07/03/05 08:39:32.59 mDq6aNH2
米国は巨額の経常赤字を計上し続け、それを埋め合わせる借金を累積してきた結果、世界最大の純債務国になっている。
この債務を円滑にファイナンスし続けられなければドル暴落懸念が台頭する。
経常赤字を計上し続ける過程で累積した対外債務はドルの減価圧力に働く。
対外債務を抱えているということは利払いや償還やその他を通じて常に将来のドル売り外貨買い圧力を受けていることになるのだ。
注意しなければいけないのは経常赤字そのものにあまり囚われてはいけないということ。
なぜなら少なくと現在は米国の経常赤字は円滑にファイナンスされているからだ。
年がら年中、経常赤字でドルは下がると言い続けているアナリストと一緒になってはいけない。
経常赤字で積み上がる対外債務残高がドル減価圧力に働くのは間違いない。長期的には確実に米ドルの下値は切り上がっている。
しかしレバレッジを効かせてトレードしている我々に重要なのは経常赤字を受けて投資家がどう動くか予想することだ。
現在、膨大な経常赤字ファイナンスを可能にしている背景は
①米国の潜在成長率はG7諸国の中で頭一つ抜けており、それゆえ高い収益性と流動性の富む金融市場を抱えている。
潜在成長率を比較すると米国3.25%~3.5%、ユーロ圏2.00%~2.25%、日本1.8%~2.0%と言われている。
②信用力(返済力)が高いこと。FRBは世界から絶対的な信頼を勝ち得ており、それゆえに投資家は対米投資に安堵している。
③産油国・新興国の債券市場が未成熟なこと。新興国は自国の債券市場が未成熟ゆえに余った資金は米国などの先進国市場に預託している。
この構図が将来的に崩れていくのかどうか?これが今後のドル相場の動きを握る。前述の①~③に関して私のシナリオを書くと
①現在、ユーロ圏は労働市場が堅調で失業率は低下傾向。同時に企業も設備投資を積極的に展開している。
つまり現在は労働参加率と労働生産性が高まっていく環境にあり、この動きが一時的でなければ潜在成長率は高まっていく。
ユーロ圏は地に足のついたインフレ無き経済成長をしており好調な経済循環は続くだろう。
ユーロ圏の流動性は米国に匹敵する。ユーロ圏は着実に高い収益性と流動性の富む金融市場を抱える経済圏に向かっている。
今後、投資家のユーロ需要はますます高まっていくだろう。
②返済力を見極めるためには長期金利と名目成長率のバランスを見る必要がある。名目成長率が長期金利を上回るか同等なら心配しなくてもいい。
しかし長期金利が名目成長率を明確に超える状況が続くなら債務国には悪材料だ。投資家は対米投資を控える可能性がある。
FRBはインフレ期待を抑制し市中金利の指標となる長期金利を安定させ続けなければいけない。
米国の2006第四半期の名目成長率は3.8%。その間の長期金利は平均で4.65%。長期金利が名目成長率をはっきりと上回っている。
この状況が一時的なのか?まだまだ続く見通しなのか?これが重要になってくる。少なくとも現時点の環境はドルに弱気だ。
③産油国・新興国の資本市場はまだ未成熟。先進国を頼る状況は続くだろう。しかし今までのようなドル一極集中は考えられない。
産油国・新興国はドルベッグ脱却を模索し柔軟な為替政策に移行しようとしている。それにともなって外貨準備の構成も変えようとしている。
世界経済の台頭でユーロ資産や円資産の魅力が高まっている。今後、新興国マネーはユーロや円に膨大に流れてくるはずだ。
以上からドルは下がると思っている。米国はまだまだ経常赤字をファイナンスし続けるだろうが投資家のユーロ需要はそれを上回るだろう。
しかしユーロ圏経済が大きく崩れる前兆が出てきたり、ECBがインフレに後手に回るようなことがあったら私のシナリオは崩れる。
ユーロ圏の景況感に注意が必要。大事なのは米経常赤字の絶対量ではない。米経常赤字をめぐる投資家のフローだ。
私の分析では今年もユーロドルは強い。ECBの利上げもサポートして1.45目指していく。
今年のどこかでECBは利上げサイクルを一旦中断するだろう。そして市場に明確なシグナルを送るだろう。
そのときはユーロドルはそれなりの調整をするだろうが絶好の買い場提供にすぎない。
ユーロ円も今週で底打ちして163目指していくと見ている。
何度も言うがリスク管理を徹底すべき。1%逆に動いても躊躇無く損切れるレバでやるのだ。
投資はギャンブルだ。しかし勝算のあるギャンブルにするために分析をしているのだ。