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小惑星探査機「はやぶさ」が達成した成果は、日本の宇宙開発史に何段跳びもの飛躍
をもたらした金字塔といえる。効率良く、小さいが独自性の高い衛星や探査機をつくる
のは日本のお家芸。はやぶさは、柔軟な発想と精密な技術の裏打ちにより、こうした日
本の伝統的な宇宙開発の強みを再認識させてくれた。
オーストラリアの砂漠に落下したカプセルが回収され、中に小惑星の砂が入っていれ
ば、太陽系形成史の理解に貢献する試料としても生かされるだろう。
米国が宇宙空間から彗星すいせいのちりを回収した例はあるが、月以外の天体に着陸
して戻った探査機はない。着陸前には小惑星を至近から観測、未知の実態を詳細に伝え
た。欧米では、はやぶさに刺激されて小惑星探査への関心が急速に高まった。
プロジェクトチームは、度重なる危機をあらゆる技術的なアプローチで克服。宇宙の
過酷な環境による劣化で機能が次々失われると、別の機能でやりくりする離れ業で、絶
望視された帰還を実現した。技術的、科学的な成果以上に、次世代の科学者、工学者が
育つ貴重な経験の場となった。
ただ、こうした経験を生かす次の計画はまだ政府に認められていない。次の機会があ
るのかどうか、不透明なままではあまりに寂しい。有人宇宙開発と比べると地味な印象
の科学探査だが、夢とロマンをかき立て、世界をリードする新たなプロジェクトを期待
したい。
■ソース(中国新聞)【ウーメラ(オーストラリア)共同=斎藤香織】
URLリンク(www.chugoku-np.co.jp)