09/03/13 19:58:38 O+8yUN0H
以下「ファーブル昆虫記」ネタバレ
最後の戦地(市街戦だった)で誤射してしまった民間人の娘の名前がファーブル。
民間人を殺してしまったという事実がきっかけで、これまで殺してしまった名も知らぬ人々のことを思い塞ぎこんでいく主人公。
傭兵家業をやめても尚その罪悪感は拭えなかった。酒や怠惰におぼれる毎日に感覚も麻痺していき、他人との繋がりも拒絶してしまう。
いつしか主人公は人との関わり合いを捨て、庭に住み着いた虫や、季節ごとに迷い込んでくる虫に興味を抱く。
そして、数多の殺人を繰り返してきた自分のことを責めることもしない、そんな虫たちとの時間に安らぎを覚える。
そんな静寂を破るように、主人公を訪ねてくる人物がいた。
ファーブルである。
主人公に「あなたには知らなくてはいけないことがあるの」と告げる。
それまで営んできた生活が一瞬で消えたこと。
母が精神病にかかり入院していること。
学校をやめたこと。
住む場所がなくなったこと。
ファーブルの父が昆虫に関する研究者だったこと。
そのおかげで虫が嫌いなこと。
最後に「あなたのことはもっと嫌いだけれど、ここに住むわ」と付け加えた。
始まる不思議な同棲生活。
その緩やかな時間の中で、贖罪を願う主人公と傷を癒すファーブル。
虫との語らいの中に、これからの生き方を見つけ出し、歩き出そうとする二人のスローライフストーリー。
そんな設定があるかよ、と突っ込みながら読んでたけど、
だんだん感情移入してって、モンシロチョウが蛹からかえるシーンで号泣した。