09/04/25 13:23:29
(追記)
―きみは何も掴むことはできないし、何も引き留めることはできない、
そしてそれこそが、愛の知のありようなのだ。きみを逃れるものを愛しなさい。
去る者を愛しなさい。その者が立ち去るのを愛しなさい―(p52-53)
「私に触れるな ノリ・メ・タンゲレ」とはつまるところ、
哲学と真理、もっと言うならば、真理に恋した哲学徒の永遠の片想いなのです。
真理とはそこに在るものである。
すでにあるものに気づきなさい、見つけなさい。
しかし、真理に決して触れてはならない。掴もうとしてはならない。
真理をとらえようとしてはならない。
真理とはあなたが手に触れようとした瞬間、
あるいはあなたが掴んだと思えたまさにその瞬間、
瞬時に出発しているのです。
真理の本体はすでに遠くに行っており、
あなたが手を触れたものは、真理の影法師にすぎないのです。
しかし、だからといって真理を発見することに絶望することはない。
去ろうとする真理を愛すること、それこそが叡智であり、
哲学の真髄なのだから。
これがわたしの結論です。
―それでは。