06/08/24 03:35:05.57
仕事も通学もせず、職業訓練も受けていない15~34歳の若者を指す「ニート」について、厚生
労働省は就労支援の内容を見直す方針を決めた。
ニートの一部に、「発達障害」の疑いのある人が含まれていることが、同省の調査で判明したた
め。実態をさらに把握したうえで、支援機関に心理などの専門職を配置するなど、きめ細かい支
援のあり方を検討する。
調査は今年6月、首都圏などにあるニートの就職・自立支援施設4か所を選び、施設を利用し
たことのあるニートの若者155人について、行動の特徴や成育歴、指導記録などを心理の専門
職らが調べた。
この結果、医師から発達障害との診断を受けている2人を含む計36人、23・2%に、発達障害
またはその疑いがあることがわかった。
発達障害は、生まれつきの脳の機能障害で、自閉症や注意欠陥多動性障害などが知られてい
る。コミュニケーションが苦手なことが多く、就職の面接試験で失敗を重ねたりするが、就職して
存分に能力を発揮することも少なくない。
調査では、「人との距離感が分からず、顔を必要以上に近づける」(26歳男性)、「その場の空
気が読めず、じっとしている」(20歳女性)などのコミュニケーション問題や、「口頭の作業指示で
は理解できず、実演が必要」(16歳男性)など、発達障害特有の行動が確認された。
厚労省によると、発達障害のある人は、集団で行動するニート支援施設を利用しない傾向があ
る。このため、「支援施設に来ない人を含めると、割合がさらに高くなる可能性もある」(障害者雇
用対策課)という。
ニートの就労支援では、一般的に、規則正しい生活を送る訓練や、企業での就労体験、資格取
得の勉強などが行われている。
一方、発達障害がある場合は、作業訓練のほか、援助者の確保や同僚の理解促進など、働く
場の環境整備が中心となる。具体的には、福祉機関などと連携して個別の支援計画を作ったり、
企業を啓発したりすることが求められている。
発達障害者の就労支援に取り組む大妻女子大の小川浩教授は、「ニートの支援には、職業体
験など、発達障害者にも役立つものもある。だが、社会性やコミュニケーション能力を高めるため
、『頑張ればできる』という発想で訓練するのは、発達障害者には強度のストレスとなり、うつなど
の二次障害を生じさせる」と指摘している。
調査結果について、NPO法人・青少年自立援助センター(東京都福生市)の石井正宏・若者自
立塾副塾長は、「実態がある程度明らかになったことで、早めの支援につながるのではないか」
と話している。
(2006年8月24日3時14分 読売新聞)
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