07/07/01 01:14:24
エピソードⅣ北杜夫の・・・何て本かは忘れた。
北杜夫の初期の作品に「船乗りクプクプの冒険」というのがあり、これがいかにも書き飛ばした感じのもの
だったので北は三島に怒られて、「躁病でつい筆がすべりまして」と言い訳したら、「文学に躁も鬱もない!」
余計に怒られたそうだ。
北は「三島さんだって、書く必要のないエンターテインメント沢山書いてんのに」なんでこんなに怒られなきゃ
ならないんだろ、と愚痴っておった。
まあ実際、三島はエンターテイメント云々だけじゃなく、「葉隠入門」では、山本常朝の西行など芸術家に対する
徹底的な軽蔑の態度を痛快がってたりしもし、冒険小説なんか書く奴より、ヨットで実際冒険した堀江青年の方が
偉いとして激賞し擁護したり、晩年「自分は文学と言うものには、ずっと何か卑怯なものを感じてきた」などと書
いたり、結局はああいう死に方をしてしまうし、何か重大な文学にたいするアンヴィヴァレントな感情があったよ
うでありますね。