平野啓一郎と■大江健三郎 PART40■新たな文学をat BOOK
平野啓一郎と■大江健三郎 PART40■新たな文学を - 暇つぶし2ch40:吾輩は名無しである
07/04/26 16:53:47
彼女は「パクったのは認めるが、おれの方がいい」と嘯くバルザックを引き合いに出し、
さあどっちだ、と二者択一を迫るのだけど、ぼくとしては、そういうことは昼間会社で
うんざりするほどやっているせいか、どうも物の優劣を一直線に並べて論じたくない。
だいいちそのバルザックのセリフ、平野啓一郎の優形にしっくりこないでしょ。

その代わりとして、『日蝕』は『鏡の影』とはまた別の価値を生み出していると言っておく。
それはこの内容を語り終えることを可能にした、範を明治期の漢文体に仰いだ文体である。
この擬古文体の是非を巡って芥川賞の選考委員の意見も割れたが、
この中世の学僧の公的かつ知的な告白を現代の口語文で書けないのは明らかである。

平野啓一郎はこの困難な知的構築にほぼ成功しており、そこにこそこの作品と文体の
価値がある。オビの「文学に聖性を取り戻した」云々は大げさだが、漢文体という
伝統の力を借り出してくることで作品の価値を高めている。
文語文の伝統というのはそうしたものだ。


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