08/02/03 20:42:27 wLH12HIM
上着を脱ぎ、シャツを脱ぎ、上半身裸になったKさんの背中に現れたのは、見事な彫り物。
当時の俺はその意味も分からず、またKさんの身体にそんなものがあるとは知りもしなかった。
ただ、職員室内の空気が一瞬にして変わった事だけは分かった。
後退る男性教諭にKさんは何か一言二言つぶやいたようだった。その声は聞き取れなかった。
俺は親父にやおら背中を叩かれ、「お前は帰れ」と言われた。その声は低く、はっきりと聞き取れた。
いたたまれなかった俺はその言葉に従い一人で帰った。その日、親父とKさんは帰って来なかった。
ほどなくしてその男性教諭は突然いなくなった。別の学校に移ったとの事だが朝礼等での挨拶も無く、
はっきりした説明は最後まで無かった。俺をいじめていた連中は集められて学校に親を呼び出され、
何かの話し合いをしていた。会議室から出てきた連中の中には目を真っ赤に腫らした奴が何人もいた。
何年か後、彫り物の意味が分かるようになった頃、Kさんの事を親父に訊いてみた。
元々はどうしようもないワルだった事。極道の事務所に出入りしていた事。何度も警察のご厄介になっていた事。
そんなKさんを心配したご両親が親交のある親父にKさんを預け、カタギとしての道を歩ませようとしていた事。
その後Kさんは不慮の事故で若くして亡くなった。あの時何があったのか、その口から語られる事は最後まで無かった。