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大田原市黒羽向町の足利銀行黒羽支店のロビーで「花風景」と題した写真展が開かれている。
ヤマユリやアジサイなど四つ切りワイドが10枚。わきには「写真を通し心の安らぎと和みの
ひとときを―」などのメッセージも添えられている。撮ったのは大田原市の理容業須藤光男さん
(59)。1999年のリンチ殺人事件で長男正和さん(当時19)を失った父親だ。
正和さんが殺害された後、須藤さんは悲しみを抱えながら、県警の捜査怠慢などを主張した
損害賠償訴訟に時間を費やした。2002年には妻も亡くなり、つらい日々が続いた。
以来、ひとり暮らしだが、店の休みに、「気が紛れるから」と、かつて妻と一緒に出かけた
福島や茨城などを、ひとりでドライブするようになった。5年ほど前、名もない滝に心癒やされ、
インスタントカメラのシャッターを切ったのが、写真を始めたきっかけだ。
撮影の仕方はインターネットや本を見て独学した。現在はデジタル、フィルムを合わせて
3台のカメラを持つ。
写真展は今月1日から7月12日までの予定で始まった。同市をはじめ、那珂川町や県外で
1年半ほどの間に写したものだ。期間中、作品を2回入れ替えて計30枚を展示。滝や鳥、
同市内の山から写した富士山などの風景もある。
普段気づかない道ばたの雑草や野草の写真が好きという。将来は写真集を出版するのが夢だ。
正和さんは、生きていれば30歳。同じ年頃の男性を見ると、せつないという。加害者への
怒りや憎しみ、最愛の肉親を奪われた悲しみが癒えることはないという。「安らぎを感じて
くれれば」。そんな思いを込めた作品だ。写真は「心の切り替えの場」なのかも知れない。
▽初の写真展を開いている須藤さん
URLリンク(mytown.asahi.com)
▽朝日新聞
URLリンク(mytown.asahi.com)