07/09/18 13:43:26 f74gCzg5
>806
俺だったら、こんな感じで書き出す。
「ちょいと上がっていかねえか。少しばかり頼みたいことがあるんだが」
店の主人である老トゥヤの言葉に、ナオは僅かに顔をしかめた。
ろくでもないことに巻き込まれそうな予感がした。昔から厭な方だけは良く当たる。
何となく、店の外に目をやる。無意味な時間稼ぎ。燻んだ硝子越しに見える、いつもと変わらぬ街。
広めに取られた間口と、通りに向かって長く張り出した庇は、この店独特の造りだ。開店当初はそ
れなりに人目を引いたのかも知れない。年月を重ね、意匠の斬新さが喪われても、その佇まいには
風格のようなものが感じられる。
この店は、要するに古道具屋だ。古い物なら何でも扱う。