられ
る何かがありました。
なんだろう? 個々のイベントの連なりである、物語全体の流れがこっちの感情を上手く動かすようにできていたからでしょうか?
先ほど部分部分に無茶があると書きましたが、部分部分というよりは「魔術師」の行動に無茶があるように思えます。
歪んだ思想や狂信的なスタンス、その人格の背景、その上での現在の自己までしっかりと描かれているにも拘らず、葉月に対する行動も、
ヨシノに対する行動や発言も、その消え方、消え際すらも不自然に感じます。
全体的に彼だけが物語のために動いている印象を受けました。
例を挙げますと、葉月が行く手に立ち塞がったら問答無用で殺しそう。ヨシノや葉月の説得で心動くのは理解できますが、ヨシノが自分に
火を放ったくらいでは動揺はしなそう。葉月との二戦目であっさり彼女の策にはまっていますが、本来なら油断すらしなさそう。しっかり
と精霊に同情的な感情を抱くに至っていないのに、死に際に都合よく葉月やヨシノの罪(殺害)を許している所。などです。
その他のキャラは良く描けていたと思います。
極端な言動(べ、別にあんたなんて、みたいなw)なしでここまで魅力を引き出せるのは才能かと。
つーか俺がキャラ立て苦手だからうらやましい。
硬くて冷たくて、でもハートは熱い葉月。
浮世離れしていて、人間とは考えがずれていて、それでもどこか人間らしい『精霊』ヨシノ。
ちょい役のクセにしっかり胡散臭い印象を残していった東條先輩。
どのキャラも非常に魅力的でした。
物語に関わらない行動を見るならば、魔術師のキャラ立ちも非常に優れていましたし。(個人的にはむしろ一番自己が確立されていた)
エピローグの種明かしとちょっとあったかい二人の友達のやり取りは、非常に良く出来ていたと思います。
と言うかすっきり爽やかな終わり方がめちゃ好み。
このラストのおかげで「あー、いいもの読んだー」な読後感がとても強くなっていたと思います。
全体的に丸い感じでその上でラストはスッキリという、お手本のような作品だと感じました。
邪眼の男 ◆bQyu12sSMg <パン屋さん奮闘記>
文章力はSS風。もう少し書き込みがあってもバチは当たらないと思います。
言ってしまえばあざといくらいにテンプレ的な妖精さんの反応だったけど、俺は非常に萌えましたw
いい感じに相反する保護欲とサディスティックな感情を引き出すよい描写だったと思います。ニヤニヤしちったよw
しかしながら、一切妖精さん、パン屋さんの姿が描写されていないので脳内ビジョンは大混乱。
作者さんにはしっかりとしたイメージがあるのかもしれませんが、読者は書いてもらわないとその姿が分かりません。
簡素な文章で情景の雰囲気を伝える事には成功しているのに非常にもったいない。
脳内では勝手にパン屋さん(『リリカルなのは』のなのはさん(小))妖精さん(『ベルセルク』のパックを『ぽてまよ』の作者が描いた
感じ)で補完してましたw
あとは、オチが弱いのが気になりました。
オチの内容自体はいいのですが、パン屋さんの心境の変化をあっさりと書きすぎている印象。
三倍くらいは書き込んでもよかったのではないでしょうか?