08/09/22 01:36:11
203-210:菜の花さん
当方もマンディアルグ「すべて消えゆく」を読了したヨ。
女優かつ娼婦のミリアムは最初はマゾヒスティックに、
そして女主人の電話を契機にサディスティックに豹変。
菜の花さんが書いている通り、ここが「この芝居の最大の見所」。
逆にいえば、それまではB級ポルノと大差なし。
時代がかった台詞回しも「演劇ごっこ」的でどうもいただけない。
それでも、テラスに熱帯植物園のある契房はなかなか雰囲気があり、
マゾからサドに変身したミリアム、そしてサドからマゾに変身させられたユゴーの、
あっという間の立場の逆転は、演劇モードならではの劇的シークエンス。
そして、2部でもう一度彼らは変身を遂げる。
一方は自殺者として、もう一方は殺人容疑者として。
菜の花さんが書いている通り、このへんは三島的演出だね。
短刀の装飾についての描写はマンディアルグらしいけれど、
メリメやゴーチエあたりと比較すると、あるいは、
マンディアルグ自身の初期の作品と比較してもやや安易な展開。
もちろん、ブルトン「ナジャ」には及ぶべくもないかな。