07/04/21 01:15:23 xekhOs2O
おもしろそうなので参加させてもらいます。
一昔前の少女向けラノベをイメージしてみました。
『我輩は猫である』
あたし、猫なんだ! まだ名前はないんだけどね。
あたしってば、自分がどこで生まれたのかも知らないんだ。
気づいたら、真っ暗でじめーっとしたところでにゃーにゃー泣いてたの。
そのとき初めて、あたしは人間ってものを見た。
後で聞いた話なんだけど、彼はショセーっていう
ドラゴンみたいに獰猛な種族なんだって。
ショセーというのは、猫を捕まえて食べちゃったりするらしいの。
でも当時のあたしはそんなこと知らなかったから、
ちっとも怖いとは思わなかった。
ただ、彼の手のひらがあたしの肩に触れたとき、
なぜだか、とくんとくんって心臓が自己主張し始めたのを覚えてる。
手のひらの温かさを肩に感じたあたしは、
きっと顔を真っ赤にしながら、彼を見つめていたはずだ。
彼の顔、今でもまだ覚えてる。うん、忘れないよ。
さっと額に流れた前髪。磨いたやかんみたいにきらきらした瞳。
あれからいろんな猫に会ったけど、あのときみたいなときめきは一度きり。
すっと通った鼻筋がきれいだったな。
そうして、その下の口からは意地悪な台詞ばかりがぽんぽん飛び出すの。
いっつもあたしは悲しくさせられて、実に弱った。
この胸の痛みが恋という感情だということは、ようやくこの頃知った。