07/09/12 17:58:56 BVCbU7wW
>>621
全く関係ないが。
そのとき、ありえないことが起こった。敵のランナーが突如、塁を回りだしたのだ。
「回れ、回れ!」
相手ベンチの監督は必死で腕を回している。
たった今、三振に討ち取られたはずの敵打者は、一瞬、戸惑うような素振りをみせたが、それでも監督の指示に従い塁を廻り始める。
振り逃げか―?
そう気づいたが、何もかもがもう遅かった。
こちら側の選手はみなベンチに引き上げてしまっている。いまさら慌ててホームに戻ったところで間にあうはずもないし、だいたいインプレイ中のボールがどこにあるのかすら分からない。
状況は絶望的だった。敵のランナーは悠々と塁を廻り、一人、二人と本塁に帰還する。
野球規則ではワンバウンドの球でバッターを三振にとった後も、相手の打者にタッチしなければ、ランナーはアウトにならないと定められている。経験のある捕手なら誰もが知っているルールだ。当然、山田太郎もそんなことは知っていた。
しかし山田太郎は、己の不注意から最悪のミスを犯してしまったのだ。
山田がワンバウンドで捕球し、一塁塁審がスイングの判定をし…、その時点で打者は「スリーストライク」となる。…そこまではいい。だが打者は、山田がタッチするまでは「スリーストライク」であるにもかかわらず「アウト」にならないのだ。
そして三人目のランナー。―ついさっき三振にとられたはずの敵の七番打者がいま本塁に帰還した。
山田太郎は仮名。野球を知らん奴には何のことかさっぱりだろうしスルーしてくれ。