08/06/23 16:10:53 t2vgBa/V
「…いまはわかるんだ。きっとみんなも初めての若ハゲの朝にはこんな気持ちだったんだろうなって…。」
毛無しは壁に背を向ける。「父さん…。オレ、ほんとに父さんたちみたいになれるかな…。母さんが話してくれるみんなはオレなんかよりずっとハゲてて、ずっとハゲ散らかしてて…。」
「ずっと、ずっと若ハゲだった…。」
毛無しが再び写真の方を向く。
「…そうだよな。こんなのオレらしくないよな!そうだろ、父さん!」
そして父の写真の前に立つ。
「ここにオレの写真を置くぞ。みんな!約束する。オレはみんなを越えるようなスゴイ若ハゲになる。」
写真を壁にあて左手で抑える。右手では金槌を振りかぶった。「さよなら、母さん!」
金槌を振り下ろすと毛無しの写真は父親の写真の隣に貼り付けられた。
「オレ行くよ!」毛無しは駆け足で家を飛び出した。