(^p^)ようこそ・・・人間の外(アウアーヘブン)へ・・・at NEWS4VIP
(^p^)ようこそ・・・人間の外(アウアーヘブン)へ・・・ - 暇つぶし2ch250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:45.94 nLx9prSL0
そのまま、まるで壊れ物を扱うようにやさしくキョンに抱きしめられた。


251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:45.96 nLx9prSL0
耳元で聞いたこともないような優しい声でキョンが囁く。


252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:45.97 nLx9prSL0
「一度しか言わないぞ。・・・俺は・・ハルヒが好きだ」


253:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:45.98 nLx9prSL0
何を言われたのか、理解するのに時間がかかった。そしてそれを理解した時。


254:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.02 nLx9prSL0
どれくらい時間がたったのかはわからない。あたしはもう何も言っていない。涙ももう止まっている。


255:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.02 nLx9prSL0
あたしの中で何かが音を立てて崩れていった。


256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.02 nLx9prSL0
「ごめんなさい」何度もそう呟いた。呟くたびにあたしの中の何かが洗い流されていくような気がした。


257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.06 nLx9prSL0
キョンの腕から力が抜けていき、あたしはキョンの体から顔を離した。目の前にキョンの顔がある。


258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.09 nLx9prSL0
「ハルヒ」キョンがさっきと変わらないやさしい声であたしの名前を呼ぶ。


259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.09 nLx9prSL0
「キョン」あたしもキョンの顔を見ながら名前を呼んだ。キョンの顔が近づいてくる。


260:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.14 nLx9prSL0
「だいじょうぶですか!キョン君!涼宮さん!」


261:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.23 nLx9prSL0
入り口に突然現れた闖入者にキョンとあたしは同時に振り返る。


262:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.26 nLx9prSL0
「あ・・お取り込み中でしたか。すいません」古泉君はそういうと引っ込んだ。


263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.29 nLx9prSL0
まさかわざとやってんじゃないでしょうね・・。再びお互いの顔を見て、同時に笑った。


264:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.31 nLx9prSL0
どちらからともなく顔を近づける。ほんの数秒だけど唇が触れ合った。


265:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.36 nLx9prSL0
あたしは目を瞑っているので、キョンの顔は見えなかった。


266:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.38 nLx9prSL0
けれど、なんとなくだけど、キョンも目を瞑っている気がした。


267:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.40 nLx9prSL0
顔を離し、立ち上がる。キョンがバランスを崩して倒れそうになるのを支える。


268:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.43 nLx9prSL0
みくるちゃんが泣きながら抱きついてきた。みくるちゃんの背を片手で抱く。


269:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.44 nLx9prSL0
薄暗い倉庫の外は太陽が眩しかった。SOS団の3人がそこに集まっていた。


270:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.47 nLx9prSL0
本当は両手で抱きしめてあげたかったけれど・・もう片方の手はキョンと握り合っていた。


271:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.48 nLx9prSL0
次の日のお昼休み


272:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.49 nLx9prSL0
あたしとキョンは中庭にいた。横でキョンがあたしの作ってきたおにぎりにむさぼりついている。


273:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.55 nLx9prSL0
別に教室でもよかったけれど、キョンが嫌がったのとすごく天気がよかったので中庭で食べる事にした。


274:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.58 nLx9prSL0
うまい、という言葉を言う代わりのように次々とあたしの作ったおにぎりを食べる。


275:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.60 nLx9prSL0
それを見るだけで十分分かってはいたけれど、あえて聞きたくなった。


276:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.64 nLx9prSL0
「おいしい?」キョンが食べる手を止め、こちらを向く。


277:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.74 nLx9prSL0
「ああ、うまいよ。最高だ」あたしはその言葉で満足してこう返した。


278:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.75 nLx9prSL0
俺の足が言うことを聞かない。


279:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.76 nLx9prSL0
「当たり前でしょ。あたしが作ったんだから!」今、自分が出来ると思う最高の笑みと一緒に。


280:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.77 nLx9prSL0
俺の記憶を司る大脳細胞は全神経を酷使して、足の運動神経に緊急停止命令を


281:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.78 nLx9prSL0
出しているが、俺の自転車は、いつもの駅に向かって暴走を続けている。


282:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.82 nLx9prSL0
約束の時間まで、まだ一時間ある。そんなに急いでどうするつもりだ?


283:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.83 nLx9prSL0
My右足くん、左足くん。


284:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.85 nLx9prSL0
なぜか、いつもよりペダルが軽い気もするがそんなに、焦ることもないだろ?


285:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.88 nLx9prSL0
だが、たまには、我が団長様の鼻をあかしてやるのもいいかもしれないな。


286:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.92 nLx9prSL0
今日こそはおごって貰うぜハルヒ。


287:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.93 nLx9prSL0
しかし、その考えはチョコを砂糖でコートし大福餅に入れたくらい甘かったようで、


288:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:46.98 nLx9prSL0
我が団長様は、例の場所でいつものように腕組みをし仁王立ちで待っていたのだ。


289:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.13 nLx9prSL0
「遅い! 罰金! 大体あんたが誘ったんでしょ?


290:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.15 nLx9prSL0
 それを待たせるなんて、どういう神経してんのよ!まったく」


291:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.16 nLx9prSL0
何となく予想はしてたけどな、約束の時間の一時間前だ。俺は遅刻はしていない。


292:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.24 nLx9prSL0
昨日までいつものショートカットにカチューシャだったはずだ。


293:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.22 nLx9prSL0
「ん? なに? もう一度言ってみて?」


294:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.27 nLx9prSL0
「付け髪よ。こう言うのもあるの。でも自然な感じにするのに手間がかかんのよね。


295:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.27 nLx9prSL0
2回も言わん。しかしいつの間にそんなに髪が伸びたんだ?


296:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.27 nLx9prSL0
 どう、似合う? ね?」


297:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.39 nLx9prSL0
そう言うとハルヒは、うなじを見せつけるように体をひねってポーズをとった。


298:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.58 nLx9prSL0
何度でも言ってやるぜこんちくしょう。


299:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.63 nLx9prSL0
こういう状況になった元凶は、数日前、谷口、国木田、それとニヤケ面の古泉が


300:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.62 nLx9prSL0
ところで、いまのこの状況を詳しく説明しておこう。


301:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.58 nLx9prSL0
俺とハルヒは二人きりで、不思議探索特別パトロール市外編を敢行しようとしている。


302:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.67 nLx9prSL0
なぜか共同戦線を張り、生徒会を巻き込んだ大波乱の末、全校生徒の前でハルヒに


303:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.69 nLx9prSL0
告白させられるという、かつて無い恥辱的かつ屈辱的な真似をさせられ、はれて


304:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.69 nLx9prSL0
しかし何だ?その格好は?どこかのいいとこのお嬢様みたいだぞ。


305:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.72 nLx9prSL0
それにその髪型がだな……いや、まあいい。


306:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.86 nLx9prSL0
全校公認のカップルという永劫地獄行きの烙印を押しつけさせられたためなのだ。


307:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.03 nLx9prSL0
思い出しただけでも顔から火が出る。どこかの宇宙人対策チームから記憶消去装置を


308:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:47.96 nLx9prSL0
馬のしっぽがふわりと揺れる。


309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.09 nLx9prSL0
あーもう二度と言わないと言ったが、もうやけだ、あらん限りの装飾語を付けて


310:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.26 nLx9prSL0
「まさかあなたが本当に告白するとは思いませんでしたよ。


311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.03 nLx9prSL0
借りたいくらいだ。忌々しい、ああ忌々しい忌々しい。


312:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.34 nLx9prSL0
 しかし、恋人同士なら、出来るだけ二人きりの時間を持ちたいと考えるのは当然の


313:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.34 nLx9prSL0
 事です。涼宮さんがあなたと二人きりで休日を過ごし甘い時間を得たいと考え、


314:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.43 nLx9prSL0
 今月の 給料がアップしそうなんですよ。


315:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.66 nLx9prSL0
俺としてはお前が過労死して機関が労働基準局に訴えられる事になってくれた方が


316:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.32 nLx9prSL0
この話はまた別の機会にするとして、その日の夜に古泉が突然俺の家に訪ねてきた。


317:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.66 nLx9prSL0
 できれば、そうならないように、あなたにも協力して欲しいのですが」


318:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.66 nLx9prSL0
ありがたいがな。


319:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.53 nLx9prSL0
全校というか、おそらくは全世界、全宇宙、全時空公認なんだろうが、とにかく


320:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.69 nLx9prSL0
しかしなんだかんだと言っても、特製閉鎖空間にまた二人きりで閉じこめられるより、


321:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.88 nLx9prSL0
ハルヒに不思議探索特別パトロール市外編を提案したというわけだ。


322:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.96 nLx9prSL0
断じて、デートなんかではないことをあらかじめ強調しておく。


323:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.64 nLx9prSL0
とニヤニヤしながら忠告してきた。


324:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.95 nLx9prSL0
それから俺とハルヒは、某映画テーマパークに電車で向かう事にした。


325:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:48.96 nLx9prSL0
ハルヒへの告白込みで、これもすべて世界の平和のためなのだ。仕方がない事だ。


326:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.05 nLx9prSL0
予定より1時間ほど早いが、開園前に並んでいた方が、人気のアトラクションに


327:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.14 nLx9prSL0
すぐに入れると考えたからだ。


328:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.13 nLx9prSL0
 それを もしあなたが無視するような事があれば、僕のアルバイトの時間が増えて


329:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.34 nLx9prSL0
しかし、ごく普通のテーマパーク行きをハルヒがあっさり了承するとは思わなかった。


330:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.34 nLx9prSL0
いったい、どういう心境の変化だ?


331:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.40 nLx9prSL0
「キョンがそこに行きたいって言うなら、あたしはどこでもいいわよ。」


332:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.49 nLx9prSL0
電車内はいつもなら通勤客でごったがえしている時間だが、そんなに込んではいない。


333:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.58 nLx9prSL0
俺たち二人は車両の真ん中の出口付近に位置していたのだが、次の駅で突然車内は満員に


334:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.52 nLx9prSL0
なんて言う幻聴も聞こえたが、気のせいだ。たぶん。


335:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.58 nLx9prSL0
させる事など許されるはずがない。団員の雑用係として俺がそれを身を挺して守って


336:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.58 nLx9prSL0
甚だ不本意だが、我が団長様がまったく知らない男に、準痴漢行為のごとく体を密着


337:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.60 nLx9prSL0
ごく普通にこの世界で二人きりでいられる方がまだましだと考えた俺は、


338:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.74 nLx9prSL0
「ちょっ、ちょっとキョン……何でそんなにくっつくのよ!離れなさい!」


339:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.58 nLx9prSL0
なり、俺とハルヒは窓際に押しつけられたのだ。


340:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.77 nLx9prSL0
仕方がないだろ。これは事故だ。文句を言うなら他の乗客に言ってくれ。


341:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.61 nLx9prSL0
やろうとしているために、ハルヒを抱きしめているような格好になっているのだが、


342:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.84 nLx9prSL0
俺はまったくもって悪くない。全面的に悪くない。


343:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.85 nLx9prSL0
「もう、バカ……」


344:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.64 nLx9prSL0
あくまでも事故である。俺が望んでこうしているのではない事をさらに強調しておく。


345:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.91 nLx9prSL0
ハルヒは小さく呟いて、俺の胸に自分の頭を押しつけてきた。


346:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:49.91 nLx9prSL0
ほのかなシャンプーの香りで何か血迷った一言を言った気もするが幻聴だ。


347:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.00 nLx9prSL0
今日は幻聴が良く聞こえる。耳鼻科か、精神科に行った方がいいかもしれない。


348:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.07 nLx9prSL0
ハルヒが真っ赤になってジタバタしているがこれは幻覚だ。眼科も追加しよう。


349:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.13 nLx9prSL0
それからしばらくして、某大都市の銀河鉄道終着駅を思わせる巨大な駅のホームに


350:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.16 nLx9prSL0
降り立った俺たちは、休日の朝早い時間のくせに辟易する程の人通りの多さに、


351:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.20 nLx9prSL0
ハルヒと離ればなれになってはいけないので、渋々嫌々ながらにあいつの手を


352:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.23 nLx9prSL0
引っ張って、テーマパーク直通の電車がある別の駅に向かい、ちょうどやってきた


353:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.24 nLx9prSL0
ばかりのその電車に乗り込んだ。


354:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.32 nLx9prSL0
電車の中でも迷子になったら困るので手を離してはいない。突如として次元断層


355:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.32 nLx9prSL0
とかそういう超宇宙的現象が起こり二人が引き裂かれるかもしれないからな。


356:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.35 nLx9prSL0
おいそこ!このバカップルがというような目で睨んでいるお前。


357:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.38 nLx9prSL0
電車はその後約10分ほどで、不可思議な現象にも巻き込まれることなく


358:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.39 nLx9prSL0
俺たちはそう言う関係ではないのでくれぐれも誤解のないように!


359:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.41 nLx9prSL0
さすがに連休の初日と言うこともあって、開園までまだ1時間近くあるというのに


360:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.42 nLx9prSL0
無事に目的地に到着した。


361:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.45 nLx9prSL0
「ね、ね、キョン!あのでっかい地球儀の前で写真撮らない?!」


362:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.45 nLx9prSL0
入場ゲート前は、人、人、人でごった返している。


363:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.48 nLx9prSL0
ハルヒが煌々とした瞳で俺に訴えかけてくる。


364:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.49 nLx9prSL0
そうだな、心霊写真が写るかもしれないからな、たまたま持ってきているデジカメで


365:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.51 nLx9prSL0
写真を撮ってみるとしよう。


366:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.56 nLx9prSL0
ハルヒは適当な男を拉致し、俺のデジカメで二人を写すように脅迫する。


367:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.57 nLx9prSL0
拉致された男が、俺を視線だけで殺そうと努力しているようだが気のせいだ。


368:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.60 nLx9prSL0
男に礼を言い、ちゃんと取れたか確認してみると、残念ながら心霊写真は撮れず、


369:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.67 nLx9prSL0
なんか知らんが、俺のニヤケ面と見たことがないハルヒの表情とが液晶画面に表示された。


370:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.68 nLx9prSL0
心霊写真よりこっちの方が怖いぜ。


371:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.74 nLx9prSL0
並びながら待ち時間を活かして同じくあらかじめ購入してある公式ガイドブックで


372:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.77 nLx9prSL0
おれは見ないふりをして、俺たちは入場待ちの列に並らぶのだった。


373:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.82 nLx9prSL0
どのアトラクションに向かうか二人で計画を立てはじめる。


374:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.84 nLx9prSL0
宇宙人と自転車に乗ったりするアトラクションとか、未来人が立体映画で暴れ回る


375:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.89 nLx9prSL0
アトラクションとか、超能力蜘蛛男のアトラクションとか。


376:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.95 nLx9prSL0
そう言えば緑色の異世界人の4Dアドベンチャーなんてのもあるな。


377:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:50.99 nLx9prSL0
ハルヒ……ここのは本物じゃないけどな、お前の会いたがっていたやつらに、


378:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.01 nLx9prSL0
ここなら会えるんだ。とびきりのバツゲームを思いついたときの、あのキラキラした


379:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.03 nLx9prSL0
瞳を見せている今のお前を見れば、俺と同じくらいワクワクしているのは解るけどな。


380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.04 nLx9prSL0
だが、ここで本物の宇宙人、未来人、超能力者を出すのはやめてくれよ。


381:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.05 nLx9prSL0
「あたしはね、やっぱり基本としては『蜘蛛男』ね。『宇宙人』も捨てがたいんだけど」


382:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.06 nLx9prSL0
「『宇宙人』はやめておけ期待はずれという噂だ。


383:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.07 nLx9prSL0
 俺も『蜘蛛男』は見たいが、やっぱ『未来へ帰れ』だな。


384:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.10 nLx9prSL0
 それと『終端機2』は抑えておきたい。」


385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.10 nLx9prSL0
ふと、朝比奈(大)さんが革ジャンにサングラスをかけ機関銃をぶっ放して


386:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.11 nLx9prSL0
「I'llbeback」と言うところが脳裏に浮かんだが無かったことにする。


387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.13 nLx9prSL0
「あとね、『水世界』も面白いって聞いたわ。『恐竜園』も。


388:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.15 nLx9prSL0
 もうどれにしようか迷っちゃうわ!あーもう、並ばないで全部まわって見てみたーい!!」


389:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.17 nLx9prSL0
俺たちも前に前に押されるように歩を進め、ゲートをくぐると、


390:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.16 nLx9prSL0
そうこうしているうちに、開園のアナウンスがはじまり、ゲートが開いて人々が前に進み始める。


391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.21 nLx9prSL0
突如として走り出す人々につられるように俺たちも走り出していた。


392:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.28 nLx9prSL0
手をつないで走り出す俺とハルヒ。


393:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.31 nLx9prSL0
あの閉鎖空間で《神人》からにげだしたあのときの事が一瞬、フラッシュバックした。


394:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.34 nLx9prSL0
だが今はそんな緊迫した場面じゃない。


395:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.35 nLx9prSL0
だが俺は、あのときみたいに急に手をふりほどかれないように俺はぎゅっとハルヒの


396:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.38 nLx9prSL0
手を握りしめた。


397:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.40 nLx9prSL0
しかしその行為は、この混雑で離れないようにするためだ。誤解の無いように!


398:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.42 nLx9prSL0
「よーし!次行ってみましょー!」


399:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.46 nLx9prSL0
俺は、ハルヒに手を引っ張られながら、9つめのアトラクションに向かっている。


400:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.52 nLx9prSL0
奇跡的というか、変態的能力のおかげというか、俺たちはなぜか、どんな人気アトラクションでも


401:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.55 nLx9prSL0
こなしているわけだ。


402:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.55 nLx9prSL0
待ち時間0分という驚異のスケジュールによって、午前中にもうすでに8つのアトラクションを


403:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.57 nLx9prSL0
ただ問題が次々と発生している。


404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.58 nLx9prSL0
『蜘蛛男』では、なぜか俺の頭に蜘蛛の巣が付いていたり、


405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.59 nLx9prSL0
『恐竜園』では、恐竜の唾液らしきものが俺の膝の上にべったり落ちていたり、


406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.61 nLx9prSL0
『巨大鮫』では、水の中からやたらとリアルな血しぶきが上がったり、


407:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.62 nLx9prSL0
『宇宙人』では、どう考えてもレールが無いところでリアルな無重力を経験したり


408:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.63 nLx9prSL0
『終端機2』では、気が付けば俺の席の背もたれに弾痕があったり、


409:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.64 nLx9prSL0
『未来に帰れ』では、実際に感電したりもした。


410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.67 nLx9prSL0
そのたびに俺はハルヒに


411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.70 nLx9prSL0
「いいな!ハルヒ!これは映画の中の世界をリアルに再現したあくまでも”偽物”の


412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.73 nLx9prSL0
 テーマパークだ!これは現実じゃないんだぞ!」


413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.74 nLx9prSL0
と言い聞かせ


414:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.75 nLx9prSL0
「なにいってんの。当たり前じゃない」


415:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.79 nLx9prSL0
とハルヒが言い返す。


416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.85 nLx9prSL0
だが、どう考えても時々映画の中の世界に無意識にトリップしているようだ。


417:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.89 nLx9prSL0
まさかハルヒでも……と安易に考えていたいたんだが、俺は無事に生きて帰れるのだろうか?


418:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.92 nLx9prSL0
「次は、『水世界』がいいわね!いくわよキョン!」


419:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:51.99 nLx9prSL0
まさか、『水世界』では観客席を含めて水没したりしないよな?


420:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.01 nLx9prSL0
それとも、大爆発に巻き込まれて漫画的に頭髪がパンチパーマになったりするのか?


421:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.03 nLx9prSL0
俺はそう考え身震いすると、おれは、少しでも俺の命が生き長らえるようにハルヒに提案してみた。


422:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.05 nLx9prSL0
「なあ、ハルヒ、そろそろお昼だ。


423:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.06 nLx9prSL0
 どこかで昼飯にしないか?当然俺のおごりだ。」


424:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.07 nLx9prSL0
「それもそうね」


425:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.08 nLx9prSL0
とあっさり、承諾したハルヒと、そのあと30分にわたってどこで食べるかもめることになるのだが……。


426:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.10 nLx9prSL0
俺が、さんざん楽しんだあと、二人で場内のショップ巡りをしている。


427:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.11 nLx9prSL0
結局、ハルヒが選んだ所で昼食を取り、午後からも本来のアトラクションと違うスリルを


428:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.12 nLx9prSL0
休日にここの全てのアトラクションを楽しんだのは俺たちだけだろうな。


429:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.13 nLx9prSL0
ハルヒがぬいぐるみを物色している間に、外のベンチでマターリとして体力を回復させ


430:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.15 nLx9prSL0
ながらぼんやりと考えていた。


431:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.18 nLx9prSL0
しかし、なんだこの違和感は?ハルヒの能力とは違う別の違和感。 


432:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.21 nLx9prSL0
俺は咄嗟に、そして何気なしに後ろを振り向いたとき「きゃうん」という声とともに


433:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.23 nLx9prSL0
ずっここけたらしき人の足が一瞬ちらっと見えた。


434:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.25 nLx9prSL0
それを引き込むジャケットの片腕と、さんざん見飽きた例の服の裾も。


435:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.32 nLx9prSL0
まさかあいつらが居たりしないよな……


436:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.39 nLx9prSL0
「あーーー!ほんと!すっごくたのしかったわ!


437:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.42 nLx9prSL0
 こんな近くにこんな楽しいところがあるなんて、ホント灯台もと暗しね。」


438:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.46 nLx9prSL0
たぶん、普通に来た人たちはお前の半分以下しか楽しめてないような気がするぜ。


439:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.48 nLx9prSL0
妹がシャミを抱きかかえるように、うれしそうに抱いたままニコニコしている。


440:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.48 nLx9prSL0
ハルヒは、俺に無理矢理買わせた白と黒のツートンカラーの犬のぬいぐるみを、


441:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.50 nLx9prSL0
その笑顔があまりにもめずらしかったので、また写真に撮っておく。あとでハルヒに


442:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.51 nLx9prSL0
見せて「あたしこんな顔していないわ!」と嫌がるところを見てやるか。


443:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.52 nLx9prSL0
そのあと、俺は、山盛りの荷物を抱えて、名残惜しそうなハルヒと外に出たのだが……


444:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.56 nLx9prSL0
やはり、あの3人は付いてきている。気のせいじゃない。


445:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.58 nLx9prSL0
古泉に超能力者として機関に推薦して貰ってもいいくらいの鋭い俺の勘が、妙に


446:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.59 nLx9prSL0
とぎすまされている。あの3人がそんなことをするのだろうか?


447:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.62 nLx9prSL0
いやしかし、ハルヒが観察対象と言っていた事を考えるのなら上からの命令で仕方が無く


448:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.65 nLx9prSL0
ここにいる可能性もある。


449:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.68 nLx9prSL0
ついに本物の宇宙人、未来人、超能力者たちのおでましなのか……やれやれ。


450:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.72 nLx9prSL0
古泉が俺たちを見失ったことを上司らしい森さんに報告しこっぴどくしかられているところ


451:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.75 nLx9prSL0
 ひょっとして、私と一緒じゃ面白くなかった?」


452:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.74 nLx9prSL0
「ねえ、キョン?さっきからなんだかへんよ?


453:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.86 nLx9prSL0
あーそうだな、後ろにいる長門や朝比奈さんと一緒の方が少なくとも命が縮む思いを


454:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.88 nLx9prSL0
しなくてよかったかもな。


455:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.88 nLx9prSL0
不安そうにハルヒは俺に訪ねてくる。


456:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.94 nLx9prSL0
「ふん……バカキョン。そんなセリフあんたらしくないわよ!」


457:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.95 nLx9prSL0
会話がかみ合っていないような気がするのは気のせいだ。


458:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.96 nLx9prSL0
荷物もあるんだ、重い。出来れば離れてくれ。しかも3人が見ている。


459:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.97 nLx9prSL0
悪態を付いたつもりだったのだが、ハルヒは真っ赤になって俺の腕に絡んできやがった。


460:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:52.99 nLx9prSL0
どうしても気になるなら眼科に行くことをおすすめする。


461:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.00 nLx9prSL0
ハルヒの柔らかい何かの感触がすごく気になるが、とにかく、なんとか3人を


462:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.04 nLx9prSL0
何となく刺すような二つ―いや三つか?―の視線を感じながら、俺は考えを巡らせた。


463:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.04 nLx9prSL0
振り切る方法を考えねば。


464:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.06 nLx9prSL0
「なあハルヒ。今から言うことをだまって聞いてくれ。これは冗談じゃない。まじめな話だ。」


465:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.11 nLx9prSL0
絡んでいるハルヒの両手の力がかすかに強くなった。


466:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.16 nLx9prSL0
たぶん勘違いさせて期待を裏切ったんだろうがすまない。今はそれどころじゃない。


467:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.16 nLx9prSL0
「実はな、今俺たち二人を狙っている悪の3つの組織が俺たちを尾行しているっぽいんだ。」


468:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.16 nLx9prSL0
「はぁ……?なによそれ……ンーモグモゴ……」


469:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.17 nLx9prSL0
後半は俺が口手でふさいだ。


470:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.28 nLx9prSL0
「だから黙ってそのままで聞いてくれ。やつらに気取られるわけにはいかない。」


471:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.30 nLx9prSL0
ハルヒが事情を理解したのかコクコクとうなずいた。


472:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.31 nLx9prSL0
「わかった。スパイごっこね?」


473:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.33 nLx9prSL0
若干違うがまあいい。そのまま勘違いしててくれ。


474:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.34 nLx9prSL0
俺は、尾行をまくプランをハルヒに説明した。


475:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.36 nLx9prSL0
ならば、出来るだけ油断させて少しでも引き離し、人通りの多い雑踏で二手に分かれて一気に巻けばいい。


476:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.35 nLx9prSL0
やつらはまだ、俺たちが尾行に気づいていることを知らない。


477:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.41 nLx9prSL0
そして待ち合わせ場所は、あるビルの屋上の展望台なんてどうだ?


478:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.42 nLx9prSL0
機関のメンバーがこの件に絡んでいたとしても確実に巻く自信はある。


479:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.45 nLx9prSL0
展望台からは一階からの直通エレベーターしかない。それ以上あとについて来れないって訳だ。


480:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.47 nLx9prSL0
もし付いてきたとしても、今の俺なら二人で隣のビルまでダイブしてやるぜ。


481:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.50 nLx9prSL0
通路を選んだ俺たちは、その地下街の雑踏で突如として駆けだした。


482:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.51 nLx9prSL0
大都市の某駅に着くまで出来るだけ平静を装い、そして出来るだけ人通りの多そうな地下街の


483:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.56 nLx9prSL0
「じゃあね!!キョン!また会いましょ!」


484:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.57 nLx9prSL0
ハルヒの声が、地下街に響いた。


485:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.65 nLx9prSL0
ああ!今度は遅刻しないぜ!ハルヒ!


486:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.67 nLx9prSL0
周りはカップルだらけでやたらいちゃいちゃしているが、俺は全く気にならない。


487:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.78 nLx9prSL0
たまには待つっていうのもいいもんだな。


488:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.76 nLx9prSL0
展望台からみる大都会の夜空は、満天の星空とは全く無縁だが、きれいな満月が浮かんでいた。


489:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.79 nLx9prSL0
月にはウサギが居るのかかぐや姫が居るのか前世では宇宙人が居たのか、そんなことは


490:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.80 nLx9prSL0
俺にはわからないが、やたら大きく見える地球の唯一の衛星『月』を一人眺めていた。


491:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.83 nLx9prSL0
ふと振り返ると、ハルヒがたっていた。


492:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.86 nLx9prSL0
「遅いぜ。ハルヒ。罰金だ。」


493:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.89 nLx9prSL0
なぜかおとなしいハルヒは、そのまま黙っておれに近づき腕にしがみついてきた。


494:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.87 nLx9prSL0
ふくれっ面で俺をみているが、かまうもんか。


495:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.92 nLx9prSL0
きらめいている。


496:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.95 nLx9prSL0
あの光一つ一つに人それぞれの生き様がありドラマがある。


497:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.94 nLx9prSL0
眼前には100万ドルとはいわないが、今までみたことのないくらいのたくさんの小さな光が


498:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.95 nLx9prSL0
楽しそうに笑いあう家族もいればその光の下で涙に泣き濡れる人も居るのだろう。


499:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.00 nLx9prSL0
昔ハルヒが感じた、たくさんの人の中にいる自分というちっぽけな存在を


500:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.00 nLx9prSL0
光を放つことが出来るんだぜ。


501:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.00 nLx9prSL0
一生懸命自分なりに生きようとすればきっと、ほかの光に負けないくらいの明るく自分だけの


502:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:53.97 nLx9prSL0
俺も今、感じているのかもな。


503:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.00 nLx9prSL0
でもな、本当にちっぽけな自分でも俺は俺でハルヒはハルヒだ。


504:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.02 nLx9prSL0
おまえは自分の光に自信がなくなって、あがいてもがいて生きてきたんだろうけど、


505:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.16 nLx9prSL0
俺だけが、おまえの光に気づいてやれる。いままでも、これからもな。


506:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.19 nLx9prSL0
俺はそう思っただけなんだが、何となくハルヒに伝わったようだ。


507:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.22 nLx9prSL0
何なんだろうね。急にハルヒを抱きしめたくなっちまった。


508:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.21 nLx9prSL0
俺にはくさい台詞は似合わない。「やれやれまっったく」といっている方がお似合いだが、


509:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.23 nLx9prSL0
これは狼男が変身する際に必要な月の光に含まれる興奮作用がそうさせたのだろう。


510:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.23 nLx9prSL0
ああそうだきっとそうだ。


511:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.27 nLx9prSL0
俺たちはは現実世界で初めて、そっとふれあった……。


512:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.27 nLx9prSL0
新学期が始まり1ヶ月程たったある日。下駄箱に何か入っている。


513:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.33 nLx9prSL0
誰かに見られていないか周りを確認した後、いつものようにトイレに駆け込んだ。


514:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.34 nLx9prSL0
可愛らしい兎のようなキャラクターの絵が挿入された封筒の中には、一枚の手紙が入っていた。


515:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.38 nLx9prSL0
「お昼休みに裏庭まで来てください。」


516:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.42 nLx9prSL0
今まで下駄箱に入っていた手紙を思い出しながら、送り主を考える。


517:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.45 nLx9prSL0
今まで下駄箱に入っていた手紙を思い出しながら、送り主を考える。


518:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.46 nLx9prSL0
手紙には可愛らしい文字でただ一行そう書いてあった。


519:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.47 nLx9prSL0
朝比奈さん(大)ならば必ず名前が書いているからだ。


520:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.46 nLx9prSL0
手紙をもらったのは2人。そのうち朝比奈さん(大)の線は消えた。


521:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.50 nLx9prSL0
次に浮かんだのは今は懐かしい朝倉のこと。


522:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.53 nLx9prSL0
朝倉が消えてから1年経ったか経たないぐらいのはずなのに何年も前の気がした。


523:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.53 nLx9prSL0
あの時のような適当なノートの切れ端ではないし、なにより奴は消えたはずだ。


524:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.57 nLx9prSL0
次に浮かんだのは誰かのいたずらか。だがその線もなんとなくだが消えた。


525:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.61 nLx9prSL0
なんとなく、というのは手紙には何度も書き直したような後があったからだ。


526:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.66 nLx9prSL0
いたずらならばそんな手の込んだことをしてまできれいに書こうとは思わないだろう。


527:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.71 nLx9prSL0
つまり結論から言うとこれはラブレターっということになる。


528:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.72 nLx9prSL0
名前も顔も分からないとはいえ、自分にこんな手紙が来れば他意がなくても自然に顔がにやけてくる。


529:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.74 nLx9prSL0
こんなニヤケずら誰かに見られたら、さらにそれがハルヒなら色々とめんどうなことになる。


530:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.76 nLx9prSL0
ニヤケようとする頬の筋肉に力をいれ、普段どおりの顔で教室に向かった。


531:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.78 nLx9prSL0
教室に入り、谷口や国木田、クラスの奴らに簡単に挨拶をする。


532:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.79 nLx9prSL0
最後に自分の席に座りながら後ろの奴に挨拶する。


533:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.81 nLx9prSL0
ハルヒはとくに興味なさそうに一瞥だけくれるとすぐに外に向き直った。


534:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.83 nLx9prSL0
しばらくの沈黙の後、ハルヒが口を開いた。


535:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.90 nLx9prSL0
「あんた今日お昼どうするの?」


536:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:54.99 nLx9prSL0
今日は昨日から親がいないため弁当がない。その事はハルヒも知っていたような気がするが。


537:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.01 nLx9prSL0
「ああ、適当に学食かな」


538:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.04 nLx9prSL0
さっきの事で頭がいっぱいで飯のことなど忘れていたため、てきとうに返事を返す。


539:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.06 nLx9prSL0
「そう」答えるともう興味がなくなったのか外を向いた。


540:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.08 nLx9prSL0
同時に先生が入ってきて朝のHRの時間が始まった。


541:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.19 nLx9prSL0
浮かれいた俺はハルヒが妙におとなしい事に気がつかなかった。


542:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.21 nLx9prSL0
いつぼろを出すかわからなかったので机の奥に手紙を押し込んだ。


543:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.22 nLx9prSL0
ただ、前の小説の時のようにポケットに入れたままにして、


544:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.23 nLx9prSL0
昼休みに入り俺は席を立った。手紙の相手に会うためだ。


545:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.26 nLx9prSL0
ハルヒが何か言っているが、ハルヒの相手をしている暇は俺にはない。


546:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.26 nLx9prSL0
今朝からずっと頭の中は手紙のことでいっぱいで授業もろくに覚えていない。


547:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.27 nLx9prSL0
まぁ普段から授業をまともに聞いた事など滅多にないのだが。


548:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.25 nLx9prSL0
「あのさ、キョン」


549:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.28 nLx9prSL0
「悪い、ちょっと急用があるんでな」


550:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.30 nLx9prSL0
今日はなにかよく勘が働く日だ。あっているかの確証はないがな。


551:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.30 nLx9prSL0
ハルヒの方に顔だけ向けてそういうと教室の出口に向かった。


552:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.35 nLx9prSL0
・・・裏庭に出るための角が見える。さあ、何が出るやら。


553:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.35 nLx9prSL0
さらに朝比奈さん並みに幼い感じの顔つきからしてたぶん新入生だろう。


554:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.35 nLx9prSL0
ハルヒから教室の出口に顔向ける時、一瞬だけハルヒの悲しそうな顔が見えた気がした。


555:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.36 nLx9prSL0
角を曲がると女の子が1人居た。この学校にはもう1年以上いるがみた事がない顔。


556:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.40 nLx9prSL0
もじもじとしたような態度で下を向いていて、上目遣いにこちらを見ながら、


557:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.42 nLx9prSL0
何事か言おうとして口を開けたり閉めたりしている。


558:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.44 nLx9prSL0
とりあえず挨拶してみる。「こんにちは、手紙の差出人は君であってるのかな?」


559:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.45 nLx9prSL0
向こうも慌てた様に、「あ、こんにちは。えと、そうです」


560:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.54 nLx9prSL0
可愛らしい声でそう返事を返した。要件を聞いてみると、


561:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.55 nLx9prSL0
ほのかに顔を朱色に変えながら、相変わらずもじもじとしていて、


562:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.59 nLx9prSL0
何か言おうとするが声が出ないようで口を開けたり閉じたりしている。


563:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.61 nLx9prSL0
う~ん、初々しい。なんともいえない感覚が頭の中で拡がっていた。


564:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.62 nLx9prSL0
それからどれぐらい時間が経っただろうか、実際には5分程だったかそれ以上に長く感じた。


565:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.65 nLx9prSL0
ついに決心をつけたのか、小さく「よし」と呟くと俺の顔を見つめ、


566:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.70 nLx9prSL0
「好きです。もしよろしければ付き合ってくれませんか」早口にそういうと顔を真っ赤にさせて下を向いた。


567:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.73 nLx9prSL0
頭の中が真っ白になった。何を言ったのか理解するのに数秒かかった。


568:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.75 nLx9prSL0
俺がどう答えようか、悩んでいると後ろの方、ちょうど角になっている方で、


569:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.76 nLx9prSL0
理解できた後に脳天に稲妻を受けたような感じになった。


570:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.80 nLx9prSL0
何かを落としたような音が聞こえた。


571:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.83 nLx9prSL0
気がつけば「悪い」と一言言うと、俺はハルヒを追いかけて走り出していた。


572:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.84 nLx9prSL0
振り返るとそこには・・ハルヒがいた。逃げるように走り出すハルヒ。


573:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.85 nLx9prSL0
前方に見えるハルヒ。流石に運動神経がいいだけに足も速い。


574:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.87 nLx9prSL0
なんとか追いついてその手を掴む。


575:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.89 nLx9prSL0
「待てよ、なんで逃げるんだよ」俺が言うとハルヒは振り向いた。


576:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.92 nLx9prSL0
「うるさいわね。あんたこそなにしてるのよ。早くあの娘のところに戻りなさいよ。」


577:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.93 nLx9prSL0
俺が黙っていると、ハルヒが続けて言う。


578:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.95 nLx9prSL0
「なによ、馬鹿みたいにデレデレしてさ。結構可愛かったじゃないの良かったわね。」


579:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.97 nLx9prSL0
俺の顔を睨みつけながら淡々とそういう。


580:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:55.99 nLx9prSL0
「黙れ!」自分でも驚く程の怒声が口から出た。体をビクッとさせるハルヒ。


581:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.02 nLx9prSL0
持っていた小さな袋を俺に投げつける。


582:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.03 nLx9prSL0
「急に大声出すんじゃないわよ!馬鹿!もう勝手にすればいいでしょ!!」


583:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.08 nLx9prSL0
衝撃で原型をなくしたおにぎりとおかずが詰まったタッパが入っていた。


584:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.07 nLx9prSL0
ハルヒが投げつけた袋を拾い上げ中を見ると、


585:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.07 nLx9prSL0
振り返る際に泣いていたような気がする・・。


586:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.12 nLx9prSL0
おにぎりのラップの包みをめくり一口かじる。


587:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.14 nLx9prSL0
世界中に評判の5つ星レストランであろうともこのおにぎりには勝てないだろう。そんな味がした。


588:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.17 nLx9prSL0
俺は1人でそんなことを思いながら教室に戻った。


589:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.16 nLx9prSL0
裏庭にはまだあの娘がいたかもしれないが戻る気にはならなかった。


590:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.21 nLx9prSL0
・・・結局ハルヒはその後教室には戻ってこず、とうとう今日の授業が終わった。


591:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.21 nLx9prSL0
授業終了の鐘をぼんやりと聞きながら、帰る準備をしていた。


592:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.23 nLx9prSL0
部室に行く気がしなかった。なによりハルヒと会って何を話せばいいのかわからなかった。


593:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.25 nLx9prSL0
その時、教室の扉が開き、長門が入ってきた。


594:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.29 nLx9prSL0
傍からみればいつもの無表情顔だが、俺にはどこか真剣な怒ったような顔をしているように見えた。


595:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.31 nLx9prSL0
俺の横まで来ると「すぐに旧体育館倉庫に行って、手遅れになる前に・・」そう言った。


596:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.33 nLx9prSL0
俺が戸惑っていると「早く!」普段絶対に出さないような大声で俺に言った。


597:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.35 nLx9prSL0
教室にまだ残っていた奴らの視線が俺と長門に集中する。だが、そんな事にかまっている暇はなかった。


598:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.35 nLx9prSL0
俺は長門を教室に残しまま、走り出していた。階段を飛ぶ様に降り、旧体育館倉庫に全速力で向かった。


599:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.39 nLx9prSL0
目的の場所に着く。心臓が異常なほどに脈打ち、足が悲鳴をあげているがそんなもの知るか。


600:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.46 nLx9prSL0
扉を思い切り蹴破る。古い木で出来た扉は簡単に壊れ、倒れた。


601:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.51 nLx9prSL0
薄暗い倉庫の中に3人の男が見えた。一番手前にいた奴が何か言っているが、そんなものはどうでもいい。


602:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.53 nLx9prSL0
一番奥に目をやると・・そこにハルヒがいた。セーラー服が無残に破かれ、半裸の状態だった。


603:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.55 nLx9prSL0
目の前が真っ赤になった。口から何か怒声を出していた気がする、が何を言ったのかは覚えていない。


604:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.58 nLx9prSL0
一番近くにいた小柄の男に殴りかかる。続いてその横にいた太目の男を蹴り飛ばした。


605:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.58 nLx9prSL0
が、そこまでで俺の勢いは終わる。ただでさえ全力疾走で体はぼろぼろな上に3対1。


606:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.60 nLx9prSL0
最初に殴った奴に後ろから羽交い絞めにされ、そこからは一方的に殴られ蹴られた。


607:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.62 nLx9prSL0
しばらくして、リーダー格っぽい長身の男が、動けなくなった俺をみて


608:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.65 nLx9prSL0
「興ざめだ、いくぞ」と吐き捨てるように言うと、残り2人と共に出て行った。


609:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.65 nLx9prSL0
来ているブレザーを脱ぎ、半裸状態で放心しているハルヒに掛けた。


610:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.65 nLx9prSL0
俺はそこらじゅう痛む体を引きずるようにしてハルヒの傍に歩み寄ると、


611:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.78 nLx9prSL0
「何しに来たのよ馬鹿」怒ったような顔のハルヒが言う。そのまま続けて


612:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.79 nLx9prSL0
本心に戻ったのか、ハルヒがはっとすると俺の方を見る。


613:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.81 nLx9prSL0
「あんな奴ら、あたし1人でも十分なんとかなるんだからね!」


614:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.82 nLx9prSL0
「別にあんたがこなくてもあれから反撃しようとしていたのよ!」


615:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.83 nLx9prSL0
「それよりあの娘はどうしたのよ。デレデレしちゃって情けないったらありゃしない」


616:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.84 nLx9prSL0
俺はただ黙って聞いていた。


617:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.87 nLx9prSL0
「あんたなんかもうSOS団にはいらないわ!どこへでも行きなさいよ!」


618:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.92 nLx9prSL0
そこまで一気にたてしまくると、ハルヒが肩で息をしながら黙った。


619:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.92 nLx9prSL0
少しの沈黙、の後ハルヒが再び口を開ける。


620:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.92 nLx9prSL0
「もう2度とあたしの前に顔を出すんじゃないわよ!!」


621:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.94 nLx9prSL0
「なによ!何か言いなさ「ハルヒ」


622:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:56.95 nLx9prSL0
ハルヒの言葉に割り込むように俺は言い、同時に両手でハルヒの肩を掴んだ。


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10/06/07 21:44:56.99 nLx9prSL0
それでもハルヒの言葉をさえぎり、ハルヒは黙った。


624:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.00 nLx9prSL0
昼間とは違い、怒りを含むような声ではなく、いつもの俺の言葉だった。


625:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.01 nLx9prSL0
俺の両手で掴んでいるハルヒの小さな肩が小刻みに震えている。


626:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.04 nLx9prSL0
まるで叱られた犬の様な顔で俺の顔を見るハルヒ。


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10/06/07 21:44:57.04 nLx9prSL0
「一度しか言わないぞ。・・・俺は・・ハルヒが好きだ」


628:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.05 nLx9prSL0
両腕に力を入れて肩を掴んだままハルヒを抱き寄せた。そのまま耳元でそっと囁いた。


629:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.07 nLx9prSL0
時間が止まったんじゃないかと思った程辺りは静まり返っていた。


630:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.08 nLx9prSL0
ハルヒは肩を震わせている。嗚咽混じりの声で、


631:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.14 nLx9prSL0
どれぐらい時間が経っただろうかハルヒの震えは止まって嗚咽も聞こえなくなっていた。


632:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.15 nLx9prSL0
「ごめんなさい」何度もそう呟いていた。何度も。何度も。


633:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.16 nLx9prSL0
ハルヒと見詰め合う。「ハルヒ」「キョン」お互いに名前を呼びつつ、その顔が少しずつ近づく。


634:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.18 nLx9prSL0
ずっと力を入れていた腕から力を抜き、ハルヒを離す。


635:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.21 nLx9prSL0
っと「だいじょうぶですか!キョン君!涼宮さん!」


636:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.23 nLx9prSL0
入り口に突然現れた闖入者にハルヒも俺も同時に振り返る。


637:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.24 nLx9prSL0
「あ・・お取り込み中でしたか。すいません」古泉はそういうと引っ込んだ。


638:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.32 nLx9prSL0
再びお互いの顔を見て、同時に笑い出した。


639:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.33 nLx9prSL0
そしてどちらからともなく顔を近づけた。


640:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.34 nLx9prSL0
軽いほんの数秒、キスをする。俺はお約束の目を瞑っている為、ハルヒの顔は見えない。


641:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.40 nLx9prSL0
だが、なんとなくだけどハルヒも目を瞑っている気がした。


642:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.41 nLx9prSL0
顔を離し、立ち上がる。ついさっきまで忘れいた痛みが蘇ってふらつくのをハルヒが支えてくれた。


643:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.42 nLx9prSL0
薄暗い倉庫を出るといつものメンバーがいた。


644:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.46 nLx9prSL0
朝比奈さんが泣きながらハルヒに抱きつく。長門はいつもの無表情だがどこか微笑んでいる気がした。


645:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.48 nLx9prSL0
古泉はいつもどおりニコニコした顔で「さっきはすみませんでした」と謝る気がなさそうな顔で言った。


646:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.49 nLx9prSL0
後から気がついたことだがあれも古泉の差し金だったような気がする。


647:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.51 nLx9prSL0
それならば簡単に出て行った理由も分かるし、なによりあの3人を今まで見かけたことがなかったのも合点がいく。


648:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.54 nLx9prSL0
なんにせよ、また迷惑を掛けてしまったようだな・・。


649:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.57 nLx9prSL0
次の日


650:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.58 nLx9prSL0
昨日、弁当をいらないと告げていたので、今日も弁当はなしだった。


651:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.59 nLx9prSL0
学校に着くとたまたまか待っていたのか昨日の娘が居た。


652:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.61 nLx9prSL0
そのまま裏門に行き、昨日の俺の返事を告げる。


653:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.65 nLx9prSL0
と、深く溜息をつくと「やっぱりかぁ」と少し悲しそうなどこかすっきりした顔で言う。


654:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.65 nLx9prSL0
俺が頭に?を浮かべていると、


655:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.67 nLx9prSL0
「涼宮ハルヒ先輩は私から見ても可愛いし、カッコいいし、やっぱりかなわないです」


656:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.68 nLx9prSL0
俺は黙ったまま笑顔で頷いた。


657:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.69 nLx9prSL0
その後彼女はたまに見かけるぐらいの関係になった。


658:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.72 nLx9prSL0
「なんだよ?」「別に」よく分からないやり取りをしつつ席に着く。


659:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.72 nLx9prSL0
教室に戻ると、ハルヒがニヤニヤしている。


660:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.75 nLx9prSL0
ハルヒは上機嫌のようだ。


661:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.79 nLx9prSL0
昼飯の時間が待ち遠しいな・・と思いながら、俺は窓の外の青く晴れた空を見た。


662:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.77 nLx9prSL0
新学期も始まり一ヶ月程たったある日のこと。


663:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.83 nLx9prSL0
いつものように自分の席に座り、外を見ているとキョンの奴が入ってきた。


664:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.84 nLx9prSL0
クラスの連中に挨拶を一通り終えた後、いつものあたしの前の席に座る。


665:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.88 nLx9prSL0
「よう」と一言。キョンの方を見る。がすぐに外の方に向いた。


666:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.92 nLx9prSL0
やれやれといつものしぐさのキョン。


667:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.95 nLx9prSL0
「あんた今日お昼どうするの?」


668:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.98 nLx9prSL0
答えは知っている。昨日部室で朝比奈さんと会話していたのを聞いていたから。


669:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:57.99 nLx9prSL0
「ああ、適当に学食にするかな」答えるキョン。


670:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.08 nLx9prSL0
あたしは適当に返事すると外を見る。でも実際は窓の外はどうでもよかった。


671:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.09 nLx9prSL0
かばんの中に入っている作ってきたおにぎりのことを考えていた。


672:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.17 nLx9prSL0
鈍感のアホキョンのことだからどうせ気がついてはいないだろう。


673:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.21 nLx9prSL0
前のバレンタインの日すら忘れていたぐらいなんだから。


674:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.24 nLx9prSL0
どこか普段よりぼけっとしているキョンの後ろ姿を眺めながら、昼の時間になった。


675:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.25 nLx9prSL0
どこか普段よりぼけっとしているキョンの後ろ姿を眺めながら、昼の時間になった。


676:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.26 nLx9prSL0
「悪い、ちょっと急用があるんでな」そういうと出口の方に振り向き、出て行った。


677:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.27 nLx9prSL0
なによあいつ。せっかく作ってきてやったのになくなっても知らないからね。


678:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.31 nLx9prSL0
かばんからおにぎりの入った袋を取り出し、ふとキョンの机を見ると奥に何か封筒のようなものが見えた。


679:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.34 nLx9prSL0
中には一通の手紙が入っていた。「お昼休みに裏庭まで来てください。」


680:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.35 nLx9prSL0
キョンの机からは、どこかで見たことのある兎のキャラクターの挿絵の封筒が出てきた。


681:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.37 nLx9prSL0
あたしはおにぎりに入った袋を手に提げていたの忘れたまま裏庭に向かった。


682:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.38 nLx9prSL0
なによこれ、こんな面白そうな事をあたしに黙っているなんて許さないわよキョン!


683:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.41 nLx9prSL0
裏庭に行くために通る最後の角を曲がるとキョンが見えた。・・そしてもう1人。


684:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.41 nLx9prSL0
反射的に角に隠れてしまう。何をしているのか聞き耳を立てながらそっと覗く。


685:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.42 nLx9prSL0
女の子の方は見たことがない娘だった。たぶん新入生ってところかな。


686:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.43 nLx9prSL0
あたしが我慢しきれず出て行こうとしたときだった。


687:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.44 nLx9prSL0
何かもじもじとしていている。あーもう、じれったいわね。


688:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.45 nLx9prSL0
耳を疑うような言葉が聞こえてきた。「好きです。もしよろしければ付き合ってくれませんか」


689:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.49 nLx9prSL0
一瞬目の前が真っ白になった。立ちくらみのような感じがする。


690:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.50 nLx9prSL0
ドサッ音がして慌てて袋を拾い上げる。向こうを見るとキョンと目があった。気がついたら走り出していた。


691:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.52 nLx9prSL0
キョンの顔はこちらからは見えない。力の入らない手からおにぎりとタッパの入った袋が落ちた。


692:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.52 nLx9prSL0
逃げるように走る。足がもつれてうまく走れない。後ろから追いついてきたキョンに腕を掴まれた。


693:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.54 nLx9prSL0
「待てよ、なんで逃げるんだよ」息を切らせながらキョンが言う。


694:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.62 nLx9prSL0
頭の中が真っ白になった。気がつくとあたしの口はキョンに罵声を浴びせていた。


695:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.65 nLx9prSL0
「うるさいわね。あんたこそなにしてるのよ。早くあの娘のところに戻りなさいよ。」


696:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.67 nLx9prSL0
口は勝手に動く。キョンは何も言わない。


697:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.69 nLx9prSL0
「なによ、馬鹿みたいにデレデレしてさ。結構可愛かったじゃないの良かったわね。」


698:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.72 nLx9prSL0
「黙れ!」いきなりキョンが見たことのないような怒った顔でそういった。


699:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.73 nLx9prSL0
体が反応してビクっとなる。声の大きさに反応したのか、初めて見たキョンの顔に反応したのはわからない。


700:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.77 nLx9prSL0
また口が勝手に動いていた。しかも今度は口だけじゃなくて体も動いていた。


701:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.75 nLx9prSL0
「急に大声出すんじゃないわよ!馬鹿!もう勝手にすればいいでしょ!!」


702:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.80 nLx9prSL0
持っていた袋をキョンに投げつけていた。


703:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.82 nLx9prSL0
中身ひどい事になっているだろうなぁ。どこか頭の隅にいる冷静なあたしはそんなことを考えていた。


704:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.85 nLx9prSL0
目頭が熱くなってくるのが分かる。キョンにこんな顔、見られたくない・・。


705:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.89 nLx9prSL0
また走り出していた。今度はキョンは追っては来なかった。


706:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.93 nLx9prSL0
なにも考えたくなかった。また目頭が熱くなってきた。ここなら誰も来ないよね・・。


707:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.95 nLx9prSL0
気がつくと、今は使われていない旧体育倉庫の辺りに居た。倉庫に近くにしゃがみこんだ。


708:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.98 nLx9prSL0
いつまでもここにいるわけにもいかない。


709:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.95 nLx9prSL0
どれぐらいそうしていたんだろう。気がつけば放課後を知らせる鐘が鳴っていた。


710:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:58.98 nLx9prSL0
キョンには後で謝ろう。きっと許してくれるよね・・。


711:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.04 nLx9prSL0
「こんなところで1人でうろついてるとあぶないぜ、特に俺らみたいなのはな」


712:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.04 nLx9prSL0
リーダー格っぽい長身の男が何か言っている。


713:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.05 nLx9prSL0
時代遅れのチンピラのようなセリフを恥ずかしげもなく吐いている。


714:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.04 nLx9prSL0
無視して通り過ぎようとすると肩を掴まれる。


715:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.07 nLx9prSL0
「何よあんた達、離しなさいよ」


716:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.06 nLx9prSL0
他の小柄の男と太目の男も「へっへっへっへ」などと時代遅れの以下略


717:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.04 nLx9prSL0
立ち上がり、教室に戻ろうと歩いていると前からガラの悪そうな3人組が歩いてくる。


718:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.08 nLx9prSL0
肩の手を振りほどこうと腕を暴れさせ、ついでに殴りかかろうとすると腕を掴まれた。


719:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.23 nLx9prSL0
「こいつ見たことありますぜ。バニーの格好したりしてましたよ」


720:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.29 nLx9prSL0
「きっと誘ってるんですよ」


721:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.29 nLx9prSL0
「あんた達みたいな奴誘惑するわけないでしょ。訳分からない事いってないでさっさと離しなさいよ!」


722:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.29 nLx9prSL0
長身の男が2人に何か言っている。ニヤケ面した気持ち悪い顔でこっち見るんじゃないわよ。


723:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.30 nLx9prSL0
3対1しかも男の腕力ならいくらあたしでも振り切れそうにない。


724:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.31 nLx9prSL0
奥の方まで引きずられていき、壁に背を向ける形で開放される。


725:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.31 nLx9prSL0
2人があたしの後ろに回り片方ずつ腕を掴んできた。


726:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.32 nLx9prSL0
相変わらず雑魚2人が気持ち悪い笑みを浮かべている。


727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.30 nLx9prSL0
子分臭い2人の男が口々に何か勝手な事を言っている。


728:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.42 nLx9prSL0
何か嫌な汗が背中を流れた。何言ってるのこいつら・・・。


729:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.43 nLx9prSL0
「騒いでも無駄だぜ。こんなところに滅多に人は来ないからな」


730:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.47 nLx9prSL0
男の手がこちらに伸びてくる。「いやっ」反射的に胸を腕で隠す。


731:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.41 nLx9prSL0
そのまま引きずられる様に旧倉庫の中に連れて行かれる。中は薄暗く埃臭い。


732:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.44 nLx9prSL0
頭の中が真っ白になる。混乱する頭で自分の置かれている立場をようやく理解する。


733:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.47 nLx9prSL0
「おとなしくしやがれ、このアマ!」思い切り顔をはたかれた。


734:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.51 nLx9prSL0
痛い。何も考えられない。頭の中でキョンの顔が浮かんできた。


735:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.59 nLx9prSL0
キョン。タスケテ。キョン。


736:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.59 nLx9prSL0
服が裂ける音が聞こえる。セーラー服を破かれ、白いブラがあらわにされる。


737:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.59 nLx9prSL0
へたり込み座り込んでいるあたしの方に手が伸びてくる。


738:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.59 nLx9prSL0
「あ・・」自分でも情けないくらい力の篭らない声が口から漏れる。


739:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.63 nLx9prSL0
突然扉が勢いよく倒れた。逆光でよく顔は見えない。でもなんとなく分かった。キョンが来てくれた。


740:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.59 nLx9prSL0
いや・・助けて。誰か・・・キョン。頭の中で叫ぶ。体は動かない。


741:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.68 nLx9prSL0
キョンがあたしの名前を叫びながら小柄の男に殴りかかった。


742:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.72 nLx9prSL0
続いて太目の男を蹴り飛ばす。でも後ろから羽交い絞めにされて・・。


743:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.73 nLx9prSL0
男達はそれで満足していったのか出て行った。キョンとあたしだけが薄暗い倉庫の中に取り残される。


744:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.77 nLx9prSL0
キョンがゆっくりと立ち上がり、体を引きずるようにしてあたしの傍に来た。


745:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.81 nLx9prSL0
ブレザーを脱いであたしに羽織らせる。あたしはそこでようやく我に返った。


746:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.83 nLx9prSL0
けれど口から出たのは感謝の言葉ではなく、罵声だった・・。


747:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.84 nLx9prSL0
「何しに来たのよ馬鹿」違う。


748:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.87 nLx9prSL0
「それよりあの娘はどうしたのよ。デレデレしちゃって情けないったらありゃしない」


749:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.88 nLx9prSL0
「別にあんたがこなくてもあれから反撃しようとしていたのよ!」こんなことを言いたいんじゃない。


750:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.89 nLx9prSL0
「あんな奴ら、あたし1人でも十分なんとかなるんだからね!」なんで素直になれないんだろう。


751:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.90 nLx9prSL0
「あんたなんかもうSOS団にはいらないわ!どこへでも行きなさいよ!」


752:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.92 nLx9prSL0
キョンは黙って聞いている。何か言ってよ・・。


753:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.94 nLx9prSL0
なんでこんなことを言うんだろう。それ以上言っちゃいけない・・。


754:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:44:59.99 nLx9prSL0
・・・。終わった・・もうきっとキョンも飽きれているに違いない。まともにキョンの顔が見れない。


755:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.01 nLx9prSL0
頭の片隅の冷静なあたしが泣いている。けれど体は、口はやめようとはしない。


756:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.01 nLx9prSL0
「もう2度とあたしの前に顔を出すんじゃないわよ!!」


757:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.06 nLx9prSL0
「なによ!何か言いなさ「ハルヒ」そこで初めてキョンが口を開いた。


758:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.08 nLx9prSL0
あたしの両肩を掴んで、やさしい声であたしの名前を呼んでいる。ゆっくりとキョンの顔を見た。


759:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.09 nLx9prSL0
耳元で聞いたこともないような優しい声でキョンが囁く。


760:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.15 nLx9prSL0
あたしの中で何かが音を立てて崩れていった。


761:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.15 nLx9prSL0
「ごめんなさい」何度もそう呟いた。呟くたびにあたしの中の何かが洗い流されていくような気がした。


762:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.15 nLx9prSL0
どれくらい時間がたったのかはわからない。あたしはもう何も言っていない。涙ももう止まっている。


763:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.15 nLx9prSL0
何を言われたのか、理解するのに時間がかかった。そしてそれを理解した時。


764:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.08 nLx9prSL0
そのまま、まるで壊れ物を扱うようにやさしくキョンに抱きしめられた。


765:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.15 nLx9prSL0
「一度しか言わないぞ。・・・俺は・・ハルヒが好きだ」


766:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.20 nLx9prSL0
キョンの腕から力が抜けていき、あたしはキョンの体から顔を離した。目の前にキョンの顔がある。


767:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.24 nLx9prSL0
「ハルヒ」キョンがさっきと変わらないやさしい声であたしの名前を呼ぶ。


768:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.26 nLx9prSL0
「キョン」あたしもキョンの顔を見ながら名前を呼んだ。キョンの顔が近づいてくる。


769:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.27 nLx9prSL0
「だいじょうぶですか!キョン君!涼宮さん!」


770:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.28 nLx9prSL0
入り口に突然現れた闖入者にキョンとあたしは同時に振り返る。


771:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.30 nLx9prSL0
「あ・・お取り込み中でしたか。すいません」古泉君はそういうと引っ込んだ。


772:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.33 nLx9prSL0
まさかわざとやってんじゃないでしょうね・・。再びお互いの顔を見て、同時に笑った。


773:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.34 nLx9prSL0
どちらからともなく顔を近づける。ほんの数秒だけど唇が触れ合った。


774:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.37 nLx9prSL0
あたしは目を瞑っているので、キョンの顔は見えなかった。


775:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.41 nLx9prSL0
薄暗い倉庫の外は太陽が眩しかった。SOS団の3人がそこに集まっていた。


776:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.41 nLx9prSL0
けれど、なんとなくだけど、キョンも目を瞑っている気がした。


777:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.39 nLx9prSL0
顔を離し、立ち上がる。キョンがバランスを崩して倒れそうになるのを支える。


778:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.43 nLx9prSL0
みくるちゃんが泣きながら抱きついてきた。みくるちゃんの背を片手で抱く。


779:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.48 nLx9prSL0
次の日のお昼休み


780:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.48 nLx9prSL0
本当は両手で抱きしめてあげたかったけれど・・もう片方の手はキョンと握り合っていた。


781:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.48 nLx9prSL0
あたしとキョンは中庭にいた。横でキョンがあたしの作ってきたおにぎりにむさぼりついている。


782:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.57 nLx9prSL0
うまい、という言葉を言う代わりのように次々とあたしの作ったおにぎりを食べる。


783:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.57 nLx9prSL0
別に教室でもよかったけれど、キョンが嫌がったのとすごく天気がよかったので中庭で食べる事にした。


784:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.60 nLx9prSL0
それを見るだけで十分分かってはいたけれど、あえて聞きたくなった。


785:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.65 nLx9prSL0
「ああ、うまいよ。最高だ」あたしはその言葉で満足してこう返した。


786:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.64 nLx9prSL0
「おいしい?」キョンが食べる手を止め、こちらを向く。


787:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.66 nLx9prSL0
「当たり前でしょ。あたしが作ったんだから!」今、自分が出来ると思う最高の笑みと一緒に。


788:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.70 nLx9prSL0
俺の記憶を司る大脳細胞は全神経を酷使して、足の運動神経に緊急停止命令を


789:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.68 nLx9prSL0
俺の足が言うことを聞かない。


790:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.72 nLx9prSL0
約束の時間まで、まだ一時間ある。そんなに急いでどうするつもりだ?


791:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.74 nLx9prSL0
My右足くん、左足くん。


792:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.73 nLx9prSL0
出しているが、俺の自転車は、いつもの駅に向かって暴走を続けている。


793:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.78 nLx9prSL0
なぜか、いつもよりペダルが軽い気もするがそんなに、焦ることもないだろ?


794:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.80 nLx9prSL0
だが、たまには、我が団長様の鼻をあかしてやるのもいいかもしれないな。


795:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.82 nLx9prSL0
今日こそはおごって貰うぜハルヒ。


796:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.83 nLx9prSL0
しかし、その考えはチョコを砂糖でコートし大福餅に入れたくらい甘かったようで、


797:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.96 nLx9prSL0
「遅い! 罰金! 大体あんたが誘ったんでしょ?


798:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:00.98 nLx9prSL0
我が団長様は、例の場所でいつものように腕組みをし仁王立ちで待っていたのだ。


799:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.00 nLx9prSL0
 それを待たせるなんて、どういう神経してんのよ!まったく」


800:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.01 nLx9prSL0
 それを待たせるなんて、どういう神経してんのよ!まったく」


801:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.01 nLx9prSL0
しかし何だ?その格好は?どこかのいいとこのお嬢様みたいだぞ。


802:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.03 nLx9prSL0
それにその髪型がだな……いや、まあいい。


803:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.08 nLx9prSL0
「ん? なに? もう一度言ってみて?」


804:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.09 nLx9prSL0
2回も言わん。しかしいつの間にそんなに髪が伸びたんだ?


805:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.11 nLx9prSL0
昨日までいつものショートカットにカチューシャだったはずだ。


806:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.13 nLx9prSL0
「付け髪よ。こう言うのもあるの。でも自然な感じにするのに手間がかかんのよね。


807:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.18 nLx9prSL0
そう言うとハルヒは、うなじを見せつけるように体をひねってポーズをとった。


808:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.23 nLx9prSL0
あーもう二度と言わないと言ったが、もうやけだ、あらん限りの装飾語を付けて


809:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.21 nLx9prSL0
 どう、似合う? ね?」


810:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.22 nLx9prSL0
馬のしっぽがふわりと揺れる。


811:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.29 nLx9prSL0
何度でも言ってやるぜこんちくしょう。


812:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.30 nLx9prSL0
俺とハルヒは二人きりで、不思議探索特別パトロール市外編を敢行しようとしている。


813:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.30 nLx9prSL0
ところで、いまのこの状況を詳しく説明しておこう。


814:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.31 nLx9prSL0
告白させられるという、かつて無い恥辱的かつ屈辱的な真似をさせられ、はれて


815:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.30 nLx9prSL0
なぜか共同戦線を張り、生徒会を巻き込んだ大波乱の末、全校生徒の前でハルヒに


816:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.30 nLx9prSL0
こういう状況になった元凶は、数日前、谷口、国木田、それとニヤケ面の古泉が


817:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.39 nLx9prSL0
思い出しただけでも顔から火が出る。どこかの宇宙人対策チームから記憶消去装置を


818:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.38 nLx9prSL0
全校公認のカップルという永劫地獄行きの烙印を押しつけさせられたためなのだ。


819:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.38 nLx9prSL0
全校というか、おそらくは全世界、全宇宙、全時空公認なんだろうが、とにかく


820:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.40 nLx9prSL0
借りたいくらいだ。忌々しい、ああ忌々しい忌々しい。


821:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.40 nLx9prSL0
この話はまた別の機会にするとして、その日の夜に古泉が突然俺の家に訪ねてきた。


822:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.47 nLx9prSL0
「まさかあなたが本当に告白するとは思いませんでしたよ。


823:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.51 nLx9prSL0
 しかし、恋人同士なら、出来るだけ二人きりの時間を持ちたいと考えるのは当然の


824:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.53 nLx9prSL0
 事です。涼宮さんがあなたと二人きりで休日を過ごし甘い時間を得たいと考え、


825:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.54 nLx9prSL0
とニヤニヤしながら忠告してきた。


826:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.55 nLx9prSL0
 それを もしあなたが無視するような事があれば、僕のアルバイトの時間が増えて


827:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.57 nLx9prSL0
 今月の 給料がアップしそうなんですよ。


828:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.58 nLx9prSL0
 できれば、そうならないように、あなたにも協力して欲しいのですが」


829:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.60 nLx9prSL0
俺としてはお前が過労死して機関が労働基準局に訴えられる事になってくれた方が


830:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.61 nLx9prSL0
しかしなんだかんだと言っても、特製閉鎖空間にまた二人きりで閉じこめられるより、


831:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.63 nLx9prSL0
ごく普通にこの世界で二人きりでいられる方がまだましだと考えた俺は、


832:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.64 nLx9prSL0
ありがたいがな。


833:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.71 nLx9prSL0
ハルヒへの告白込みで、これもすべて世界の平和のためなのだ。仕方がない事だ。


834:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.73 nLx9prSL0
断じて、デートなんかではないことをあらかじめ強調しておく。


835:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.74 nLx9prSL0
ハルヒに不思議探索特別パトロール市外編を提案したというわけだ。


836:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.78 nLx9prSL0
それから俺とハルヒは、某映画テーマパークに電車で向かう事にした。


837:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.79 nLx9prSL0
予定より1時間ほど早いが、開園前に並んでいた方が、人気のアトラクションに


838:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.83 nLx9prSL0
すぐに入れると考えたからだ。


839:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.84 nLx9prSL0
しかし、ごく普通のテーマパーク行きをハルヒがあっさり了承するとは思わなかった。


840:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.85 nLx9prSL0
いったい、どういう心境の変化だ?


841:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.88 nLx9prSL0
「キョンがそこに行きたいって言うなら、あたしはどこでもいいわよ。」


842:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.90 nLx9prSL0
なんて言う幻聴も聞こえたが、気のせいだ。たぶん。


843:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.90 nLx9prSL0
電車内はいつもなら通勤客でごったがえしている時間だが、そんなに込んではいない。


844:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.95 nLx9prSL0
俺たち二人は車両の真ん中の出口付近に位置していたのだが、次の駅で突然車内は満員に


845:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.95 nLx9prSL0
なり、俺とハルヒは窓際に押しつけられたのだ。


846:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:01.98 nLx9prSL0
甚だ不本意だが、我が団長様がまったく知らない男に、準痴漢行為のごとく体を密着


847:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.03 nLx9prSL0
させる事など許されるはずがない。団員の雑用係として俺がそれを身を挺して守って


848:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.05 nLx9prSL0
あくまでも事故である。俺が望んでこうしているのではない事をさらに強調しておく。


849:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.07 nLx9prSL0
「ちょっ、ちょっとキョン……何でそんなにくっつくのよ!離れなさい!」


850:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.08 nLx9prSL0
やろうとしているために、ハルヒを抱きしめているような格好になっているのだが、


851:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.09 nLx9prSL0
仕方がないだろ。これは事故だ。文句を言うなら他の乗客に言ってくれ。


852:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.11 nLx9prSL0
俺はまったくもって悪くない。全面的に悪くない。


853:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.17 nLx9prSL0
ハルヒは小さく呟いて、俺の胸に自分の頭を押しつけてきた。


854:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.17 nLx9prSL0
「もう、バカ……」


855:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.23 nLx9prSL0
ハルヒが真っ赤になってジタバタしているがこれは幻覚だ。眼科も追加しよう。


856:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.21 nLx9prSL0
ほのかなシャンプーの香りで何か血迷った一言を言った気もするが幻聴だ。


857:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.24 nLx9prSL0
それからしばらくして、某大都市の銀河鉄道終着駅を思わせる巨大な駅のホームに


858:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.32 nLx9prSL0
引っ張って、テーマパーク直通の電車がある別の駅に向かい、ちょうどやってきた


859:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.32 nLx9prSL0
ハルヒと離ればなれになってはいけないので、渋々嫌々ながらにあいつの手を


860:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.42 nLx9prSL0
おいそこ!このバカップルがというような目で睨んでいるお前。


861:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.41 nLx9prSL0
ばかりのその電車に乗り込んだ。


862:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.32 nLx9prSL0
降り立った俺たちは、休日の朝早い時間のくせに辟易する程の人通りの多さに、


863:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.42 nLx9prSL0
電車の中でも迷子になったら困るので手を離してはいない。突如として次元断層


864:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.45 nLx9prSL0
俺たちはそう言う関係ではないのでくれぐれも誤解のないように!


865:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.45 nLx9prSL0
とかそういう超宇宙的現象が起こり二人が引き裂かれるかもしれないからな。


866:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.51 nLx9prSL0
電車はその後約10分ほどで、不可思議な現象にも巻き込まれることなく


867:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.58 nLx9prSL0
無事に目的地に到着した。


868:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.61 nLx9prSL0
さすがに連休の初日と言うこともあって、開園までまだ1時間近くあるというのに


869:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.62 nLx9prSL0
入場ゲート前は、人、人、人でごった返している。


870:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.65 nLx9prSL0
「ね、ね、キョン!あのでっかい地球儀の前で写真撮らない?!」


871:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.66 nLx9prSL0
そうだな、心霊写真が写るかもしれないからな、たまたま持ってきているデジカメで


872:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/06/07 21:45:02.67 nLx9prSL0
ハルヒが煌々とした瞳で俺に訴えかけてくる。



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