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「母―オモニ―」 姜尚中(カンサンジュン)さん
小説でつづる「和解劇」
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苦悩の半生を告白したベストセラー『在日』から6年。政治学者の著者が、再び〈家族〉という
テーマと向き合った。今回は初の小説。ヒロインは、5年前に80歳で逝った母(オモニ)―。
「在日1世の苦難を書き残し、一人の女性としてよみがえらせたかった」
戦後、糞尿(ふんにょう)と豚の臭(にお)いが漂う熊本の集落。差別に耐え、
廃品回収業を営みながらしたたかに生き抜く一家の姿を、虚構と事実を織り交ぜて描き出した。
16歳の春、結婚のためチマチョゴリ姿で単身海を渡り、日本語の読み書きが出来なかった母は、
「どがん上品なことば言いよっても、人は口から食べて尻から出すとたい」が口癖。
「そっけないほどの、しかし根源的な人間観と研ぎ澄まされた直感力を持った女性(ひと)」。
それが母だった。
この世に産み落とされたことは「僕の運命であり、桎梏(しっこく)の始まりでもあった」と感じる。
「学問の世界で階段を上がることが成功につながる」と、家族の濃密なつながりから逃れ、
母の存在を疎んじたことも。「若いころは観念的に生きる意味を追うばかりで、自分が捨てようとした
世界の大切さがわからなかった」。苦い贖罪(しょくざい)の思いが、今も胸を刺す。
この物語は「ある種の和解劇」なのだと、書き終えるころ気づいた。母と息子との。
あるいは、海峡を挟んだ日本と朝鮮半島との。そして、穏やかな死に顔で旅立った母自身も
「人生の終わりに過酷な運命と和解を果たした」ように見えた。
「自分と和解して初めて、人は、生きてきて良かったと思える」。
今夏に還暦を迎える著者もまた、この思いに突き動かされたのかもしれない。
(集英社、1200円)(山田恵美)
(2010年6月8日 読売新聞)
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※依頼ありました(依頼スレ128、>>294)
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