07/08/31 23:36:59.68 ZG/hX4zi
44話シーンNo.33。
不動堂。不動明王の前に長笈、その横に信玄、そして後ろには勘助が座っています。
長笈が甲斐に来た理由を信玄は知ります。
信玄「それほどそなたにつらい思いをさせたか。
すまぬ。このとおりじゃ」
頭を下げる信玄。
信玄「この不動明王の御前にて我が母はみまかられた。
母のこと覚えておるか？ 誰よりもそなたのことを案じておった。
その母に誓い、またそなたの母である妹に誓い、
儂はこれよりそなたを我が元にとどめおきたい。
ありのままの儂を、武田家を、そなたの目で確かめてほしいのじゃ。
儂を恨むのはそれからでも遅くなかろう」
ここで義信が不動堂に駆け込んできます。三条と萩乃も追いかけてきました。
三条「義信！」
萩乃「義信様！」
信玄「いかがした」
義信「父上！ かの者が父上に刃を向けたのはまことにございますか」
信玄「義信、控えよ。そちの従兄弟じゃ」
義信「父上を殺めかけようとした者を、左様には思いませぬ」
勘助「義信様、御上意にございます」
義信「黙れ！ もとはといえば山本勘助、そちがかの者の姉にたぶらかされ、
かような始末となったのじゃ」
勘助「義信様…」
義信「諏訪家に我が母は散々苦しめられてきた」
三条「義信…」
義信「父上は諏訪家の女を側女にしてまで、諏訪との絆を保ってきたのじゃ。
今更戦に負けた恨みを晴らされる覚えはない。
全ては終わったことなのじゃ」
信玄「下がるのじゃ」
漸く長笈が口を開きます。
長笈「義信様…。私は何も知らずに生かされていたのです。ありのままを知らずに。
しかし今、そのにわかな恨みも消えました」
信玄「まことか」
長笈「まことにございます」
すっと立ち上がる長笈。振り返って両手を大きく横に広げます。
長笈「ありのままの私の心をお確かめ頂きたい」
そのままゆっくり前に歩き出す長笈。
それを見て、勘助も立ち上がります。
残念ながら私が見れたのはここまでです。
一体、誰の身に何が起きるのでしょう。