08/03/29 21:23:47 om/JwPot
A LONG VACATION
「つまんない」なんて言ってもしょうがない。
僕たちは運悪く歴史のそういうステージに生まれついてしまったのだから。
22世紀まで僕たちはマイニチマイニチ朝7時に起きて、学校や会社に通って、とりとめのないムダ話をくり返す。
学校では英単語や歴史の年号を何度も何度も暗記して、会社では「つまらねー」なんて言いながら、本当につまらない仕事を1週間、1ヶ月、1年なんていうサイクルで何週間も何ヶ月も何年もくり返す。
延々と最先端スポットができ続けて、延々と政治家は汚職をし続けて、テレビのなかは延々と激動し続ける。
だけどテレビのスイッチを消してまわりを見回すと、いつもとなんにも変わらない毎日があるだけだ(テレビをけしたあとの、あの奇妙な暗さを錯覚させることが、この本のもうひとつの狙いだ)。
三島由紀夫は自伝的小説『仮面の告白』のなかで、「戦争より『日常生活』のほうが恐ろしかった」って書いた。
僕たちはガマンにガマンを重ねながら、この「身ぶるいするほど恐ろしい日常生活」を生きていく。
得体のしれない”安定した将来”をしっかり引きつけておくために。
1歩1歩慎重にコースを踏み外さないように気をつけながら。
テレビのドラマみたいなハッピーエンドはない。
ただグロテスクな”ハッピー”が延々と続いていくだけだ。
そう。
キーワードは「延々」と「くり返し」だ。延々と続く同じことのくり返し。これが死にたい気持ちを膨らます第1の要素だ。