08/03/22 21:28:44.20 61ZOxUmH
以上、EpX 第一部完了です。
第二部の投下がいつになるかは未定です…すみません。
スレの空気にそぐわない新参者の駄文かとは思いましたが、
文句ひとつ言うことなく付き合ってくれた皆様方に感謝いたします。
それでは、またいつか…。
123:名無しオンライン
08/03/23 04:50:54.53 W8WVjvzf
GJ、普通に読み耽ってしまったぜ
二部からはイルミナスから主人を奪還する為にパシリが活躍するんだろうな、実に楽しみだ
しかしこう良い作品を読んでると俺もまた書きたくなってくるもんだ
124:名無しオンライン
08/03/24 21:29:26.81 tfn/8m7E
>>122
GJ!!
第2部wktkしながら気長に待ってるぜ!!
125:名無しオンライン
08/03/25 01:21:07.99 PrryqB6A
ハウザーの台詞をすべて若本声で脳内再生してみた。
脳汁デタ(゚∀゚)
126:継承 II 君、死にたもうことなかれ(前編)1
08/03/27 20:48:09.69 4g3XyFme
”遠い遠い昔のお話です。大地の国にとても仲の良い兄妹神がおりました。
大いなる光の眷属である二人はとても美しく聡明で、兄の男神は「ひとりでに巨人を倒す剣」を持つ武術の達人、妹の女神は優れた魔術師で、他の神々からも一目置かれていました。
あるとき、天の国に住む神が兄妹の住む大地に槍を投げ、戦を挑んできました。
大地の神々は武器と魔術をもって立ち向かいましたが、天の神々は戦いが不利になってきたのを見ると、互いに自分の国で一番重要な神々を3人ずつ交換して戦いをやめようと言ってきました。
戦いを嫌う大地の神々は、兄妹と、その父を木の葉の船で天の国へと送りました。
兄妹は天の神々と仲良くなり、長い年月を過ごしました。兄妹は天の神々が持たない考えを教え、二つの国がともによくなることを願いました。
それでも天の神々は他の国へと戦を挑み続け、また自分たちの間でも争いあっていました。
そんなとき、一人の黒い巨人が現れました。
戦争ばかりしている天の神々の憎しみが凝り固まって生まれた巨人は、炎の剣で野蛮な天の神々を殺してまわり、天の国を滅ぼそうとしました。
天の国に住む神は次々と倒され、兄妹だけが生き残っていました。
兄神は、大切な妹に「ひとりでに巨人を倒す剣」を渡し、故郷に帰るように言いました。
妹は兄と一緒に帰りたいと言いましたが、兄はたとえ今まで悪いことをしていた国であっても、長年共に暮らした神々を見捨てたくないと、牡鹿の角を持って巨人に戦いを挑んでいきました。
妹の女神は「ひとりでに巨人を倒す剣」で巨人の炎をうち払い、木の葉の船にたどり着きましたが、互いに心を通わせることのできる大地の神である妹は、
飛び立つ船の中で、兄が倒され、巨人が天の世界に火を放つのを感じ、嘆き悲しみながら大地の国へ帰って行きました…”
――――――――――――――――――
127:継承 II 君、死にたもうことなかれ(前編)2
08/03/27 20:48:56.12 4g3XyFme
ラシークを食べ…もとい屠り、わたくしが転送されてきたのは元の建物でした。受付のお姉さんが出迎えてくれます。
「おつかれさまでした。やや反則気味な方法ではありますが、一応身体能力に含まれますし、よしとしましょう。とりあえず銘菓ラ・ゴウをどうぞ」
あっ、いただきます。しかし勝てたのは幸運でした…ぎりぎりだったとしか言いようがありません。はぁ…
「不服ならステージ1をやり直すこともできますが?」
い、いえいえ!二度と戦いたくないですよ、ラシークとは!次戦って勝てる気がしません!
先ほどはセガタさんにいやというほどされた肉体言語でなんとかなりましたが、そういえばこれからも武器なしでやらなければいけないんですか?
「心配しなくても武器はステージごとに用意されていますよ」
そ、そうこなくては!ちょっとだけ心配してしまいましたよ、あはあはあは。
「はい、では次の武器はこちらです」
カウンターにおかれた武器は、わたくしのデータにも記録がありました。「ルビーバレット」という古ぼけた拳銃です。フォトン武器ではありますが、まさかこれも使い物にならないというんじゃないでしょうね…
「安心してください。弾は出ます…一応」
一応ってなんですかー!?
「気にしなーい。いいから転送です、ほらいけー!」
あ、ちょっとずるいですよ!説明を…
STAGE 2 -惑星モタビア 気象コントロールセンター・アメダス-
強引な転送でしたが無事に到着し、目に入ってきたのは海と空と緑あふれる大地でした。
しかし、モタビア?モトゥブの誤植ですか?「スーパーウリアッ上」くらい激しい誤植ですね。責任者の方出てきてください。
「野暮なことはいいっこなしだぜお嬢ちゃん」
うわあ!ほ、本当に責任者の方が!?
大げさに土下座モーションへの移行を兼ねた跳び退りをしながら見れば、金髪の陽気そうな男性がこちらに手を振っていました。
「おおっと、俺は責任者じゃない、ハリアーってんだ。そしてこいつがこのステージで嬢ちゃんの相棒になるオパオパだ。よろしくな!」
…話が見えませんが、この足のついたブースターユニットのようなものは生き物なんですか…
「はっはっは、おいおいおい!こいつは立派に親もいる生き物だぜ?父親を助けるために戦い抜いた勇者なのさ」
ゆ、勇者?このなりで…?意外に孝行息子なんですね。って、雄か雌かもわからないですけど…
オパオパさんはその短い足でちょこちょことこちらに歩いてきました。かわいい…んでしょうか?
「まあともかく、説明するぞ。このステージはすぐに戦闘があるわけじゃない。あの海の向こうにある建物が目標になる」
海の向こう…って、泳いでいけっていうんですか?わたくし、カナヅチなんですが。
「飛んでいってほしいとこなんだが。だめならオパオパにつかまって飛んでいくんだ。オーケー?」
つかまってみますと、ぎゅぉぉぉんとものすごい音をたててオパオパさんは浮上しました。出力を予測しても、獣を越え人を越えるような勢いが出るのは確実です。なにげに危なくないですか、これ…
「回避なんかの操作は適当にやってるうちに覚えるだろう!グッドラック!」
適当って!?説明書くらい読ませてくださいー!!
爆音を立てながら、わたくしは最後の言葉だけをそこに残して飛んでいきました。
128:継承 II 君、死にたもうことなかれ(前編)3
08/03/27 20:49:52.04 4g3XyFme
とどまって見ている人がいれば、ドップラー効果という概念を教えることができたと思います。
そのくらいオパオパさんのロケットエンジンはものすごい推進力でした。って怖い!これはさすがに怖いですよ!
顔の形をした謎の石や花びらのように開く機械などが飛んでくるのはオパオパさんが隠し持っていたレーザーで問題なく倒せていましたが、どこか懐かしい遠吠えが聞こえてきて、わたくしは前方に目をこらしました。
巨大な胴体についた二つの長い首。鈍く輝く4つの眼。
ディ・ラグナスがこんなところに!?あんなに速く後ろ向きに飛べるなんて意外ですが…
以前戦った、炎と氷を吐いてくるものとは若干違うようで、両の口から炎を吐いてオパオパさんとわたくしを狙ってきます。
ディ・ラグナスなら戦ったことがありますし、対処法もわかっています。負けることなどありえません…と、思っていたのは最初だけ。
景色というものがはっきり見える前に後ろに流れていくようなこの状況では、一発でも攻撃を受けてしまうと落下は必至。
回避操作もまだ十分練習できていませんし、一発でも受けてはいけないというプレッシャーがあるためものすごくやりにくいのです。
い、意外と難しいですね。射撃より回避を優先し…
あ~~~~
げっれでぃ(やり直し)
他人に見せられないくらい何度も炎に当たって落ちてはやり直しを繰り返して、最後には上空から16tと書かれた謎の鉄塊を落としてようやくディ・ラグナスを撃破することができました。
決まり手はそれなのでわたくし自身はよけていただけですが。それまでの様子はあまりに恥ずかしいので省略させていただきます。
ともかく、ようやく到着ですねオパオパさ…
前方に木ぃ!?
あ~~~~
129:継承 II 君、死にたもうことなかれ(前編)4
08/03/27 20:50:29.29 4g3XyFme
な、なんとかたどり着きましたが何回海に落ちたことやら…
もう全身ぼろぼろです。オパオパさんもところどころひびが入ってますし。ひたすらレスタをかけていると、建物の中から声と何かがぶつかるような音が聞こえてきました。
そういえばまだボスが控えているのでしたね。わたくしはディ・ラグナス以上の敵が出ることを予想して通路から顔だけ出して中をのぞいてみました。
そこにいたのは異形の化物…などではなく、肩から胸まであらわになっている紫のレオタードを着たニューマンの女性でした。
まったく同じような格好の人が二人いて、どうやら互いに争いあっているようです。
-ミッション開始 ネイ・ファーストを倒せ!-
あっ、なんか指令が。ネイ・ファースト?というと…
「死ね、ネイ!私を勝手に名乗る売女め!」
「ネイ・ファースト!あなたは!」
…という言葉が聞こえてきましたので、どうやらあちらの目つきの悪いほうがネイ・ファーストで、それにそっくりな人のほうがネイなのでしょう。
しばらくみていますとネイ・ファーストのほうが押しているようで、吹っ飛ばされたネイさんが壁から半身を乗り出して覗いているわたくしに激突しました。
「あ、あなたは?」
ネ、ネイさんですね?事情はなんだかよくわかりませんが加勢します!ミッションですし!
わたくしはもがいてネイさんのお尻と床の間から頭を引き抜くと、ネイさんと、追いかけてきて爪を振り上げたもう一人の間に割って入りました。
「誰よおまえ…誰だかわからないけど、ここはガキが来るところでもないし、私らのことも首つっこんでいい問題じゃない!」
明らかに殺す気まんまんでいるのを見過ごすわけにはいきませんよ。弱きを助くが騎士道というものです(あと、ミッションなので)。
「そうかい!」
言い終わるが早いか、ネイ・ファーストはわたくしに爪を繰り出しました。しかしそれは足の運び方をみっちり教えられたわたくしには難なく回避できるものでした。ラシークが強すぎただけに拍子抜けしてしまうくらいです。
爪をすべて見切ったあと、お返しに肩に向けてルビーバレットを2発お見舞いしました。
ここにたどり着くまでに消耗してしまい不安でしたが、もしかして楽勝ですか?
と、思った矢先のことでした。
「い、痛い…痛いっ!」
え!?
突如、ネイさんが苦しみだしました。
慌てて駆け寄ると、その肩口、わたくしがネイ・ファーストを射撃した場所とまったく同じ箇所に、全く同じ大きさの傷ができています。
周囲に狙撃手がいないか警戒しつつレスタで傷をふさぎましたが、ふたたびわたくしが構えると、その間にネイ・ファーストのほうの傷もすでにふさがれた状態になっていました。
今度こそは攻めきろうとわたくしは再度ネイ・ファーストの手足を狙って弾を打ち込んだのですが。
「あああっ!」
またネイさんには先ほどと同様、同じ箇所に傷ができていました。
つまり、信じがたいことですが…
「ふふふ、はははははは!ようやく気づいたようね、お馬鹿さん。この私、ネイ・ファーストとそのネイは一心同体!私を傷つければそいつも同じように傷つくのさ!」
ええええええええ!?こ、こんなのありですか!?
-続く-
130:名無しオンライン
08/03/27 20:58:34.73 4g3XyFme
ようやく次を書くことができました。というのも最初のプロットから大幅に変更した部分があるためで。まだまだ続きます。
って、なんかプレステ2でベタ移植になるらしいですね、旧千年紀シリーズ。
いらないんじゃないかと思いますが一応解説も。
「ネイ」
旧千年紀シリーズを実際にプレイしてなくても知っている人も多い、レオタードニューマン娘。すでに少女の体つきになってはいるが、実は3歳。
ファンタシースター2の主人公・ユーシスに拾われ育てられており、ユーシスを兄と慕う妹キャラである。
シナリオ途中でネイ・ファーストと一人で戦い死亡。クローン・ラボでも復活させられず、涙した人も多いであろう。
ネイという言葉は否定を意味し、「~でない」という意味のアルゴル語。
この場合は「人ならざる人」として名付けられている。同様に、ネイの名を宿す武器は「武器ならざる武器、この世のものではない武器」を示す。
勘違いしている人も多いが、ネイクローはネイが使った爪ではないのである(ネイクローを実際に使ったのはファンタシースター3のミューであり、また他にもネイソード、ネイショット、ネイスライサーなどが存在している)。
「ハリアー」
セガの名作3Dシューティング「スペースハリアー」の主人公。謎のランチャー(ブースターつき)を抱えて空を飛び、謎の機械やらモアイやら竜やらを撃ちまくる。
ちなみにこれの続編タイトルのうち「プラネットハリアーズ」では、オパオパを使うこともできるので関連性がまるでないわけではない。
「オパオパ」
これまたセガの名作「ファンタジーゾーン」の自機。謎の生き物(意外かもしれないが生き物である。ファンタジーゾーンのラスボスは、寄生生物にあやつられたオパオパの父親なのだ)。
翼をもった乗り物っぽい外見をしているが、実際ショップで強化アイテムを購入するとブースターに切り替わってスピードアップしたり、レーザーを撃てるようになったりする。本当に生物か?w
ちなみに、SUVウェポン・アセンションギフトでも出てくる16tボム、32tボムというのはこのファンタジーゾーンが元ネタ。
131:名無しオンライン
08/03/28 12:11:18.20 mcIZSPcr
ミッションも困難そうだけど、道中のほうが大変そう…
がんばれ、戦乙女。
しかし、オパオパが生き物だったとは…知らんかった…
132:名無しオンライン
08/03/31 09:29:00.40 y0xojnCS
保守。こもままだと山田太郎とピザ配達とかもしそうな予感。
がんばれ、戦乙女。
133:名無しオンライン
08/04/02 00:46:08.49 3Ri8xRJf
保守。
>>130
チャレンジモードktkr
道中必死にオパオパにつかまっている戦乙女を想像して何か萌えた・・・
続き楽しみにしてます
134:名無しオンライン
08/04/02 23:03:24.87 Kpnoqp53
ヒュマ男「ただいまー」
「…………」
ヒュマ男「…あれ?寝てるのか…?」
いつも出迎えてくれるはずのパシリの声がなかった。姿も見えない。
男は店と居住スペースを隔てる扉をくぐる。
そして星霊祭の飾りの樹林を抜ける。
ヒュマ男「なんだ、いるじゃないか」
GH441「……」
ヒュマ男「いつも言ってるけど、ビジフォンばっかり見てると目が悪くなるぞ?」
ビジフォンを注視して動かないGH441。
慣れっこなのか、諭しながらも笑って近づく男。
と、男とGH441の距離がその身長と同じになったぐらいのところで、
GH441がゆっくりと顔を向ける。
ヒュマ男「ん?どうした?」
GH441の顔が固い。
強張っていると言うよりは、虚ろという感じだ。
GH441「……」
ヒュマ男「……」
GH441「……」
ヒュマ男「……?」
GH441「……(´;_;`)ぶわっ」
ヒュマ男「うわっ」
GH441「……」
ヒュマ男「あ…」
男が改めて声をかけるより先に、GH441は椅子を飛び降り、布団に潜ってしまった。
掛け布団の真ん中が持ち上がり、中で丸くなって泣いているのが分かる。
ヒュマ男「うーん…?」
その後、GH441が喋れるようになるまでに三日、
元通りになるまでに一週間かかった。
ビジフォン『URLリンク(www.nicovideo.jp)』
-----
イメージをパシリに被せて聴いたら物凄い事になったのでついやってしまった。
少し反省している。ミク曲敬遠気味だったことも、少し反省している。
じゃ、ちょっとイルミナス壊滅させに行ってくるわノシ(真顔
135:名無しオンライン
08/04/03 15:17:56.06 94cnJzr6
なんでクリスマスソングと思ったら、最後まで聞かないと分からない仕様か。なるほど。
人ならざるもの…哀しいな
136:名無しオンライン
08/04/03 23:35:30.42 DV4Sv2It
>>134
涙腺崩壊しかけたぜ・・・
ちょっとパシリとゾアル絞めてくるノシ
137:名無しオンライン
08/04/08 22:19:08.72 ZLPNL/6x
./ ヽ、
/ ,..:::::,ヘ、::::::::::::., ソ、
〈 ヽ::::::/ /l /、`ノ ,ヘ `、
ヽ、// / l lヽ、::;〉 〉
/゙ /l / l l `、/
./l l. ヽl .l l i
l__.ヽ iヘヘ、 /l/l /ヽ
l l_l l-=、`ヽ/,イ⌒) / i~) 保守しまーす☆
`ヽ ヽ l ``-''ノ /-'/ 皆さんの作品お待ちしてます
`ゝ l`ヽ、 ー ,,ノl /.ノ
. /::::::::ヽ.li^iゝ,ニ,'l--l /:::::::ヽ
〈:::::::::::::::ゝ'.''〈 / ,l、ノl/:::::::::::::ヽ.
. ヽ::::::::/:,-、`ヽ ゝ、/:::::::::::::::::ノ
ヽ:::/,-、'::/ `'ノ:::::::::::::/
138:名無しオンライン
08/04/09 18:09:43.65 5Vqarovf
物凄い久々な俺がここで投下
139:1/5
08/04/09 18:10:34.36 5Vqarovf
皆様、お久しぶりです。そうでないお方は始めまして!
私はGH-412、大分前ですがデバイスにより進化しました!
今も変わらず、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。
今日は、私がGH-412になった時のことをお話したいと思います。
140:2/5
08/04/09 18:11:34.58 5Vqarovf
-随分と前の事-
主人「進化デバイスか…あまりパッとせんな」
ご主人様はベッドに座りながら、パシ通をパラパラと捲ってました。
今日はパートナーマシナリーの進化デバイスの発売日、当然特集があります。
極秘にし続けるには無理だということで、パシ通も一般開放されたのです。
410 「コロニーのアイテムショップは大繁盛みたいですよ」
主人「好きな人は好きなんだろうが…俺にはどうも合わない物ばかりだ」
410 「性格も変わるらしいですからね~、慎重にやらないと失敗し」
主人「いや、それよりも色が趣味ではない」
ご主人様が言うように、今回の進化デバイスは髪の毛やお洋服の色も変わります。
中にはとても落ち着いた色合いもあれば、蛍光色だらけの好みが分かれるのもあります。
私達GH-410は、金髪になるか眼鏡をかけるかで分かれたとか?
主人「それにアイスバー(キャリバーの事)はどうもな」
410 「ア、アイスバー…けど氷属性は重要じゃないですか?」
主人「とりあえずは様子見だな、だからお前は当分今のままだ」
410 「そうですか~…せっかくお洒落できると思ったのに」
主人「よし、コロニーにフォトン集めに行くぞ。支度しろ」
410 「あ、はぁ~い」
私は少し残念に思いながら、お片付けをして出発の準備を整えました。
見た目が変われなくても、ご主人様との時間が変わらなければいいや。
そう思っていたら、その3日後に転機が訪れるとは思ってもいませんでした。
141:3/5
08/04/09 18:12:39.62 5Vqarovf
-3日後-
主人「やはり412にする」
410 「ええっ、どうしたんですか突然? あんなに趣味に合わないって」
ご主人様の手にはもう既にデバイスが握られていました。
一度思い立ったら即行動するのが私のご主人様ですが、唐突過ぎるので
私は理由も分からず振り回される事もあったりします。
主人「ライジングストライクが妙に強いらしい。それにソードもハンゾウだしな」
410 「むむ~、確かに打ち上げは魅力的です。けど眼鏡かけなきゃですよ」
主人「俺としては金髪よりはいい」
410 「は、はぁ…」
主人「それに412になると、結構なLvのレスタが使えるようになるらしい。
倒れる事も少なくなると思えば、安いもんだろ」
410 「わぁ、凄いですね! それならご主人様の足を引っ張る事も少なくなりますー」
皆さんも既にご存知だと思いますが、GH-412は全てのデバイスが解放された今でも
かなり攻撃的なマシナリーで、GH-414にも劣らないと一部では言われています。
レスタも全体的に見れば微力ですが、410の時よりもかなり高めに使えて便利です。
GH-414は強いけど敵をどんどん吹き飛ばしちゃうので、気になる人には向かないとか?
余談ですが、GH-414デバイス発売時にその事をご主人様にお伝えしたら、こう言われました。
主人「お前ヘーゲル当てる自信あるか? ルウみたいなノーコンではなかろうな」
…否定できませんでした。
410 「えーと、それじゃあ眼鏡をかける準備をしなきゃですね」
主人「準備? これ食うだけだろ?」
410 「それだけじゃダメなんです! 準備に数日かかっちゃいますけど…」
主人「…別に急がないからいいが。
(変だな、そんな話は聞いた事がないぞ)」
こうして、思い出すのも恥ずかしいGH-412の進化の準備が始まったのです。
142:4/5
08/04/09 18:14:01.98 5Vqarovf
(スマソ、3/5でsage忘れた)
主人「おーい、まだ終わらないのか? そろそろ寝るぞ」
410 「私はまだ仕事がありますから、お先にお休みになられて下さい」
主人「仕事熱心なのは関心だが、無理してるといくらマシナリーでも倒れるぞ」
410 「大丈夫ですっ、これも412に進化する為には大切な過程なんです!」
主人「…そうなのか?」
それから数日、私はデスクワークにのめり込みました。
普段はやらなくていい事も、とにかくやり込んで徹夜も当然の生活でした。
疲れるけど412になって、ご主人様のお役に立てるなら何ともないと言い聞かせてました。
主人「(明らかに変だぞ…マシナリーの進化ってこんなものなのか?)」
そして更に数日が経ったある日の事…。
410 「ご、ごじゅじんざまぁ…ひっく」
主人「おい、どうした? 顔真っ赤じゃないか!
ジョギリの合成でも失敗したか? あれはついでの雷だから泣かなくても」
410 「ちがうんです…わたし、このままじゃ412になれませぇん…」
主人「…それはどういう事だ? あんなに頑張っていたのに」
410 「どうしても…どうしても…」
143:5/5
08/04/09 18:15:11.56 5Vqarovf
410 「目が悪くなれないんです~!」
主人「アホかあああああああああああ!!!!」
*すぱーん!*
410 「いたぁぁぁぁい!」
主人「機械がンな事して眼ぇ悪くなるか! そもそも視力関係なかろうがぁ!」
410 「ひ、ひどいですごしゅじんさま~! めがねはめがわるくなくちゃ…」
主人「たわけ! 世の中には伊達眼鏡という物があるのを知らんのかッ!」
………。
410 「そ、そうでしたっけ?」
主人「このド阿呆が! 変だと思って心配したのが間違いだった…さっさと食え!」
410 「ッ………は、はぁ~い…ひっく」
…そう、私は眼を悪くしようと必死だったんです。
薄暗い夜に必死でデスクワークにのめり込んでいたのは、それが理由でした。
皆さんがそうして目が悪くなるなら、私達もそうすれば眼鏡をかけなきゃいけないくらい眼が悪くなる。
その時は本気でそう思っていたんです、私達がマシナリーであるという事も忘れて。
目が悪くなくちゃ眼鏡をかけてはいけないというのは、単なる私の思い込みです。
そんな恥ずかしい勘違いをしながら、私は412になりました。
今も凄い勘違いや酷い失敗をする事もありますが、元気にやっています。
144:名無しオンライン
08/04/09 20:50:00.83 D9ruhJrl
この天然パシリがかつて本編でどういう活躍をしていたのかが気になるw
145:名無しオンライン
08/04/09 21:42:07.31 yLiJhVQR
410系作者は数人思い当たるが、俺の記憶力では特定できん…しかし和んだ、GJ!
(今頃412進化と言うことは復帰とかスレに久しぶり来たとかなのだろうか…)
146:名無しオンライン
08/04/09 23:52:06.65 D9ruhJrl
単に当時の話をしているだけでは?
昔こんなことがあったっていう、外伝的なエピソードだと思ったんだけど。
それにしても、410系の話はやはり多いのか。
同じタイプのパシリでも、きっと色んな性格のやつがいたんだろうな…
147:EPX 5章「発起1/6」
08/04/10 22:28:58.58 NIliRKo1
「お前には、二つ聞きたいことがある」
ガーディアンズの新総裁ライア・マルチネスは、執務室に通された私に対して、まず問いかけた。
あの日…マスターをイルミナスに奪われ、
ハウザーと名乗る男によって自らも機能停止に追いやられた、運命の日。
私が目覚めたのは、それから数ヶ月経った後のことだった。
目を覚ました先は、ガーディアンズ本部の特別治療室。
ほとんど奇跡といっていい再起動を果たした私は、
ガーディアンズにも世界にも、劇的な変化がもたらされていたことを教えられた。
今まで秘密結社として名を潜めていた、イルミナスがその野望を明らかにし、
グラール星系全土に及ぶ多大なテロを実行したこと。
その一連の事件においてガーディアンズコロニーが、
居住地区を残してパルムのローゼノム・シティ近辺に落下し、甚大な被害を与えたこと。
さらに、前総裁オーベル・ダルガンの殉職。
これらの度重なる悲劇により、一時はガーディアンズが崩壊するに至ったこと。
そして、目の前にいるこのビーストの女性が、新たな総裁としてガーディアンズをまとめあげたこと。
一介のPMが総裁直々の問答を受けるとは異例のことではあるが、
単に新たなガーディアンズの体裁が整っていないことだけが理由ではなかった。
「まず、一点目だ。アタシが行方をくらましていた間に『アイツ』が立ち寄ったプラント。
そこで、何があった?
そこには大量のガーディアンズ、PMの遺体と共に、あるSEEDの肉片が残されていたという。
それが、アタシも何度か出くわした、新種のSEEDに酷似したものだって言うじゃないか。
ガーディアン、PM全て含めて唯一の生き残り…というより、蘇生を果たしたお前に、それを聞きたい」
元々PMは基本的に、ガーディアンに逆らうようプログラムされてはいない。
だが私は、事の全てを話すのはためらわれた。
全てを話すことはつまり、私のマスターがガーディアンズを裏切り、イルミナスに行ったことも話すことになる。
目の前にいる総裁がその事を知ったら、決してマスターに穏便な措置は取らないだろう。
148:EPX 5章「発起2/6」
08/04/10 22:30:52.06 NIliRKo1
「…どういうことだ?只のPMがガーディアンの…それも、総裁の質問に即答しないなんて」
傍らにいた若い男性が不審をあらわにする。
「まさか、イルミナスに…」
「黙っときな、クランプ」
クランプと呼ばれたヒューマンの男性は、総裁にひと睨みされただけで黙りこんだ。
「お前が話せない理由は…これだね?」
そう言って総裁は、執務用の机に数枚の写真を広げ、その中の一枚を取り出した。
それをひと目見て、私は息をつまらせた。
「現在何名か指名手配されている、イルミナス工作員の一人…お前の元マスターに違いないな?」
指名手配?
不吉な言葉だった。
今はもう傍で見ることのかなわない、マスターの写真に感慨にふける間もなく、
総裁はさらに衝撃的な事実を口にした。
「確定情報ではないが…総裁室直属管理局のホループ・デンスが調査した結果だ。確度は高い。
この写真の連中の何人か、或いは全員が…」
総裁はぎりっと唇を噛み締めて間をためた後、吐き出すように言った。
「…モトゥブで起きた、大規模なSEEDフォーム化事件。その、実行犯…という話だ」
私は思わず天を仰いだ。
モトゥブの住人の多くがSEEDフォーム化された、大規模なテロ。
総裁自身も心に大きな傷を負わされたという、近年最大の悲劇の一つ。
その実行犯として、マスターの名があげられている。
胸の内側からどす黒いものが湧き上がる。
あの優しいマスターがそのようなことをするはずがないと信じているとしても。
こうしてマスターをこのような非道な犯罪の容疑者にあげさせたというだけで、
イルミナスの名は私の心に、深い憎しみとなって刻まれていく。
思い出すのは、ハウザーと名乗ったイルミナスの幹部。
言葉巧みにマスターをたぶらかした、あの男の皮肉めいた笑い顔を思い浮かべた時。
私の心は、マスターと共にいる間はついぞ芽生えることのなかった、ある感情に満たされた。
あの男を…イルミナスのことごとくを、この手で引き裂いてやりたい、と。
149:EPX 5章「発起3/6」
08/04/10 22:31:57.88 NIliRKo1
「…ということだ。おい、聞いてるのか?おい」
総裁の、おそらく何度目かになる呼びかけで、私はやっと我に返った。
「どうやら、まるで耳に入っていなかったようだな」
「も、申し訳ありません」
「…まあいい。話を聞かないPMというのも珍しいが…もう一度言うぞ」
苛立ちよりも苦笑いを強く含んだ顔で、総裁は続けた。
「この女が元ガーディアンズにして、史上稀に見る凶悪犯罪の容疑者であるという事実は重要だ。
アタシらは何としても、この女を確保しなければならない。
そこで、お前にはこの女の情報を可能な限り話して欲しい。
先の質問…例のプラントで何があったかも含め、お前のマスターの経歴、人柄、友人関係…
そして、何故この女がイルミナスに下ることになったのか」
そこで総裁は一息ついて、後に重々しく切り出した。
「…アタシは、知る必要がある。
あのモトゥブの悲劇…それを引き起こした張本人のことを。
どんな奴のために、あの子が…みんながあんな目に合わされたのかを、ね」
話さない訳にはいかなかった。
総裁がマスターを捕らえてどうするかは聞くまでもなかったが、
総裁の言葉には、私のどんな抵抗をも許さない重みと迫力があった。
私にできることは、只一つ。全てを話すこと。
マスターが、どんなに私によくしてくれたか。
どんなに、ガーディアンズとしての誇りに満ち溢れていたか。
そんなマスターが、何によって追い詰められ、誰によって道を誤るに至ったのか。
全てをありのまま話し、後は総裁の裁量に委ねるしかなかった。
150:EPX 5章「発起4/6」
08/04/10 22:33:37.29 NIliRKo1
全てを聞いた総裁は、意外に冷静だった。
深く眉間に皺を刻んだまま大きく深呼吸をし、それからゆっくりと口を開いた。
「…早まったことを。よりによって、あのハウザーにたぶらかされちまうとはね。
…あいつは、イルミナスの幹部とは名ばかりの、とんでもない悪党でね。
奴が目指すのは、全ての滅び…イルミナスの目指すヒューマンの復権だの、
まして真の平等など、嘘っぱちもいいとこだ」
「…マスターは、ハウザーという男を信じた様子はありませんでした。
ただ、彼の心の内はともかく、その言葉そのものには一面の真理を感じたものと思われます。
ハウザーにどのような目的があろうと、マスターはマスターの理想を貫こうと…」
「なら、それをガーディアンズで貫いてくれりゃよかったんだ」
荒々しく机を叩く総裁に身をすくませる。
「どうしてガーディアンズでできなかったことが、イルミナスでできるなんて思っちまうんだよ。
そりゃあ、あんたのマスターは周りのガーディアンに恵まれなかったかも知れないよ。
実際、アタシがその場にいたらそいつら、全員ぶっとばしてやるとこさ。
パルムの浄化は当然重要な任務だけど、その前に人としてやるべきことがあるだろうに…」
「でも…確かあの時、浄化の進まないガーディアン達にいささか過激な発破をかけたのは、総裁では…」
後ろに控えていたクランプという青年が口を挟んできたが、
総裁が青年の方に顔を向けて一秒もしないうちに、顔を蒼くして目をそらしていた。
総裁がどんな表情をしたのかは、こちらからはよく見えなかった。
「…まあ、ともかくだ」
総裁が咳払いをして、こちらに向き直る。
「あんたのマスターがどういう奴かはともかく、容疑がかかっている以上このままにはしておけない。
同盟軍や他の警察機関に抑えられる前に、こちらで確保しておかなければならない。
お前の話を聞く限りでは…。
洗脳されたか、濡れ衣なのか、或いはもっと他の理由があるかは分からないが。
少なくとも、あの事件を嬉々として起こすような外道…という奴じゃあなさそうだ。
確保すれば、色々と役に立つ内情を聞けるかも知れないな」
151:EPX 5章「発起5/6」
08/04/10 22:34:53.01 NIliRKo1
そこまで言うと総裁は、クランプを横目で見やり、声をかけた。
「クランプ。パルム、ニューデイズ、モトゥブとの連携を呼びかけるのは続けてもらうとして、
イルミナスに対抗する、専用の特殊部隊の編成は進んでいるな?」
「はい。その件は抜かりなく」
「今、このPMから引き出した情報を元に、この女を中心として足取りを掴むよう手配してくれ。
極力、殺さず捕らえるようにな」
殺さずに、捕らえる。
その一言だけでも、最初に想定した最悪の事態は避けられつつあると考えられた。
自然、表情もゆるみがちになる。
そこへ、総裁から釘をさされた。
「勘違いするなよ。お前のマスターには相応の罰は受けてもらう…無罪放免というわけにはいかないよ?
しっかりと、犯した罪を償ってもらって…それからだね」
最後の一言の後、にっと口元を吊り上げた。
まだ、これから事態がどう動くかは分からなかった。
だが、どうやら総裁がマスターに対して、それほど悪い感情を持たなかったこと。
何より、今まで評価されなかったマスターのパルムでの行動について、総裁の賛同をもらえたことは、
私にとって心強い支えとなっていた。
「…さて。お前のこれからの処遇について、だが」
クランプという青年が執務室を出た後、総裁は改めて切り出した。
「裏切り者のPM、という記憶を忘れたければ。
この後お前を初期化して、しかるべき新しいガーディアンにつけてやってもいいが。
…どうする?」
152:EPX 5章「発起6/6」
08/04/10 22:36:07.84 NIliRKo1
私の答えは決まっていた。
「…私は、マスターの最後の命令に従います。
全身全霊をかけてマスターを追いかけ、この手でマスターを連れ戻します」
「…そう言うと思ったよ」
机の上に両肘をつき、組んだ両手に顎を乗せた姿勢で、総裁はにっこりと微笑んだ。
猛々しい印象が強いビーストの女性にそぐわない、穏やかで慈愛に満ちた笑顔だった。
「お前には、PMらしからぬ強力な自我がある。意志と呼んでもいい。
本来キャストよりずっと単純な思考機能しか持たないPMに、それだけの自我を育ませてきた。
それだけで、お前のマスターの人柄が偲ばれるよ」
そこまで言うと総裁は、凛とした表情で立ち上がった。
「ならば、PM412に改めて命ずる。
直ちに対イルミナス特殊部隊に加わり、お前のマスターをイルミナスより奪還しろ。
そのための特殊強化措置の施行を、任務達成までの短期間に限り、
ガーディアンズ18代目総裁ライア・マルチネスの名において許可する」
PMに対する、特殊強化措置。
それはすなわち、PMがキャストと同様の思考機能、および能力を持つことを意味する。
通常は、キャストの人権を侵害する行為として禁じ手とされていたが、
ごく稀にこの強化措置を施されたPMは、歴史上存在するという話だ。
いずれも背に腹を変えられない、それぞれにのっぴきならない事情があったのだろうが、
まさか自分がその措置を施されるとは思っていなかった。
期間限定の強化措置。望むところだった。
私がただのPMに戻る時…その時はきっと、マスターが私の元に戻り、
新たな命令を与えてくれる時だと、私はそう信じていた。
153:名無しオンライン
08/04/10 22:41:02.17 NIliRKo1
お待たせしました。
EPX~Another You~の第2部を投下します。
もう少しコンパクトにまとめられるかと思っていましたが、
予想以上のボリュームになってしまいそうです。
途中で飽きる方もいらっしゃるかも知れませんが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
154:名無しオンライン
08/04/11 23:19:01.17 LSOtg0ag
コメントも挟まず連続で失礼しますが、本日の投下です。
155:EPX 6章「孤高の孤立、孤独な孤影1/6」
08/04/11 23:21:06.64 LSOtg0ag
「き…気をつけろ、手強いぞ…この女」
私を取り囲む、イルミナス構成員。その一人が、震える声で仲間に声をかけた。
確実な追跡が功を奏し、逃げ場のない場所まで追い詰めた所で、
やけになって斬りかかってきた構成員の一人を返り討ちにした時のことだった。
構えた長剣の発するフォトン光が、周囲を威嚇するように輝いている。
睨み合いに耐えかねた一人が、背後から襲いかかってきた。
緑のフォトン光を放つ片手剣が低くうなりをあげ、私の頭上へと振り下ろされる。
対して私は両の脚で力強く地を踏みしめ、下から長剣を振り上げた。
人一人吹き飛ばすと豪語しても差し支えない程の風圧が男の片手剣を宙高く巻き上げ、
長剣のフォトン光は無慈悲に男の腰から肩にかけて通過し、淀みない軌跡を描きあげた。
体を二つに割られた男は血しぶきを噴き上げながら、どしゃりとその場に崩れ落ちた。
隊長格の男が、何とか威厳を保とうと懸命にわめきたてる。
「ひ、一人ずつかかってもムダだ…全員で、全員で一斉にかかれっ」
及び腰になっている者も中にはいたが、一応はそれなりに訓練を受けてきたのか、
とりあえず形にはなっている程度の連携を感じさせる一斉攻撃をしてきた。
素人目には、逃げ場はない。
熟練のガーディアンには、いくらでも切り抜ける隙間は見つけられたが、私にはその必要もなかった。
素早くナノトランサーにセットしているパレットを切り替える。
間をおかず手元に現れる、一振りの杖。
禍々しいとさえ形容できる、黒いフォトン光を放つそれーテスブラーを、迷うことなく振り下ろした。
途端に降り注ぐ、雷の雨。
周囲を満遍なく稲光が覆い、法撃への何の心備えもしていない彼らに対し、
無数の黄色い帯が容赦なく侵食する。私が杖を振る度に、幾たびも、幾たびも。
耳をつんざく轟音が止む頃には、隊長を含めて全員、力なくその場にひざまずいていた。
「確保しなさい」
無感情に告げる。
背後に控えていた部下が数人、手際よくイルミナスの構成員を拘束していった。
156:EPX 6章「孤高の孤立、孤独な孤影2/6」
08/04/11 23:22:21.93 LSOtg0ag
私は、ライア・マルチネス総裁の指令に従い、強化措置を施され対イルミナス特殊部隊に編成された。
周囲には、私が元PMであることは伏せられ、キャストとして扱われている。
強化措置によって一回り大きなボディを与えられたこともあるが、
ガーディアンズには私と同様の小柄な女性ガーディアンが多いこともあり、
私の正体を疑うものは現状いなかった。
他のキャストと違い、私は自由に職を変更することはできない。
措置を施される段階で、設定された職の機能に準じた性能を擬似的に与えられるだけで、
実際に正規の転職手順を踏んでいるわけではなかったからだ。
私がその際、どの職を選んだかは言うまでもなかった。
また、思考機能をキャスト基準の高性能AIに切り替えられるにおいて、
私の自我は2点の感情を大きく膨れ上がらせる結果となっていた。
マスターを取り戻そうとする意志。そして、イルミナスに対する憎しみ。
対イルミナスにおいてその感情は大きな武器となったらしく、
気が付けば私は、部隊の一小隊を率いる隊長となっていた。
身体を二つに割られた男の遺体を見ても、何も感じるところはなかった。
ヒトが当然のように害虫を踏み潰すのと同じように扱っただけで、
私はその行動について何の疑問も抱かず、いささかの良心の呵責に苛まれることもなかった。
そう。イルミナスは、こうなって当然の存在なのだ。
先の雷テクニック「ギ・ゾンデ」で無力化された構成員の中には、
そのまま二度と目を覚ますことはないと思われる者もいたが、関係なかった。
情報を聞き出すために、全滅さえしなければいい。
構成員の死亡を確認した部下の一人が、咎めるような恐れるような視線を向けた気がしたが、
意に介さなかった。
敵の生死を気にするようだから、私のような擬似キャストに顎で使われているのだ。
部下の働きなど、最初からあてにしていない。
私は、WTだ。私と二人で常に任務をこなしてきた、マスターと同じWTだ。
マスターは、頼れる友人などいなくとも立派にガーディアンの務めを果たしてきた。
私だって、果たして見せる。
マスターがいないのなら、たった一人でも。
157:EPX 6章「孤高の孤立、孤独な孤影3/6」
08/04/11 23:23:12.43 LSOtg0ag
「あら、412ね。任務ご苦労様」
報告のため総裁の執務室に入った私を迎えたのは、ライア総裁ではなかった。
私やマスターと同じように眼鏡をかけた、長い金髪の映えるニューマンの女性だった。
「シドウ博士。総裁…それに、師匠はどちらでしょう?」
「それがね。ライア…総裁ってば、アンドウ・ユウとルミアちゃんを連れて、
直接モトゥブの交渉に乗り出してっちゃったのよ。総裁になったんだから、少しは自重して欲しいわよねえ」
いかにも困ったわね、という調子で肩をすくめる。
「…そうですか。師匠はともかく、ルミア研修生まで行ったのは、どんな理由が?」
「ま、いろいろとね。複雑な事情があるみたい」
お茶を濁す回答だったが、私は特に気にしてはいなかった。
師匠がいる以上、任務の失敗はありえないと分かっていたからだ。
強化措置を終えた私に、総裁は臨時の教官として一人のガーディアンを紹介した。
無口で、一見これといった印象がない、どこにでもいるグラール住民と変わりないように見えたが、
私は最初の研修任務ですぐにその考えを撤回した。
あらゆる職、武器に精通したそのガーディアンを、ほどなく敬意をこめて「師匠」と呼ぶようになった。
師匠はルミア・ウェーバーという研修生の教官とかけもちで私の教育を受け持っていたため、
行動を共にした期間はごくごく短いものだったが、教わったことは数知れない。
WTとしての戦い方も、マスターの見よう見まねで足りなかった基礎から教えてもらった。
私が部隊に編成されて瞬く間に隊長になれたのも、師匠の教育が大きな要因の一つだったのは確かである。
報告書だけ総裁の執務机に置いた私は、シドウ博士と通り一遍の世間話をした。
マヤ・シドウ博士は、本来装備開発課の研究員だったが、現在は対SEEDワクチン開発の責任者となっている。
どのような経緯があったかは敢えて聞いていないし、彼女からも話す様子はない。
普段の明るい雰囲気の裏側に隠された、それなりの事情があるのだとは推察された。
「イルミナスのテロも重大事だけど、最近は他にも物騒な事件が頻発してるみたいね。
パルムでは、何故か囚人護送車の襲撃が相次いでいるみたい…詳細は伏せられて分からないけど。
私の故郷ニューデイズでも、教団に不法侵入があったとかなかったとか…。
そうそう、モトゥブなんかではね。非合法に行われている奴隷売買の組織の一部が、
同士討ちでもしたのか壊滅したなんて話。これなんかは、喜んでいいことかも知れないわね」
適当に相槌を打っておく。私には興味のないことだし、必要な情報とも思えなかった。
必要なのはイルミナスの手がかり、そしてマスターの行方。それだけだった。
きりのいい所で話を打ち切り、執務室を後にした。
158:EPX 6章「孤高の孤立、孤独な孤影4/6」
08/04/11 23:24:10.08 LSOtg0ag
「精が出るね、相変わらず」
一人訓練室にこもり、黙々とシミュレートをこなす私に、ふいに声をかけてくる者がいた。
「こんにちは、440。今日はご主人は一緒ではないのですか?」
かつて炎の防衛線で一緒の班になった、PM440。
当時は440の方が少し背が高かったが、強化措置を施した今では背丈の高低は逆転していた。
彼女の主人…マスターを追い詰めた一因でもある合理主義のキャストも、
対イルミナス特殊部隊に転属となっていた。
正直腹に据えかねるものがあったが、班が別になっているので今のところ、さしたる衝突はない。
代わりにこの440とは、時々こうして会っていた。
「412…いや、今は412様と呼ばなきゃ駄目かな?立場上」
「からかわないで下さい。私は任務上、一時的にこのようになっているだけで…」
いきり立つ拍子に眼鏡がずり落ちる。すかさず440が眼鏡の位置を直してくれる。
ずれた眼鏡を戦闘中でもすぐに直そうとするのは、私のPM時代からの悪い癖だが、
それより早く440にこうされるのは、嫌いではなかった。
蓮っ葉な口の利き方をするが、PMらしく細かい所に気の付く性質で、
この440の行動は彼女なりの親愛の表れであると感じられた。
「…今日も、たった一人でイルミナスとやりあったんだって?」
しばらく他愛のない話をしたあと、440はやや上目使いで尋ねてきた。
「大丈夫です。彼らごとき、私一人で十分制せますから」
「ん、まあ。確かにWTは、単独行動に向いてるかも知れないけど…さ」
440の歯切れの悪い口調が引っかかる。
「…何か、言いたいことでも?」
「いや、ね。その…もう少し、部下とか仲間とか…他の連中の力も借りて、いいんじゃないか」
「必要ありません。私にはマスター…或いは、師匠以外のパートナーなど、要りません」
「…そんなに、他のガーディアンは信用できないか?」
「できません」
私がきっぱりと言い切ると、440は少し悲しそうに目を伏せた。
私が他のガーディアンを信用できないと言った理由に、あまり論理的な根拠はなかった。
ただ、普段マスターが単独で任務をこなしている中、珍しくパーティを組んだあの日に会った彼ら。
マスターを追い詰めた彼らがガーディアンの典型だと考えると、どうしても「仲間」という意識が持てないのだ。
どうせ、他の連中は報酬目当てで集まっているに決まっている。
そんな連中とマスターや師匠を同列に見ろというのは、私には無理な話だった。
159:EPX 6章「孤高の孤立、孤独な孤影5/6」
08/04/11 23:25:42.22 LSOtg0ag
「…それに」
440の様子を見てさすがに悪いと思った私は、少し話の方向性をそらすことにした。
「マスターは、常に単独であらゆる任務をこなしてきました。
そのマスターを連れ戻そうと言うのです。私も、一人で何でもできなくてはなりません。
誓いを守るために…私は何としても、一人で戦う力を身につけなくてはならないのです」
「ああ、そうだね。そう…だけど」
440はなおも何か言おうとしたが、口ごもってその後の言葉は出てこなかった。
気まずい沈黙が流れる。何とか別の話題を探そうとしたが、その前に。
「私のPMがどこで油を売っているかと思えば、第2小隊の鉄砲玉と一緒とは…また調整が必要かな?」
無機質な機械顔のキャストを見ると、私は自分でも顔が険しくなるのが抑えられなかった。
440から一気に表情が消えていく。
そそくさとキャストの後ろに走りより、そのまま人形のように微動だにしなくなった。
「御機嫌よう、我らが同胞のお嬢さん。相変わらずの活躍ぶりで何より。
効率を重視する我らにあって、部下を有効活用することもなく単独で突入を繰り返す。
同じ隊長として、こうも違うものかと興味をそそられる」
「私は貴方に興味はありません。どこにでもいる、極普通のキャストなのでしょうから」
「個性があることを自慢するのは、ヒューマンのやることだ。我々はそのような無駄を好まない」
目の前のキャストの声には、ほとんど感情というものが感じられなかった。
「職にしてもそうだ。我々の能力を最も活かせるのはfGであり、次いでfF、φG等だ。
無個性とヒューマン辺りは言うかも知れんが、事実それによって、我らは華々しい戦果を上げている。
そこへ来てわざわざWTを選ぶ…一体どのような理由があるのやら」
「貴方に教える必要はありません」
「そうだろうな。私もそれを聞く必要性を感じない。無駄な情報をインプットするメリットもないだろう」
「ここには何をしに来たのですか。貴方に無駄話をする、理由も余裕もないはずです」
キャストは動じる風もなく、悠然と息をついた。腹立たしいほど感情の起伏を感じさせない。
「用件を伝えよう。今度の任務…モトゥブの鉱山に潜伏していると思われるイルミナスの一党の捕獲。
我が第1小隊と、君の第2小隊が合同でこれに当たれと通達があった。
そういうわけで、当日はよろしくお願いする。
できれば足手まといにならぬよう然るべき職への転職を勧めたかったが…致し方ない。
聞く耳持つ様子には、とても見えんからな」
160:EPX 6章「孤高の孤立、孤独な孤影6/6」
08/04/11 23:27:33.66 LSOtg0ag
惑星モトゥブ、グラニグス鉱山の一角。
元々モトゥブは全土に渡り、ヒトにとって住みやすいとは言い難い、厳しい環境の惑星ではあるが、
とりわけこの鉱山のある北方大陸は極寒の地として、久しく移住者を拒み続けてきた辺境の地である。
かつて炭鉱として開発が進められた時期もあったが、現在はほぼ打ち捨てられた状態にあるのは、
ひとえにこの厳しい寒気のためと言われている。
そんな場所にイルミナスの一党が潜んでいるというのは疑わしくもあるが、
人目を避けるという意味であれば、逆に納得の行く場所でもあった。
「さて、余り大勢で押しかければ、敵に気取られる恐れもある」
キャストfGは周囲の者を見回してから、おもむろに口を開いた。
「まずは少人数で中に潜り込み、敵の規模を偵察するのが上策、と言えるだろう」
「けっ、んな面倒な真似しなくても、全員で乗り込んで皆殺しにすりゃあいいだろ」
「いつもながら脳筋ね、アンタ。中で迷って逃げられたりしたら元も子もないじゃん」
すかさず口を挟んできた男性ビーストに、間髪入れず横槍を刺す女性ニューマン。
まぎれもなく、あの炎の防衛線で会った3人のうちの2人だった。
私やマスターにとって因縁深い3人が、揃って対イルミナス部隊に編入されている。
これは、運命の悪意か何かだろうか。
「その通り。こうした鉱山はえてして複雑な迷宮と化していることが多い。
中に乗り込んだはいいが、悟られた敵に地の利を活かされて逃亡などされては台無しだ。
…君の作戦遂行能力は買うが、せめてもう少し頭を働かせてほしいものだな」
機械のような淡々とした口調が、かえって嫌味さを増していた。
ビーストfFはふん、と鼻息も荒くそっぽを向ける。
「私の調べたところ、この鉱山の中はともかく、出口はこの一箇所のみのようだ。
そこで提案だが、二手に分かれようと思う。
すなわち、中に入って偵察を行い、同時に逃走なり追跡なりして、敵を入り口へとおびき出す役。
入り口で待ち構え、出てきた敵を一網打尽にする役。
私の見解では、後者の役は殲滅力に長ける我が隊、偵察役には第2小隊がふさわしかろうと考える」
キャストfGは私の方に視線を移し、一言加えてきた。
「…そちらには、単独行動がことにお好きな方がおられるようだからな」
嘲笑する第1小隊の面々と、対照的に暗い顔でうつむく第2小隊の部下達。
隊長、と部下の一人がおずおずと声をかけてきたが、私はそれを無視して言い切った。
「分かりました。偵察は少人数が最適と言うのには同意。私一人で中に乗り込みます。
…ただし、そちらの仕事がなくなっても、文句はおっしゃらないように」
161:名無しオンライン
08/04/11 23:31:08.79 LSOtg0ag
本日の投稿はこれまでです。
生まれ変わったPM412は無事任務を遂行できるのか?ご期待下さい。
162:名無しオンライン
08/04/12 03:20:53.41 Z2Opnm9R
感想サンクス、俺はスレに久しぶりに来た方
ここを見なくなる前に書きかけてた奴を続けた物だから、ネタ自体がかなり古いんだ
これから投下するのは武器差別の話題に敏感な人は要注意
EPXの人とかぶる部分もあるので、不愉快だったらすまない
163:1/9
08/04/12 03:22:08.51 Z2Opnm9R
私はGH-412、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。
突然ですが、ガーディアンズの皆さんにとってはなにが大事ですか?
沢山の敵を倒す、自分の意地を貫き通す、仲間の迷惑にならないようにする。
もっと色んな事があるでしょうし、それはここでは書き切れない位でしょう。
今回は、「自分の意地を貫き通す」私のご主人様の場合のお話です。
164:2/9
08/04/12 03:23:08.23 Z2Opnm9R
電撃ミッションカーニバル。
テーマパークだか何だか知らないが、とにかく俺達にとって稼ぎ時が到来していた。
それと同時に各惑星の治安が一気に悪くなるというのは、最早風物詩の1つとも言える。
治安の悪化を招く祭り事をするような新総裁はやはりバカだなと思うが、口には出さない。
結局は俺も、新たに誕生した戦闘タイプ"ファイマスター"と新規取得したPA訓練の為に
ここに足蹴に通っているからだ。おかげで数ヶ月は生活に困らない金も手に入っている。
いわゆるエリートな同僚、後輩達のおかげで2週間限定で最新型合成システムも借りれるのだ。
その恩恵に浸りながら新総裁をバカにするのは筋違いだろうな。
その日も、PAとタイプランクを上げるべく一人で黙々と作業を続けていた。
続々と出現する炎感染ポルティを自慢のカン・ウーで斬り裁いていると、メール受信の音が鳴った。
主人「…誰だ?」
そのメールを開いてみると、送信者は知り合いの1人だった。
友人というには関係が浅すぎるので、俺は知り合いとしている。
最も、友人と呼べるような人物は大概が辞めてしまったので区別の意味がないが。
「これからマザー周るんだけど、人手が足りないから助けてくんない?」
165:3/9
08/04/12 03:23:56.25 Z2Opnm9R
主人「マザーか…」
この祭り事はVRとはいえ、同盟軍司令マザーブレインさえも出てくる。
ランクが早く上がり、儲けもいいので人気という最早威厳の欠片も感じられない扱いだ。
まぁ、イルミナス助長の原因を作った一つでもあるので自業自得とも言える。
戦闘タイプを上げるのは退屈だしさっさと終わらせたい、PAも完成間近なので
そろそろ気晴らしをしたいと思った俺は了承の返信を送り、訓練を切り上げて合流場所に向った。
今思えば、ここで「今忙しい」と断っておけばよかったのだろう。
沼子「やっほ~、こっちこっち」
今では珍しい人ゴミの中で、恥ずかしげもなく手を振る知り合いは1人のキャストと共にいた。
知らない顔だが、どうやら俺以外に手伝いを頼まれた手駒の1人なのだろう。
ファイマスターLv1らしく、俺と同じような理由でOKを出したのだろうなと容易に想像できる。
主人「手を振るな、他人のフリをしたくなる」
沼子「(別に誰も聞いてないってミ☆)」
主人「そうかい」
知り合いはボソボソとよく聞き取れない声で返した。
こいつの癖だ、何事もない普通の事だろうとすぐボソボソ声で喋る。
どうせ治さないだろうから、その時は適当に返すのが俺の中でのこいつの対処法だ。
箱男「よろしくー」
沼子「(よろしくネっ♪)」
主人「どーも」
社交辞令とも言える挨拶が終わった所で、俺達は早速VRへと向った。
166:4/9
08/04/12 03:24:38.40 Z2Opnm9R
まず向ったのは電刃エリア、ここでは名前通りに雷感染エネミーが出現する。
最初の狭い通路をいつも通りに走ると、いつも通りにゴ・バジラが歓迎の鳴き声を発していた。
沼子が杖を振りかざし、やたら巨大な土塊を俺の数歩前に出現させる。
怯んだゴ・バジラに俺とキャストはそれぞれの自慢の武器を構えて踊り出た。
更に土塊が出現し、ゴ・バジラはたまらず自慢の突進すら出来ずにいる。
そこにキャストがドゥース・マジャーラで一気に駆逐し、ゴ・バジラは倒れていった。
俺はと言うと、長剣を振った時には既にゴ・バジラが死んでいたので何もしていないも同然だ。
しかしこれはVRだ、決まったパターンしか繰り返さない。
俺はすぐに長剣を構え直し、構築されていく新たなゴ・バジラ目掛けて一気に振り下ろした。
グラビティブレイク…俺の代名詞とも言えるソードの奥義。
叩き付けられたゴ・バジラは誕生してから3秒で、その短い生涯を終えていった。
所詮は電磁世界のデータなので、生涯と言うにはおかしいかもしれないが。
続け様に大きく長剣を打ち上げると、すぐ隣で構築を終了させたゴ・バジラが上に吹き飛んだ。
俺はそれを確認すると、攻撃を止めた。既に次の刃がトドメを刺す事が確定していたからだ。
キャストが繰り出す槍の連突きをまともに浴び、またほんの数秒で姿を消していく。
別段、いつもと変わらない。
VRが決まったデータしか出さないなら、その対策も簡単に出来る。
次のエリアに出てくる敵を思い出しながら、走ろうとしたその時だった。
沼子「(ねぇ)」
167:5/9
08/04/12 03:25:15.64 Z2Opnm9R
主人「…ああ、先行しすぎか? 悪かったな」
沼子「そうじゃなくて、未だにソード使ってんの?」
知り合いは俺の持っている武器をまるでこの世の物とは思えない目で見つめていた。
俺が持っているのはダイフォトン最大出力のヒュージカッター、俺のPMの現時点での最高傑作だ。
主人「そうだ」
沼子「これ貸すね」
俺の答えを聞くや否や、知り合いは武器を差し出してきた。
それはダイフォトンのムグンリュク…現時点で最も人気のある槍の一つだ。
沼子「まさかとは思ったけど持って来てよかった~♪
終わるまで貸してあげるから、これでマジャーラしてね」
主人「………」
箱男「どうしたん?」
突然止まった俺達に、先に進みかけていたキャストが歩み寄ってくる。
この男もダイフォトンのムグンリュクを持っている…その輝きからかなり高出力だと分かる。
沼子「槍持ってないから貸してあげたの♪」
箱男「FMはSしか装備出来ないから仕方なくね?」
沼子「(多分ソードしか作ってない。MAGの時もカン・ウー合成しまくったとか聞いた><)」
箱男「もったいねw (同じ金でムグンリュク作ればいいのにw)」
沼子「(でもマジャーラ覚えてるし問題なし(^-^)b)」
知り合いの言うように、俺は確かにマジャーラを覚えている。
冗談半分で、余っていたムカトランドを合成させたらレイフォトンの高出力品が出来たからだ。
使うような友人もおらず、売る気もなかった俺は洒落のつもりでマジャーラをLv40まで上げたのだ。
今では、あまりに楽すぎてつまらなく感じたので単に覚えているだけになっている。
ファイガンナーをLv10まで上げなければならなかった時は、面倒臭いので使った記憶はあるが。
…ここまでは良かった。
しかし次の言葉が俺にとっては禁句だった。
沼子「そのカッター売ってムグンリュク買いなよ。今なら高く売れるよ♪」
箱男「今高いから無理かもw 俺の槍売る。(20%とかだけどww)」
主人「………!」
沼子とキャストが笑いながら話す中、俺は既に悟っていた。
こいつ等とこれ以上戦う事は出来ない、俺のプライドが許す行為ではないと。
気がつけば、俺はVRリンクを勝手に切断し、部屋に戻るキューブに足を運んでいた。
その途中で声が聴こえた気がしたが、構う程の心の余裕が俺にはなかった。
168:6/9
08/04/12 03:26:00.28 Z2Opnm9R
-マイルーム-
412 「ふぅっ…終わった…」
私は今日もお掃除…ここ2週間ずっと掃除だけの毎日を過ごしています。
電撃カーニバルというお祭りが開催されているらしく、ご主人様もよく通っているからです。
単独訓練の際はついて行けるんですが、報酬の都合で私が行けない場所もあります。
だから、ご主人様がほしい物を取りに行く時は私はお留守番です。
412 「はぁ…明日は新しくPAを買ったりして訓練に連れて行ってくれるといいなぁ。
…はっ、いけないいけない! 私のワガママでご主人様を疲れさせちゃ!」
私はふるふると顔を振って、まだやる事はないかと部屋中を見回しましたが
もう拭ける所は拭き尽くし、アイテム整理も終わってしまい、合成作業も何もありません。
412 「お茶でも入れようっと」
カップをセットしていると、ドアが開きました。
その奥には、非常に浮かない顔をしたご主人様が立ち尽くしていました。
412 「あ、ご主人様! おかえりなさ………?」
主人「………」
ご主人様は厳しい目付きで私を見つめてきました。
その目付きは何かに怒っているような、けど何処か悲しそうな目です。
…私、何か悪い事をしちゃったのかな? でも合成もないし…掃除が足りない!?
ううーん、けどセンサーを全力で働かせても埃はほとんど取れていると出たし…まさか私壊れ始めてる!?
私が不安を頭の中でグルグル巡らせていると、ご主人様はボソリと呟きました。
主人「…俺もお前みたいなら、武器でとやかく言われず済むんだろうか」
412 「…えっ?」
ご主人様はそのまま何も言わず、ドレッシングルームに入っていきました。
私はその言葉の意味は分からなかったけど、お茶を二人分入れる準備を始めました。
一度ドレッシングルームに入ると、ご主人様はその日は一切働かないと分かっているから。
169:7/9
08/04/12 03:26:27.04 Z2Opnm9R
主人「………」
412 「………」
ご主人様は何も喋ってくれません。
先程の言葉の意味がどうしても分からないけど、とても聞ける雰囲気ではありませんでした。
入れたお茶は、もうすっかり冷え切ってしまい少し早いアイスティーになっています。
どうしていいか分からない時間が続きましたが、私はふと気付きました。
ご主人様が、立てかけてあるダイフォトンのヒュージカッターを見つめているのを。
それは私が始めてのS級ソード合成で作り上げた、最高出力の一振り…私の最高傑作です。
412 「…カッター、傷付いちゃいました?」
主人「………」
ご主人様はやはり何も答えず、カッターを見つめ続けていました。
私は繋げる言葉が見つからず、同じようにそのまま黙り込んでしまいました。
ディスクを何も入れてないジュークボックスは、耳鳴りが起こりそうな静寂を奏で続けています。
何時間経ったでしょうか?
ご主人様がようやく、口から言葉を発し始めてくれました。
主人「…PMは、最初から装備が決まっているんだよな」
412 「は、はい…そうですが…」
私達マシナリーはそれぞれ違う装備が搭載されています。
そんな当たり前の事を聞いてくるご主人様に、私は戸惑うばかりでした。
主人「それで選ばれるんだから、文句も言われないよな」
412 「…さ、さぁ…他のPMの皆さんは言われてるかもしれません…」
ご主人様は下を見つめ、大きな溜息を吐きながら今までより強く低い声で続けました。
主人「俺もお前みたいだったら、武器で怒る事も悩む事もないかもな」
412 「…? 一体何があったんですか…?」
170:8/9
08/04/12 03:27:24.52 Z2Opnm9R
それからご主人様はゆっくりと今日あった出来事をお話してくれました。
ソードよりも槍を使えと言われた事、お金の使い方をバカにされた事を。
そして、私の最高傑作品を売って相応の槍に買い換える事を進められた事を。
412 「…そんな事があったんですか」
主人「流石に堪えた。自慢の武器をあっさり売れって言われたからな」
私は自分自身の最高傑作を売れと言われた事に対して怒るより、ご主人様の様子が心配です。
今までご主人様は何を言われてもソードを使う事を止めない程の人で、それはもう筋金入りのソード好きです。
そんなご主人様がこんなにまで落ち込んでしまうなんて、一体何がご主人様を悩ませているのか?
412 「…でも、今までも同じような事があったじゃないですか。
ご主人様らしくないですよ、笑い飛ばしちゃいましょうよ!」
主人「飛ばせるか! お前がせっかく作り上げた最高の剣を踏み台にしろと言われたんだ」
私はびくっとなり、背筋を立てて座ったまま動けなくなってしまいました。
ご主人様の目付きは怒りに満ちた鋭い光を放っていたからです。
主人「俺もお前みたいなら、こんな風に武器で怒ったり悔しい思いをせずに済むかね…。
決まった武器しか持たず、それで辞めるまでのパートナーに選ばれるんだからな…」
そうか…ご主人様はソードという武器種類ではなく私の最高傑作を馬鹿にされた事で怒っていたんだ。
それで私達みたいだったら、武器で怒られたり馬鹿にされたり他の武器を渡されたりしないかもと思っているんだ。
…今の私には最高傑作を大事に思われてる誇らしさなんて少しもありませんでした。
だって、いくら出来がよくてもご主人様がこんな風になってしまったら意味がないじゃないですか?
私は精一杯、ご主人様を元気付ける言葉を探しました。
そして、よく纏まらないまま自分の思った事を口にしました。
171:9/9
08/04/12 03:28:03.04 Z2Opnm9R
412 「…あの、上手く言えないんですが、私は好きな武器を選べるご主人様が羨ましいです…。
私達は決まった武器しか使えないから、他の武器が使ってみたくなっても無理ですし…。
デバイスを使えばそりゃあ変われますけど、デバイスによっては私が私じゃなくなっちゃうし…」
自分で何を言ってるか、よく分かりませんでした。
励ましになっているかも分からない、とにかく思いついた事をそのまま喋っているだけでした。
412 「ご主人様は自分でソードを使いたくて選べても、私達は自分では無理ですし…。
自由に選べるのに決まった武器しか使わないから、格好いいって思いますし…あれ、あれ、何言ってるんだろう?
えっと、えっと…ご主人様が私達みたいになっちゃったらそう思えなくなっちゃう…あーん、もう!」
全然言いたい事が伝えられなくて、頭を掻き毟ろうとしたら…。
既に、ご主人様の大きい手が私の頭の上に乗っていました。
ご主人様は先程までの暗い表情ではなく、何か呆れたような笑みを浮かべてました。
主人「分かった分かった。よく分かった、お前の言いたい事。
そうだな…、俺だけの楽しみがあるのに安易にお前みたいになんて言うのはよくないな…」
412 「ふえっ…痛い、痛いですよ~」
わしわしと私の頭を少し乱暴に撫でるご主人様の手は、いつも通りの暖かさでした。
主人「でもな、たまに今回みたいに思うのさ。
俺がもし槍を冗談じゃなく、本気で使っていたらどうなっていたんだろうな、とな。
確かに馬鹿にされないかもしれないが、ただ優秀な道を通るだけに疑問を持っていたかも、とかな」
ご主人様は少し上を見ていましたが、すぐに私に視線を向けました。
その時のご主人様の表情は…私が今まで見た事もない優しいご主人様でした。
主人「悪かったな、心配させて」
*ぼわっ*
412 「…きゅう」
主人「…おい、どうした? しっかりしろ」
-終-
172:EPX作者
08/04/12 20:06:54.26 y5KeeMi1
こんばんは。本日も続きを、と思ったのですが、
故あって今日は別のお話を投下したいと思います。
>162
楽しませていただきました。
自由に選べるから、いつでも変えられるからこそ決めた道を貫くことの難しさ、そして尊さ。
そちらの412の気持ちは、よく分かります。
武器を職に置き換えると、そちらの主人の主義はこちらのマスターに通じるものがありますね。
そして、そんな作品にインスピレーションを刺激され浮かんだのが、
次の小話です…。
173:EPX特別編「ある日のハウザー様」
08/04/12 20:11:06.47 y5KeeMi1
「…以上が(>164-167)電撃ミッションで発生した事件の報告書です、ハウザー様」
「ご苦労。と言いたいが、この時期の我ら…イルミナスは既に壊滅しておるのではないか?」
「よい物語は、時を超越するものです…ハウザー様」
「ふふ、中々詩的なことを言う。よかろう、下がれ」
「さて、また一人有望な人材を引き抜くチャンスというわけだ…早速リハーサルをせねば」
「…『潜在的な差別。それは確かに存在するのだ。
長剣使いのロマンは、沼子や箱男のような数値しか見ぬ効率主義より優先されることは』…む。
<ロマン>より、<魂>の方が胸に響くかも知れんな…メモを取るとしよう」
「…『そのような任務に求められる武器は、美しさよりも破壊力。
そう、長剣以外の、破壊する何らかの力に長けたスキルを持つ武器だ。
現在重宝されているマジャーラのようなガニ股のどこに美しさを感じ』…むう。
この男がこだわっているのは<美しさ>であろうか?もっと効果的な言葉を探さねばな。
後で部下に辞書を持ってこさせよう」
「…『君が今のままガーディアンズにいても飼い殺しにされるだけだ。保証しよう。
その点、我らイルミナスは違うぞ?君と同じ、生粋の長剣使いが』……いないな、考えてみれば。
ここで嘘をつくのは説得力に欠ける…仕方がない。私自ら、長剣の特訓をしてくれよう」
「確か、『ぐらびてぃぶれいく』とやらは、こう振り下ろし…違うか。
ならばこう…ううむ、踏み込みすぎだな。こう、こう…中々上手くいかん。
明日から通信教育で本格的に習うとして、今日中に形だけは…ふん、ふん。ふ…」
「ハウザー様、お茶が入りまし…」
「…………貴様。見ていたな」
「い、いえ、滅相もありません、失礼しますっ」
-陰で努力を欠かさないハウザー様でした(ちゃんちゃん♪)-
EPXマスター「…私は、こんなのにたぶらかされて…」
EPX412「ま、マスター…どうか気を落とさないで…」
ハウザー「こんなの言うな」
174:EPX作者
08/04/12 20:11:58.33 y5KeeMi1
以上、お粗末様でした。
>162さん、勝手な引用に気を悪くされたら申し訳ありません。
175:名無しオンライン
08/04/14 00:50:58.27 Inkp5MFm
まだこのスレあったんだな・・・11体目の辺りで引退した身だが、このスレには頑張ってほしい。
176:名無しオンライン
08/04/14 11:41:53.36 qPoiUYI8
昨年末に引退はしたんだが
空いた自然とこのスレ開く俺もいますよ
177:名無しオンライン
08/04/14 16:22:38.75 pnuSpIoH
>>161
どうでもいいがand youに笑ったw
「元パシリのキャスト」ってネタは以前書いてた人が居たがやはり書き手が違うと内容も全然違うな
とりあえず頑張れ412、無駄にかっこいいぞ
>>162
俺も槍より斧、ジャブよりレッダなfFだから何となくわかるぜこのネタは
まあそれはさておき主人を心配して必死に励まそうとしてた412が可愛くて仕方がない、全部とは言わん半分よこせw
178:1/3
08/04/14 17:03:02.80 m8Bkizoy
パシリが変な武器を拾ってきた。
「パパーン!スペシャルウェポン、それも現物です!」
「よくスペシャルウェポンなんて古い言葉知ってたな。どれ見せてみろ。」
「はい。どうやらツインダガー?の様ですね。未知のフォトンアーツがリンクされています。」
刃の方を向けて勢いよくこちらに渡すマイ443。しつけがなっていない。
「いてっ。何をする。」
「あっ、すみませんご主人様。443ポイントのダメージです。私の型番と同じですね!」
「どうでもいい偶然を喜ぶ前に反省をしてくれ。謝罪と反省は常にセットで行う事。」
「了解しました。でもこれ、変な形ですねぇ…」
手短に反省を済ませ、俺に手渡した武器をしげしげと眺めるマイ443。440系進化のくせに
俺と同じ近接武器マニアな嗜好とは一体どうしたものか。
確かに武器は奇妙な形をしていた。グリップ部は幾層もの板状パーツを重ねた形をしており
ちょうど手品師がトランプを広げる様な格好で開閉できる構造になっている。
広げるたびに、先端部の赤いフォトンから花びらの形をしたスパークがぱんと散る。
「どうみてもヨウメイ社製だな。装飾がニューデイズ様式だ。」
「どうみてもヨウメイ社製ですね。法撃仕様のフォトンリアクターが装備されています。」
「「ふぅむ…」」
ミッションそっちのけで武器の考察を始める。見慣れた光景だ。
やがて、マイ443がちらちらと俺の顔を見る。
「…嫌なんだよなぁ。また格好悪いフォトンアーツだったら恥ずかしいし…」
「はっやくっ。はっやくっ。」
「う~、じゃちょっとあっち向いてて。パンツ見えたらやだから。」
フッと鼻で笑いつつアメリカ式のため息をつくマイ443。俺好みのいい子に育ったものだ。
謎ツインダガーをパレットにセットし、俺は深く息を吸い込んだ。
179:2/3
08/04/14 17:15:21.59 m8Bkizoy
「ウェポンパレット変更申請!武器名称、不明!今拾った謎のツインダガー!とぅぉー!!」
ナノトランサーが静かに唸り、淡い音に包まれた白い光を伴って
俺の両手に『リョウセンスザシ』が握られる。
「瞬着完了!行くぜ!謎のフォトンアーツ起動ぅ!」
「うるさいですご主人様。」
「うるさいっ黙ってみてろ!とあーッ!!」
キャストの身体能力を限界まで引き出した、渾身の一舞が艶やかに空を切る。
同時に発声器官が唸りを上げ、見事なカグラソングを虚空へ奏でる。
ひと舞い終わり、ふた舞いを終えても俺の動きは止まらない。
「く・・・っ、こいつはとんだ長編フォトンアーツだ・・・っ!」
「がんばってくださいご主人さま~、もう少しですよ~。」
「もう少しって分かるのかお前!」
「何となくですけど~。」
「機械のクセに感覚でモノを言うなッ!あーだめだもう膝が笑ってきた!助けて!」
「ファイト~。」
センスザシを頬に当てて見返りのキメポーズを取ると、フォトンアーツの動作はようやく終了した。
180:3/3
08/04/14 17:27:28.75 m8Bkizoy
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「大丈夫ですか?ご主人様・・・」
「バカな使い方しちゃったから・・・肺が壊れちゃったみたい・・・」
「何言ってるんですか?」
「何でもない。しかし疲れた・・・はぁ・・・はぁ・・・」
地面にへたり込んだ俺を心配そうに見下ろすマイ443。そのニードルカノンはしまってくれ。
とりあえずうっかりフォトンアーツを再発動させない様、リョウセンスザシをパレットから外す。
「どうやら実戦向きではない様ですね。」
「全くだ。挑発に使えるかもしれんが、通じる相手は少なそうだしな。」
なぜか嬉しそうなマイ443。やはり食べる気なのか。
「やらんぞ。こんな恥ずかしい思い、俺ひとりの胸にしまってたまるか。」
「あぁ~。売却してしまうんですか?」
「決まってるだろ。気取ったエリート連中に売りつけてやる。奴らはレア物が大好きだからな。
新しいフォトンアーツまでリンクされていると言えば喜んで食いつくだろう。」
「ごちそうなのに・・・あっ!」
何かを見つけたのか、突然駆けてゆくマイ443。
遠くで何かを拾って、嬉しそうにこちらへ駆けてくる。
「パパーン!またまたスペシャルウェポン、それも現物です!」
「もう現物はこりごりだよぉ~!」
181:名無しオンライン
08/04/14 20:51:09.79 LcBKXtxI
是非フレにプレゼントしたい一品だw
182:EPX作者
08/04/14 22:21:51.98 oEkd+Dtz
求めるものではないと言い聞かせているものの、
やはり感想をもらえると素直に嬉しく思います。
応援、ありがとうございます。
そういうわけで、本日分の投下です。
183:EPX 7章「a turning point(前編)1/5」
08/04/14 22:25:16.14 oEkd+Dtz
鉱山の中に入り込んだ私は、恐れ気なく奥へ奥へと足を運ぶ。
部下達は全員、第1小隊と一緒に入り口に待機させてきた。
いつもと同じ、単独行動。問題はない。
ただ、入る直前、キャストfGの傍で控えていた440と目を合わせた時は、ちくりと胸が痛んだ。
恐らく心配をかけてしまっているだろう。
他の者はどうでもいいが、彼女だけはなるべく早く安心させてやりたい。
そのためにも、これぐらいの任務は私一人でもこなせるところを見せる必要がある。
私は念入りにナノトランサーにセットしてある武器パレットをチェックする。
敵のタイプ、属性。あらゆる状況に対応できるように。
幾度目かの小部屋にたどりついた私を迎えたのは、イルミナスの構成員ではなかった。
爬虫類を思わせる緑色の表皮に覆われた風貌を持つモトゥブの原生生物、ヴァンダ。
徒党を組んでは一斉に土属性のテクニック「ディーガ」を放つといった集団戦法を得意とする、
見かけに合わず狡猾な知能を持つ敵だった。
「狡猾…といっても、たかが知れているけど」
私は慌てずに、ナノトランサーから浮遊するペンギンの形に似たマシナリーを解き放つ。
彼らは巧妙に距離を測り、得意の土テクニックを放つ準備をしてくるが、
その一定の距離を保つ習性は、私を前にしては命取りと言ってよかった。
「ラ・バータ」
一定の距離を置いて広範囲を攻撃する、氷属性のテクニック。
ひとかたまりになっているヴァンダを包み込むように、その足元から氷の柱が屹立する。
周囲の寒気すらしのぐほどの冷気を撒き散らした後、氷の柱は跡形もなく消え去る。
ヴァンダの群れは一様に大きくのけぞり、放とうとしたディーガを中断させる。
対イルミナス用に開発された新型の法撃具、「マドゥーグ」
法撃を撃つことにのみ特化した、この小動物の形をとった自動追尾型のマシナリーは、
体内でテクニックを行使するための詠唱処理を自動で瞬時に行い、
持ち主に詠唱を省略した、素早い法撃の行使を可能とする。
原始的な詠唱をもってしかテクニックを発動させることのできないヴァンダは、
こちらの詠唱を省略した素早い法撃の連続に対応する術を持たなかった。
攻撃手段を変えることにまで頭の回らないこの原生生物は、
己の得意とする攻撃を試みては、ダメージを負いながら中断させられる行為を虚しく繰り返す。
この時点でもう、私の勝利は確定していた。
184:EPX 7章「a turning point(前編)2/5」
08/04/14 22:27:54.20 oEkd+Dtz
見て、440。私は一人でこんなにも戦える。
心配顔の貴女も、今の私の姿を見れば安心してくれるでしょう。
待っていてください、マスター。
マスターとの誓いを守るため、私は一人でどこまでも強くなってみせます。
現れては冷気を撒き散らしながら消える氷柱の、一種幻想的な光景を見ながらふと物思いにふける。
そんな私を我に返らせたのは、突如ヴァンダの後方から迫り来る、緋色に輝く球状の塊だった。
何とか横にやりすごしたものの、かすめた右腕にちりちりと焼けつく痛みが走る。
それが炎の弾だと知ったのは、後方の壁にぶつかった火球が爆音と共に周囲を照らした時だった。
体勢を立て直したヴァンダの群れを割って入ってきたそれは、見覚えのない姿をしていた。
ヴァンダに酷似しているものの、大きく横に張り出した角が印象的だった。
口元から垂れる唾液を汚らしく振り撒き、怖気を奮う雄叫びをあげる。
ガーディアンになる際に追加された知識を頭の中で整理すると、一つの情報が浮かび上がる。
ヴァンダがSEED侵食を受けて日が経ったものが突然変異したものとも、
或いは遥か昔に封印された巨大原生生物と運命を共にした、ヴァンダの遠い先祖とも言われているが、
最近になってモトゥブの奥深い地に出没するようになった、ヴァンダの亜種。
ガーディアンズは、それをヴァンダ・オルガと名づけていた。
由来はともかく、ヴァンダ・オルガについて一つ確実に言えることは、
ヴァンダとは比べ物にならない狡猾さと凶暴さを兼ね備えていること。
それを思い出した時には既に遅く、私はいつの間にか周囲を彼らに取り囲まれていた。
一刻も早く、この包囲網から抜け出なければ。
そう思う私の出鼻をくじくように、オルガは小さく飛び跳ねると、
その両の手から同時に火の玉を放ってきた。
高レベルのフォイエに匹敵する火球を、2つ同時に?
戦慄する私の足元に着弾した2個の火球は、周囲に熱風を巻き起こしながら勢いよく火柱を上げる。
まともに食らえば致命傷になりかねない、強烈な炎だった。
乱杭歯をむき出し、癇に障る笑い声をあげるオルガ。
たかが原生生物に挑発されたという思いが、私から冷静な判断力を奪ってしまっていた。
長剣を抜いて正面から斬りかかる私に、今度はいきなり炎の息を吹きつけてくる。
まともに受けた私は、人工皮膚を焼かれる痛みに歯を食い縛って耐え、地面を転がって火を消そうとする。
なんとか火を消し終わった私は、身体を起こした時にさらなる事態の悪化を悟った。
四方に散っていたヴァンダが、一斉に土属性のテクニック「ディーガ」を投げつけていたのだ。
185:EPX 7章「a turning point(前編)3/5」
08/04/14 22:30:49.55 oEkd+Dtz
身を低くして横転することでいくつかはやり過ごしたが、かわしきれるものではなかった。
死角から放物線を描いて飛んでくる小隕石のような土塊を、まともに背中に受けてしまう。
圧倒的な質量でのしかかるそれに、背骨に当たる中枢稼動部が悲鳴を上げる。
幸いテクニックによって形成された物質は、一瞬しかその形を保つことはないため圧死は免れたが、
テクニック特有の、属性毎に様々な形で及ぼされる精神的な圧力が、身体の芯に残るダメージを負わせる。
力の抜けていく四肢を無理につっぱらせ、私は立ち上がりざま正面のヴァンダの懐へと飛び込む。
下方から地をこすりながら振り上げた長剣がヴァンダを押しのけるように切り裂く。
そのまま前方に転がるように進み出て、包囲網から抜け出す。
ヴァンダ達が勝ち誇った様子で互いに鳴き声を交わすが、この程度で終わるつもりはなかった。
普通のファイターなら、負傷した身体をひきずって戦わなければならないが、私はWTだ。
回復テクニックを行使すれば、まだまだ五体満足で戦える。
そう思って回復用の杖を取り出し、短い詠唱を唱えようとして、愕然とする。
声が出ない?
言葉を発そうとすると頭の中を耐え難い圧迫感が押し寄せ、
まとまりかけていたテクニックのイメージが霧散してしまう。
その段階になって、初めて自分の身体に起こっている異変に気付く。
先ほどの攻撃により精神的な干渉を受け、テクニックを行使する十分な集中力を奪われていたのだ。
その隙をついて、オルガが再び両の手から火球を放ってきた。
避けきれず、炎の玉が私の身体に着弾すると同時に燃え上がる。
先ほどの炎の息とは比べ物にならない程の熱量が、確実に私の皮膚を、果ては身体の中枢部まで蝕んでいく。
声にならない声をあげ、私はその場に両膝をつく。
こんな時でも習性とは恐ろしいもので、ずり落ちた眼鏡を何とか戻そうと手が動いていたが、
顔の辺りまで上げることもかなわず、両の腕がだらりと垂れ下がる。
正座に近い惨めな格好のまま、私はただ、近寄ってくる原生生物の群れを霞む目で眺めていた。
こんなところで、終わるのか。
イルミナスも壊滅できず、マスターも取り戻せないまま、原生生物の爪にかかって。
結局、自分は半端者のままだった。
一人で戦えると粋がりながら、本当に一人で戦える力も身につけられず。
マスターの期待にも応えられず、誓いも守れず、任務半ばで倒れるだけの、中途半端なからくり人形。
手ほどきをしてくれた師匠も、さぞ落胆するだろう。
自分の教え子は、所詮この程度のものだったのかと。
186:EPX 7章「a turning point(前編)4/5」
08/04/14 22:33:40.43 oEkd+Dtz
とりとめのない自虐に苛まれる私の眼前に、ヴァンダの一匹が仁王立ちになる。
爬虫類じみた顔に嫌らしい笑みを浮かべ、ゆっくりと腕をふりかぶる。
私の任務は、ここで終わるのだ。
と、突如そのヴァンダが悲鳴をあげる。
霞む視界にかろうじて、自分の背後から飛んできた火の玉がヴァンダを撃ったのが確認できた。
オルガの放ったものとは、明らかに違うものだった。
「大丈夫か、412」
声に反応して振り返ると、そこには440の姿があった。
何故、ここに?と思ってもそれを口にだす気力もない私を、白い光が包み込んだ。
440の行使した回復テクニック「レスタ」が、私の身体の傷、蝕まれた気力を癒していく。
大きく息をつき、私は手をついて立ち上がる。
「さあ、逃げるよ。徒党を組んだあいつらに一人で立ち向かうのは危険だ」
「に、逃げるって…私は、あんな奴等から逃げるわけには…」
「馬鹿っ。まだ分かんないのか、たった一人でできることと、できないことがあるって」
怒鳴りつける440に気圧されて、言葉を詰まらせる。
その間に440は、私の手を引いて小部屋の入り口へと走り出す。
それに反応して、ヴァンダやオルガが一斉に鳴き声をあげ、追いかけてきた。
入り組んだ坑道を、出口に向かって突き進む。
後方から、絶えずヴァンダやオルガの足音、鳴き声が迫ってくる。
440は、一言も話さない。
黙々と私の手を引いたまま、ただ前へ前へと歩を進める。
その沈黙が私にはたまらなかった。
「…ごめんなさい。不甲斐ない所を見せて」
440は何も言葉を返さない。
「私、まだまだ修行が足りなかったようです。あんな連中、一人で倒せて当然だったのに。
マスターなら…」
「412」
ふと足を止め、振り返った440の顔をみて、私は息を呑んだ。
目を潤ませ、唇を震わせ、怒っているのか悲しんでいるのか分からない様子で、
ぎゅっと眉根を寄せていた。
187:EPX 7章「a turning point(前編)5/5」
08/04/14 22:36:54.63 oEkd+Dtz
「あんたが、あんたの主人を尊敬してるのは分かる。
でも、だからといって、あんたがその人とおんなじように強くなる必要はないんだよ」
「あんたから主人についての色んな話を聞いていて、一つ思ったことがある。
あんたの主人にたった一つ悪いところがあるとすれば、それは、仲間を作らなかったことじゃないかって」
本来なら、マスターのことを悪く言うのは例え440でも許しはしないはずだった。
だが、この時ばかりは440の、何かを強く訴えかける迫力に圧され、何も言い返せずにいた。
「そのたった一つの欠点が、あんたの主人がイルミナスに行くことになっちまった理由。
そして、それを取り戻すのに必要なのは、まさに。
あんたが、あんたの主人の持っていないものを、身に付けることなんじゃないかな…」
440の言葉は、私の胸の奥深くに鋭く食い込んだが、その意味をゆっくりと反芻する暇はなかった。
行く手をさえぎるように、新手のヴァンダ・オルガが通路の角から飛び出してきた。
にたりと乱杭歯を覗かせ、またもやあの、双手からの炎弾を繰り出してきた。
が、今度はその悪夢のような炎に身を焦がされたのは、私ではなかった。
立ち昇る火柱に包まれる、440の小さな身体に一瞬気を取られるが、
オルガの癇に障る笑い声が、私の理性を吹き飛ばしていた。
自分でこのような声が出せるのかといった、獣じみた雄叫びと共に、まっすぐオルガへと踏み込む。
力任せに振り下ろした長剣の一撃がオルガを捉え、一撃で絶命に追い込んでいた。
440に駆け寄る。火傷の具合から、一目で致命傷であると見て取れた。
抱き上げる私に、ふと440は手を伸ばす。
先ほどの一撃でまたもやずり落ちていた眼鏡を、いつものように元に戻してくれたのだ。
「ほら…マスターに憧れて…かけるように…したんだろ?身だしなみは…しっかりしなきゃ…」
湧き上がる激情を何とか整理しようと言葉を探す中、440は息も絶え絶えに言葉を絞り出した。
「さっき…言ったこと…もう一度考えて…。あんたはね…一人で強くなる…必要は、ないんだから…さ」
「分かりました、分かりましたから…もうしゃべらないで」
目を閉じた440は、最早私の言葉に応えることはなかった。
440を抱きかかえたまま、立ち上がる。
彼女の言ったことは、正直まだよく分からない。
が、今はこの地を生きて出ることが何より優先された。
機能を停止した440だが、本部で然るべき処置を行えば再起動できる可能性もある。
最悪、あの嫌味なキャストfGに頭を下げることになろうとも。
私はこのまま終わるわけにも、彼女を終わらせるわけにも行かなかった。
188:EPX作者
08/04/14 22:39:44.27 oEkd+Dtz
以上、第7章「a turning point」前編でした。
440を背負った状態で、412は狡猾なヴァンダの集団から逃げ切れるのか。
機能を停止した440の再起動は成るのか。ご期待ください。
189:名無しオンライン
08/04/15 18:53:24.43 J/2uzPfe
>174
なんというシリアスぶち壊し、しかしそれがいい
うちの連中は転用、誤飲、焼却、何でもござれ
ただし、転用返しというこちらの鉄の掟を発動させてもらうッ!
190:1/7
08/04/15 18:54:16.39 J/2uzPfe
私はGH-412、とあるガーディアンのパートナーマシナリーをしています。
今日は随分昔の事ですが、私とは違った412さんとそのご主人様のお話をしたいと思います。
191:2/7
08/04/15 18:54:56.68 J/2uzPfe
その頃は、炎の絶対防衛戦というグラール大規模全域のSEED侵食浄化作戦が行われていました。
世間の流行にあまり興味がないご主人様は、侵食の芳しくないパルムの報酬が釣り上げられても
全く興味を示さず、したい事が出来ないので仕事をしない毎日が続いていました。
今でも、ビジフォンでライア教官が怒鳴り放題だったのを覚えています。
けれどある日、気まぐれを起こしたご主人様が浄化に出かけた事があったのです。
様子見という事で報酬を期待していなかったのか、私も同行することになりました。
ちなみにこの時、私は既にGH-412でした。
主人「何処か適当な部隊に編入されとくか…ここで」
カウンターで適当な部隊に編入されると、そこには既に3人のガーディアンズがいました。
如何にも体力のありそうな大柄だけど、武器はツインダガーなご主人様と同じビースト男性。
露出度の高いパーツだけを選別したような格好で、やはりツインダガーを持つキャスト女性。
そしてもう1人は、今では珍しいウォーテクターのヒューマン女性でした。
横には、私と同じGH-412が礼儀正しいぴしっとした体勢で立っていました。
区別の為に、今後は私の事を…えーと、ありきたりだけど他に思いつかないから412Aとしましょう!
獣男 「よろしくな!」
箱女 「よろしく~」
いきり立つ1人とは対照的に、私のご主人様とWTさんは非常に静かでした。
主人 「…どーも」
人女 「よろしくお願いします」
412A「あの、よろしくお願い致します!」
412B「…」
412Bさんはぷいっと、自分のご主人様の方に走っていきました。
…いきなり嫌われるような事しちゃったのかなと、その時は不安が過りました。
192:3/7
08/04/15 18:56:02.55 J/2uzPfe
その後、侵食の浄化は特に問題なく終わりました。
この作戦は時間こそ全て、速ければ速いほど高評価を下される内容です。
けれど私達は何とか、寄せ集めの部隊でも最高評価のSランクをもらえました。
中継地点に戻り、特に問題がないようならば即座に次の浄化についてもらいたいと促がされた時でした。
獣男「あ、別行きますね」
箱女「別行くね、お疲れー」
元気一杯に我先に敵に飛びついていた2人は、そそくさと挨拶を済ませて帰って行っちゃいました。
その場にはご主人様とWTさん、そして私達412の4人がぽつんと残されていました。
主人 「…逃げたか」
人女 「…逃げたって、それはどういう意味ですか?」
主人 「趣味でしかない武器と職業の使い手に、用はないって事だ」
そのご主人様の言葉に、WTさんは顔を顰め、412Bさんがギロっと睨んで来ました。
…でも412Bさんが睨んだのは、その言葉を発したご主人様ではなく、何故か私でした。
…やっぱり嫌われてるのかな、私何か悪い事を言ったっけと不安が加速していきました。
そんな視線を他所に、ご主人様は続けます。
主人 「さて、どうするね? 続けるなら付き合うが」
人女 「…貴方は逃げないんですか?」
主人 「同じ趣味の使い手は嫌いじゃないのでね。
それに、食う金には残念ながら大して困っていない」
いつも同僚に逃げられっぱなしのご主人様は、特に不愉快になったりせず淡々と続けました。
私も、ご主人様の魅力と強さは私自身が一番よく分かっているので動じたりはしません。
ですが、WTさんと412Bさんはそんなご主人様を異星人を見るような目で見つめていました。
主人 「何も言わないのは反論なしと判断させてもらうぞ。
412、次のエリアの情報貰って来い」
412A「はいっ、分かりました!」
私がカウンターに駆け寄ろうとすると、それまで黙っていた412Bさんが遂に喋りました。
193:4/7
08/04/15 18:57:05.75 J/2uzPfe
ただし、大の怒り声で。
412B「ちょっと、勝手に決めないで下さい! 誰が何時同意したんですか!
それにこの部隊のリーダーはマスターです! 勝手に…」
人女 「…分かりました、それではもう少しだけ御一緒して貰います」
412Bさんを他所に、WTさんはぽつりと呟きました。
412B「マスター、いいんですか!? こんないい加減な人達と一緒なんて」
412A「ご主人様はいい加減なんかじゃありません!
…そりゃあ、ちょっとガーディアンズというには相応しくないかもしれませんが」
主人 「お前、フォローのつもりで俺の事馬鹿にしてるだろ」
私がPMには強烈すぎるサイズのアイアンクローを食らっていると
真っ赤に沸騰する412Bさんとは対象的に、WTさんはくすくすと笑っていました。
人女 「いいのよ、412。面白いじゃない、変わった人にご一緒してもらうのも」
412B「け、けど…この人のせいで私達の評価まで下げられる恐れが…」
412A「ご主人様の事を悪く言わないで下さい!
…そりゃあ、確かにご主人様は昇進という言葉とは縁がありませんけど」
412B「貴方も、フォローするか馬鹿にするかのどっちかにしてください!」
412A「ばっ、馬鹿になんかしてません!
元はといえば貴方が悪口言うからいけないんじゃないですかぁ!」
412B「正直な意見を述べたまでです!
マスターの理想が貴方達のせいで台無しになったらどうするんですか!」
412A「むかーっ! そっちだってご主人様の魅力が分からないくせに! この、アワビ!」
412B「不良の魅力なんか分かるもんですか! 大体何ですか、そのアワビって!」
主人 「やめんか!」
*ごいん*
私と412Bさんの口喧嘩は、ご主人様によるお互いのヘッドバッドで幕を閉じました。
WTさんは、そんな光景を声に出して笑って眺めていました。
194:5/7
08/04/15 18:57:49.50 J/2uzPfe
412B「…全く、貴方の不良マスターのせいでこんな傷が出来てしまいましたよ」
412A「ふ、ふーんだ。それは私だって同じですよーだ」
火花を散らしながら、私達は先行するご主人様とWTさんの後に続いてました。
少数戦力であり、派手さは無いものの、「堅実」という言葉がぴったりな2人は
大した怪我もなく、今日出会ったとは思えない動きでゾーマを浄化していきました。
412B「しかし確かに、マスターが言うように貴方のマスターは変わっていますね。
ソードを主軸とするフォルテファイターは、今時滅多に見かけません」
412A「…あはは、ご主人様はそれはもう生粋のソード使いですからね」
412B「種類は違えど、私のマスターと似ていますね」
412A「そうなんですか?」
412Bさんの一言で、私の興味はWTさんで一杯になりました。
その頃はウォーテクターは法力も弱く、打撃もLv20限定、不人気職の筆頭格でした。
世間の評判に聞く耳持たず、ウォーテクターを続けるのは余程の覚悟がない限りは無理でしょう。
そう、何を言われようとソードを使い続ける私のご主人様のように。
412B「私のマスターは『護る』事を信念にウォーテクターを極めようとしています。
半端者と罵られ、例え友達がいなくても、人を護る事に生き甲斐を持って。
貴方のマスターも、何らかの信念があってソードを振るい続けているのでは?」
人を『護る』事…それは確かにガーディアンズの名前の通り一番重要かもしれません。
護る事、即ち危害が及ぶ前に敵を完全に『潰す』事という捻じ曲がった解釈が一般的な中で
そういった力を求めるという事は、ウォーテクターさんの信念はとても硬いのでしょう。
私のご主人様は…。
412A「…単純に流行に乗るのが嫌い、と聞いた事があります」
412B「やはり不良ですね」
412A「だから、ご主人様の事を悪く言わないで下さい!」
412B「正当な評価です」
主人 「何喚いてるんだ、今度は2人揃ってアイアンクロー食らいたいかー」
195:6/7
08/04/15 18:58:32.81 J/2uzPfe
そうしてあらかた浄化を終えた私達は、又してもギリギリのSランク評価でした。
カウンターで報酬を受け取っていると、WTさんはご主人様にカードを差し出しました。
人女 「今日は楽しかったわ、記念に受け取ってちょうだい」
主人 「俺は無闇にカードを渡さない主義でね」
人女 「いいのよ、記念品というだけだから」
ご主人様はカードを渋々受け取ると、適当にデータベースに突っ込んでました。
一方、私達はずっと火花を散らし続けていました。
主人 「よし、帰るぞ」
412A「…次会ったら、もう悪口は言わせませんからねっ!」
412B「貴方がそう吼えても、マスターが不良である限りは無理です」
412A「…うううう、同じ412なのになんて憎たらしいっ!」
私は精一杯、怖い顔をしながらご主人様と一緒にその場を去りました。
『護る』事を生き甲斐とするウォーテクターさんと、そのマシナリーの嫌な子。
武器と職業で形は違っても、似たような2人はその後再開を果しました。
しかしそれは、面と向ってではなく、グラールチャンネル5を映すビジフォンの画面越しに。
196:7/7
08/04/15 18:59:09.27 J/2uzPfe
-現在から3ヶ月くらい前-
412A「ご主人様、これ…! この人って…!」
主人 「…何だ何だ、イルミナスなんてどれもこれも大してかわら…」
私の必死の呼びかけに、面倒臭そうに顔を出したご主人様も絶句していました。
その日、グラールチャンネル5で放映された指名手配のイルミナス工作員リストの中に
かつて、一緒に戦ったウォーテクターさんが存在していたからです。
主人 「…そういえば何時頃からか点灯しなくなったな。
よりによってお祭り大好き集団のお仲間入りとはな」
412A「………どうなっちゃったんだろう、あの嫌な子」
主人 「さぁ、な」
その後、彼女達がどうなったかは私は知る術がありません。
『護る』立場から、『襲う』立場に変わってしまったウォーテクターさん…。
きっと辛い事があったのでしょう、それに関して私はとやかく言うつもりはありません。
ただしこれだけは言えます…私のご主人様はきっと、イルミナスになんかならないと。
-終-
197:EPX作者
08/04/16 20:16:25.13 uZauK+X8
>189
思わぬ場所へのゲスト出演に、気恥ずかしいやら照れくさいやら複雑な心境です。
ですが、力の入った貴重なエピソードの投下に、こちらからも厚くお礼を申し上げます。
今後の本編にも活用させていただきますので、生暖かく見守ってやってください。
なお、前回投下した中に、かなり致命的な描写ミスがあったことをお詫び申し上げます。
発見したときには軽く目眩を覚えたものですが、めげずに本日の投下です。
198:EPX 7章「a turning point(中編)1/6」
08/04/16 20:17:19.25 uZauK+X8
ヴァンダ達の追撃は、執拗を極めた。
地の利を最大限に活かし、仲間と連携を取り、行く手に回りこみ、波状攻撃をしかけてくる。
本能の成せる業なのか、そのチームワークは下手な軍隊より上だった。
少なくとも、第1小隊はともかく、私の第2小隊とは比べ物にならなかった。
いや、比べ物にならないのは第2小隊ではなく、私一人なのか。
作戦中、部下に対してろくな指示一つだしてこなかったのは、彼らが必要ないからと思い込んできた。
だが、実際は違う理由があったのだと悟り始めていた。
PM上がりのキャストもどきが、歴戦のガーディアンに適切な指示を出せるのか。
今までひたすらマスターの指示に従って動くだけだった私が、逆に指示を出す立場に立てるのか。
その迷いを認められず、ただいたずらに彼らを拒絶してきただけだったのかも知れない。
そんな私に見せつけるように、ヴァンダ達は道中でかわるがわる襲ってくる。
遠くから一斉にディーガを放ったり、取り囲んで炎の息を吹きかけてきたり、
仲間の影から火球を投げつけてきたり。
ここまで何とか力尽きず逃げてこられたのは、ひとえにWTの耐久力があったればこそだった。
その意味では、私の選択は決して間違っていない。
ただ、所詮一人では限界があるのではないかと、私は思い始めていた。
私は、かつて師匠に、WTについて聞いた時のことを思い出していた。
その時師匠はこのようなことを言っていた。
WTの極意は、敵だけでなく、味方にも合わせることができる点にある、と。
敵に合わせるというのは当時からよく分かっていた。
法撃に強い敵には打撃を、打撃に強い敵には法撃をと、常に相手の弱点を突く戦いができるのだと。
しかし、味方に合わせるとは、どういうことなのか。
無口な師匠は、体で覚えるしかないと諭すだけで、詳しいことは口にしていなかったのだ。
もしも、私が早くに仲間と共に戦うことを覚えていたら。
今頃は師匠の言った極意が、理解できていたのではなかったろうか。
440を背負いながら幾匹目かのヴァンダを切り裂いた時、疲労は頂点に達していた。
しばしの休養を取ろうとその場に腰掛けるが、すぐにあの耳障りな鳴き声が聞こえてくる。
これだけの原生生物が跋扈する一方で、肝心のイルミナス構成員の姿が見られないのはどういうことか。
ふと、そんな疑問が頭の中に浮かんだが、ゆっくりと考えている暇もなかった。
ディーガによる精神干渉は既に解けていたが、回復用の杖もPPが尽きかけ、いよいよ限界が近づいていた。
199:EPX 7章「a turning point(中編)2/6」
08/04/16 20:18:17.81 uZauK+X8
疲労でおぼつかない足取りのまま、再び出口を目指して歩き出す。
最後まで、諦めるものか。
その思いだけが、私の体を突き動かす。
露出した岩肌に足を取られながら、必死に後方の鳴き声から遠ざかろうとする。
もし、今前方に回りこまれたら。
ぞっとする思いが脳裏をよぎる。
果たして、前方に現れた影を確認し、嫌な予感が当たったと武器を取りかけた時。
意外な声が、私の耳に届いた。
「隊長、ご無事でしたか」
私の、第2小隊の部下の一人だった。
いや、一人ではない。第2小隊の面々が、全員顔を揃えてそこに立っていたのだ。
私は、もう出口近くまでたどり着いていたのか。
疑念にかられる私に、部下の一人が続けて声をかけてくる。
「隊長は待機と仰ってましたが、心配になって中に入ってきてしまいました。
その…そこのPMが、主人の制止も聞かずに入っていったのを見て、いてもたってもいられず…」
何とこたえてよいか分からなかった。
今まで散々ないがしろにしてきた部下達は、こんな自分を心配して追ってきてくれたのだ。
戸惑う私に、別の一人が言葉を続ける。
「その…隊長のお気持ちは、分かっているつもりです。
隊長は、余計な犠牲を出したくなくて、いつもお一人で立ち向かっていたんですよね?
おかげで今の所、誰一人殉職せずに済んでいます。
第1小隊の連中は、既に何人も使い捨てにさせられているのに」
思ってもいない言葉だった。
確かに結果として小隊に犠牲者は出ていなかったが、決してそんな上等な理由があったわけではない。
ただ、自分の自信のなさを拒絶という形でごまかしていたにすぎないのに。
「でも、大丈夫です。俺達だって厳しい実戦を潜り抜けてきたガーディアンです。
隊長の足を引っ張らずに済むくらいの自信はあります。隊長、どうかご指示を」
そう言って自分を見つめてくる部下達の瞳は、こちらが恥じ入る程に真っ直ぐだった。
それは、とてもかつて自分が思ったような、報酬目当てで集まっている者達のそれではなかった。
200:EPX 7章「a turning point(中編)3/6」
08/04/16 20:19:33.47 uZauK+X8
「わ…私は…」
もう、彼らを見下し、蔑む気持ちは消えていた。
残っているのは、私に上手く彼らを動かす力があるかどうかという、懸念だけである。
しかし、後方から数匹のヴァンダが姿を現した時、その迷いは捨てることにした。
「…この通路で迎え撃ちます。φG、fFは前方でヴァンダと応戦。
fG、GTは後方から支援を。fTは、予備の片手杖があったら私に貸して下さい」
「了解っ」
初めて下した、作戦中の命令。
彼らは不平の言葉一つ漏らさず瞬時に行動に移っていた。
突然の増援に、ヴァンダ達は明らかに狼狽していた。
仲間に呼びかける声だけ残して、数秒のうちに2体が物言わぬ肉塊へと変じていた。
後方で難を逃れていたヴァンダの一匹がディーガを放とうとするが、
fGの正確なライフル狙撃が確実にそれを阻害する。
その隙にfFが槍を構えて突撃し、のけぞるヴァンダを串刺しにした。
「すぐに新手が来ます。各自、迎撃の準備を」
次に現れたのは、オルガ2匹。
先の戦いでは不覚を取ったが、今度はこちらの人数が多い。
オルガの火球が1回か2回ほど前衛の二人に降りかかるが、致命傷に至ることはなく、
勇敢に武器を振るう二人によって返り討ちにされた。
「今のうちに撤退を。隊列はそのまま維持して」
後衛の3人、中央に私、殿を前衛の2人が固める形で、出口に向かって進みだす。
201:EPX 7章「a turning point(中編)4/6」
08/04/16 20:21:10.59 uZauK+X8
「ところで…第1小隊は今も出口で待機しているの?」
何度目かの襲撃を退けた後の私の質問に、傍らのfTが答える。
「それが…どうも本部からの指示があって、既に退却済みなんです。
なんでもこの鉱山の地底湖に封印されていた、巨大原生生物の封印が解かれたとか」
「何ですって」
「確かな話ではないですが、その封印が解かれたのも、イルミナスの仕業という話もあって…。
もしもそれが目的だったなら、彼らが今もここに残っている理由はないと第1小隊は判断したようです」
話に聞いた、太古の昔に封印された巨大原生生物。
もしかして、突然のヴァンダ・オルガの発生も、その事象が関連しているのかも知れない。
「そんな危険な生物を、野放しにしろと本部が?」
「いえ…あの、実はこの近くで、新総裁とローグスの新首領が交渉中だったらしくて。
総裁が、『自分達がやるから退却しろ』と命令を下したようです」
あの総裁らしいと言えば、らしかった。
客観的に考えれば、総裁自らがそんな危険な任務につく必要があるのかという話だったが、
私個人としては、さして心配はなかった。
総裁の傍には、師匠がいる。
師匠がいる以上、太古の原生生物だろうがなんだろうが、相手ではない。私はそう確信していた。
「隊長。そのPM、自分が背負います」
私のすぐ後ろに位置していたGTが進み出た。
「自分は後方支援が役目なので、それほど激しく動く必要はありませんし…隊長はお疲れでしょうから」
一瞬、躊躇する。自分のせいでこうなった440を、他人に委ねるのはどうなのかと。
だがすぐに、440の「一人で強くなる必要はない」との言葉が思い出される。
「…お願い」
自分の責任を彼に押し付けるような気がしたが、GTは誇らしげに微笑んだ。
「隊長の信頼に、全力を以って応えます」
信頼。懐かしい言葉だった。かつてマスターと二人でいた時には日常のように聞いていた言葉。
ただ、信頼を受ける立場だったのが、与える立場へと変わっていた。
マスターの信頼が、私に実力以上の力を与えてくれたように。
今度は私が、彼に同じ力を与えることになるのだろうか。
そう思った時に、私は初めて実感していた。
マスターを取り戻すための、本当の一歩を踏み出したという、実感を。
202:EPX 7章「a turning point(中編)5/6」
08/04/16 20:22:43.38 uZauK+X8
GTの申し出た措置が、早速役に立つ場面が来た。
前方を進んでいたfGの前に、突如ヴァンダ・オルガが立ち塞がってきたのだ。
fGは咄嗟に接近用のショットガンに持ち替えようとするものの、不意をつかれて動作が遅れる。
その間にオルガは大きく息を吸い込み、炎の息を吹きかけようとしていた。
体力も回復し、440も背負うことなく身軽になっていた私は、一足飛びに両者の間に割って入る。
扱いやすさに定評のある片手剣は、咄嗟の事態にも素早い対応を可能とした。
斜め下からオルガを斬りつけ、振り上げる際に勢いづいた回転力を活かしてさらにもう一撃。
ガーディアンズにとって基本中の基本にして王道の技、ライジングストライク。
体の隅まで染み付いたその一連の動きは、考えるより早くオルガを宙に舞い上げていた。
体勢を整えたfGが、オルガの落下に合わせて狙いすましたショットガンの一撃を放つ。
密着距離で最大の効力を発揮する散弾がオルガを蜂の巣にした。
「助かりました。遠くの敵に狙いを定めるのは得意ですけど、近寄って来る敵は苦手で」
fGが頭を下げる。
確かに、fGという職は射程の長い攻撃を得意とするが、近づく敵は苦手な様子だった。
それを知った以上、fGの彼に前を歩かせるわけにはいかなかった。
「私が前に出ます。fFとφGの二人は、後方の追撃に備える必要がありますから」
「了解です。…WTは距離を選ばず戦えるのがいいですね。少し羨ましいです」
言われて初めて思い当たる。
私にしろマスターにしろ、特に苦手な距離はないが、それが隊列に如実に反映されるということに。
前に出れば近接用の打撃武器を、中距離ではテクニックを、そして遠距離では弓がある。
先ほどまでは隊の中央でテクニックを主体として戦っていたが、前に出ても別段困ることはない。
つまり、今回のように隊列を組む場合、fFは前衛、fTやfGは後衛とある程度配置が限られるが、
自分はどこに配置されても戦えるのだ。
味方の誰かが倒れる、或いは別行動を取ったとしても、自分がその役割を代用できる。
状況の変化に柔軟に対応できるのがWTであり、またそれができてこそWTと言えるのかも知れない。
私は師匠の言った、WTの極意を思い出していた。
敵だけでなく、味方に合わせる。こういうことなのだろうか。
203:EPX 7章「a turning point(中編)6/6」
08/04/16 20:24:19.07 uZauK+X8
私のいる前方に敵がでてくることも何度かあったが、やはり後方からの襲撃が多かった。
「こいつ、逃げるんじゃねえっ」
fFが苛立たしげに毒づくのが後方から聞こえる。
前方に注意を払うことも忘れてはならないが、状況の把握のため私は後方を振り返る。
fFがどうにか打撃武器を当てようとするものの、ヴァンダ達は巧妙に後退りしながら距離を取っていた。
うかつに追いかけて孤立することを恐れ、fFは今一歩踏み出すことができないでいる。
φGもツインハンドで牽制するが、あくまで本分は近接戦闘なので、ヴァンダには致命傷を与えられない。
距離を取るならfGやGTの射撃が物をいうのだが、彼らは私のいる前方に注意を払っているため、
背後を振り向いて狙いを定めるのは躊躇われる様子だった。
私やマスターも、ヴァンダのような距離を開けるタイプの敵には中々近接戦闘をしかけられなかった。
そういう時、私やマスターならどうしていたか。
状況に当てはめて、一瞬のうちに答えを導き出す。
「fT、ラ・バータで足止めを。その間に前衛は接近を図って」
fTが直ちに氷系テクニックを発動させる。
ダメージと共にヴァンダは氷柱に囚われ、その動きを止めた。
「よっしゃあ」
fFが一瞬で距離を詰める。
一旦接近戦になれば、全職最高の殺傷力を持つ彼の攻撃に耐えられる敵はいない。
「さすが隊長。俺達の戦い方をよく知ってます」
肉片と化したヴァンダを足元に、fFが満足げに笑いかけた。
「俺達、向かってくる敵は得意だけど、逃げる敵は苦手で…ああして足止めしてもらえると助かります」
「私も隊長の指示は適切と思いました。打撃と法撃、両方の戦い方を知っていればこそですね」
fTが言葉を継ぐ。
確かに私は打撃と法撃、両方での戦い方を知ってはいる。
しかし、そのそれぞれを特化職が受け持った時、これほどの効果があるとは思わなかった。
私が一人で戦うより、遥かに素早く、安全に敵を倒せる。
それは、私一人の力とは言えないかも知れないが。
仲間の力を十二分に引き出すというのも、私の力の一つと考えていいのではないだろうか。
『一人で強くなる必要はない』
440の残した言葉が、改めて私の心の奥底にまで染み込んでいった。
204:EPX作者
08/04/16 20:32:12.77 uZauK+X8
以上、中編でした。
周りの者に支えられ、GH-412は真の強さに目覚めていきます。
次回後編にてヴァンダ軍団との決着、そして第2部「412奮闘編」を完結とさせていただきます。
ご期待ください。
205:名無しオンライン
08/04/16 20:53:23.85 U240kjkl
>>198-204
いいねえ、WTの強さがわかってる。全てができるから全てに精通できるんだものな。
自分は実装当初からWTが弱いなんて思ったことは一度もないであります!
それはそうと、自分が今ここで執筆中のものがテーマで微妙にかぶってしまったのは秘密でありますW
206:名無しオンライン
08/04/16 21:36:00.08 BAxCNbDI
>>198-204
そこで前衛がチッキ…などと思った俺は退場した方がいいなww
いや、412かっこいいなぁ、おい!
その凛々しさに嫉妬。
>>190-196
そのソードに対するこだわりはきっと、俺にとってのレーザーと同じものなんだろうなw
なんか俺もネタ書きたくなった。ウチの422とレーザーでw
INする前にここ読むのが楽しみになってます。
各作者さんとも、がんばってください!