10/08/01 23:17:30
>>541
ルサンチマンをめぐるニーチェの系譜学的な考察は、制度的な現実や一見だれも批判しえないよう
にみえる観念のイデオロギー的利用者に対する懐疑の技術として見ることができる。弱者のなかに
もひそむ支配欲を容赦なく抉り出し、弱者を利用する「司祭」の偽善的な支配を告発するという観
点は、自らを弱者の味方の立場におく議論を問い直すヒントになるかもしれない。ただ、ルサンチ
マンが弱さの隠蔽と偽装に由来するとすれば、力の強弱を問題にするかぎり、ルサンチマンから根
本的に脱却することは困難ではないだろうか。ニーチェ自身はルサンチマン批判を、道徳を超越し
て行為する強者の礼賛へと転倒させたが、それとは違う帰結を引き出すことも可能だったはずである。
─弘文堂「ニーチェ事典」よりの引用─
ルサンチマンを否定なんて誰がしてるんだ?