08/04/09 12:42:25 QaXe3SB8
それ以降、私は熱心に掃除に打ち込んだ。こんなちっぽけな部屋すら清潔に保てない自分が
許せなかったため、過度なほどやった。だが過度にやったお陰で掃除の技術はどんどん
上達していった。また、組み合わせも上手くなった。部屋には、毎日掃除しないと清潔に
保てない場所と、週に3~4回すれば十分な場所と、週1や月1でもかまわない場所がある。
なので毎日の掃除に「今日はココ、明日はソコ、明後日は・・・」と組み合わせていったのだ。
その結果、毎日の掃除量を当初の三分の一程度に減らすことができた。また、慣れたため
全然疲れなくもなった。その甲斐あって最初と比べたら十分の一以下の労力で部屋を清潔に
保てるようになれた。私は、掃除が自然にできるようになったのである。
それから幾年かが経ったある日のこと。私はどす黒い感情に支配されていた。
そのとき私は、自分の非を認めるくらいなら相手の非を捏造し、声高にそれを吹聴して
自分の非をうやむやにしてしまおうと画策していた。計画はうまくいきそうだった。
一安心した私は何気なく掃除を始めた。そしてまさにその時、それはやってきた。
汚れた心から目を逸らそうが、蓋をして無かったことにしようが、
一生懸命言い訳しようが、それはそこに永遠にあり続ける。
己の心を掃除できるのは、己しかいないのだ。
もし掃除の習慣が無かったら、私はそれを無視できただろう。忘れることができただろう。
しかし私にはそれができなかった。どうしてもできなかった。なぜなら私は、
それが正しいことだと日々の習慣を通して心の底から理解していたからだ。