07/10/06 20:53:51 VlUeWU7i0
もうひとつのケースはこうだ。鉱山会社に勤める40歳の治金学者の男性が「悪質な頭痛」
を訴えてきた。頭痛は20年前からはじまり、いまでは毎日起こるようになっていた。痛み
は拍動性で、エキセドリン(鎮痛剤)でしか治らなかった。頭痛は1日1~2回起こり、その
たびにエキセドリンを2錠のんでいた。また、1日に1~2杯のコーヒーものんでいた。何
人かの医師の治療を受けたが治らず、徹底的な神経学的検査をする必要があるといわれて
いた。
血管性頭痛の拍動痛は、頭部の細動脈の拡張から生じる。カフェインは動脈を収縮させる(カ
フェインは実際に血管性頭痛の緊急治療薬として使われている。ただし、非嗜癖者だけに
しか使われない)。カフェイン嗜癖者の場合、動脈はつねに収縮する力が働いている。その
結果、反対につねに拡張しようとする力働く(だからカフェインの禁断反応は血管性頭痛が
主症状になる)。エキセドリンが有効でアスピリンが無効の血管性頭痛はまず「カフェイン
性」のものである。エキセドリンにはカフェインが含まれているからだ。わたしは彼にコ
ーヒーとは縁を切るように指示してから、禁断反応の対処法(休息・気晴らし・忍耐・頭痛
にはふつうのアスピリン)にかんするお決まりの激を飛ばした。
彼つぎの週末にそれを試み、禁断反応が終わった直後に電話で結果を報告してきた。
「豪勢なものでしたよ」と彼はいった。「20年間待ちつづけた正真正銘の頭痛を、ついに味
わったって感じです」。正直な表現だった。それ以来、頭痛は再発していない。