08/05/17 18:55:29
埴谷雄高のこんな文章がある。喫茶「ランボオ」での様子。
三島由紀夫に認められる(中略)第一印象は、数語交わして
いる裡に、その思考の廻転速度が速いと解るような極めて
生彩ある話しぶりにあった。もし通常の規準をマッハ数一と
すれば、三島由紀夫の廻転速度は一・八ぐらいの指数を
もっていると測定せねばならぬほどであった。(中略)
間髪をいれず左右を振りむいてする素早い応答の
壺にはまった適切さを眺めていると、(中略)
三島由紀夫に向かって最も多く応答しているのは、
偶然左隣りに腰かけている野間宏ということになるので
あったが、困ったことに、野間宏の思考の廻転速度は
マッハ数○・四くらいなのであった。(中略)
私の観測によると、このなかで最も思考廻転の速いのは
武田泰淳で、私の大ざっぱな測定価はマッハ数二・○ぐらいな
ところに達していたから、もし彼が(中略)この座の文学問答に
加われば、優に三島由紀夫と歯車が噛みあってあまりある筈で
あったけれども、(以下略)