07/10/22 08:40:35 biOzfcFQ
さて、続いては他の作品に対する感想をば。
晒された直後に読んで書いた感想なので、他の感想と被っていたり、ずれていたり、空気読めなかったりもあるでしょうがそのまま投下します。
それでは順番に……
杠 ◆HaDDLKrJK6 ＜「夏の日、モノクロームの午後」＞
嫌味でない位に感傷的な文章は非常に好み。切ない夏の雰囲気がとてもよく出ていると思います。
シチュエーションもその透き通ったような雰囲気にあっていて、話自体には好印象でした。
しかし、逆に言うとそれだけの印象も。
「夏の一日だけ再会できる恋焦がれていた少女との秘密の逢瀬」っていうシチュとそのバックボーンを書いたところで終了しているのが非
常に残念です。
ここから何か起こらなければ引き付けただけで終わってしまいます。どちらかというと掌編というよりは静かに始まる長編の冒頭のような
印象を受けました。
掌編ならば印象に関する描写はばっさり切って軽く提示するに留め、すっきり落ちているネタを披露すべきだと考えます。
でもそうすると丁寧な描写が必然的に消えてしまうので、氏はもしかすると普通に長編を書いた方が向いているのかもしれないと思いまし
た。
DC ◆jCGb955IvE ＜マルタの騎士＞
基本的な文章力はしっかりと持っている様子。
バトルシーンは文体にもうちょっとケレン味を持たせて派手にしてもいいかも？ と思いました。
バトルシーン、異能力に関して。
キリスト教の秘蹟ＶＳイスラムの魔術はいい感じに書けていたと思うのですが、イスラム側に対してキリスト側がいま一つ印象が弱かった
ように思えます。
魔術による補助、強化がメインのカリムに対し、肉弾戦と銃撃の桜花がメインを張っていたからでしょうか？
アンジェがもっと出張ればまた違ったかもしれません。
指輪が光る演出は地味ながら中々よかったです。「こっそり悪い事してるなーｗ」感が伝わって。
あとはなんと言ってもロールスロイスにブレーンバスターでしょう。気合と根性で戦況をひっくり返す話は大好きですｗ
魔術戦ぽくしたかったら秘蹟で肉体強化する演出があってもよかったかも知れません。
キャラクターに関して。
桜花は破天荒で雑な感じがよく出ていていい感じでした。堅くてキツイ感じのアンジェが脇にいるのも好対照。
アンジェ自身も単体で見ても非常に魅力的でした。皮肉屋の美少女にクラクラですｗ
それに対し、語り部である湧希がどうにも地味な印象を受けました。
「普通の人よりは少し明るい感じの元気娘」って雰囲気は伝わるのですが、いま一つそれが魅力まで結びついていない感じです。
カリムはいい感じの悪役でした。放埓で怪しげな魅力が中々よく描けていたと思います。もう少し妖艶で王様感があってもよかったかとは
思いますが。
しかし相方のアリーが少々地味。基本的にいつもカリムの脇に控えているオプション扱いなら今のままで十分（というかあまり目立たれる
とせっかくのカリムのキャラを食うので駄目）なのでしょうが。
もししっかりアリーを描くつもりなら、もう少し書き込んであげてもよかったかも知れません。
全体の構成に関して。
丁寧で読みやすい物語でしたが、盛り上がりどころがあと一回欲しかった気がしました。
湧希の誘拐未遂時に今まで溜めた分のカタルシスが開放されるのですが、そこまでが少し長かった印象があります。
小さな日常イベントでいいので、序盤に一回「おお」と思わせてくれたら最高でした。
しかしそのマイナスがある上で「続きが読みたい」と思えたので、地力は十分かと思います。