05/07/19 23:59:36
「ほんとう」の手前で立ち止まり続けること、というのは
苦行でありまた救いなのだ。
椎名はキリスト教徒でありながら、キリストを無条件に
「ほんとう」とするのではなく、「ほんとう」の無い、いわば
虚無と無関心に満ちた世の中を見つめ抜いた上で、
「キリストは〈ほんとう〉ではないが、〈ほんとうの手前〉で
道を示してくれている」と、自らの(人生/読書)体験から
導きだしているように思える。
>>572の「二つの道」を突き詰めれば自殺しかない。だが、
その手前で「ほんとうではないこと」を肯定してくれるのが
椎名の文学だと思うのだ。だから救われる。